在日外国人無年金障がい者及び在日外国人無年金高齢者からの人権救済申立事件(勧告)

厚生労働大臣/内閣総理大臣/衆議院議長/参議院議長宛勧告

2010年4月7日


在日外国人無年金障がい者・高齢者の年金問題について、日弁連は1996年(平成8年)2月に内閣総理大臣及び厚生労働大臣に対し、1986年4月1日の時点で60歳を超えていた在日外国人高齢者を老齢福祉年金の支給対象とせず、また、1982年1月1日の時点で20歳を超えていた在日外国人障がい者を障害基礎年金の支給対象としていない国民年金法の関連規定は、これらの者を日本国民と合理的な理由なく差別して扱うものであるとして救済措置を求める要望を行った。が、その後10年以上が経過しても、何らの救済措置が講じられず、具体的な検討も開始されないことから、在日外国人無年金障がい者・高齢者が差別なく年金の支給を受けられるように、厚生労働大臣などに対し、関連規定を改正するなどの救済措置を速やかに講じるよう勧告した事例。


執行後照会に対する回答

厚生労働大臣

<厚生労働省年金局国際年金課長名回答・2012年8月22日>



国民年金法(昭和34年法律第141号)においては、かつては被保険者が日本国民に限定されていたが、昭和57年の難民の地位に関する条約(昭和56年条約第21号)の発効の際に、難民とそれ以外の外国人との均衡を図る観点から、難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律(昭和56年法律第86号)により国籍要件の撤廃がなされた。



その際には、外国人について国籍要件のため被保険者でなかった期間を年金の被保険者期間に算入する等の経過措置は講じないこととされたところであり、このような取扱いについては、平成21年2月3日最高裁判所第3小法廷決定等において憲法に違反するものではない旨の判断が示されている。



他方、議員立法である特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律(平成16年法律第166号)附則第2条や同法の国会審議の際の附帯決議において、年金等の受給権を有していない在日外国人の障害者や高齢者の方々に対する福祉的措置等について検討すべき旨が指摘されているところであり、政府としては、国会における議論や関係者の様々な御意見を踏まえて引き続き検討してまいりたい。



内閣総理大臣

現在まで、書面による回答はなし。 


衆議院議長

<衆議院事務局秘書課名回答・2011年5月13日(日弁連受付)>



貴会からの勧告については、平成22年5月28日に厚生労働委員会に陳情書として参考送付されました。



参議院議長

現在まで、書面による回答はなし。