不当逮捕、検索押収その他拷問排除に関する件(宣言)

正義を顕現し、人権を尊重することは、近代国家の使命である。


しかるに、捜査当局は、捜査の必要性に藉口し、不当に逮捕、捜索、押収等をなし、また、自白を強要するのみならず、いまなお拷問の行われる事例なしとしない。


われわれは、かかる封建的弊風を排除し、もって人権擁護のため挺身する。


昭和40年9月25日
於秋田市、第8回人権擁護大会


理由

捜査の第一線を担当する捜査官の中には、迅速な犯罪検挙に藉口して、不当に逮捕、捜索、押収等をなしたり、犯人の処罰を急ぐの余り、自白を強要するため拷問の行われている事例なしとしない。


これらの封建的遺風と、悪習と、惰性による捜査が後を絶たないことはまことに遺憾に堪えない。


基本的人権の擁護と、社会正義の顕現を使命とするわれわれは、関係当局者が、この野蛮国に行われるような暴政を改め、人権の尊重の理念に徹し、よってもって法の的確な遵守を実践されるよう要請して止まない。


その顕著な事例は次のとおりである。


  1. 逮捕、捜索、押収等については、帝銀・平沢事件の偽証事件にまつわる捜査の不当疑い、並に本年6月諏訪警察において軽犯罪容疑者寺嶋末子外1名に対してなした逮捕と衣体検査問題(本件は長野県弁護士会より当会へ報告のもの)。
  2. 拷問の事例では、現在当会人権委員会調査中の梅田義光提訴事件においてその事実が認められるし、同じく調査中の斎藤幸夫提訴事件において強制取調べの事実を認めた。

不当長期拘束或は長時間に亘る取調の苦痛により自供したとする事例に対し、拷問による自白としてその主張を認めた判例が今なお見られる。なお、積極的な拷問については、立証が困難なため、その実際を確め得ないことは洵に残念である。