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売上減少・資金繰りに不安を感じている事業者の皆様へ -新規融資、新規の保証、各自治体の融資制度について-

日弁連中小企業法律支援センター事業再生PT幹事 弁護士 富永高朗

こちらの記事は、新型コロナウイルス感染症の蔓延が始まった2020年に執筆されたものになります。各種情報は執筆当時のものになりますので、その点にご留意の上でご参照ください。

1 はじめに 

この記事は「新型コロナウイルスによる売上減少、資金繰りに不安を感じている事業者様へ」のうち、[新規融資、新規の保証の検討]について、2020年(令和2年)3月16日段階の状況を整理・補足するものです。 
なお、雇用調整助成金は、休業等を実施する期間経過後、支給申請・都道府県労働局による状況確認を経て支給されますので、同助成金支給までの資金繰りに留意すべき場合も参考にしてください。 

※本ページでご紹介する関係省庁や支援機関のURL、PDFファイル等は2020年(令和2年)3月16日時点の情報です。今後更新・変更される可能性がありますので、ご参照の際にはご留意ください。 

2 日本政策金融公庫の新規融資・各地の信用保証協会の新規の保証制度

まず、経済産業大臣の指定を経た信用保証協会のセーフティネット保証4号・5号並びに日本政策金融公庫の衛生環境激変対策特別貸付、経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)及び新型コロナウイルス感染症特別貸付という貸付制度について、利用者が使いやすいと考えられる点・留意すべきと考えられる点を以下にまとめました。 

(1) セーフティネット保証4号【各地の信用保証協会】 [参考:経済産業省ホームページ] 
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311007/20200311007.html 
https://www.meti.go.jp/press/2019/02/20200228001/20200228001-1.pdf

○利用者が使いやすいと考えられる主な点として  
・5号とは異なり、現時点で、業種限定は無い。 
・5号とは異なり、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で100%保証を行う。このため、4号に比べると、金融機関からの審査ハードルは低い。 
・一般保証とは別枠で2億8,000万円までの限度額(5号と併用可だが、同じ枠)がある。 

○利用者が留意すべきと考えられる主な点として 
・5号とは異なり、指定地域において1年間以上継続して事業を行っていること、及び、災害の発生に起因して、当該災害の影響を受けた後、原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること、が要件である。 

(2) セーフティネット保証5号【各地の信用保証協会】 [参考:経済産業省ホームページ] 
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311007/20200311007.html
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-1.pdf

○利用者が使いやすいと考えられる主な点として 
・4号と異なり、指定地域において1年間以上継続して事業を行っていない場合でも利用できる。 
・4号と比べると売上減少率は低くても利用できる(最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少。) 
・一般保証とは別枠で2億8,000万円までの限度額(4号と併用可だが、同じ枠)がある。 

○利用者が留意すべきと考えられる主な点として 
・指定業種が増加しているとはいえ、業種限定がある。
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-2.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311007/20200311007-3.pdf
・4号とは異なり、信用保証協会が通常の保証限度額とは別枠で80%保証を行うにとどまる。4号に比べると、金融機関からの審査ハードルは高くなる。    

(3)衛生環境激変対策特別貸付【日本政策金融公庫】 
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/47_gekihen_2_m.html

○利用者が使いやすいと考えられる主な点として 
・使途が、経営を安定させるために必要な運転資金、と比較的緩やかである。 

○利用者が留意すべきと考えられる主な点として 
・現時点では、旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業に限定されている。 
・現時点では、最近1か月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して10%以上減少しており、かつ、今後も売上高の減少が見込まれること及び中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれること 
が要件である。 
・別枠1,000万円(旅館業を営む方は、別枠3,000万円)にとどまる。 
・利率が基準利率。ただし、振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員の方については、特別利率C(基準利率-0.9%)

(4) 経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)【日本政策金融公庫】 
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html

○利用者が使いやすいと考えられる主な点として 
・対象者が、最近の決算期における純利益額又は売上高経常利益率が前期又は前々期に比し悪化している方など、と比較的緩やかである。 
・使途が、社会的要因等により企業維持上緊急に必要な設備資金及び経営基盤の強化を図るために必要な運転資金、と比較的緩やかである。 
・指定業種はない。 

○利用者が留意すべきと考えられる主な点として 
・融資限度額は4,800万円にとどまる。 
・利率は基準金利である。 

(5) 新型コロナウイルス感染症特別貸付【日本政策金融公庫】 
経済産業省パンフレット「新型コロナウィルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」(https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf)中、[無利子・無担保融資]のページを参照。 

○利用者が使いやすいと考えられる主な点として 
・金利が基準金利より限定されており、特別利子補給を併用すると実質的に無利子化の可能性もある。 
・対象者が、最近1か月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方などと、比較的広い。 
※なお、業歴3か月以上1年1か月未満の場合は、最近1か月の売上高が過去3か月(最近1か月を含む。)の売上高の平均額に比し5%以上減少していることなどとされている。あるいは、個人事業主(事業性のあるフリーランス含み、小規模に限る。)は、影響に関する定性的な説明でも可とするよう柔軟に運用するとされている。 
・使途が、運転資金、設備資金と比較的緩やかである。 
・貸付期間が、設備20年以内、運転15年以内と長期である。 
・融資限度額が、中小企業3億円、国民事業6000万円と比較的高い。

○利用者が留意すべきと考えられる主な点として、 
・経費管理が杜撰になるなどすると、後日の資金繰りに影響がないではない。 

3 各自治体の独自の支援金制度 

上記2については、政府の広報において広く周知されているところですが、これら以外にも各自治体において、独自の新型コロナウィルス対応支援資金制度を設けている例があります。 
本ページ末尾の「各自治体の支援策」をご参照ください。

○利用者が使いやすいと考えられる点として 
・当該地域に本店や支店があることなどが要件の場合がある。 
・上記2の制度よりも売上減少割合に関する利用要件が緩和されている例がある。 
・業種限定が無い場合がある。 
・信用保証料や利子を自治体が補助する例がある。 

○利用者が留意すべきと考えられる点として 
・取扱期間が3月末までの例が少なくない。 
・使途が限定されている場合がある。 
・財源の限定がある場合がある。 
・常時使用する従業員数や税金滞納の不存在などの要件がある場合がある。 

4 これらの制度の活用にあたっての視点 

上記2及び3で示したメリット・デメリットから、売上高への影響を基本として、活用に当たっての視点を大まかに整理します。 

(1) 原則として最近1か月の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2か月を含む3か月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれる場合 
→ ①最寄りの信用保証協会を通じて、セーフティネット保証4号の活用を検討する。 
又は、②日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付の活用を検討する。 

(2) 最近1か月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して10%以上減少しており、かつ、今後も売上高の減少が見込まれ、中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる場合
→ 旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業である場合には、①日本政策金融公庫の衛生環境激変対策特別貸付の活用を検討する。 
又は、②同公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付、③各自治体の融資制度(後掲参考)の活用を検討する。 

(3) 原則として、最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少(時限的な運用緩和として、2月の売上高実績と3月、4月の売上高見込みでも可)の場合
→ 指定業種
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200303002/20200303002-2.pdf
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200311007/20200311007-3.pdf
今後更に追加される可能性があります。)に該当することを確認の上、①最寄りの信用保証協会を通じて、セーフティネット保証5号の活用を検討する。 
②日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付、又は、③各自治体の融資制度(後掲参考)の活用を検討する。 

(4) 最近1か月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した方 
→ ①日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付の活用を検討する。 
又は、②各自治体の融資制度(後掲参考)を調査の上、活用を検討する。 

(5) エにも該当しないが、最近の決算期における純利益額又は売上高経常利益率が前期又は前々期に比し悪化している場合 
→ ①日本政策金融公庫の、経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)の活用を検討する。 
又は、②各自治体の融資制度(後掲参考)を調査の上、活用を検討する。 

5 今後の制度拡大・要件緩和 

上記各制度についても、今後、拡大・要件緩和などの可能性もあろうかと存じます。また、制度が新設されることも考えられます。 
今後も、各自治体のホームページ等を適宜ご参照いただければと思います。 

6 資金繰り表活用の必要性

もっとも、留意いただきたいのは、新型コロナウィルスによる影響が少なからずあったとしても、それ以前に相当程度本業の資金繰り状況が悪化している場合も現実に存在する点です。 
金融機関からも、その区別、すなわち、新型コロナウィルスの影響を受ける前から、本業の資金繰りが悪化していた場合なのか、それとも、まさに同影響を受けたことによる資金繰りの悪化なのか、はできるだけ検討してほしいと指摘されることもあり得ます。 

上記区別の確認の意味などからも、宮原弁護士の記事「新型コロナウイルスによる売上減少、資金繰りに不安を感じている事業者様へ」のうち、資金繰り表の項目は、ご検討いただくのがよいでしょう(中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれること、との要件充足への説明となる場合も考えられます)。 
また、仮に、新型コロナウィルスの影響を受ける前から、本業の資金繰りが悪化していた場合であれば、早期に経営者保証ガイドラインの利用などを検討することが、財産保全やスムーズなリスタートにつなげるなどの観点から、むしろ経営者の方々の長い人生にとって、有益であるといった事態も考えられます。 
これらについて、弁護士のサポートをご利用いただくのも一つです。債務に関するご相談はひまわりほっとダイヤルの利用者の相談項目のうちトップ5に入る項目です。弁護士には法令上の守秘義務がございます。 
迷われた時には、一人で悩まず、弁護士や各種相談機関の窓口をご活用ください。 

各自治体の支援策

中小企業基盤整備機構が運営する情報発信サイト「J-Net21」で、新型コロナウイルスに関する各自治体の補助金、助成金、融資等の情報が案内されています。ご参照ください。
https://j-net21.smrj.go.jp/support/covid-19/regional/index.html