法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチーム
中間報告(抜粋)
法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチームがまとめた中間報告書の中から、用語の検討結果(説明案)の部分を抜粋して、下に並べました。中間報告書全文については、下のPDFファイルからダウンロードして下さい。
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中間報告書/第2法廷用語検討結果 全文(PDF形式545KB)
1.公訴事実、冒頭陳述
公訴事実
検察官が裁判を求める事件の要点で、裁判の初めに検察官が朗読する「起訴状」に書かれている。
冒頭陳述 検察官が描いた事件のストーリー
2.証拠、証拠の取調べ
証拠
事実があったかどうかを判断するための材料になるもので、証人、鑑定人、書類や物などがあります。
証拠の取調べ 法廷で証拠を調べることです。その「証拠」とは(上記の説明)
3.証拠能力
「証拠能力がある」ということは、法廷で証拠として取調べてよいということしかし、取調べた結果、本当にそれが信用できるかどうかは別問題です
4.自白、自白の任意性
自白
自分が犯したことについて自ら話すこと。
自白の任意性 脅かされたり、だまされたりすることなく、自らの意思で自白すること。なお、『任意性のない自白』は、証拠とすることができない
裁判員への説明)・・・たとえば冒頭陳述で
「『任意性』があるかどうかが争点です。任意性とは・・・」という説明より、
 
「検察官が提出する警察段階の調書は、○○の経過で(たとえば「誰々に脅かされて」)作られたものだから、証拠になりません」と説明したほうが良い。(自白の任意性という「用語」を使わずに「内容」を説明する。)
5.合理的疑い
「証拠に基づいて、皆さんの常識に照らして有罪であることに少しでも疑問があったら、有罪にはできません。そのような疑問が残っていたら、無罪にしなければなりません。(注:裁判員に対しては「合理的疑い」という言葉を使用しないのが望ましい。)
6.刑の量定
有罪の被告に科す刑罰の種類と重さを決めること(刑罰の種類については、懲役・禁固などの具体例をあげる。)
7.未必の故意(確定的殺意 未必の殺意 認識ある過失)
確定的殺意
殺そうと思って,・・・・した。
未必の殺意 (必ず殺してやろうとまで思っていなくても)死ぬなら死んでもかまわないと思って,・・・・した。
認識ある過失
死んでもかまわないと思ったわけではないけれども・・・・した。
8.教唆する
他人をそそのかして犯罪をやる気にさせること。
9.正当防衛、過剰防衛
正当防衛
危害を加えてきた相手に対して、自分の身体や財産を守るために、その場でやむを得ず反撃すること。
(まわりの人間を守るために行う場合も含む。)
過剰防衛 危害を加えてきた相手に対して、自分の身体や財産を守るため、その場でやむを得ず反撃したが、その程度が行き過ぎたもの。
10.反抗を抑圧する
暴行や脅迫によって,肉体的あるいは精神的に,抵抗できない状態にすること。(被害者が抵抗したけれども,最終的には抵抗を封じられた場合も含む。)