秘密交通権の改善方の件(決議)

弁護人の秘密交通権の尊重さるべきことは、本大会の決議をもって、しばしば警告したるに拘らず、今なお、これを軽視し、依然として改善されていない。


よって、ここに重ねて検察並びに司法警察当局に対し、弁護人の秘密交通権を侵害せざるよう強く要望する。


昭和37年10月20日
於京都市、第5回人権擁護大会


理由

大阪弁護士会所属小林弁護士が高知県窪川町で起きた事件の浜崎という容疑者から弁護の依頼を受け、7月5日午後7時窪川警察署に出頭し面会を申し入れたところ、現在取調中だからと面会を許さないので、12時過ぎればよいかと問うたら、12時過ぎは面会は許されないとのことなので、同弁護士は直ちに窪川簡易裁判所に出頭し、この処分に対し準抗告を申入れたところ、裁判所書記官が警察に接渉され、12時過ぎなら会わせるとのこととなったので、12時過ぎに面会に行ったが、決定を持っていないからと面会を拒否された。止むなく翌日面会に行くと、依頼者からの依頼書を持って来いとのことで被疑者の実兄を同道すると、実兄であることの証明のため米穀通帳を持ってこいという、余りのことで簡裁から決定を得て警察に行くともう身柄は送検したから当署に権限がないという、こうした事実が現に横行しているのである。理窟抜きに秘密交通権の侵害である。


アメリカ、スタンフォード大学のパールバット教授は、逮捕された人間が痛切に弁護人を必要とする時期は逮捕直後であり、立法によって明白にされたカルホルニヤ州の政策は、警察や検察官が公判前の段階での弁護士活動を些かでも妨害することは許さないものということであるといわれたが、わが国訴訟法の秘密交通権においてもその思想が基調となるべきであるにもかかわらず、刑訴39条の法文を全く理解せず、当局は殊更に、取調べ等に藉口して秘密交通権を侵害し弁護人の効果的活動を困難にする処置をとられていることは、洵に遺憾である。重ねて秘密交通権の適正な運用により、斯る侵害行為の絶滅を要望する。