第36回定期総会・人権擁護と国民のための司法をめざして諸政策の実現を誓う宣言

(宣言)

憲法は、国民の基本的人権の実効的保障を全うするため、国民の「裁判を受ける権利」を規定し、すべての争訟が、裁判所によって最終的に解決されることを保障している。また、国民の日常生活において生起する法的紛争は、いかなる場合でも、民主的にして迅速かつ公正な解決の途が開かれていなければならない。そのような中で弁護士は、司法の一翼を担って、法廷活動を中心として基本的人権の擁護と社会正義の実現に尽力してきた。


しかしながら、社会情勢の急激な変化に伴い、国民の紛争予防に対する要請も次第に強まり、同時に法的紛争の解決の方法が多様化し、近時、裁判外においても幾多の処理機関の発生が見られるようになった。これらによる紛争解決も、国民の裁判を受ける権利を損うことなく、迅速かつ中立公正になされるべきであり、われわれは、今後ともさらに重大な関心を持たなければならない。


われわれは、こうした社会情勢の変化、多様化に伴い、人権の擁護と国民のための司法をめざし引続き努力するとともに、弁護士の意識の改革と業務の質的改善向上、また弁護士関与の増大化をはかりつつ、あらゆる市民、団体そして企業の期待と信頼に応える必要があると考える。


われわれは、そのためにも市民への広報活動を強力に推進するとともに、弁護士会ごとの総合法律センター構想により、各種法律相談、弁護士紹介、法律扶助・援助等の諸制度を拡充強化し、さらに将来の展望として、紛争解決への積極的関与の方法を検討するなど、新しい時代の弁護士たるべき道を歩むことを誓うものである。


右宣言する。


1985年(昭和60年)5月25日
日本弁護士連合会