売春と麻薬犯罪対策に関する件(決議)

近時、売春と麻薬に関する犯罪は、激増の一途を辿りつつあるが、これは、国家社会の健全化を阻害する怖るべき病弊である。


この種犯罪に対し、取締法規の整備も必要ではあるが、当局が、その予防について、充分の施策をなさず、転落婦女並びに麻薬患者の救済治療施設等について満足な措置すら講じないのは寔に遺憾である。


よって、当局は速かに、これらの施策につき万全の措置を講ずることを要望する。


昭和37年10月20日
於京都市、第5回人権擁護大会


理由

近時、大都会が魔窟化し、特に売春又は麻薬服用等によって、心身を持崩す青少年婦女の激増したことは、社会の健全化、国運の発展を妨害する怖るべき病弊であって、深慮に堪えない。かかる社会的腐敗の撲滅の策定は、所謂所得倍増の施策よりもむしろ緊急を要する。そのためには、単に厳罰の方針のみを以ってしては、充分でなく、一方麻薬患者の治療施設、転落婦女の救済施設を拡充するとともに、他方国民の志気の昂揚を図らなければならね。政府は事の重大なるを思い、速やかにこれが対策措置を講ずべきである。