弁護人の自由交通権尊重を要望するの件(決議)

弁護人は拘束を受けた被告人又は被疑者と立会人なく接見し、書類若しくは物の授受をすることができることは刑事訴訟法の明に定めた原則であるのに拘らず、捜査当局又は看守職員にして右に違反して弁護人のこれら権利の行使を故なく制限し、或は妨害した事例は尠しとしない。


よって、その是正根絶を当局に要望する。


1954年(昭和29年)3月27日
於静岡市、人権委員会春季総会


理由

弁護人の接見等自由の原則は、刑事訴訟法39条1項に明定した原則であり、本来無制限なものであるが、同条2項、刑事訴訟規則30条による例外的制限を捜査当局又は看守職員の職権乱用又は法令の誤解、曲解或は注意の欠如にもとずき、徒らに接見又は物の授受を阻止する弊風が全国的に相当多くの事例がある。これは被告人又は被疑者の人権擁護上看過できない重大事であるので、これが是正根絶を求める。