人権擁護月間設定の件(決議)
拘束中の被疑者又は被告人に対して人権を侵害する取扱の根絶を期する人権擁護月間を設け、人権侵害事件の実態を調査し、その発生の防止につとめる。
1953年(昭和28年)3月7日
於東京都、人権委員会春季総会
理由
全国各地弁護士会に連絡して人権擁護月間を設け、左記事例の如き人権侵害事件の実態の調査をする。右月間は4月が適当である。
- 司法警察職員が拘束中の被疑者又は被告人を取調べる際、自白を強要したり、拷問を為す等の行為はないか、正規の取調室外で取調べてはいないか、婦女子病人等の取調に万全の注意を払っているか否か等。
- 弁護人が拘束中の被疑者又は被告人と接見する場合に、接見は立会人なくして行われているか否か、接見室の設備があるか否か、殊に接見禁止中の被疑者との接見に際して司法警察職員又は検察官、検察事務官に於て事を構えて事実上これを拒否するが如き事例があるか否か等。
右調査完了の上人権侵害の事実があれば、関係官公庁に対し適宜警告を発し、これが発生の防止につとめることは緊要なりと思料する。