法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチーム
議事概要
法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチームがまとめた中間報告書の中から、用語の検討結果(説明案)の部分を抜粋して、下に並べました。中間報告書全文については、下のPDFファイルからダウンロードして下さい。
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中間報告書/第2法廷用語検討結果 全文(PDF形式545KB)
第28回議事概要(2006.12.7)
「未決勾留」「累犯」「前歴」を検討しました。  
これらはいずれも量刑判断をする際、用いられる可能性のある用語です。  
「未決勾留」については、裁判官の裁量により、刑が確定するまでに被告人が勾留されていた期間の全部または一部を刑期に算入することができるということから、すでに検討済みの「勾留」とは別に検討したものです。
第27回議事概要(2006.11.9)
「共同正犯」、「共謀共同正犯」、「教唆犯」、「従犯」を検討しました。
複数の人が分担して犯罪を実行した場合、その関わり方によってどの程度の罪に問われるか異なるとの説明がなされ、上記の各用語について、犯罪行為への関与の度合いを意識しながら表現方法について工夫しました。
第26回議事概要(2006.10.5)
「緊急避難」「過剰避難」「正当業務行為」を検討しました。  
いずれも、法に触れる行為をしたが正当な理由があったため、罪に問われない、もしくは罪が軽くされる場合を示す言葉で、以前検討した「正当防衛」と今回の「緊急避難」との違いは、前者が相手から「不正な行為」を受けているのに対し、後者は受けていないところにあるとの説明がありました。
第25回議事概要(2006.9.4)
「弾劾証拠」、「合意書面」、「略取・誘拐」を検討しました。
次回以降の会議日程を決めました。10月5日(木)、11月9日(木)、12月7日(木)、1月11日(木)のいずれも午後5時から午後7時を予定しています。
第24回議事概要(2006.7.28)
「伝聞証拠禁止の原則」及び「伝聞供述」を検討しました。
大河原委員による論文「司法言語のバリアフリー化-裁判員制度の実施に向けて」(月刊言語7月号)において、本PTが紹介されている旨の報告がありました。
第23回議事概要(2006.6.7)
「弾劾証拠」、「合意書面」、「略取・誘拐」を検討しました。
次回以降の会議日程を決めました。10月5日(木)、11月9日(木)、12月7日(木)、1月11日(木)のいずれも午後5時から午後7時を予定しています。
第22回議事概要(2006.5.15)
「公判期日」、「論告」、「求刑」及び「弁論」を検討しました。
本PTのホームページの改訂作業が進められている旨の報告がありました。
第21回議事概要(2006.4.10)
前回検討した「勾留」の外、「起訴状」、「起訴」、「被疑者」、「被告人」が検討されました。
酒井座長より、中間報告の公表以来、本PTの活動に関する報道は、テレビ・ラジオ・新聞等を含めて16件にも及んでおり、かつ、日弁連の定例記者会見においても最も関心が寄せられている、との報告がありました。
第20回議事概要(2005.3.23)
回に引き続き、「違法収集証拠」「違法収集証拠排除法則」及び「証拠の信用性」が検討されました。また、新たな検討用語として、「黙秘権」、「逮捕」、「勾留」、「拘置」が検討されました。
田中牧郎委員より、中間報告書で取り上げられた10語について、国立国語研究所研究者有志によるコメントをまとめた意見書が提出されました。
第19回議事概要(2006.2.20)
新たな用語として、「違法収集証拠」、「違法収集証拠排除法則」及び「証拠の信用性」が検討されました。
大河原眞美委員より、中間報告書で取り上げられた10語がわかりやすく検討されているかどうかについて、高崎経済大学で実施されたアンケートとその結果に関する考察が報告されました。
・ジュリスト1306号(有斐閣)の「視点」に、本PTを紹介した「法廷用語の日常語化に向けて-日弁連の試み」(酒井幸座長)が掲載されたとの報告がありました。
第18回議事概要(2006.1.16)
第16・第17回PTにて検討した「責任能力」、「心神喪失・心神耗弱」、「情状」及び「減軽」の言い換え案などについて、レポートをもとに、再精査しました。
新たな用語として、「実況見分・検証」及び「検面調書・員面調書」を検討しました。
「実況見分」については、社会生活の中では「現場検証」のほうがなじみやすいとの意見が出されましたが、刑事訴訟法上の「検証」と混同を生じるおそれもあり、安易に置き換えることはできないのではないか、との意見も出されました。
「員面調書・検面調書」については、「司法警察員」・「面前」・「録取」といった文言を、裁判員にどのように説明すればわかりやすいかについて検討しました。
中間報告書に対するパブリックコメントの回答状況について、経過報告がありました。
第17回議事概要(2005.12.15)
中間報告書のパブリックコメント募集の実施について、報告されました。実施期間は、2005年12月6日から2006年2月28日までとなります。
前回に引き続き、「責任能力」、「情状・情状酌量」及び「酌量減軽・必要的減軽」を検討しました。
「責任能力」については、「責任能力」、「心神喪失」及び「心神耗弱」の言い換え案が検討されました。
「減軽」については、「必要的減軽」、「任意的減軽」の言い換え案を検討しました。また、「減刑」との混同を防ぐための方策について、引き続き議論することになりました。
「情状」については、「情状」の言い換え案を検討しました。また、「情状」は被告人にとって、有利・不利の双方が含まれているものの、「情状酌量」という場合の「情状」には、被告人にとって有利な具体的な事情であることが確認されました。
第16回議事概要(2005.11.21)
中間報告書が公表されることになりました。なお、公表に伴い、広く一般の方々から、パブリックコメントを募集することになりました。また、各関係機関に対し、中間報告書を送付することとし、併せて、個別意見の照会を求めることになりました。
今後検討予定の用語、年間スケジュールについて、協議されました。なお、今後検討予定の用語については、中間報告書同様、パブリックコメントを募集することになりました。
「責任能力」、「情状・情状酌量」及び「酌量減軽・必要的減軽」を検討しました。
「責任能力」については、刑法の講学上の概念であって、抽象的であることから、裁判員の前ではなるべく使用しないほうがよいものの、被告人が責任を負う能力を持っているかどうかという文脈のなかで、責任能力の内容を説明する場面が考えられることから、基本的な説明の枠組みは準備しておくべきであろう、との意見が出されました。
「減軽」については、社会一般で用いられている「減刑」と混同しないように説明する必要があるとの意見が出されました。
「情状」については、犯情、狭義の情状を含め、非常に広いことから、裁判員には、個別事件に応じた特有の量刑事情を考慮してもらう必要があるとの意見が出されました。また、「情状」には、被告人にとって、有利・不利な事情の双方が含まれる、中立的な用語であることが確認されました。
第15回議事概要(2005.10.31)
中間報告書の公表に向けて、用語の最終検討作業を行うとともに、公表の方法、報告書の活用方法などについて検討しました。
本PTの今後の活動方針について議論しました。新たに検討すべき用語の選定作業の着手、検討スピードを上げること、検討用語数を増やすことなどが確認されました。
第14回議事概要(2005.9.28)
酒井幸座長より、「合理的疑い」について、中間報告案が提出され、前回に引き続き、用語の言い換え案を再検討しました。
「心神喪失」及び「心神耗弱」を検討しました。
第13回議事概要(2005.8.29)
酒井幸座長より、「未必の故意」、「自白の任意性」、「証拠の取調」、「量刑」、「証拠能力」、「公訴事実」、「冒頭陳述」、「教唆」、「反抗を抑圧する」の各用語について、中間報告案が提出されました。
上記報告案をもとに、各用語の言い換え案を再検討しました。
第12回議事概要(2005.7.27)
「畏怖・威迫」及び「執行猶予」を検討しました。
幸田儔朗副座長より、これまで検討した用語について、たたき台試案が提出されました。
中間報告の骨子案及び上記たたき台を参考に、第10回PTまでに検討された用語について、来月までに中間報告案をとりまとめることになりました。
第11回議事概要(2005.6.20)
前回に引き続き、「正当防衛」及び「過剰防衛」を検討しました。
前回の検討をもとに、急迫性・防衛の目的をどう表現するか、正当防衛・過剰防衛との関係をどのように表現するか、過剰防衛の相当な程度を越えた防衛をどのように表現するかについて、更に議論しました。
中間報告の骨子案が配布されました。
第10回議事概要(2005.5.16)
重点説明/言換用語」のうち、(8)反抗を抑圧する、「対策容易?」のうち、(10)正当防衛を議論しました。
(8)反抗を抑圧する、については、起訴状にどのように記載し、その上で裁判員にどのように説明するかを考える筋道としました。
(10)正当防衛、については、暫定的なたたき台(自分や自分の周りの人間に危害を加えてきた相手に対して、その被害を避けるために、やむを得ず反撃すること)をもとに、過剰防衛との関係をも含め、引き続き検討することになりました。
第9回議事概要(2005.4.25)
(9)合理的疑い、について、工藤美香委員より、以下の視点から説明がありました。
「合理的な疑いを超える証明」の果たす機能
「合理的」の意味
「合理的疑い」のレベルは誰を基準とするか
「合理的疑いがある」とは、具体的にどのような状態を指すのか
次に、高野隆委員より、判例(最高裁判所昭和28年8月5日判決、同昭和48年12月13日判決、大阪地方裁判所平成17年2月9日判決)をもとに、合理的疑いの説明がなされました。
大河原眞美委員より、前回報告された藤田委員の調査計画について補足がなされました。
弁護士に対する重要語に関するアンケート結果が報告されました。重要と思われる用語として、合理的疑い、未必の故意、任意性、訴因、証拠能力(上位5位まで)などが挙げられました。
第8回議事概要(2005.3.24)
「重点説明/言換用語」のうち、(8)反抗を抑圧する、(9)合理的疑いを検討しました。
(8)反抗を抑圧する、については、たたき台に基づいた議論をする前に、いくつかの検討すべき視点があげられました。
その結果、条文上の文言ではない、反抗を抑圧する、という用語を使わずに別の表現で説明したほうがよいかどうかを含め、引き続き検討することになりました。
(9)合理的疑い、については、アメリカの説示等の参考資料をもとに説明、議論がされましたが、法律家の間でも共通の理解がなされていないという意見が多数を占めました。その結果、「合理的疑い」の概念等について、工藤美香委員が資料を準備し、次回会議において継続的に検討することになりました。
藤田政博委員より、今後の調査計画について報告がありました。その結果、弁護士に対し、法廷用語のうち重要語についてのアンケートを実施することになりました。
第7回議事概要(2005.2.21)
「重点説明/言換用語」のうち、(6)公訴事実、(7)教唆する、(8)反抗を抑圧するを検討しました。なお、(8)については、第8回において、引き続いて議論されることになりました。
第6回議事概要(2005.1.20)
「重点説明/言換用語」のうち、(3)証拠の取調、(4)量刑、(5)証拠能力、を検討しました。
本プロジェクトチームにおける議論では、用語の言い換えにとどまらず、様々な視点からの問題提起(例:用語の使用される場面や用語を説明する主体によって、用語の説明が異なってくる場合があるのではないか、など)とこの問題提起に対する検討がなされています。その結果、本プロジェクトチームの報告書をまとめる際には、用語の言換のみならず、上記問題提起やその検討結果をも盛り込む必要があるとされました。
第5回議事概要(2004.12.16)
「重点説明/言換用語」のうち、(3)証拠の取調、(4)量刑、(5)証拠能力、を検討しました。
本プロジェクトチームにおける議論では、用語の言い換えにとどまらず、様々な視点からの問題提起(例:用語の使用される場面や用語を説明する主体によって、用語の説明が異なってくる場合があるのではないか、など)とこの問題提起に対する検討がなされています。その結果、本プロジェクトチームの報告書をまとめる際には、用語の言換のみならず、上記問題提起やその検討結果をも盛り込む必要があるとされました。
具体的用語の検討として、「重点説明/言換用語」のうち、(1)未必の故意、(2)自白の任意性、(3)反抗を抑圧する、を検討しました。
最後に、本プロジェクトチームで議論された用語をまとめて、用語の解説集を作成してはどうかとの案が出されました。
第4回議事概要(2004.11.25)
藤田政博委員から、なじみ度調査について中間報告がなされました。次回に、調査の最終報告が行われることになりました。
調査結果を受けて、今後の議論の方向性について意見交換しました。調査の対象となることばの数や、調査に協力いただく市民の数を増やして、さらにデータを収集することになりました。
第3回議事概要(2004.10.18)
証人尋問のサンプルが資料として配付され、証人尋問の内容やわかりやすさ等について、議論されました。
各委員から、なじみ度調査の対象とすべきことばが提案されました。調査対象とすることばの最終決定は、事務局に一任されました。
藤田政博委員から、なじみ度調査の方法について説明がありました。
第2回議事概要(2004.9.24)
各外部学識委員から、このプロジェクトチームの方向性と課題について、レポートが提出されました。
裁判の冒頭手続、検察官の冒頭陳述、検察官の論告・求刑、弁護人の弁論のサンプルが資料として配付され、裁判の手続について、具体的なイメージを持ちながら議論されました。
今後の方針として、まず、一定数の法廷用語について、一般市民になじみ度を尋ねる調査を行うことに決定しました。
第1回議事概要(2004.8.25)
委員の自己紹介と裁判員制度の概略説明のあと、各委員の問題意識を出し合いました。
外部学識委員から「裁判員は、公判審理に参加した際、どのくらいの言葉の量に接するのか。それが耳から入るものか、目で読むものか。」との質問があり、弁護士委員が裁判の現状について説明しました。どのような視点から裁判のあり方を見直すべきかについて、各委員の意見を出し合いました。
起訴状のサンプルが資料として配付され、裁判の手続について、具体的なイメージを持ちながら議論されました。
「法廷におけることば」を、市民にもわかるものに変えていくためには、単なる法律用語の言い換えでは足りない、との指摘がありました。
検討にあたっては、「法廷におけることば」に関する客観的なデータを基にすべきであるとの意見が出されました。