第56回定期総会 議事概要

日時・場所

日時
2005年5月27日(金)12:30~16:15
場所
パレスホテル (東京都千代田区丸の内1-1-1)

出席会員数、出席外国特別会員数及び議決権数

項目 人数
代理出席 5,733名
弁護士会出席 52会
外国特別会員 0名
議決権総数 6,333名



議長及び副議長の氏名

役職 氏名
議長 川端 和治(第二東京弁護士会所属)
副議長 田辺 克彦(第一東京弁護士会所属)
副議長 大国 和江(広島弁護士会所属)


出席した会長、副会長及び監事の氏名

役職 氏名
会長 梶谷 剛
副会長 柳瀬 康治、星 徳行、高木 佳子、中村 順英、中村 周而、益田 哲生、出口 治男、青山 學、二國 則昭、松崎 隆、鹿野 哲義、渡辺 英一、山原 和生
監事 (出席者なし)



◇ ◇ ◇


日本弁護士連合会第56回定期総会は、2005年5月27日(金)午後0時30分から、東京都千代田区のパレスホテルにおいて開催された。


出席者は、午後1時30分の時点で、本人出席454名、代理出席5391名、会出席52名の計5897名であり、外国特別会員の出席は、本人出席・代理出席ともになかった。


総会は山岸憲司事務総長の司会で午後0時30分から始められ、まず、梶谷剛会長から、議事規程第2条に基づき開会宣言と挨拶が述べられた。会長の挨拶では、司法制度改革関連法律について日弁連の意見が多く取り入れられたこと、今年度は司法制度改革の実行元年であること、また、ゲートキーパー問題等について述べられ、会員の一層の理解及び支援が求められた。


続いて、正副議長の選任手続がなされた。


梶谷会長が議長の選任方法について議場に諮ったところ、川合善明会員(東京)から、選挙によらず、会長が指名する方法で、議長及び副議長2名を選出されたいとの動議が提出され、ほかに意見はなかったため、議事規程第3条第3項に基づき、会長が動議を議場に諮ったところ、賛成多数で可決された。


動議可決を受けて、会長は、議長に川端和治会員(第二東京)、副議長に田辺克彦会員(第一東京)及び大国和江会員(広島)をそれぞれ指名し、正副議長の挨拶がなされた。


その後、議事規程第5条に基づき、会長から議案が提出された。


議長は、本総会の出席者につき、現在集計中のため、後刻報告する旨述べた。


議長より議事録署名者として、伊藤茂昭会員(東京)、木津川迪洽会員(第一東京)及び朝倉淳也会員(第二東京)の3名が指名された。


議長は、議事に入る前にいくつかの注意事項等を述べ、また、本総会の議事は、会則第54条により公開されている旨及び傍聴者は傍聴席にて傍聴されたい旨を述べた。


議長は、議事に入る旨を宣言した。


[報告事項1] 平成16年度会務報告の件

議長は、報告事項として「平成16年度会務報告の件」を議題に供する旨宣言し、同議題が上程され、柳瀬康治副会長より報告がなされた。同副会長は、会務報告の詳細は平成16年度会務報告書を参照されたい旨述べるとともに、司法改革問題については、会長挨拶でも触れられたことと、第7号議案中の司法改革実行宣言の説明の中でも報告することになるのでそれに譲る旨を述べ、日弁連執行部活動の概要、公設事務所・法律相談センターの設置状況、司法修習生に対する給費廃止問題、各種研修の実施状況等について報告した。


[第1号議案] 小規模弁護士会助成に関する規程中一部改正の件

議長は、第1号議案「小規模弁護士会助成に関する規程中一部改正の件」を議題に供する旨宣言し、渡辺英一副会長から議案の説明がなされた。


引き続き、第1号議案に関する質疑に入ったところ、野村修一会員(第二東京)から、(1)助成金の使途は司法改革推進のために限られるのか、(2)全国一律に実施すべき施策の推進者・協力者としての責務を担う活動とは具体的にどのような活動か、(3)具体的にどの程度の額を単位会に支出しているのかとの質問があった。


これに対して、渡辺副会長から、(1)市民のための司法改革ということであるから、厳格な意味での司法改革に限られない、(2)司法支援センターの存立、ひまわり基金の法律事務所の活動の支え、法津相談センターの開設などである、(3)小規模会の予算書を検討して理事会の審査を得て150万円ないし250万円を支出している旨回答された。


これ以上質疑がなかったため、議長は、質疑の終局を宣言し、第1号議案の討論に入ったところ、面山恭子会員(秋田)から小規模単位会の実情を踏まえた賛成の討論があった。

次に、野村修一会員(第二東京)から、司法改革のためという助成の趣旨は容認できるものではないとする反対の討論があった。


他に討論を希望する者がいなかったため、議長は討論を打ち切り、採決に入る旨宣言した。


第1号議案は、挙手による採決となり、賛成多数にて承認された。


[第2号議案] 平成16年度(一般会計・特別会計)決算報告承認の件

次いで、議長は、第2号議案「平成16年度(一般会計・特別会計)決算報告承認の件」を議題に供する旨宣言し、東谷隆夫平成16年度経理委員長から、平成16年度決算報告書(一般会計・特別会計)に沿って議案の説明がなされ、特に一般会計の決算概要と特別会計のうち当番弁護士基金会計及び日弁連ひまわり基金会計について説明がなされた。


引き続き、監査報告がなされ、小寺貴夫平成16年度監事から、平成16年度の一般会計及び特別会計の収支計算書、貸借対照表、正味財産増減計算表及び財産目録はいずれも収支状況と財産状態を適正に表示しているものと認める旨の監査報告がなされた。


次いで、第2号議案に関する質疑に入った。


吉田孝夫会員(宮崎県)から、当番弁護士特別会計について、当番弁護士は、弁護士が本来の職務を遂行しているのに弁護士の負担となるというのはおかしいのではないか、当番弁護士の負担を減らす方向でどのような努力をしてきたのかという質問があった。


これに対して、東谷平成16年度経理委員長から、当番弁護士制度は、現状追認で顕著な改善策は見られないのが実情である旨回答された。


この他に質疑を希望する者はなかったため、議長は質疑の終局と、第2号議案の採決に入る旨宣言した。


第2号議案は、挙手による採決となり、賛成多数にて承認された。


[第3号議案] 平成17年度(一般会計・特別会計)予算議決の件

[第4号議案] 平成18年度(一般会計)4・5月分暫定予算議決の件

議長は、第3号議案「平成17年度(一般会計・特別会計)予算議決の件」及び第4号議案「平成18年度(一般会計)4・5月分暫定予算議決の件」を一括して議題に供する旨宣言した。なお、議長は、両議案を議題に供するにあたり、審議は一括して行うものの、採決は個別に行う旨を説明した。


柳瀬副会長より両議案の提案理由及び趣旨が説明された。同副会長は、予算編成の基本方針と、平成17年度予算案(一般会計・特別会計)及び平成18年度4・5月分暫定予算案(一般会計)に基づき、予算の概要等について説明がなされた。予算編成の基本方針としては、従来どおり、効率的運営と健全財政の維持という2点を基本的な視点としたことに加え、実行・実践段階に入った司法改革課題についての具体的対応を実行あらしめることに配慮し、具体的には、日本司法支援センターの設立に向けての準備、裁判員制度に向けた広範な取り組み、法科大学院を中核とする新たな法曹養成制度への取り組み、裁判官制度改革への取り組み、行政訴訟制度改革の推進、ゲートキーパー問題や憲法改正問題への対応、裁判員制度や知的財産制度に対応する研修、人権問題や市民の権利を擁護するための諸活動、未決拘禁制度の抜本的改革への対応等の幅広い活動に対応できる予算措置を講じたことが説明された。


第3号議案及び第4号議案について質疑に入ったところ、新穗正俊会員(埼玉)から、(1)日弁連速報関連費が前年度と同じ予算額とあるが、少数の会員の意見を発信するための予算・方法はあるか、(2)日本司法支援センター推進本部の予算が昨年の約1.5倍となっているが、その使途を明らかにされたい、(3)裁判員制度実施本部4500万円予算には、広報費が含まれていると思われるが、どのような広報をしようとしているのかとの質問があった。


これに対して、柳瀬副会長から、(1)日弁連速報関連費は、日弁連理事会を中心とした正規機関の情報を伝達するための費用であり、少数意見、多数意見という区別をした速報は考えていない。また、少数意見を発信できるように日弁連ホームページに掲示板等を設けるなどの予算化の措置はない。(2)会議開催費(交通費含む)が極めて大きく、その他パンフレット等の印刷費、各種フォーラム、シンポジウムの講師費・会場費、その他コピー代等があるとの説明があり、また、(3)については広報担当の高木佳子副会長から、制度の認知が中心である(チラシ配布、模擬裁判、講師の派遣、ビデオの配布等)との説明があった。


次いで、長谷川正浩会員(東京)から、予算案が総会にかけられるまでにどのような手続で審議されたのか、特に財務委員会には諮ったのか、予算の審議の継続性が保たれていないのでないかとの質問があった。


これに対して、柳瀬副会長より、事務総長、事務次長を中心とした事務方で粗原稿を作成し、これを旧経理委員会に諮り、さらに新経理委員会に諮るという手続であること、財務委員会については、会則上予算を諮る機関ではないものの、予算方針・概要については説明して審議してもらっているとの説明があった。


その他には質疑を希望する者はなく、討論に入った。


まず、茂木博男会員(茨城県)から、日弁連の諸活動を支えるものであり賛成である、ただし、無駄な支出はしないようにとの賛成意見が述べられた。


次に、西村正治会員(第二東京)から、ゲートキーパー問題対策本部の予算に関連して、予算そのものに反対するものではないが、日弁連が密告義務の制度化を前提とした行動をとることは闘いの方針として問題である旨の意見が述べられた。


ゲートキーパー問題に関して密告義務の制度化を前提とする予算化は問題である旨の反対意見が述べられた。


他に討論を希望する者はなく、議長は、討論を終結して採決に入った。まず第3号議案から採決に付され、原案及び同一款内の科目間流用について挙手による採決がなされ、賛成多数で可決された。次に、第4号議案について挙手による採決がなされ、賛成多数で可決された。


ここで、田辺副議長より、午後1時30分現在の出席者数の報告があった(出席者数については前記のとおり)。


[第5号議案] 資格審査会委員及び同予備委員、綱紀委員会委員及び同予備委員、懲戒委員会委員及び同予備委員並びに綱紀審査会委員及び同予備委員選任の件

議長は、第5号議案「資格審査会委員及び同予備委員、綱紀委員会委員及び同予備委員、懲戒委員会委員及び同予備委員並びに綱紀審査会委員及び同予備委員選任の件」を議題に供する旨宣言し、星行副会長より、いずれの委員の選任及び補充が必要とされた場合の選任について理事会に一任する旨の提案理由が説明された。


議長は、第5号議案につき、質疑討論ともになかったため、採決に入る旨宣言した。


第5号議案は、挙手により採決をしたところ、賛成多数で可決された。


[第6号議案] 第57回定期総会開催地決定の件

議長は、第6号議案「第57回定期総会開催地決定の件」を議題に供する旨宣言し、二國則昭副会長より、第57回定期総会の開催地を岡山県とすることが提案された。


議長は、第6号議案につき、質疑討論を省略し、直ちに採決に入りたい旨を議場に諮り、特段の異議がなかったため、挙手により採決をしたところ、賛成多数で可決された。


[第7号議案] 宣言・決議の件

議長は、第7号議案「宣言・決議の件」を議題に供する旨宣言し、まず同議案のうち、「司法改革実行宣言案」を議題に供した。


山本眞弓事務次長より、次のとおり宣言案の朗読があった。


続いて、柳瀬副会長より、宣言案の提案の要旨及び提案理由が説明された。司法制度改革が制度設計・立法作業の段階から、実行の段階に移行し、本年度が本格的に実行に移す初年度であり、その制度改革の責任を担う日弁連がその決意を宣言し、裁判員制度の実施及び刑事訴訟の改革並びに日本司法支援センターの準備に万全を期すこと、法科大学院を中核とする新たな法曹養成システムの定着、裁判官・検察官制度改革の実効あらしめるための取り組みを強化することを宣言するという趣旨である旨述べられ、さらに、議案書の記載を敷衍して上記趣旨について個別に説明された。


次いで、宣言案に関する質疑に入った。吉田孝夫会員(宮崎県)から、(1)刑事司法の対応態勢の確立に向けてという議案はどうなったのか、(2)この宣言を決議することにどんな意味があるのか、との質問があった。


これに対して、柳瀬副会長から(1)については特別報告で明らかにする、(2)については、司法改革の現段階を明確に認識し、実行の段階に入ってどのような課題に総力を挙げて取り組まなければならないかを鮮明にし、その取り組みを強化することを宣言することには重要な意味があるとの説明があった。


次に討論に入った。


中本和洋会員(大阪)から、司法改革について冷めた雰囲気が出てきたが、実現してこそ意味がある、この点を明らかにするために必要である旨の賛成意見が述べられた。


次に 田中重仁会員(埼玉)から、裁判員制度の広報は、最高裁・法務省と異なるべきである、ところが、これまでの日弁連の主張についての広報が全くない。司法支援センターと契約しないとする埼玉の会員は多数いる。センターと契約しない弁護士が国選を担当できるような制度が必要であるが、その点が明らかではないとの反対意見が述べられた。

次に、川副正敏会員(福岡県)から、実現こそ難しい課題、全力で取り組む必要がある今、この宣言は意味がある旨の賛成意見が述べられた。


次に、森川文人会員(第二東京)から、憲法改正問題への対応が先決問題であるにも拘わらず、この点何も触れられていない旨の反対意見が述べられた。


次に、中本源太郎会員(東京)から、宣言案には、司法改革の総括・評価が何ら触れられていない、単にできた制度に対応するというだけで、どこに問題があるか、どう改革していきたいかという理念が全く感じられない、弁護士自治・弁護士制度改革問題には全く触れられていない、憲法が揺らいでいることに何ら触れられていないという点で反対である旨の反対意見が述べられた。


次に、小野正典会員(第二東京)から、今般の刑事司法改革は大きな転換を促すものであり、残された刑事司法改革問題を解決しなければならないということから本宣言に賛成するとの賛成意見が述べられた。


次に、高山俊吉会員(東京)から、過去にない日本とアジアの緊張関係、憲法がどうなるかという時に全くその点が触れられていない中空に浮いているような司法改革宣言である。今次の司法改革は、戦時中の司法にするようなものである。法曹一元、陪審制というもともとの目的が全く無くなり、そのことについて全く触れていない。現在の司法改革は全くの司法改悪。弁護士を権力の側に取り込もうというものであり、このような司法改革実行宣言に反対である旨の反対意見が述べられた。


次に、長谷川直彦会員(東京)から、司法支援センターが発足すると、国選弁護の受け入れが司法支援センターになるが、これは訴追側が弁護側の主務官庁になり、自己代理、双方代理となり疑問である。当番弁護士も司法支援センターに事務を委託するという方向であり、刑事弁護は死滅するとの点から反対意見が述べられた。


次に、遠藤憲一会員(東京)から、戦争国家化、労働者民衆の生活切り捨ての時代、治安強化の時代に適合する司法、これこそが今般の司法改革の実体。人質司法等改革しなければならないことが何ひとつ改革されていない。こうした司法改革に賛成する宣言には反対である旨の反対意見が述べられた。


次に 小寺正史会員(札幌)から、札幌弁護士会として、基本的には賛成であるが、今後、法曹一元を目指すことに積極的に取り組むべきである、総合法律支援法に明記された弁護士活動の独立性・自主性の確保に取り組むべきである、司法支援センターの各地方事務所の自主的運営を尊重すべきとの意見が述べられた。


次に鈴木達夫会員(第二東京)から、司法支援センターの各地方事務所は自主的に運営できない法律となっている。今からよくなるということはない。国選弁護の報酬は被疑者段階を入れて12万円となるとのこと。司法改革実行の時代ではなく破綻の時代、例えば法科大学院定員割れが74校中45校。司法改革は、法務省・財界で始まった司法改革に日弁連が一緒になっているものであるとの反対意見が述べられた。


ここで、三宅弘会員(第二東京)から、討論終局の動議が提出されたところ、20人以上の出席会員の賛成を得て動議は成立し、採決に付されたところ賛成多数で可決されたため、議長は、討論を終局して採決に入る旨宣言した。


議長は、「司法改革実行宣言案」につき採決に付し、挙手による採決が行われたところ、賛成多数で可決された。


次に、議長は、第7号議案のうち、「未決拘禁制度の抜本的改革と代用監獄の廃止を求める決議案」を議題に供した。


田中公人事務次長より、次のとおり決議案の朗読があった。


星副会長より、提案の趣旨及び理由について説明があった。本年5月18日に「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」が成立し、不十分な点はあるものの、未決拘禁者の処遇と受刑者の処遇とが明確に分離されるなど、多くの点が改善された。今後の課題は、未決拘禁制度の抜本的改革と代用監獄の廃止であり、これらの改革に早急に着手し、実現することが喫緊の課題であり、日弁連の総意をもって、この改革に取り組んでいく決意を示すというのが今回の決議案の趣旨である旨の説明があり、さらに、こうした課題について、個別に説明された。


次に質疑に入ったところ、松永和宏会員(沖縄)から、提案理由の中に「少年や女性も拘置所への収容を義務付けるなどの措置を講ずるべきである。」との記載があるが、少年が勾留されるべきは鑑別所ではないか、この点修正されるべきではないかとの質問があった。


これに対して小池振一郎刑事拘禁制度改革実現本部事務局長から、少年鑑別所への収容を義務づけるという趣旨で理解されたいとの説明があった。


次に、岩村智文会員(横浜)から、決議案の11行目に「施設管理権が優先され、代用監獄が取調べに利用されている」旨の表現があるがおかしいのではないか。捜査の必要性のために代用監獄が利用されているということではないかとの質問があった。


これに対して小池事務局長から、施設管理権という名のもとに権利が侵害されているということを指摘しておきたかったのでご理解頂きたいとの説明があり、さらに、星副会長から、執行部で趣旨が分かりやすいように修正する旨の説明があった。


その他には質疑を希望する者がなかったので、議長は質疑を終局し討論に入る旨を宣言した。


八重樫和裕会員(旭川)から、長い歴史と犠牲のなかで拘禁者に関する処遇法が整備されてきた。あとは未決拘禁者の問題が残っている。この問題の解決を進める必要がある。その意味で賛成である旨の意見が述べられた。


次に、川村理会員(東京)から、起訴後の接見禁止の数がここ10年で2倍に増えており、保釈の現状も改善しない。人質司法の現状は悪くなるばかり。人質司法がひどくなっているということと関連してこの問題を取り上げなければ意味がない。また、死刑確定者の処遇が未決拘禁者に準ずるべきであるというのは、既に現行監獄法第9条に謳われており、そのことだけを言っても意味がない。心情の安定などを理由とした外部交通の制限の禁止等を要求しなければ無意味であるとの反対意見が述べられた。


次に、吉田孝夫会員(宮崎県)から、裁判所の意識を変えなければ代用監獄の問題は変わらない。代用監獄で得られた自白は任意性がないという宣言をすべきであり、本決議案のような決議をすることにどれほどの意味があるのだろうかとの反対意見が述べられた。


次に、山下幸夫会員(東京)から、法務省は、来年の通常国会に未決拘禁者に対する改正案を出す予定であるという。代用監獄については、この半年の間にどう取り組むかが重要。そういう中、本決議案を出して日弁連の姿勢を示すことは必要であるとの賛成意見が述べられた。


以上のほかに討論を希望する者がなかったので、議長は討論を終局し採決に入る旨を宣言した。


採決に先立ち、星副会長より、決議案11行目の「被疑者・被告人の権利保障よりも施設管理権が優先され、現在に至るも」を「被疑者・被告人の権利保障よりも施設管理権が優先されている。また、現在に至るも」に修正し、また、提案の理由のうち、5(3)[8]の「少年や女性も拘置所への収容を義務付ける」を「少年は少年鑑別所に、女性は拘置所への収容を義務付ける」に修正する旨の説明があった。


議長は、一部修正後の決議案について挙手による採決を行ったところ、賛成多数で可決された。


[報告事項2] 特別報告の件

次に、議長は、報告事項2「特別報告の件」を議題に供する旨宣言し、本総会では、「刑事司法の対応態勢の確立に向けて」について特別報告が予定されている旨説明した。


星副会長より特別報告があり、昨年5月成立した裁判員法、刑事訴訟法一部改正法、総合法律支援法が、今年から平成21年までに順次施行されることになっており、これに対して裁判員制度と被疑者段階の国選弁護制度に対応できる弁護態勢を確立することが重要であり、そのことを確認するとともに、その決意を示した「刑事司法の対応態勢の確立に向けて」と題する決議が、本年5月6日の日弁連理事会で採択された旨説明があり、その決議の要旨について報告された。


以上で、本総会の議案の審議は終了し、梶谷会長の挨拶ののち、午後4時15分、議長は閉会を宣言した。