臨時総会・新会館建設準備金積立のための特別会費を外国特別会員より徴収する件

(決議)

1月24日
日比谷公会堂
臨時総会


新会館建設準備金積立のための特別会費を外国特別会員より徴収する件

特別会費の徴収及び使途
新会館建設準備金積立のため、外国特別会員より特別会費を徴収する
2. 特別会費の額
月額金1,500円とする。
3. 徴収期間
入会した月より7カ年とする。ただし、再登録した外国特別会員については通算7カ年とする。
4.
前3項の他、本特別会費に関し必要な事項は理事会の定めるところによる。
(附則)
この決議は、理事会の定める日から施行する。

(提案理由)

1. 昭和60年12月9日の当連合会臨時総会において、「国際的法律事務の円滑・適正な処理のための『外国弁護士』制度の基本方針」が承認され、右方針に沿って、昭和61年2月6日、理事会は、「『外国弁護士』制度要綱」を承認した。


政府は、同年3月、右要綱に沿って、「最近における国際的な法律事務の増大にかんがみ、渉外的法律関係の安定を図り、あわせて外国における日本法に関する法律事務の取扱いの充実に資するため、相互の保証の下に、外国弁護士となる資格を有する者が国内において外国法に関する法律事務を取扱うことができるみちを開き、かつ、法律事務の取扱いを弁護士の例に準じて規律する等の特別措置」として、法案を作成、国会に提出し、衆・参両議院において可決されたうえ、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」(昭和61年法律第66号)として公布された。右特別措置法は、その附則において、公布の日より起算して2年を超えない範囲内で、政令で定める日から施行すると定めているが、政府は、昭和62年4月1日を施行の一応の目途とし、政・省令の立案作業を行ってきた。当連合会においても、昭和61年4月以降、特別措置法の施行に対応するための諸準備に取り掛り、外国弁護士対策委員会及び理事会内小委員会において、外国法事務弁護士受け入れに伴う会則の一部改正及び関連会規等の立案作業を進め、その成案は、昭和61年12月19日の理事会においていずれも承認を得た。


そこで、当連合会は、本総会において、特別措置法により、当連合会の会則において定めるべきとされた事項及び昭和60年12月9日の総会の決議・付帯決議及び前記制度要綱の精神に沿って、外国法事務弁護士の入会に伴い当連合会の会務運営上必要な会則の一部改正案及び外国特別会員に適用されるべき諸会規案を提案するものである。


この会則・会規の立案にあたっての基本的な考え方は、以下の3点である。


第一として、当連合会の総会決議、制度要綱及び特別措置法の原則に基づく外国特別会員に適用されるべき会則・会規であり、新たな構想に基づく制度を立案するものではないこと


第二として、この会則・会規は、内外共に妥当とされるものであり、弁護士との公平性、弁護士に対する会則、会規との整合性が保たれるべきものであること


第三として、外国特別会員に適用されるべきすべての会則、会規の立案であり、できるだけ現行の会則・会規の準用を避けることである。


2. 特別措置法は、法務大臣より資格の承認を得た者が、外国法事務弁護士となるには、当連合会に登録し、当連合会及び弁護士会に入会しなければならないものとしている。


  1. 特別措置法は、第23条において当連合会の会則につき必要的制定事項を、
    1. 入会及び退会に関する規定
    2. 無資力者のためにする法律扶助に関する規定
    3. 会費に関する規定
    4. 会計及び資産に関する規定
    5. 外国法事務弁護士名簿の登録、登録換え及び登録取消しに関する規定
    6. 外国法事務弁護士登録審査会に関する規定
    7. 外国法事務弁護士の懲戒、外国法事務弁護士懲戒委員会及び外国法事務弁護士綱紀委員会に関する規定
    と規定している。
  2. また、特別措置法上、当連合会の会則に委任された事項は、
    1. 外国法事務弁護士名簿の登録事項
    2. 登録請求書に添附すべき書類
    3. 指定法付記請求書の記載事項
    4. 原資格国法及び指定法を表示する標識の掲示場所その他これらの表示に関し必要な事項
    である。

3. 日本弁護士連合会会則中一部改正について

特別措置法が、当連合会の会則で定める事項とされたものについては、現行会則には最少限の基本的事項と会規への委任条項のみを規定し、これに基づき、外国特別会員にのみ適用されるべき会規を制定する方式をとることとした。


なお、特別措置法にいう「会則」は、法形式上の会則のみを指すものでなく、総会において制定される会則及び会規がこれにあたる。従って、外国特別会員に関する事項をすべて会則中に規定する必要はなく、会規において定めても特別措置法に違反するものではない。


(1) 第28条の2の新設


特別措置法第49条第1項は、外国法事務弁護士による弁護士の雇用禁止を、同第2項は、外国法事務弁護士と弁護士との所謂共同経営の禁止を規定している。これは、外国法事務弁護士の義務を定めているものであるが、弁護士の義務をも明記し、相互に義務を課することにより、禁止条項の実効性を確保することが必要であるとの理由から、本規定を新設することとした。


(2) 外国特別会員に関する規定の新設


外国法事務弁護士が、当連合会及び弁護士会に入会した場合の会内での地位については、特別措置法第3条で職務範囲が限定されており、かつ同法第43条で議決権を制限されている関係上、会員とは権利義務の異なる「外国特別会員」としての地位を付与することとした。そこで、「第12章の3 外国特別会員」の1章を設け、第97条の5を新設することとした。


同条の第2項・第3項は、「外国特別会員に関する事項」及び「特別措置法第43条の規定による議決権に関する事項」は、会規をもって定めると規定し、外国特別会員に関する事項は、すべて会規に委ねることとした。


また、外国特別会員が議決権を有する場合の会則第41条の特則として同条第3項を設けた。


(3) 第99条第2項の新設


外国特別会員が会則改正について特別措置法第47条の規定により議決権を有する場合の総会における議決方法を定めるため第99条第2項を設けた。


4. 外国特別会員基本規程の制定

会則中一部改正を受け、当連合会に入会する外国特別会員の権利・義務を定めるとともに、その登録、綱紀・懲戒などについての基本的事項を規定するため、本規程の制定を提案する。


会則により会規に一任された基本的事項は、「外国特別会員基本規程」に規定し、登録審査手続、懲戒手続、外国法事務弁護士綱紀委員会に関する事項については、弁護士に対する規定の方式と同様、右基本規程の委任を受けた特別の会規を制定することとしている。また、報酬等の規定及び表示に関する規定についても、それぞれ特別の会規を制定することとした。


5. その他の諸会規

(1) 外国法事務弁護士登録審査手続規程


特別措置法第37条は、当連合会に外国法事務弁護士登録審査会を置き、外国法事務弁護士となろうとする者の登録等に関し必要な審査を行うものとしている。右審査会の組織、運営上の基本的事項については、外国特別会員基本規程に定められているが、同規程第47条は、同審査会における審査手続につき、別に定める会規をもって定めることとしている。本規程はこれを受けて外国法事務弁護士登録審査会における審査手続を定めるものである。


(2) 外国法事務弁護士懲戒手続規程


特別措置法第55条は、当連合会に外国法事務弁護士懲戒委員会を置き、外国法事務弁護士の懲戒に関する事項につき必要な審査を行うものとしている。


右懲戒委員会の組織、運営上の基本的事項については、外国特別会員基本規程に定められているが、同規程第52条は、同懲戒委員会の手続につき、別に定める会規をもって定めることとしている。本規程はこれを受けて外国法事務弁護士懲戒委員会における手続を定めるものである。


(3) 外国法事務弁護士綱紀委員会規程


特別措置法第58条は、当連合会に外国法事務弁護士綱紀委員会を置き、外国法事務弁護士につき懲戒の事由があると思料するとき、又は懲戒の請求があったとき、その調査を行うものとしている。


右綱紀委員会の組織、運営上の基本的事項については、外国特別会員基本規程に定められているが、同規程第57条は、右綱紀委員会の手続につき、別に定める会規をもって定めることとしている。本規程はこれを受けて外国法事務弁護士綱紀委員会における手続を定めるものである。


(4) 外国特別会員表示規程


特別措置法第46条は、外国法事務弁護士の原資格国法及び指定法の表示に関し、必要な事項につき、当連合会の会則で定めるものとしている。


また、外国特別会員基本規程第31条は、右表示及び外国弁護士の名称の表示に関し、さらに、同第32条は、原資格国における所属事業体の名称の表示に関し、必要な事項を別に定める会規で定めることとしている。本規程はこれを受けて外国特別会員の表示に関し必要な事項を定めるものである。


(5) 外国法事務弁護士報酬等規程


特別措置法第23条第5号は、外国法事務弁護士に関し必要な規定を当連合会の会則において定めることができるとしている。外国特別会員についての報酬等の規定を設けることが相当であるとの理由により、外国特別会員基本規程第30条は、外国特別会員の報酬等に関し必要な事項は、別に定める会規によると定めている。


本規程はこれを受けて外国特別会員がその業務に関して受ける報酬等に関し必要な事項を定めるものである。


6. 議事規程中一部改正

外国特別会員は、特別措置法第43条により、一定の範囲内における限定された意見陳述権及び議決権を有するので、本規程の一部を改正して、外国特別会員の権利及び議事手続を明確にしようとするものである。


7. 新会館建設準備金積立のための特別会費を外国特別会員より徴収する件

日弁連会館の狭隘、老朽化の実情、霞ヶ関A地区整備計画の進展等に照らし、新会館建設の必要性から準会員(沖縄の外国人弁護士を除く。)については、昭和58年1月22日理事会決議により、また、弁護士である会員については、同58年3月12日臨時総会において会則第95条の3が新設され、同日新会館建設準備金積立のための特別会費(月額1,500円、期間昭和58年4月より7年間)の徴収が承認、可決され、現在この積立てを行っている。


外国特別会員についても弁護士である会員及び準会員と同様に公平負担することが相当であるので、外国特別会員基本規程第66条により、本議案を提案するものである。


8. 会則改正、前記会規の制定・改正の施行及び特別会費徴収決議の施行について

特別措置法の施行日が未定であるので、この会則改正及び前記会規の制定・改正の施行ならびに前記特別会費徴収の施行の日の決定は、理事会に委任することとした。