最高裁判所に対する要望の件(宣言)

本委員会は、最高裁判所に対し、上告審における訴訟を促進し、且つ口頭弁論主義の基調を尊重し、以って国民の基本的人権の擁護に欠くるところなからむことを要望する。


1955年(昭和30年)11月12日
於松江市、人権委員会秋季総会


理由

  1. 最高裁判所は、下級裁判所に対し、訴訟促進を強力に指令しているにかかわらず、自審における訴訟は著しく遅延し、甚だしきは数年を経過するも未だ終結を見ない事案が堆積している。
  2. 刑事訴訟法が、口頭弁論主義を基調としているのは、国民の基本的人権を保障するためである。然るに近時、最高裁判所においては重要事案についても口頭弁論主義の基調によらず裁判をなし国民を納得せしめ得ない悪例を示した。

右二つの事案は共に、国民の基本的人権擁護の上に誠に遺憾であって茲に当局の反省を促す所以である。