訴訟促進方の件(宣言)
憲法は、すべて被告人に対し、迅速なる公開裁判を受ける権利を保障している。しかるに、最高裁判所においては、3,000件を超える刑事未済事件を擁し、第一審以来審理の継続10年にならんとするもの、勾留継続1,000日に及ぶものすらある現状である。裁判の結果が有罪なると無罪なるとに拘らず、その言渡しが長期に亘り遅延することは、憲法の保障にもとり人権無視のそしりを免れない。
われわれは、再び訴訟の促進を提唱してその実現を期する。
1958年(昭和33年)4月12日
於甲府市、人権委員会春季総会
理由
訴訟の遅延は、事件本人の生活に影響を与え、基本的人権の侵害を来たす結果をもたらさないではおかない。しかるに、裁判の遅延は常識化し、その件数が依然として減少していない現状に鑑みて、再び訴訟促進を提唱する。