WORK それぞれの強み。それぞれの働き方。

インターネット×法律 清水 陽平 弁護士のWORK

スピードが求められるインターネット分野。

私はインターネット分野を得意にしています。SNSなどに書き込まれた誹謗中傷を削除する、書き込んだ人物を特定した上で損害賠償請求や刑事告訴をする、という仕事が最も多いですね。ウェブサイトごとにどのように対応するのが一番よいかというノウハウがあるので、より早く確実な対応ができるのが強みです。ネットに関する案件は概ね緊急性が高いので、クイックレスポンスは特に大切にしています。

きっかけはコンサルティング会社での経験。

元々はこの分野の仕事をするとは全く思っていませんでした。最初に入った法律事務所を出て、コンサルティング会社に入ったんです。そこは、例えば不祥事があった時に、対外的にどう対応していけばいいかを指南するようなコンサルティング会社で、必然的にネット上での対応についても質問を受けるようになりました。プロバイダ責任制限法という法律のことや、どうやって書き込みを削除するのかということを調べていくうちに、インターネット分野に強くなっていきました。

ベテランとは違う舞台で勝負。

弁護士と聞くと離婚問題とか債権回収とか、そういうものが多いのかなって思われるかもしれませんが、実は私はほとんどやっていません。やっぱり新しい分野に挑戦するのが、若手の特権だと考えているんです。重鎮と同じ舞台だとどうしても差が大きい。それだったら新しい分野の開拓に労力と時間をかけた方がいいと思います。どんな仕事を選ぶか、どう時間を使うか、自分の責任で自由に働けるのが弁護士の楽しいところですから。

社会を知ることが大事。

もし弁護士を目指したいと思ったら、いろんな社会経験を積んだ方がいいと思います。アルバイトでもいいし、海外に行ってみてもいい。それから新聞は読んだ方がいいですね。やはり社会と関わる仕事なので、いま社会でどんなことが起きているのかを知ることは大切です。また理系の知識は弁護士の仕事にかなり役に立つんじゃないかと思います。

国際問題×法律 大谷 美紀子 弁護士のWORK

国際的家事事件に力を入れています。

私は家族法の分野に力を入れています。中でも国際的な案件が7~8割を占めています。外国人同士の夫婦、あるいは一方が外国人の夫婦の離婚問題や、外国に住む日本人夫婦が現地で離婚する際の相談を受けています。相談内容は離婚・子どもの親権・監護権・面会交流・養育費をめぐる問題などです。日本法について証言したり、あるいは向こうの国の弁護士と一緒にチームになって依頼者を助けたりする形で、外国での裁判にも多く関わっています。縁あって深く携わるようになった家族法が、私は自分に合っていると感じていて、とても好きです。

いつでも依頼者の感覚で。

多くの外国の方は海外(日本)で法律問題に巻き込まれてしまったことに、とても不安を感じています。それでも欧米人は自分を表現する文化を持っていますから、不安になりながらもたくさんの質問をしてくる。その時に思ったんです。彼らでさえ多少の物怖じをするのだから、遠慮がちな日本人の依頼者は、弁護士を前にして聞きたいことを聞けずにいるのではないかと。依頼者に目線を合わせることの大切さに改めて気付いたのです。法律の専門家ではない依頼者にどう説明するか、弁護士に遠慮してしまう気持ちをどうケアするか、依頼者にとって弁護士に支払うお金がどれだけ高額か、といったことについて感性を失わないように日々気をつけています。

弁護士は想像以上に国際的な仕事。

学生の皆さんには想像しにくいかもしれませんが、弁護士は法律をツールにして、本当にあらゆる分野に関わることができます。民事や刑事、著作権などの知的財産権といった分野だけではありません。医療問題や環境問題や難民問題、もっと広い視点で見ると、魚の漁獲量をめぐる領海線の問題だとか、気候変動の問題だってすべて法律が関係してきます。法律家になるということは、多岐にわたって国際的に活躍できることにつながるのです。もし国際的なことに関心があるのでしたら、弁護士を目指して間違いはないと私は言い切れます。

向いていない人はきっといない。

弁護士に求められる資質はそれぞれです。いわゆる理系とか、文系とか、適性みたいなものは気にしないでいいと思います。法律は論理の世界なので、数学ができた方がいいと言う人もいますし、一方で、言葉を使う職業なので文章力が大事だと言う人もいます。感性が豊かな人は相手に共感して励ますことができるかもしれません。私自身、主張するのが苦手な性格で、弁護士は向いていないと言われて葛藤したこともありました。でも、その性格が、子どもの利益を優先し親同士の勝ち負けを目指さない家族法の世界ではむしろ生きているんです。

それぞれのWORK

芸術×法律 福井 健策弁護士のWORK 愛する芸術を支える仕事。

ライブ・映像・音楽・出版分野などの、著作権法やエンタテインメント・メディア法を得意にしています。具体的には企画の戦略や契約交渉、著作権に関するアドバイス、紛争処理など芸術文化を支える仕事です。学生時代から芝居に熱中していて、初めは役者の副業として弁護士になろうと思っていたくらい。そんな中でアメリカでのエンタテインメント・ロイヤーたちの活躍ぶりを知り、この分野の専門家を目指すことにしました。サポートした作品が完成して世の中に出る瞬間にやりがいを感じます。

地域貢献×法律 谷萩 陽一弁護士のWORK 地元・茨城のためにできることを。

茨城県水戸市の法律事務所で、地元の労働事件や行政・環境訴訟の分野など、社会的に意義のある事件を扱っています。これまで、長年常磐炭坑で働いていたためにじん肺という肺疾患になってしまった方々の救済を目指した訴訟や、40年以上にわたるえん罪事件「布川事件」などに携わりました。弁護士の仕事は、自分の働き次第で「基本的人権と社会正義の実現」ができる仕事です。人に対する共感性が豊かな人や正義感の強い人はこの仕事に向いているんじゃないかなと思います。

理系×法律 大舘 薫弁護士のWORK 理系の思考を強みに。

企業の中で働く弁護士として、企業法務の全般を扱っています。例えば、M&A案件だったり、訴訟・紛争の対応に関する案件だったり、新規事業立ち上げのサポートといった分野です。高校時代は“猪突猛進の数学オタク”という感じで、そのまま理学部へ進学し、前職では通信システムの研究開発を行っていました。理系の論文作成で培ったロジカルシンキング、主張を相対化・客体化する視点は、いまも社内外の人を説得する時に役立っていますし、技術での経験は、会社事業を深く理解する際にも、技術絡みの法的問題を検討する際にも生きています。

医療×法律 加藤 裕弁護士のWORK 科学的な視点を弁護に役立てる。

子どもの頃から自然科学が好きで、研究者や技術者を夢見ていました。現在の仕事でも、医療事故事案の原因究明など、科学的な考え方は役に立っています。医療事故のひとつ、薬害エイズ事件では、弁護団で沖縄の原告を担当。世の中の強い差別のなか、社会を動かさなければ、とご遺族の方々と共にメディアで実情を訴えました。多くの若者の支援も加わり、歴史的な和解と謝罪に貢献できたことは忘れられません。弁護士は、社会正義に対する熱意と、どのような人の声も共感をもって聞こう、という感性がある人に向いている仕事だと思います。