年少者及び女子の深夜業強制禁止の件(決議)

近時、各種企業場において、年少者及び女子として労働基準法に違反した時間外労働又は深夜業に強制使用している事例が相当多い。


右は、年少者及び女子の健康を害し、人権を軽視するものである。


よって、関係当局に対し、速かに監督を強化して厳重に取締ることを要請する。


1954年(昭和29年)8月4日
於札幌市、人権委員会秋季総会


理由

調査によれば、近江絹糸紡績会社は、その従業員に対し、数年に亘りほしいままに信書を開被若しくは隠匿する等、通信の自由を妨げ、更に信教、勉学、結婚、居住の自由を奪い、不当にも身体並に私物を捜索し、或は暴行を加える等、日本国憲法が保障する個人の基本的人権を蹂躙しておるのみならず、労働基準法規を無視した就業並に寮生活を強制している事実は極めて顕著である。このような事例は、殊に中小企業には起り易い弊害であって、当局の適正妥当な処置を促すものである。