施設なきため弁護人の秘密交通権侵害に関する件(決議)

事訴訟法は、人権擁護の立場から、弁護人と被疑者および被告人との自由交通権を明定している。


しかるに、取調中または接見所の設備なき等の理由により、この権利を阻害する事例が少くない。本会はこの点につき当局の反省を促すべく、しばしば要望したのであるが、今なお是正されないのは甚だ遺憾である。


よって、すみやかに改善せられるようここに重ねて決議する。


昭和35年11月12日
於高知市、第3回人権擁護大会


理由

刑事訴訟法第39条の被疑者または被告人に対する弁護人の自由な交通権が、担当官の取調べを口実としてこれを拒否したり、或は接見室がないとして署員の着席する事務室において行われる等、弁護人に与えられたこの交通権を阻害する事例が、当会の幾度かに亘る要望にもかかわらず未だに絶えない。


当局は、右条文を正しく解釈運用されるよう重ねて要望する。