炭鉱災害につき緊急、強力な措置要望の件(決議)

近時、炭鉱その他産業方面において、大きな災害が発生し貴重な人命が失われている。その原因の多くは、災害防止の安全施設に欠くるためであることは、まことに遺憾である。


 われわれは、人命尊重、人権擁護の見地から、災害予防・絶滅等保安の抜本的改善並びに被災者、遺家族の救護につき、緊急かつ強力な行政・立法措置を講ずるよう重ねて当局に要望する。


昭和40年9月25日
於秋田市、第8回人権擁護大会


理由

一昨年11月の三井、三池の戦後最大の爆発事故をはじめ、今年1月の北炭夕張のガス爆発、4月の日鉄伊王島のガス爆発、さらに6月236人の死者を出した山野炭鉱のガス爆発(以上3件日弁連人権委員会調査済)等、炭鉱では労働者の生命を大量に奪う大惨事が続発している。これは生産第一主義の石炭政策が推進されている結果、保安要員の大削減、保安設備の荒廃、保安監督行政の無機能化と悪化している炭鉱の労働条件、作業環境に基因することも一原因である。


出炭の増強によって産業界の発展を図る必要性もさることながら、より重大なことは生命の尊重である。


当局は保安対策並びに被災者、遺家族救護につき、強力な行政、立法措置を講じるよう、昨年度人権大会宣言に続き重ねて要望する。