選挙法違反事件における百日裁判に対する要望の件(決議)

訴訟の促進は、もとより尊重さるべきであるが、近時公職選挙法違反事件につき、裁判所が百日裁判の名のもとに、その進行を急ぐのあまり、被告人の防禦権を無視し、弁護人の正当なる弁護活動を制約している事例のあることは遺憾である。


よって、裁判所は、かかることのなきよう善処せられんことを要望する。


昭和36年9月23日
於仙台市、第4回人権擁護大会


理由

何人も裁判を受くる権利があると共に、法の前に平等である。然るに公職選挙法違反事件においては被告人に対する弁護権が著しく制限されている。中でも甚だしきものは所謂百日裁判の名において行われる裁判である。


苟しくも無罪を争うべき事情のある限りその調査と証明を為すべき充分なる機会を与うべきである。特に広範囲にわたる関係者の存する場合には、出来るだけ全体を網羅する統一裁判によってその真相を明にすべきである。しかるに近時、裁判所は右規定に拘束され、裁判を急ぐのあまり、被告人の防禦権を無視し、弁護人の弁護権を制約し、真実発見につとめざるため無実の罪に泣くものなきを期し難い。本案提出の所以である。