臨時総会・綱紀・懲戒制度に関する基本方針一部変更

日本弁護士連合会(以下「日弁連」という。)は、2002年(平成14年)2月28日の臨時総会(以下「臨時総会」という。)において、弁護士自治を堅持し、発展させる見地から、その基幹をなす綱紀・懲戒制度をより一層充実させ、その透明化、迅速化及び実効化を図るため、「綱紀・懲戒制度の改革に関する基本方針」を決議した。


日弁連は、その後の司法制度改革推進本部における弁護士制度改革に関する検討状況等を踏まえ、綱紀・懲戒制度の透明化を更に進め、市民の支持と信頼をなお一層高める観点に立ち、臨時総会における基本方針を一部変更する。


第1 日弁連綱紀委員会の改組


現在会則上の機関である日弁連綱紀委員会を弁護士法上の機関に改組する。


第2 綱紀審査会の位置付け、委員構成及び権限


  1. 日弁連に設置される綱紀審査会は、弁護士法上の機関とする。
  2. 綱紀審査会の委員は、弁護士、裁判官及び検察以外の市民の中から、日弁連会長が日弁連総会の議決に基づき委嘱する。
  3. 綱紀審査会は、懲戒請求人の再審査の申出があった場合、出席委員の3分の2以上の多数により、被懲戒請求人の所属弁護士会懲戒委員会の審査に付することを相当とする旨の議決を行うことができるものとし、それに基づき被懲戒請求人の所属弁護士会は、同会懲戒委員会の審査に付するものとする。

2002年(平成14年)12月5日
日本弁護士連合会


(提案理由)

第1 綱紀・懲戒制度の改革に関する日弁連の取り組みと司法制度改革推進本部における検討

  1. 弁護士綱紀・懲戒制度改革と臨時総会決議
    (1) 司法制度改革の中で、弁護士制度の改革は、司法制度改革を担う主体としての弁護士・弁護士会のあり方に関するものとして、重要な課題とされ、中でも弁護士自治の根幹をなす綱紀・懲戒制度をより充実させ、その透明化、迅速化及び実効化を図る制度改革を進めることは、日弁連と各弁護士会にとって重要かつ喫緊の課題となっている。
    日弁連は、2001年(平成13年)12月に弁護士制度改革推進本部を設置し、弁護士及び弁護士会の制度全般にわたる改革に関する検討を開始するとともに、翌年2月28日、臨時総会を開催し、「綱紀・懲戒制度の改革に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)を決議した。
    (2)「基本方針」は、「弁護士自治を堅持し、発展させる見地から、その基幹をなす綱紀・懲戒制度をより一層充実させ、その透明化、迅速化及び実効化を図るため」、綱紀・懲戒制度の改革に取り組むことを内外に明らかにし、綱紀・懲戒機関及び手続の見直しと改善・強化に関するもの(各6項目)、懲戒処分等の公表の拡充に関するもの(2項目)、合計14項目にわたる制度改革と運用に関する方針を提起した。
    (3)「基本方針」は、綱紀審査会について、「各弁護士会綱紀委員会の議決に対する懲戒請求人の異議の申出に対する決定は、日弁連綱紀委員会の議決に基づき行うものとし、異議の申出が棄却又は却下された場合に更なる不服申立ができる制度として、市民が参加して構成される綱紀審査会を日弁連に設置する。綱紀審査会が、懲戒委員会の審査に付することを相当と決定した場合は、日弁連綱紀委員会が再検討し、懲戒委員会の審査に付するか否かを決定するものとする」とした。
    綱紀審査会は、もとより綱紀・懲戒制度の透明化を図るために設置されるものであるが、その背景には規制改革委員会や司法制度改革審議会において弁護士強制加入制度の廃止論、懲戒委員会の外部委員過半数論、さらには懲戒請求人に対する出訴権付与論が公然と唱えられるなど、弁護士自治をめぐる厳しい情勢があった。
  2. 司法制度改革推進本部における検討
    (1)司法制度改革推進本部は、司法制度改革審議会意見書に則り、内閣が策定した司法制度改革推進計画に基づき立法等所要の措置を講じるため、11の検討会を設置して検討を行っている。
    弁護士・裁判官・検察官制度改革の具体的方策を検討する法曹制度検討会(以下「検討会」という。)は、それぞれの課題について順次検討を行い、弁護士制度改革に関する弁護士法改正法案は、2003年(平成15年)通常国会に提出される予定である。
    (2) 検討会では、2002年(平成14年)5月14日、同6月18日、同7月9日と3回にわたり、弁護士会の綱紀・懲戒手続の透明化、迅速化及び実効化の課題が取り上げられたが、司法制度改革推進本部事務局が論点整理した「たたき台」のうち、特に綱紀審査会のあり方、とりわけ議決のいわゆる拘束力(以下「拘束力」という。)付与の有無が争点となり、この点に議論が集中した。
    上記「たたき台」は、綱紀審査会を法律上の組織とすることを示唆したうえで、綱紀審査会の議決の拘束力については、
    「ア 日弁連綱紀審査会が、懲戒委員会の審査に付することを相当とする議決をした場合には、日弁連綱紀委員会が再検討し、懲戒委員会の審査に付するか否かを決定することとする(日弁連基本方針)。
    イ 日弁連綱紀審査会が、出席者の3分の2以上の多数で懲戒委員会の審査に付することを相当とする議決をした場合には、懲戒委員会の審査に付することとし、この場合を除き、日弁連綱紀審査会が、懲戒委員会の審査に付することを相当とする議決をした場合には、日弁連綱紀委員会が再検討し、懲戒委員会の審査に付するか否かを決定することとする。
    ウ 日弁連綱紀審査会が、懲戒委員会の審査に付することを相当とする議決をした場合には、懲戒委員会の審査に付することとする。」
    の3案を提示していた。
    (3) 日弁連執行部は、法曹制度検討会バックアップ会議、弁護士制度改革推進本部、司法改革実現本部での議論状況を踏まえ、「基本方針」の内容が検討会での多数意見となるように全力を挙げて取り組む方針を確認した。
    5月14日の検討会で、日弁連は、弁護士に対する懲戒を弁護士会が自律的に行うことは弁護士自治の観点から極めて重要であること、弁護士自治の意義、弁護士会が自治を有することになった歴史的経緯、弁護士会の綱紀・懲戒制度の歴史と改革の経緯、諸外国の制度との比較、日弁連懲戒手続を含めた弁護士会の綱紀・懲戒手続の厳格な運用状況等とともに、臨時総会で決議された「基本方針」を詳細に説明し、綱紀審査会を拘束力のある制度にすれば、綱紀審査会委員の責任が過重となること、綱紀審査会と検察審査会とを同一視して論じるべきでないこと、日弁連としては、会員の理解と協力でこの新しい制度を育てていきたいこと等の意見表明を行った。
    この日の検討会では、日弁連の説明を受けて、弁護士自治の重要性ならびに現行の綱紀・懲戒制度が厳正に行われていることを認めたうえで、日弁連綱紀審査会の議決に各弁護士会懲戒委員会の審査に付する限度での拘束力を認めるべきであるとの意見が多数述べられた。その理由は、弁護士会外部の意見が綱紀・懲戒手続の中で適切に反映される制度に改革することが弁護士会の綱紀・懲戒制度に対する市民の支持と信頼をより一層高めることになる、あるいは綱紀審査会の委員は日弁連が選任するのであり、自ら選任した委員による議決を尊重しないのは整合性を欠き不自然であるなどというものであった。
    (4) そこで、執行部は、検討会バックアップ会議、弁護士制度改革推進本部及び司法改革実現本部の各委員の協力を得て、すべての検討会委員に日弁連の「基本方針」について理解を求めるための活動を全力で行った。
    しかし、そうして臨んだ6月18日の検討会では、綱紀審査会の議決に拘束力を持たせるべきであるとの意見が圧倒的多数となって、その旨の取りまとめが行われ、7月9日の検討会において、これを前提として議決の種類・要件等を検討することとなった。
    また、綱紀審査会の議決が拘束力を持つことになったことから、日弁連綱紀審査会を日弁連会則上の機関ではなく、弁護士法上の機関とすることで取りまとめられた。
    この間、執行部は、マスコミの論説・解説委員とも懇談会をもち、検討会で表明した日弁連の見解を示し、「基本方針」に対する理解を求めたが、同委員ら全員の意見も検討会委員の意見とほぼ同旨であった。
    (5) この段階にいたって、執行部は、臨時総会決議の重みを十分認識しながらも、その決議に従ったまま綱紀審査会の具体的制度設計について日弁連が主体的に何らの関与もしない場合、検討会では司法制度改革推進本部事務局が提案した前記「たたき台」のうち、ア案(日弁連基本方針)は採用されず、イ案またはウ案により取りまとめられる可能性が大であったことや、今後検討される司法制度改革の諸課題についての日弁連の発言力の低下をまねく事態を回避するため、執行部の責任で、より良い制度を目指して最善を尽くすべきであるとの方針を固め、その旨を6月21日の理事会に報告し、理事の意見を求めた。
    同理事会では、臨時総会決議との関連で、消極意見もだされたが、情勢の変化を踏まえたうえで適切な対応をすべきであるとの意見が多数を占めた。執行部は、7月9日の検討会までには会員の総意を聞くための総会を招集する時間的余裕がないことから、執行部の責任においてこの問題に対応し、後日開催される総会で会員の承認を得たいとの執行部の方針を説明し、大方の了承をえた。
    (6) 一方、検討会委員の中には、議決の種類と要件について、出席委員の3分の2以上の多数で懲戒委員会の審査に付する旨の議決をしたときは、懲戒委員会の審査に付するが、それ以外に過半数の議決で日弁連綱紀委員会に再調査を求めることができることとし、同綱紀委員会の再調査の結果、再び懲戒委員会の議決に付さない旨の議決がなされたときは、再度綱紀審査会の審査に付され、そこで改めて3分の2以上の多数で懲戒委員会の審査に付することができる制度にすべきであるとの意見を持つ委員が多かった。司法制度改革推進本部事務局も当初、それが論理必然であると説明していた。
    他方、日弁連綱紀委員会の再調査という議決の種類を取り入れないのであれば、単純多数決で懲戒委員会の審査に付する制度にすべきであるとの意見も少なくなかった。
    (7) このような状況のもとで、執行部は、法曹制度検討会バックアップ会議、弁護士制度改革推進本部及び司法改革実現本部での各議論を踏まえ、改めて、(a)議決の種類は市民に判りやすいように単純に懲戒委員会の審査に付するか否かの議決のみとし、その要件は3分の2以上の多数とする案、(b)綱紀委員会に再審査(再調査ではない)を求める議決を加えるのであれば、綱紀委員会の再度の議決を最終判断とし、綱紀審査会に再度の審査を求めることができない案のどちらかを検討会に提案することを決定した。
    綱紀審査会に再度の審査を求めることができる案は、制度そのものが複雑であり、また、綱紀・懲戒手続が長期化することになって、会員である被懲戒請求人の利益を害することになるから絶対阻止との方針を決定した。
    そこで、執行部は、7月9日の検討会に向け、法曹制度検討会バックアップ会議委員の協力を得て、改めて各検討委員に上記執行部方針についての理解を求める活動を精力的に行った。
    (8) 日弁連は、7月9日の検討会で、上記の執行部方針を説明するために、特に意見表明を行ったところ、検討会委員のうち数名の委員が、なお、議決の種類として日弁連綱紀委員会の再調査を求めることができる議決を加え、その議決次第で綱紀審査会に再度の審査を求めることができる案に固執する意見を述べたが、議論の結果、日弁連の考え方を支持する意見が多数を占め、上記(a)案で取りまとめが行われた。すなわち、
      ア 日弁連綱紀審査会を弁護士法上の機関とする。
      イ 日弁連綱紀審査会が、3分の2以上の多数により懲戒委員会の審査に付することを相当とする旨の議決をした場合は、各弁護士会懲戒委員会の審査に付するものとし、3分の2に満たない場合は、不服申立は却下または棄却されるものとする。

第2 新たな制度設計の意義

  1. 日弁連は、司法制度の全般にわたり、「市民による市民のための司法」を実現する見地から改革を推し進め、また、弁護士・弁護士会のあり方についても真摯に市民の声に耳を傾け、その制度と運用上の課題を検討し、改革していかなければならない責務を有する。
    臨時総会において決議された「基本方針」の目的は、過去の歴史的教訓と先人の努力によって獲得した弁護士自治を、市民的基盤に支えられたものとして更に強化していくことにあり、その手段として市民からなる開かれた制度としての綱紀審査会を設置しようとするものである。
    本議案である「基本方針一部変更等」は、弁護士自治が市民に信頼され、その基盤をより一層強固なものとするため、上記のような綱紀審査会に、その特別多数による議決に基づき懲戒委員会の審査に付する限度で拘束力を認めるものであるから、「基本方針」とは基本的に同一の視点に立つものである。
  2. 更に、本議案は、下記の意義を有するものである。
    (1) 綱紀・懲戒制度の透明性を一層高める制度として設置された綱紀審査会の議決の効果として、各弁護士会懲戒委員会の審査に付する限度で拘束力を認めることは、むしろ弁護士会の綱紀・懲戒制度全体の信頼性を高めるものとなる。
    (2) 綱紀審査会の議決に拘束力を持たせたとしても、それは各弁護士会懲戒委員会に付する限度での拘束力であり、弁護士会懲戒委員会及び日弁連懲戒委員会が懲戒処分をするか否かの決定権を有し、日弁連懲戒委員会が最終的判断機関となることは現行制度と何ら変わることはなく、弁護士自治の制約につながるものではない。
    (3) 綱紀審査会を日弁連に設置する機関とし、その委員については、日弁連総会の議決に基づき日弁連会長が委嘱することが、検討会において、拘束力を認める議論の中で確認されている。
    (4) 日弁連が提起した綱紀・懲戒制度改革に関する基本方針の大要が弁護士会の内外から賛同を得ている中で、日弁連が、検討会の取りまとめにあくまで反対し、綱紀審査会の拘束力を否定する方針を貫くことは、弁護士制度改革のみならず、これから本格的に議論される裁判官制度改革、検察官制度改革を推し進めようとしている日弁連の立場に対する外部の理解を阻害するものとなる。
    (5) 綱紀・懲戒制度の改革は、その基本となる制度を弁護士法の一部改正によって行い、その上で日弁連及び各弁護士会の会則・会規及び規則を改正・整備し、運用面での改善をも行うものである。
    日弁連は、弁護士法改正の立法作業において、主導的にその役割を果たすべきであるが、日弁連があくまで綱紀審査会の拘束力を認めない立場を固執した場合、日弁連は拘束力を認めることを前提とした綱紀審査会の法律上の具体的制度設計の在り方については何らの発言もできなくなる。かかる事態の方が、弁護士自治を堅持する観点から大いに問題がある。
    (6) 検討会の委員から提起された意見のうち、綱紀審査会の議決により、日弁連綱紀委員会が再調査を行い、再び綱紀審査会の審査に付するというような制度は、綱紀手続の長期化を招き、会員である被懲戒請求人の利益を害することになることは前記のとおりである。このような制度設計を排し、加えて、単純多数決で懲戒委員会の審査に付する制度にすべきであるとの意見も排して、3分の2以上という加重要件による議決により各弁護士会懲戒委員会に付するという市民に判りやすい案に取りまとめられたものである。
  3. 弁護士自治は、国家権力による弁護士・弁護士会に対する監督を排し、市民の人権保障と社会正義の実現という弁護士の使命を全うするための制度保障であり、先人の積年の努力の結果、現行弁護士法のもとではじめて獲得されたものである。
    私たちは、弁護士自治が天賦の制度保障ではなく、市民から負託されたものであることを深く認識し、市民の理解と支持のもとにこれを維持・発展させていかなければならない。
    このような観点から、日弁連は、「基本方針」を本議案の限度で一部変更し、2003年(平成15年)通常国会への提出が予定されている弁護士法の改正に対応し、制度整備を進めるものである。
    よって、本議案を提案するものである。

第3 改革の具体的内容

  1. 議案の第1について(日弁連綱紀委員会の位置付け)
    臨時総会において、「各弁護士会綱紀委員会の議決に対する懲戒請求人の異議の申出に対する決定は、日弁連綱紀委員会の議決に基づき行う」ことが承認されている(「基本方針」の第1の6)。
    しかしながら、臨時総会においては、日弁連綱紀委員会の位置付けについて、これを弁護士法上の機関とするか否かについて明確にされていなかったことから、本総会においてこの点を明確にするものである。
    弁護士法改正後の日弁連綱紀委員会は、前記のように、各弁護士会綱紀委員会の議決に関する懲戒請求人の異議の申出に対する審査を行う機関であり、各弁護士会綱紀委員会が、現行弁護士法上の機関として位置付けられていること(法第70条第1項)、各弁護士会綱紀委員会の議決に関する懲戒請求人の異議の申出は、これも弁護士法上の機関である日弁連懲戒委員会の審査に付される制度となっていること(法第61条第2項、同第65条第1項)に鑑み、法制度上の均衡を保つ観点から、現在日弁連会則上の機関として位置付けられている(会則第65条、同第76条第1項)日弁連綱紀委員会を各弁護士会の議決に関する懲戒請求人の異議の申出に対する審査を行う弁護士法上の機関に改組するものである。
  2. 議案の第2の1について(日弁連綱紀審査会の位置付け等)
    臨時総会においては、綱紀審査会の位置付けについて、同提案理由中で「綱紀審査会は、日弁連会則、会規等に基づく制度として設置するものとする」こととされた。
    それは、「綱紀審査会が懲戒委員会の審査に付することを相当とする旨の決定をした場合には、日弁連綱紀委員会は再度その案件につき調査・検討するものとするが、懲戒委員会の審査に付するか否かの再度の決定については、綱紀審査会の決定に拘束されないものとする。」(提案理由の第2の6)ことを前提としたものであった。
    しかしながら、綱紀審査会を「日弁連綱紀委員会の議決に基づき異議の申出が棄却又は却下された場合に、懲戒請求人が更なる不服申出ができる制度」とし、後記のとおり綱紀審査会が3分の2以上の多数で「懲戒委員会の審査に付することを相当とする」旨の議決をした場合は、弁護士会の懲戒委員会の審査に付することとする以上、法制度上の整合性を保つ観点から、綱紀審査会を弁護士法上の機関とする必要がある(法第58条第3項参照)。仮に、綱紀審査会を日弁連会則上の機関と位置付けた場合、法律上の機関である日弁連綱紀委員会の決定を、下位規範である日弁連会則上の機関の議決で覆すこととなるが、このような制度は法制度上の整合性を欠くことは明らかである。
    よって、日弁連に設置される綱紀審査会を弁護士法上の機関とする旨提案するものである。
  3. 議案の第2の2について(日弁連綱紀審査会の委員の選任)
    臨時総会において、綱紀審査会の委員を「弁護士、裁判官、検察官以外の幅広い市民から日弁連会長が委嘱するものとする」ことが提案されたが(同提案理由第2の6)、同提案に基づき、綱紀審査会の委員の選任については、日弁連懲戒委員会を構成する学識経験者の選任の場合(法第69条、同第52条第3項)と同様、日弁連会長が日弁連総会の決議に基づき委嘱することを明らかにするものである。
  4. 議案の第2の3について(綱紀審査会の議決の効力)
    臨時総会では、前記のとおり、綱紀審査会の議決の拘束力については、これを認めないとする決議がなされたが、本議案では、先に詳細に述べた理由により、綱紀審査会において「綱紀審査会は、懲戒請求人の再審査の申出があった場合、出席委員の3分の2以上の多数により、被懲戒請求人の所属弁護士会懲戒委員会の審査に付することを相当とする旨の議決をすることができるものとし、それに基づき被懲戒請求人の所属弁護士会は、同会懲戒委員会の審査に付するものとする。」と変更することを提案するものである。
    なお、綱紀審査会の議決に基づき審査を開始した弁護士会懲戒委員会が独立した決定権を有すること、また、前記のとおり日弁連懲戒委員会の判断が最終判断となることについては、いささかも変更されるものではない。

以上