戦傷病者の更正救護策樹立の件(決議)

今次の戦争による国土及国民の蒙った惨害は深刻を極め復興の前途は遼遠且つ多難である。特に戦争に参加を余儀なくされ傷病のため廃躯となった善良にして罪なき多くの人々が所謂白衣の勇士となり生活上の死線を往復している惨状は洵に見るに忍びないものがある。講和条約が調印を終え近くその発効を見んとする秋、当局は基本的人権の尊重上之等の犠牲者に対する更生救護の徹底的対策を樹立し速かに実行されんことを切望する。


1951年(昭和26年)10月19日
於仙台市、人権委員会秋季総会


理由

戦争による国土、国家の荒廃に対し、再建の努力は続けられ特に道義確立は朝野をあげて努力しているが、部分的で、ある方面では逆行の如きものがある。殊に全国17万に及ぶ戦傷病者に対する政府の施策は微々たる恩給年金、一般身体障害者としての取扱は、厚生指導施設、授産施策の程度であり、これに対し国民は余りにも無関心である。曾て「死ね」といって歓呼の中に送った白衣の勇士に対し、当局の施策、国民の態度は洵に忍びないものがある。


寛容と信頼の講和条約が既に調印を終え、近くその発効を見んとする秋に当って、政府は基本的人権尊重の立場から、これらの犠牲者に対する更正救護の徹底的対策を樹立して速かに本決議の実現されんことを切望する。