巻末資料 目次 資料1 権利条約関係 409 資料1−1 障害者の権利に関する条約(政府公定訳) 409 資料1−2 障害のある人の権利に関する条約の選択議定書 (川島聡=長瀬修仮訳) 430 資料1−3 批准国一覧 435 T 権利条約批准国一覧表 436 U 権利条約選択議定書批准国一覧表 439 資料1−4 障害者権利委員会一般的意見 441 T 障害者権利委員会一般的意見第1号(要旨) 441 U 障害者権利委員会一般的意見第2号(要旨) 445 資料1−5 すでに出された権利委員会の総括所見(要約) 448 T スペイン 448 U チュニジア 452 V 中国 454 資料2 法令関係 460 資料2−1 障害者基本法 460 T 平成23年8月5日法律第90号改正後の条文 460 U 附帯決議 468 資料2−2 障害者の雇用の促進等に関する法律 470 T 平成25年法律第46号改正後条文の抜粋 470 U 附帯決議 477 資料2−3 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 (平成25年法律第65号) 478 T 条文 478 U 附帯決議 484 資料2−4 条例 487 T 障害者差別禁止条例 488 U 手話言語条例 508 資料3 日本弁護士連合会関係 516 資料3−1 2001年以降の障がいのある人の人権にかかわる 人権擁護大会宣言、意見書、会長声明・談話等一覧 516 T 人権擁護大会宣言 516 U 第59回定期総会決議 516 V 意見書等 516 資料3−2 2001年人権擁護大会宣言全文 521 資料3−3 障害者総合支援法成立関係会長声明全文 522 資料3−4 障害者差別解消法関係会長声明全文 523 資料3−5 権利条約批准関係会長声明全文 524 資料3−6 2014年6月6日障がい者団体ヒアリング 525 資料4 海外制度紹介 537 資料4−1 国際社会における先進的な制度改革の紹介 537 資料4−2 ニュージーランドに関する勉強会報告 543 資料1 権利条約関係 資料1−1 障害者の権利に関する条約(政府公定訳) 前文 この条約の締約国は、 (a)国際連合憲章において宣明された原則が、人類社会の全ての構成員の固有の尊厳及び価値並びに平等のかつ奪い得ない権利が世界における自由、正義及び平和の基礎を成すものであると認めていることを想起し、 (b)国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、全ての人はいかなる差別もなしに同宣言及びこれらの規約に掲げる全ての権利及び自由を享有することができることを宣明し、及び合意したことを認め、 (c)全ての人権及び基本的自由が普遍的であり、不可分のものであり、相互に依存し、かつ、相互に関連を有すること並びに障害者が全ての人権及び基本的自由を差別なしに完全に享有することを保障することが必要であることを再確認し、 (d)経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約、児童の権利に関する条約及び全ての移住労働者及びその家族の構成員の権利の保護に関する国際条約を想起し、 (e)障害が発展する概念であることを認め、また、障害が、機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用であって、これらの者が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものによって生ずることを認め、 (f)障害者に関する世界行動計画及び障害者の機会均等化に関する標準規則に定める原則及び政策上の指針が、障害者の機会均等を更に促進するための国内的、地域的及び国際的な政策、計画及び行動の促進、作成及び評価に影響を及ぼす上で重要であることを認め、 (g)持続可能な開発に関連する戦略の不可分の一部として障害に関する問題を主流に組み入れることが重要であることを強調し、 (h)また、いかなる者に対する障害に基づく差別も、人間の固有の尊厳及び価値を侵害するものであることを認め、 (i)さらに、障害者の多様性を認め、 (j)全ての障害者(より多くの支援を必要とする障害者を含む。)の人権を促進し、及び保護することが必要であることを認め、 (k)これらの種々の文書及び約束にもかかわらず、障害者が、世界の全ての地域において、社会の平等な構成員としての参加を妨げる障壁及び人権侵害に依然として直面していることを憂慮し、 (l)あらゆる国(特に開発途上国)における障害者の生活条件を改善するための国際協力が重要であることを認め、 (m)障害者が地域社会における全般的な福祉及び多様性に対して既に貴重な貢献をしており、又は貴重な貢献をし得ることを認め、また、障害者による人権及び基本的自由の完全な享有並びに完全な参加を促進することにより、その帰属意識が高められること並びに社会の人的、社会的及び経済的開発並びに貧困の撲滅に大きな前進がもたらされることを認め、 (n)障害者にとって、個人の自律及び自立(自ら選択する自由を含む。)が重要であることを認め、 (o)障害者が、政策及び計画(障害者に直接関連する政策及び計画を含む。)に係る意思決定の過程に積極的に関与する機会を有すべきであることを考慮し、 (p)人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的な、種族的な、先住民族としての若しくは社会的な出身、財産、出生、年齢又は他の地位に基づく複合的又は加重的な形態の差別を受けている障害者が直面する困難な状況を憂慮し、 (q)障害のある女子が、家庭の内外で暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取を受ける一層大きな危険にしばしばさらされていることを認め、 (r)障害のある児童が、他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を完全に享有すべきであることを認め、また、このため、児童の権利に関する条約の締約国が負う義務を想起し、 (s)障害者による人権及び基本的自由の完全な享有を促進するためのあらゆる努力に性別の視点を組み込む必要があることを強調し、 (t)障害者の大多数が貧困の状況下で生活している事実を強調し、また、この点に関し、貧困が障害者に及ぼす悪影響に対処することが真に必要であることを認め、 (u)国際連合憲章に定める目的及び原則の十分な尊重並びに人権に関する適用可能な文書の遵守に基づく平和で安全な状況が、特に武力紛争及び外国による占領の期間中における障害者の十分な保護に不可欠であることに留意し、 (v)障害者が全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするに当たっては、物理的、社会的、経済的及び文化的な環境並びに健康及び教育を享受しやすいようにし、並びに情報及び通信を利用しやすいようにすることが重要であることを認め、 (w)個人が、他人に対し及びその属する地域社会に対して義務を負うこと並びに国際人権章典において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識し、 (x)家族が、社会の自然かつ基礎的な単位であること並びに社会及び国家による保護を受ける権利を有することを確信し、また、障害者及びその家族の構成員が、障害者の権利の完全かつ平等な享有に向けて家族が貢献することを可能とするために必要な保護及び支援を受けるべきであることを確信し、 (y)障害者の権利及び尊厳を促進し、及び保護するための包括的かつ総合的な国際条約が、開発途上国及び先進国において、障害者の社会的に著しく不利な立場を是正することに重要な貢献を行うこと並びに障害者が市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的分野に均等な機会により参加することを促進することを確信して、 次のとおり協定した。 第一条 目的  この条約は、全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。  障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害であって、様々な障壁との相互作用により他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げ得るものを有する者を含む。 第二条 定義 この条約の適用上、  「意思疎通」とは、言語、文字の表示、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、利用しやすいマルチメディア並びに筆記、音声、平易な言葉、朗読その他の補助的及び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(利用しやすい情報通信機器を含む。)をいう。 「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう。  「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。  「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。  「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲で全ての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための補装具が必要な場合には、これを排除するものではない。 第三条 一般原則 この条約の原則は、次のとおりとする。 (a)固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び個人の自立の尊重 (b)無差別 (c)社会への完全かつ効果的な参加及び包容 (d)差異の尊重並びに人間の多様性の一部及び人類の一員としての障害者の受入れ (e)機会の均等 (f)施設及びサービス等の利用の容易さ (g)男女の平等 (h)障害のある児童の発達しつつある能力の尊重及び障害のある児童がその同一性を保持する権利の尊重 第四条 一般的義務 1 締約国は、障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。 (a)この条約において認められる権利の実現のため、全ての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること。 (b)障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するための全ての適当な措置(立法を含む。)をとること。 (c)全ての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること。 (d)この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること。また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。 (e)いかなる個人、団体又は民間企業による障害に基づく差別も撤廃するための全ての適当な措置をとること。 (f)第二条に規定するユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設であって、障害者に特有のニーズを満たすために必要な調整が可能な限り最小限であり、かつ、当該ニーズを満たすために必要な費用が最小限であるべきものについての研究及び開発を実施し、又は促進すること。また、当該ユニバーサルデザインの製品、サービス、設備及び施設の利用可能性及び使用を促進すること。さらに、基準及び指針を作成するに当たっては、ユニバーサルデザインが当該基準及び指針に含まれることを促進すること。 (g)障害者に適した新たな機器(情報通信機器、移動補助具、補装具及び支援機器を含む。)についての研究及び開発を実施し、又は促進し、並びに当該新たな機器の利用可能性及び使用を促進すること。この場合において、締約国は、負担しやすい費用の機器を優先させる。 (h)移動補助具、補装具及び支援機器(新たな機器を含む。)並びに他の形態の援助、支援サービス及び施設に関する情報であって、障害者にとって利用しやすいものを提供すること。 (i)この条約において認められる権利によって保障される支援及びサービスをより良く提供するため、障害者と共に行動する専門家及び職員に対する当該権利に関する研修を促進すること。 2 各締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、これらの権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、また、必要な場合には国際協力の枠内で、措置をとることを約束する。ただし、この条約に定める義務であって、国際法に従って直ちに適用されるものに影響を及ぼすものではない。 3 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施において、並びに障害者に関する問題についての他の意思決定過程において、障害者(障害のある児童を含む。以下この3において同じ。)を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる。 4 この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際法に含まれる規定であって障害者の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。この条約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ、又は存する人権及び基本的自由については、この条約がそれらの権利若しくは自由を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利及び自由を制限し、又は侵してはならない。 5 この条約は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家の全ての地域について適用する。 第五条 平等及び無差別 1 締約国は、全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認める。 2 締約国は、障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に対しても平等かつ効果的な法的保護を障害者に保障する。 3 締約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる。 4 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、この条約に規定する差別と解してはならない。 第六条 障害のある女子 1 締約国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識するものとし、この点に関し、障害のある女子が全ての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。 2 締約国は、女子に対してこの条約に定める人権及び基本的自由を行使し、及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発、向上及び自律的な力の育成を確保するための全ての適当な措置をとる。 第七条 障害のある児童 1 締約国は、障害のある児童が他の児童との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを確保するための全ての必要な措置をとる。 2 障害のある児童に関する全ての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。 3 締約国は、障害のある児童が、自己に影響を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する権利並びにこの権利を実現するための障害及び年齢に適した支援を提供される権利を有することを確保する。この場合において、障害のある児童の意見は、他の児童との平等を基礎として、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。 第八条 意識の向上 1 締約国は、次のことのための即時の、効果的なかつ適当な措置をとることを約束する。 (a)障害者に関する社会全体(各家庭を含む。)の意識を向上させ、並びに障害者の権利及び尊厳に対する尊重を育成すること。 (b)あらゆる活動分野における障害者に関する定型化された観念、偏見及び有害な慣行(性及び年齢に基づくものを含む。)と戦うこと。 (c)障害者の能力及び貢献に関する意識を向上させること。 2 このため、1の措置には、次のことを含む。 (a)次のことのための効果的な公衆の意識の啓発活動を開始し、及び維持すること。 (i)障害者の権利に対する理解を育てること。 (ii)障害者に対する肯定的育成認識及び一層の社会の啓発を促進すること。 (iii)障害者の技能、長所及び能力並びに職場及び労働市場に対する障害者の貢献についての認識を促進すること。 (b)教育制度の全ての段階(幼年期からの全ての児童に対する教育制度を含む。)において、障害者の権利を尊重する態度をすること。 (c)全ての報道機関が、この条約の目的に適合するように障害者を描写するよう奨励すること。 (d)障害者及びその権利に関する啓発のための研修計画を促進すること。 第九条 施設及びサービス等の利用の容易さ 1 締約国は、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、障害者が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信機器及び情報通信システムを含む。)並びに公衆に開放され、又は提供される他の施設及びサービスを利用する機会を有することを確保するための適当な措置をとる。この措置は、施設及びサービス等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃することを含むものとし、特に次の事項について適用する。 (a)建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及び職場を含む。) (b)情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含む。) 2 締約国は、また、次のことのための適当な措置をとる。 (a)公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスの利用の容易さに関する最低基準及び指針を作成し、及び公表し、並びに当該最低基準及び指針の実施を監視すること。 (b)公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスを提供する民間の団体が、当該施設及びサービスの障害者にとっての利用の容易さについてあらゆる側面を考慮することを確保すること。 (c)施設及びサービス等の利用の容易さに関して障害者が直面する問題についての研修を関係者に提供すること。 (d)公衆に開放される建物その他の施設において、点字の表示及び読みやすく、かつ、理解しやすい形式の表示を提供すること。 (e)公衆に開放される建物その他の施設の利用の容易さを促進するため、人又は動物による支援及び仲介する者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む。)を提供すること。 (f)障害者が情報を利用する機会を有することを確保するため、障害者に対する他の適当な形態の援助及び支援を促進すること。 (g)障害者が新たな情報通信機器及び情報通信システム(インターネットを含む。)を利用する機会を有することを促進すること。 (h)情報通信機器及び情報通信システムを最小限の費用で利用しやすいものとするため、早い段階で、利用しやすい情報通信機器及び情報通信システムの設計、開発、生産及び流通を促進すること。 第十条 生命に対する権利  締約国は、全ての人間が生命に対する固有の権利を有することを再確認するものとし、障害者が他の者との平等を基礎としてその権利を効果的に享有することを確保するための全ての必要な措置をとる。 第十一条 危険な状況及び人道上の緊急事態  締約国は、国際法(国際人道法及び国際人権法を含む。)に基づく自国の義務に従い、危険な状況(武力紛争、人道上の緊急事態及び自然災害の発生を含む。)において障害者の保護及び安全を確保するための全ての必要な措置をとる。 第十二条 法律の前にひとしく認められる権利 1 締約国は、障害者が全ての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。 2 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認める。 3 締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用する機会を提供するための適当な措置をとる。 4 締約国は、法的能力の行使に関連する全ての措置において、濫用を防止するための適当かつ効果的な保障を国際人権法に従って定めることを確保する。当該保障は、法的能力の行使に関連する措置が、障害者の権利、意思及び選好を尊重すること、利益相反を生じさせず、及び不当な影響を及ぼさないこと、障害者の状況に応じ、かつ、適合すること、可能な限り短い期間に適用されること並びに権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査の対象となることを確保するものとする。当該保障は、当該措置が障害者の権利及び利益に及ぼす影響の程度に応じたものとする。 5 締約国は、この条の規定に従うことを条件として、障害者が財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用を利用する均等な機会を有することについての平等の権利を確保するための全ての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。 第十三条 司法手続の利用の機会 1 締約国は、障害者が全ての法的手続(捜査段階その他予備的な段階を含む。)において直接及び間接の参加者(証人を含む。)として効果的な役割を果たすことを容易にするため、手続上の配慮及び年齢に適した配慮が提供されること等により、障害者が他の者との平等を基礎として司法手続を利用する効果的な機会を有することを確保する。 2 締約国は、障害者が司法手続を利用する効果的な機会を有することを確保することに役立てるため、司法に係る分野に携わる者(警察官及び刑務官を含む。)に対する適当な研修を促進する。 第十四条 身体の自由及び安全 1 締約国は、障害者に対し、他の者との平等を基礎として、次のことを確保する。 (a)身体の自由及び安全についての権利を享有すること。 (b)不法に又は恣意的に自由を奪われないこと、いかなる自由の?奪も法律に従って行われること及びいかなる場合においても自由の?奪が障害の存在によって正当化されないこと。 2 締約国は、障害者がいずれの手続を通じて自由を奪われた場合であっても、当該障害者が、他の者との平等を基礎として国際人権法による保障を受ける権利を有すること並びにこの条約の目的及び原則に従って取り扱われること(合理的配慮の提供によるものを含む。)を確保する。 第十五条 拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由 1 いかなる者も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない。特に、いかなる者も、その自由な同意なしに医学的又は科学的実験を受けない。 2 締約国は、障害者が、他の者との平等を基礎として、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けることがないようにするため、全ての効果的な立法上、行政上、司法上その他の措置をとる。 第十六条 搾取、暴力及び虐待からの自由 1 締約国は、家庭の内外におけるあらゆる形態の搾取、暴力及び虐待(性別に基づくものを含む。)から障害者を保護するための全ての適当な立法上、行政上、社会上、教育上その他の措置をとる。 2 また、締約国は、特に、障害者並びにその家族及び介護者に対する適当な形態の性別及び年齢に配慮した援助及び支援(搾取、暴力及び虐待の事案を防止し、認識し、及び報告する方法に関する情報及び教育を提供することによるものを含む。)を確保することにより、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待を防止するための全ての適当な措置をとる。締約国は、保護事業が年齢、性別及び障害に配慮したものであることを確保する。 3 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力及び虐待の発生を防止するため、障害者に役立つことを意図した全ての施設及び計画が独立した当局により効果的に監視されることを確保する。 4 締約国は、あらゆる形態の搾取、暴力又は虐待の被害者となる障害者の身体的、認知的及び心理的な回復、リハビリテーション並びに社会復帰を促進するための全ての適当な措置(保護事業の提供によるものを含む。)をとる。このような回復及び復帰は、障害者の健康、福祉、自尊心、尊厳及び自律を育成する環境において行われるものとし、性別及び年齢に応じたニーズを考慮に入れる。 5 締約国は、障害者に対する搾取、暴力及び虐待の事案が特定され、捜査され、及び適当な場合には訴追されることを確保するための効果的な法令及び政策(女子及び児童に重点を置いた法令及び政策を含む。)を策定する。 第十七条 個人をそのままの状態で保護すること  全ての障害者は、他の者との平等を基礎として、その心身がそのままの状態で尊重される権利を有する。 第十八条 移動の自由及び国籍についての権利 1 締約国は、障害者に対して次のことを確保すること等により、障害者が他の者との平等を基礎として移動の自由、居住の自由及び国籍についての権利を有することを認める。 (a)国籍を取得し、及び変更する権利を有すること並びにその国籍を恣意的に又は障害に基づいて奪われないこと。 (b)国籍に係る文書若しくは身元に係る他の文書を入手し、所有し、及び利用すること又は移動の自由についての権利の行使を容易にするために必要とされる関連手続(例えば、出入国の手続)を利用することを、障害に基づいて奪われないこと。 (c)いずれの国(自国を含む。)からも自由に離れることができること。 (d)自国に戻る権利を恣意的に又は障害に基づいて奪われないこと。 2 障害のある児童は、出生の後直ちに登録される。障害のある児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知り、かつ、その父母によって養育される権利を有する。 第十九条 自立した生活及び地域社会への包容  この条約の締約国は、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会をもって地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者が、この権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとる。この措置には、次のことを確保することによるものを含む。 (a)障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと。 (b)地域社会における生活及び地域社会への包容を支援し、並びに地域社会からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居住サービスその他の地域社会支援サービス(個別の支援を含む。)を障害者が利用する機会を有すること。 (c)一般住民向けの地域社会サービス及び施設が、障害者にとって他の者との平等を基礎として利用可能であり、かつ、障害者のニーズに対応していること。 第二十条 個人の移動を容易にすること  締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。 (a)障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。 (b)障害者が質の高い移動補助具、補装具、支援機器、人又は動物による支援及び仲介する者を利用する機会を得やすくすること(これらを負担しやすい費用で利用可能なものとすることを含む。)。 (c)障害者及び障害者と共に行動する専門職員に対し、移動のための技能に関する研修を提供すること。 (d)移動補助具、補装具及び支援機器を生産する事業体に対し、障害者の移動のあらゆる側面を考慮するよう奨励すること。 第二十一条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会  締約国は、障害者が、第二条に定めるあらゆる形態の意思疎通であって自ら選択するものにより、表現及び意見の自由(他の者との平等を基礎として情報及び考えを求め、受け、及び伝える自由を含む。)についての権利を行使することができることを確保するための全ての適当な措置をとる。この措置には、次のことによるものを含む。 (a)障害者に対し、様々な種類の障害に相応した利用しやすい様式及び機器により、適時に、かつ、追加の費用を伴わず、一般公衆向けの情報を提供すること。 (b)公的な活動において、手話、点字、補助的及び代替的な意思疎通並びに障害者が自ら選択する他の全ての利用しやすい意思疎通の手段、形態及び様式を用いることを受け入れ、及び容易にすること。 (c)一般公衆に対してサービス(インターネットによるものを含む。)を提供する民間の団体が情報及びサービスを障害者にとって利用しやすい又は使用可能な様式で提供するよう要請すること。 (d)マスメディア(インターネットを通じて情報を提供する者を含む。)がそのサービスを障害者にとって利用しやすいものとするよう奨励すること。 (e)手話の使用を認め、及び促進すること。 第二十二条 プライバシーの尊重 1 いかなる障害者も、居住地又は生活施設のいかんを問わず、そのプライバシー、家族、住居又は通信その他の形態の意思疎通に対して恣意的に又は不法に干渉されず、また、名誉及び信用を不法に攻撃されない。障害者は、このような干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。 2 締約国は、他の者との平等を基礎として、障害者の個人、健康及びリハビリテーションに関する情報に係るプライバシーを保護する。 第二十三条 家庭及び家族の尊重 1 締約国は、他の者との平等を基礎として、婚姻、家族、親子関係及び個人的な関係に係る全ての事項に関し、障害者に対する差別を撤廃するための効果的かつ適当な措置をとる。この措置は、次のことを確保することを目的とする。 (a)婚姻をすることができる年齢の全ての障害者が、両当事者の自由かつ完全な合意に基づいて婚姻をし、かつ、家族を形成する権利を認められること。 (b)障害者が子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する権利を認められ、また、障害者が生殖及び家族計画について年齢に適した情報及び教育を享受する権利を認められること。さらに、障害者がこれらの権利を行使することを可能とするために必要な手段を提供されること。 (c)障害者(児童を含む。)が、他の者との平等を基礎として生殖能力を保持すること。 2 締約国は、子の後見、養子縁組又はこれらに類する制度が国内法令に存在する場合には、それらの制度に係る障害者の権利及び責任を確保する。あらゆる場合において、子の最善の利益は至上である。締約国は、障害者が子の養育についての責任を遂行するに当たり、当該障害者に対して適当な援助を与える。 3 締約国は、障害のある児童が家庭生活について平等の権利を有することを確保する。締約国は、この権利を実現し、並びに障害のある児童の隠匿、遺棄、放置及び隔離を防止するため、障害のある児童及びその家族に対し、包括的な情報、サービス及び支援を早期に提供することを約束する。 4 締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。いかなる場合にも、児童は、自己の障害又は父母の一方若しくは双方の障害に基づいて父母から分離されない。 5 締約国は、近親の家族が障害のある児童を監護することができない場合には、一層広い範囲の家族の中で代替的な監護を提供し、及びこれが不可能なときは、地域社会の中で家庭的な環境により代替的な監護を提供するようあらゆる努力を払う。 第二十四条 教育 1 締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習を確保する。当該教育制度及び生涯学習は、次のことを目的とする。 (a)人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。 (b)障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。 (c)障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。 2 締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する。 (a)障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されないこと及び障害のある児童が障害に基づいて無償のかつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。 (b)障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること。 (c)個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。 (d)障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般的な教育制度の下で受けること。 (e)学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられること。 3 締約国は、障害者が教育に完全かつ平等に参加し、及び地域社会の構成員として完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。このため、締約国は、次のことを含む適当な措置をとる。 (a)点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに定位及び移動のための技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。 (b)手話の習得及び聾社会の言語的な同一性の促進を容易にすること。 (c)盲人、聾者又は盲聾者(特に盲人、聾者又は盲聾者である児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。 4 締約国は、1の権利の実現の確保を助長することを目的として、手話又は点字について能力を有する教員(障害のある教員を含む。)を雇用し、並びに教育に従事する専門家及び職員(教育のいずれの段階において従事するかを問わない。)に対する研修を行うための適当な措置をとる。この研修には、障害についての意識の向上を組み入れ、また、適当な意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式の使用並びに障害者を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れるものとする。 5 締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、一般的な高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習を享受することができることを確保する。このため、締約国は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する。 第二十五条 健康  締約国は、障害者が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める。締約国は、障害者が性別に配慮した保健サービス(保健に関連するリハビリテーションを含む。)を利用する機会を有することを確保するための全ての適当な措置をとる。締約国は、特に、次のことを行う。 (a)障害者に対して他の者に提供されるものと同一の範囲、質及び水準の無償の又は負担しやすい費用の保健及び保健計画(性及び生殖に係る健康並びに住民のための公衆衛生計画の分野のものを含む。)を提供すること。 (b)障害者が特にその障害のために必要とする保健サービス(早期発見及び適当な場合には早期関与並びに特に児童及び高齢者の新たな障害を最小限にし、及び防止するためのサービスを含む。)を提供すること。 (c)これらの保健サービスを、障害者自身が属する地域社会(農村を含む。)の可能な限り近くにおいて提供すること。 (d)保健に従事する者に対し、特に、研修を通じて及び公私の保健に関する倫理基準を広く知らせることによって障害者の人権、尊厳、自律及びニーズに関する意識を高めることにより、他の者と同一の質の医療(例えば、事情を知らされた上での自由な同意を基礎とした医療)を障害者に提供するよう要請すること。 (e)健康保険及び国内法により認められている場合には生命保険の提供に当たり、公正かつ妥当な方法で行い、及び障害者に対する差別を禁止すること。 (f)保健若しくは保健サービス又は食糧及び飲料の提供に関し、障害に基づく差別的な拒否を防止すること。 第二十六条 ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション 1 締約国は、障害者が、最大限の自立並びに十分な身体的、精神的、社会的及び職業的な能力を達成し、及び維持し、並びに生活のあらゆる側面への完全な包容及び参加を達成し、及び維持することを可能とするための効果的かつ適当な措置(障害者相互による支援を通じたものを含む。)をとる。このため、締約国は、特に、保健、雇用、教育及び社会に係るサービスの分野において、ハビリテーション及びリハビリテーションについての包括的なサービス及びプログラムを企画し、強化し、及び拡張する。この場合において、これらのサービス及びプログラムは、次のようなものとする。 (a)可能な限り初期の段階において開始し、並びに個人のニーズ及び長所に関する学際的な評価を基礎とするものであること。 (b)地域社会及び社会のあらゆる側面への参加及び包容を支援し、自発的なものであり、並びに障害者自身が属する地域社会(農村を含む。)の可能な限り近くにおいて利用可能なものであること。 2 締約国は、ハビリテーション及びリハビリテーションのサービスに従事する専門家及び職員に対する初期研修及び継続的な研修の充実を促進する。 3 締約国は、障害者のために設計された補装具及び支援機器であって、ハビリテーション及びリハビリテーションに関連するものの利用可能性、知識及び使用を促進する。 第二十七条 労働及び雇用 1 締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める。この権利には、障害者に対して開放され、障害者を包容し、及び障害者にとって利用しやすい労働市場及び労働環境において、障害者が自由に選択し、又は承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利を含む。締約国は、特に次のことのための適当な措置(立法によるものを含む。)をとることにより、労働についての障害者(雇用の過程で障害を有することとなった者を含む。)の権利が実現されることを保障し、及び促進する。 (a)あらゆる形態の雇用に係る全ての事項(募集、採用及び雇用の条件、雇用の継続、昇進並びに安全かつ健康的な作業条件を含む。)に関し、障害に基づく差別を禁止すること。 (b)他の者との平等を基礎として、公正かつ良好な労働条件(均等な機会及び同一価値の労働についての同一報酬を含む。)、安全かつ健康的な作業条件(嫌がらせからの保護を含む。)及び苦情に対する救済についての障害者の権利を保護すること。 (c)障害者が他の者との平等を基礎として労働及び労働組合についての権利を行使することができることを確保すること。 (d)障害者が技術及び職業の指導に関する一般的な計画、職業紹介サービス並びに職業訓練及び継続的な訓練を利用する効果的な機会を有することを可能とすること。 (e)労働市場において障害者の雇用機会の増大を図り、及びその昇進を促進すること並びに職業を求め、これに就き、これを継続し、及びこれに復帰する際の支援を促進すること。 (f)自営活動の機会、起業家精神、協同組合の発展及び自己の事業の開始を促進すること。 (g)公的部門において障害者を雇用すること。 (h)適当な政策及び措置(積極的差別是正措置、奨励措置その他の措置を含めることができる。)を通じて、民間部門における障害者の雇用を促進すること。 (i)職場において合理的配慮が障害者に提供されることを確保すること。 (j)開かれた労働市場において障害者が職業経験を得ることを促進すること。 (k)障害者の職業リハビリテーション、職業の保持及び職場復帰計画を促進すること。 2 締約国は、障害者が、奴隷の状態又は隷属状態に置かれないこと及び他の者との平等を基礎として強制労働から保護されることを確保する。 第二十八条 相当な生活水準及び社会的な保障 1 締約国は、障害者が、自己及びその家族の相当な生活水準(相当な食糧、衣類及び住居を含む。)についての権利並びに生活条件の不断の改善についての権利を有することを認めるものとし、障害に基づく差別なしにこの権利を実現することを保障し、及び促進するための適当な措置をとる。 2 締約国は、社会的な保障についての障害者の権利及び障害に基づく差別なしにこの権利を享受することについての障害者の権利を認めるものとし、この権利の実現を保障し、及び促進するための適当な措置をとる。この措置には、次のことを確保するための措置を含む。 (a)障害者が清浄な水のサービスを利用する均等な機会を有し、及び障害者が障害に関連するニーズに係る適当なかつ費用の負担しやすいサービス、補装具その他の援助を利用する機会を有すること。 (b)障害者(特に、障害のある女子及び高齢者)が社会的な保障及び貧困削減に関する計画を利用する機会を有すること。 (c)貧困の状況において生活している障害者及びその家族が障害に関連する費用についての国の援助(適当な研修、カウンセリング、財政的援助及び介護者の休息のための一時的な介護を含む。)を利用する機会を有すること。 (d)障害者が公営住宅計画を利用する機会を有すること。 (e)障害者が退職に伴う給付及び計画を利用する均等な機会を有すること。 第二十九条 政治的及び公的活動への参加  締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障するものとし、次のことを約束する。 (a)特に次のことを行うことにより、障害者が、直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。 (i)投票の手続、設備及び資料が適当な及び利用しやすいものであり、並びにその理解及び使用が容易であることを確保すること。 (ii)障害者が、選挙及び国民投票において脅迫を受けることなく秘密投票によって投票し、選挙に立候補し、並びに政府のあらゆる段階において実質的に在職し、及びあらゆる公務を遂行する権利を保護すること。この場合において、適当なときは支援機器及び新たな機器の使用を容易にするものとする。 (iii)選挙人としての障害者の意思の自由な表明を保障すること。このため、必要な場合には、障害者の要請に応じて、当該障害者により選択される者が投票の際に援助することを認めること。 (b)障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、政治に効果的かつ完全に参加することができる環境を積極的に促進し、及び政治への障害者の参加を奨励すること。政治への参加には、次のことを含む。 (i)国の公的及び政治的活動に関係のある非政府機関及び非政府団体に参加し、並びに政党の活動及び運営に参加すること。 (ii)国際、国内、地域及び地方の各段階において障害者を代表するための障害者の組織を結成し、並びにこれに参加すること。 第三十条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加 1 締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として文化的な生活に参加する権利を認めるものとし、次のことを確保するための全ての適当な措置をとる。 (a)障害者が、利用しやすい様式を通じて、文化的な作品を享受する機会を有すること。 (b)障害者が、利用しやすい様式を通じて、テレビジョン番組、映画、演劇その他の文化的な活動を享受する機会を有すること。 (c)障害者が、文化的な公演又はサービスが行われる場所(例えば、劇場、博物館、映画館、図書館、観光サービス)を利用する機会を有し、並びに自国の文化的に重要な記念物及び場所を享受する機会をできる限り有すること。 2 締約国は、障害者が、自己の利益のためのみでなく、社会を豊かにするためにも、自己の創造的、芸術的及び知的な潜在能力を開発し、及び活用する機会を有することを可能とするための適当な措置をとる。 3 締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保するための全ての適当な措置をとる。 4 障害者は、他の者との平等を基礎として、その独自の文化的及び言語的な同一性(手話及び聾文化を含む。)の承認及び支持を受ける権利を有する。 5 締約国は、障害者が他の者との平等を基礎としてレクリエーション、余暇及びスポーツの活動に参加することを可能とすることを目的として、次のことのための適当な措置をとる。 (a)障害者があらゆる水準の一般のスポーツ活動に可能な限り参加することを奨励し、及び促進すること。 (b)障害者が障害に応じたスポーツ及びレクリエーションの活動を組織し、及び発展させ、並びにこれらに参加する機会を有することを確保すること。このため、適当な指導、研修及び資源が他の者との平等を基礎として提供されるよう奨励すること。 (c)障害者がスポーツ、レクリエーション及び観光の場所を利用する機会を有することを確保すること。 (d)障害のある児童が遊び、レクリエーション、余暇及びスポーツの活動(学校制度におけるこれらの活動を含む。)への参加について他の児童と均等な機会を有することを確保すること。 (e)障害者がレクリエーション、観光、余暇及びスポーツの活動の企画に関与する者によるサービスを利用する機会を有することを確保すること。 第三十一条 統計及び資料の収集 1 締約国は、この条約を実効的なものとするための政策を立案し、及び実施することを可能とするための適当な情報(統計資料及び研究資料を含む。)を収集することを約束する。この情報を収集し、及び保持する過程においては、次のことを満たさなければならない。 (a)障害者の秘密の保持及びプライバシーの尊重を確保するため、法令に定める保障措置(資料の保護に関する法令を含む。)を遵守すること。 (b)人権及び基本的自由を保護するための国際的に受け入れられた規範並びに統計の収集及び利用に関する倫理上の原則を遵守すること。 2 この条の規定に従って収集された情報は、適宜分類されるものとし、この条約に基づく締約国の義務の履行の評価に役立てるために、並びに障害者がその権利を行使する際に直面する障壁を特定し、及び当該障壁に対処するために利用される。 3 締約国は、これらの統計の普及について責任を負うものとし、これらの統計が障害者及び他の者にとって利用しやすいことを確保する。 第三十二条 国際協力 1 締約国は、この条約の目的及び趣旨を実現するための自国の努力を支援するために国際協力及びその促進が重要であることを認識し、この点に関し、国家間において並びに適当な場合には関連のある国際的及び地域的機関並びに市民社会(特に障害者の組織)と連携して、適当かつ効果的な措置をとる。これらの措置には、特に次のことを含むことができる。 (a)国際協力(国際的な開発計画を含む。)が、障害者を包容し、かつ、障害者にとって利用しやすいものであることを確保すること。 (b)能力の開発(情報、経験、研修計画及び最良の実例の交換及び共有を通じたものを含む。)を容易にし、及び支援すること。 (c)研究における協力を容易にし、並びに科学及び技術に関する知識を利用する機会を得やすくすること。 (d)適当な場合には、技術援助及び経済援助(利用しやすい支援機器を利用する機会を得やすくし、及びこれらの機器の共有を容易にすることによる援助並びに技術移転を通じた援助を含む。)を提供すること。 2 この条の規定は、この条約に基づく義務を履行する各締約国の義務に影響を及ぼすものではない。 第三十三条 国内における実施及び監視 1 締約国は、自国の制度に従い、この条約の実施に関連する事項を取り扱う一又は二以上の中央連絡先を政府内に指定する。また、締約国は、異なる部門及び段階における関連のある活動を容易にするため、政府内における調整のための仕組みの設置又は指定に十分な考慮を払う。 2 締約国は、自国の法律上及び行政上の制度に従い、この条約の実施を促進し、保護し、及び監視するための枠組み(適当な場合には、一又は二以上の独立した仕組みを含む。)を自国内において維持し、強化し、指定し、又は設置する。締約国は、このような仕組みを指定し、又は設置する場合には、人権の保護及び促進のための国内機構の地位及び役割に関する原則を考慮に入れる。 3 市民社会(特に、障害者及び障害者を代表する団体)は、監視の過程に十分に関与し、かつ、参加する。 第三十四条 障害者の権利に関する委員会 1 障害者の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、以下に定める任務を遂行する。 2 委員会は、この条約の効力発生の時は十二人の専門家で構成する。効力発生の時の締約国に加え更に六十の国がこの条約を批准し、又はこれに加入した後は、委員会の委員の数を六人増加させ、上限である十八人とする。 3 委員会の委員は、個人の資格で職務を遂行するものとし、徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において能力及び経験を認められた者とする。締約国は、委員の候補者を指名するに当たり、第四条3の規定に十分な考慮を払うよう要請される。 4 委員会の委員については、締約国が、委員の配分が地理的に衡平に行われること、異なる文明形態及び主要な法体系が代表されること、男女が衡平に代表されること並びに障害のある専門家が参加することを考慮に入れて選出する。 5 委員会の委員は、締約国会議の会合において、締約国により当該締約国の国民の中から指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。締約国会議の会合は、締約国の三分の二をもって定足数とする。これらの会合においては、出席し、かつ、投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た者をもって委員会に選出された委員とする。 6 委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後六箇月以内に行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも四箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を二箇月以内に提出するよう書簡で要請する。その後、同事務総長は、指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、この条約の締約国に送付する。 7 委員会の委員は、四年の任期で選出される。委員は、一回のみ再選される資格を有する。ただし、最初の選挙において選出された委員のうち六人の委員の任期は、二年で終了するものとし、これらの六人の委員は、最初の選挙の後直ちに、5に規定する会合の議長によりくじ引で選ばれる。 8 委員会の六人の追加的な委員の選挙は、この条の関連規定に従って定期選挙の際に行われる。 9 委員会の委員が死亡し、辞任し、又は他の理由のためにその職務を遂行することができなくなったことを宣言した場合には、当該委員を指名した締約国は、残余の期間その職務を遂行する他の専門家であって、資格を有し、かつ、この条の関連規定に定める条件を満たすものを任命する。 10 委員会は、その手続規則を定める。 11 国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供するものとし、委員会の最初の会合を招集する。 12 この条約に基づいて設置される委員会の委員は、国際連合総会が委員会の任務の重要性を考慮して決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。 13 委員会の委員は、国際連合の特権及び免除に関する条約の関連規定に規定する国際連合のための職務を遂行する専門家の便益、特権及び免除を享受する。 第三十五条 締約国による報告 1 各締約国は、この条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告を、この条約が自国について効力を生じた後二年以内に国際連合事務総長を通じて委員会に提出する。 2 その後、締約国は、少なくとも四年ごとに、更に委員会が要請するときはいつでも、その後の報告を提出する。 3 委員会は、報告の内容について適用される指針を決定する。 4 委員会に対して包括的な最初の報告を提出した締約国は、その後の報告においては、既に提供した情報を繰り返す必要はない。締約国は、委員会に対する報告を作成するに当たり、公開され、かつ、透明性のある過程において作成することを検討し、及び第四条3の規定に十分な考慮を払うよう要請される。 5 報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び困難を記載することができる。 第三十六条 報告の検討 1 委員会は、各報告を検討する。委員会は、当該報告について、適当と認める提案及び一般的な性格を有する勧告を行うものとし、これらの提案及び一般的な性格を有する勧告を関係締約国に送付する。当該関係締約国は、委員会に対し、自国が選択する情報を提供することにより回答することができる。委員会は、この条約の実施に関連する追加の情報を当該関係締約国に要請することができる。 2 いずれかの締約国による報告の提出が著しく遅延している場合には、委員会は、委員会にとって利用可能な信頼し得る情報を基礎として当該締約国におけるこの条約の実施状況を審査することが必要であることについて当該締約国に通報(当該通報には、関連する報告が当該通報の後三箇月以内に行われない場合には審査する旨を含む。)を行うことができる。委員会は、当該締約国がその審査に参加するよう要請する。当該締約国が関連する報告を提出することにより回答する場合には、1の規定を適用する。 3 国際連合事務総長は、1の報告を全ての締約国が利用することができるようにする。 4 締約国は、1の報告を自国において公衆が広く利用することができるようにし、これらの報告に関連する提案及び一般的な性格を有する勧告を利用する機会を得やすくする。 5 委員会は、適当と認める場合には、締約国からの報告に記載されている技術的な助言若しくは援助の要請又はこれらの必要性の記載に対処するため、これらの要請又は必要性の記載に関する委員会の見解及び勧告がある場合には当該見解及び勧告とともに、国際連合の専門機関、基金及び計画その他の権限のある機関に当該報告を送付する。 第三十七条 締約国と委員会との間の協力 1 各締約国は、委員会と協力するものとし、委員の任務の遂行を支援する。 2 委員会は、締約国との関係において、この条約の実施のための当該締約国の能力を向上させる方法及び手段(国際協力を通じたものを含む。)に十分な考慮を払う。 第三十八条 委員会と他の機関との関係  この条約の効果的な実施を促進し、及びこの条約が対象とする分野における国際協力を奨励するため、 (a)専門機関その他の国際連合の機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出す権利を有する。委員会は、適当と認める場合には、専門機関その他の権限のある機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について専門家の助言を提供するよう要請することができる。委員会は、専門機関その他の国際連合の機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。 (b)委員会は、その任務を遂行するに当たり、それぞれの報告に係る指針、提案及び一般的な性格を有する勧告の整合性を確保し、並びにその任務の遂行における重複を避けるため、適当な場合には、人権に関する国際条約によって設置された他の関連する組織と協議する。 第三十九条 委員会の報告  委員会は、その活動につき二年ごとに国際連合総会及び経済社会理事会に報告するものとし、また、締約国から得た報告及び情報の検討に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、締約国から意見がある場合にはその意見とともに、委員会の報告に記載する。 第四十条 締約国会議 1 締約国は、この条約の実施に関する事項を検討するため、定期的に締約国会議を開催する。 2 締約国会議は、この条約が効力を生じた後六箇月以内に国際連合事務総長が招集する。その後の締約国会議は、二年ごとに又は締約国会議の決定に基づき同事務総長が招集する。 第四十一条 寄託者 この条約の寄託者は、国際連合事務総長とする。 第四十二条 署名  この条約は、二千七年三月三十日から、ニューヨークにある国際連合本部において、全ての国及び地域的な統合のための機関による署名のために開放しておく。 第四十三条 拘束されることについての同意  この条約は、署名国によって批准されなければならず、また、署名した地域的な統合のための機関によって正式確認されなければならない。この条約は、これに署名していない国及び地域的な統合のための機関による加入のために開放しておく。 第四十四条 地域的な統合のための機関 1 「地域的な統合のための機関」とは、特定の地域の主権国家によって構成される機関であって、この条約が規律する事項に関してその構成国から権限の委譲を受けたものをいう。地域的な統合のための機関は、この条約の規律する事項に関するその権限の範囲をこの条約の正式確認書又は加入書において宣言する。その後、当該機関は、その権限の範囲の実質的な変更を寄託者に通報する。 2 この条約において「締約国」についての規定は、地域的な統合のための機関の権限の範囲内で当該機関について適用する。 3 次条1並びに第四十七条2及び3の規定の適用上、地域的な統合のための機関が寄託する文書は、これを数に加えてはならない。 4 地域的な統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約の締約国であるその構成国の数と同数の票を締約国会議において投ずる権利を行使することができる。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。 第四十五条 効力発生 1 この条約は、二十番目の批准書又は加入書が寄託された後三十日目の日に効力を生ずる。 2 この条約は、二十番目の批准書又は加入書が寄託された後にこれを批准し、若しくは正式確認し、又はこれに加入する国又は地域的な統合のための機関については、その批准書、正式確認書又は加入書の寄託の後三十日目の日に効力を生ずる。 第四十六条 留保 1 この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。 2 留保は、いつでも撤回することができる。 第四十七条 改正 1 いずれの締約国も、この条約の改正を提案し、及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、締約国に対し、改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び決定のための締約国の会議の開催についての賛否を通報するよう要請する。その送付の日から四箇月以内に締約国の三分の一以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席し、かつ、投票する締約国の三分の二以上の多数によって採択された改正案は、同事務総長により、承認のために国際連合総会に送付され、その後受諾のために全ての締約国に送付される。 2 1の規定により採択され、かつ、承認された改正は、当該改正の採択の日における締約国の三分の二以上が受諾書を寄託した後三十日目の日に効力を生ずる。その後は、当該改正は、いずれの締約国についても、その受諾書の寄託の後三十日目の日に効力を生ずる。改正は、それを受諾した締約国のみを拘束する。 3 締約国会議がコンセンサス方式によって決定する場合には、1の規定により採択され、かつ、承認された改正であって、第三十四条及び第三十八条から第四十条までの規定にのみ関連するものは、当該改正の採択の日における締約国の三分の二以上が受諾書を寄託した後三十日目の日に全ての締約国について効力を生ずる。 第四十八条 廃棄  締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後一年で効力を生ずる。 第四十九条 利用しやすい様式 この条約の本文は、利用しやすい様式で提供される。 第五十条 正文  この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とする。  以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。 <資料URL> 権利条約の英語正文のURL: http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRPD/Pages/ConventionRightsPersonsWithDisabilities.aspx 資料1−2 障害のある人の権利に関する条約の選択議定書 (川島聡=長瀬修仮訳(2008年5月30日付)) この議定書の締約国は、次のとおり協定した。 第1条〔個人通報についての委員会の権限〕 1 この議定書の締約国(以下「締約国」という。)は、障害のある人の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)が、当該締約国による条約規定の侵害の被害者であると主張する当該締約国の管轄の下にある個人若しくは集団により提出される通報又はこれらの個人若しくは集団のために提出される通報を受理し及び検討する権限を有することを認める。 2 委員会は、この議定書の締約国でない条約の締約国についての通報を受理してはならない。 第2条〔通報を受理できない場合〕 委員会は、次の場合には、通報を受理することができないと判断する。 (a)通報が匿名である場合 (b)通報が、通報提出の権利の濫用を構成する場合、又は条約の規定と両立しない場合 (c)同一の事案が、委員会によりすでに審査された場合、又は国際的な調査若しくは解決のための他の手続により審査されたか若しくは審査されている場合 (d)利用可能なすべての国内的な救済措置を尽くしていない場合。ただし、当該救済措置の実施が不当に遅延する場合又は効果的な救済をもたらす可能性に乏しい場合は、この限りでない。 (e)通報が、明らかに根拠を欠いている場合、又は十分に立証されていない場合 (f)通報の対象となる事実が、関係締約国についてこの議定書が効力を生ずる前に発生した場合。ただし、この議定書が効力を生じた日以降も当該事実が継続している場合は、この限りでない。 第3条〔関係国への照会〕  委員会は、前条の規定に従うことを条件として、いずれの通報についても、関係締約国の注意を内密に喚起する。注意を喚起された国は、6箇月以内に、その事案及び当該国がとった救済措置がある場合には当該救済措置を詳らかにした書面による説明又は声明を委員会に提出する。 第4条〔暫定措置〕 1 委員会は、通報が受理されてから本案の決定に至るまでのいつでも、関係締約国に対して、当該締約国による緊急の考慮を促すため、当該通報を行った被害者に生じ得る回復不能な損害を回避するために必要となり得る暫定的な措置を講ずることを求める要請を送付することができる。 2 委員会が1の規定に基づく裁量を行使する場合であっても、これは当該通報の受理可能性又は本案についての決定を意味するものではない。 第5条〔通報の審査〕  委員会は、この議定書に基づき通報を審査する場合には、非公開の会合を開催する。委員会は、通報を審査した後、その提案を、勧告がある場合には勧告とともに、関係締約国及び請願者に送付する。 第6条〔委員会の調査〕 1 委員会は、締約国による条約に定める権利の重大な又は系統的な侵害を示す信頼できる情報を受領した場合には、当該締約国に対し、当該情報に関する審査に協力し及びこのため当該情報に関する見解を提出するよう要請する。 2 委員会は、関係締約国により提出されることのあるすべての見解を他の信頼できる入手可能な情報とともに考慮に入れた上で、1人又は2人以上の委員を指名して調査を行わせ、及び委員会に緊急に報告させることができる。この調査には、正当な根拠及び当該締約国の同意がある場合には、当該締約国の領域への訪問を含めることができる。 3 委員会は、2の調査の結果を審査した後、当該調査結果をその意見及び勧告とともに関係締約国に送付する。 4 関係締約国は、委員会により送付された調査結果、意見及び勧告を受領した後6箇月以内に、その見解を委員会に送付する。 5 2の調査は内密に行われるものとし、また、関係締約国の協力はこの手続のすべての段階で求められる。 第7条〔調査に応えて講じた措置〕 1 委員会は、関係締約国に対し、この議定書第6条に基づいて行われる調査に応えて当該締約国が講じたいずれの措置の詳細をも、条約第35条に基づく報告に記載するよう要請することができる。 2 委員会は、必要なときは、第6条4に定める6箇月の期間の終了後、関係締約国に対し、調査に応えて当該締約国が講じた措置を委員会に通告するよう要請することができる。 第8条〔第6条及び第7条に対する適用除外宣言〕  各締約国は、この議定書の署名若しくは批准又はこれへの加入の際に、委員会が第6条及び第7条に規定する権限を有することを認めない旨を宣言することができる。 第9条〔寄託先〕 この議定書の寄託先は、国際連合事務総長とする。 第10条〔署名〕  この議定書は、2007年3月30日に、ニュー・ヨークにある国際連合本部において、すべての国及び地域的な統合のための機関による署名のために開放しておく。 第11条〔拘束されることについての同意〕  この議定書は、条約を批准し又はこれに加入し、かつ、この議定書に署名した国により批准されなければならない。この議定書は、条約を正式に確認し又はこれに加入し、かつ、この議定書に署名した地域的な統合のための機関により正式確認が行われなければならない。この議定書は、条約を批准し、正式に確認し、又はこれに加入し、かつ、この議定書に署名していない国又は地域的な統合のための機関による加入のために開放しておく。 第12条〔地域的な統合のための機関〕 1 「地域的な統合のための機関」とは、特定の地域の主権国家によって構成される機関であって、条約及びこの議定書が規律する事項に関しその加盟国から権限の委譲を受けたものをいう。当該機関は、その正式確認書又は加入書において、条約及びこの議定書の規律する事項に関する自己の権限の範囲を宣言する。その後は、当該機関は、その権限の範囲の実質的な変更を寄託先に通報する。 2 この議定書において「締約国」についての規定は、地域的な統合のための機関の権限の範囲内で当該機関に準用する。 3 第13条1及び第15条2の適用上、地域的な統合のための機関によって寄託されるいずれの文書をも数えてはならない。 4 地域的な統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この議定書の締約国であるその加盟国の数と同数の票を投ずる権利を締約国の会合で行使することができる。当該機関は、その加盟国のいずれかが自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。 第13条〔効力発生〕 1 条約の効力発生を条件として、この議定書は、10番目の批准書又は加入書が寄託された後30日目の日に効力を生ずる。 2 10番目の批准書、正式確認書又は加入書が寄託された後にこの議定書を批准し、正式に確認し、又はこれに加入する国又は地域的な統合のための機関については、この議定書は、当該国又は当該機関によりこれらの文書が寄託された後30日目の日に効力を生ずる。 第14条〔留保〕 1 この議定書の趣旨及び目的と両立しない留保は認められない。 2 留保は、いつでも撤回することができる。 第15条〔改正〕 1 いずれの締約国も、この議定書の改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、締約国に対し、その改正案を送付するものとし、改正案の審議及び決定のための締約国の会合の開催についての賛否を示すよう要請する。その送付の日から4箇月以内に締約国の3分の1以上が会合の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会合を招集する。会合において出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数によって採択された改正案は、同事務総長が、承認のため国際連合総会に提出するものとし、その後は受諾のためすべての締約国に送付する。 2 1の規定に従って採択されかつ承認された改正は、当該改正の採択の日における締約国数の3分の2以上が受諾書を寄託した後30日目の日に効力を生ずる。その後は、いずれの締約国についても、自国の受諾書の寄託の後30日目の日に効力を生ずる。改正は、それを受諾した締約国のみを拘束する。 第16条〔廃棄〕  締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この議定書を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後1年で効力を生ずる。 第17条〔アクセシブルな様式〕 この議定書の本文は、アクセシブルな様式で利用できるものにしなければならない。 第18条〔正文〕  この議定書は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とする。  上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの議定書に署名した。 <引用元> http://www.normanet.ne.jp/~jdf/shiryo/convention/30May2008CRPDtranslation_into_Japanese.html 【凡例】 1. この川島=長瀬仮訳(2008年5月30日付)は、2006年12月13日に国連総会で採択された"Convention on the Rights of Persons with Disabilities"と"Optional Protocol to the Convention on the Rights of Persons with Disabilities"の全文仮訳である。この仮訳の訳出に当たり、2007年2月19日時点で、国連のウェブサイト(http://www.un.org/esa/socdev/enable/plenaryofga06.htm, visited 19 February 2007)に掲載されていた"True Certified Copies"の英語正文を基本的に利用するとともに、必要に応じて、その仏語正文・西語正文を利用した。なお、この仮訳は、日本障害フォーラムのホームページ(http://www.normanet.ne.jp/~jdf/shiryo/convention/)等で公表した従前の仮訳(2007年3月29日付、2007年10月29日付)を改訂したものである。 2. この仮訳は、各種条約集その他の関係諸文献を参考にしたが、日本が締約国の条約の中に類似した表現があるものについては、公定訳に合わせたものもあれば、そうではないものもある。後者の例として、公定訳では一般に「適当な」と訳されている"appropriate"を本仮訳では「適切な」と訳したり、公定訳では「女子」「児童」と訳されている部分を「女性」「子ども」と訳したりした。また、この仮訳の作成に当たり、「障害者の権利に関する条約」の日本政府仮訳も参考にした(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/shomei_32.pdf、visited11October2007)。 3. この条約の選択議定書の正文には条文見出しがないが、訳者が亀甲括弧〔 〕内に条文見出しを補った。また、亀甲括弧〔 〕内には、別の翻訳可能性のある言葉を補った。例えば、障害〔ディスアビリティ〕や監視〔モニタリング〕等のようにカタカナ表記を補った場合や、ライブ・アシスタンス〔人又は動物による支援〕等のように英語正文のカタカナ表記に仏西正文の訳語を補った場合などがある。 <参考URL> 権利条約選択議定書の英語正文のURL:http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/CRPD/Pages/OptionalProtocolRightsPersonsWithDisabilities.aspx 資料1−3 批准国一覧 T 権利条約批准国一覧表 別表1のとおり U 権利条約選択議定書批准国一覧表 別表2のとおり T 権利条約批准国一覧表 別表1 障害者権利条約批准国一覧(2014年6月30日現在) 1、Jamaicaは、2007年3月30日に署名、2007年3月30日に批准 2、Hungaryは、2007年3月30日に署名、2007年7月20日に批准 3、Panamaは、2007年3月30日に署名、2007年8月7日に批准 4、Croatiaは、2007年3月30日に署名、2007年8月15日に批准 5、Cubaは、2007年4月26日に署名、2007年9月6日に批准 6、Gabonは、2007年3月30日に署名、2007年10月1日に批准 6、Indiaは、2007年3月30日に署名、2007年10月1日に批准 8、Bangladeshは、2007年5月9日に署名、2007年11月30日に批准 8、South Africaは、2007年3月30日に署名、2007年11月30日に批准 10、Spainは、2007年3月30日に署名、2007年12月3日に批准 11、Namibiaは、2007年4月25日に署名、2007年12月4日に批准 12、Nicaraguaは、2007年3月30日に署名、2007年12月7日に批准 13、El Salvadorは、2007年3月30日に署名、2007年12月14日に批准 14、Mexicoは、2007年3月30日に署名、2007年12月17日に批准 15、Peruは、2007年3月30日に署名、2008年1月30日に批准 16、Guineaは、2007年5月16日に署名、2008年2月8日に批准 17、San Marinoは、2007年3月30日に署名、2008年2月22日に批准 18、Jordanは、2007年3月30日に署名、2008年3月31日に批准 19、Tunisiaは、2007年3月30日に署名、2008年4月2日に批准 20、Ecuadorは、2007年3月30日に署名、2008年4月3日に批准 21、Maliは、2007年5月15日に署名、2008年4月7日に批准 22、Egyptは、2007年4月4日に署名、2008年4月14日に批准 22、Hondurasは、2007年3月30日に署名、2008年4月14日に批准 24、Philippinesは、2007年9月25日に署名、2008年4月15日に批准 25、Sloveniaは、2007年3月30日に署名、2008年4月24日に批准 26、Qatarは、2007年7月9日に署名、2008年5月13日に批准 27、Kenyaは、2007年3月30日に署名、2008年5月19日に批准 28、Nigerは、2007年3月30日に署名、2008年6月24日に批准 28、Saudi Arabiaは署名はせず、2008年6月24日に批准 30、Australiaは、2007年3月30日に署名、2008年7月17日に批准 31、Chileは、2007年3月30日に署名、2008年7月29日に批准 31、Thailandは、2007年3月30日に署名、2008年7月29日に批准 33、Brazilは、2007年3月30日に署名、2008年8月1日に批准 33、Chinaは、2007年3月30日に署名、2008年8月1日に批准 35、Argentinaは、2007年3月30日に署名、2008年9月2日に批准 36、Paraguayは、2007年3月30日に署名、2008年9月3日に批准 37、Turkmenistanは署名はせず、2008年9月4日に批准 38、New Zealandは、2007年3月30日に署名、2008年9月25日に批准 38、Ugandaは、2007年3月30日に署名、2008年9月25日に批准 40、Austriaは、2007年3月30日に署名、2008年9月26日に批准 41、Costa Ricaは、2007年3月30日に署名、2008年10月1日に批准 42、Vanuatuは、2007年5月17日に署名、2008年10月23日に批准 43、Lesothoは署名はせず、2008年12月2日に批准 44、Republic of Koreaは、2007年3月30日に署名、2008年12月11日に批准 45、Rwandaは署名はせず、2008年12月15日に批准 45、Swedenは、2007年3月30日に署名、2008年12月15日に批准 47、Omanは、2008年3月17日に署名、2009年1月6日に批准 48、Azerbaijanは、2008年1月9日に署名、2009年1月28日に批准 49、Uruguayは、2007年4月3日に署名、2009年2月11日に批准 50、Germanyは、2007年3月30日に署名、2009年2月24日に批准 51、Yemenは、2007年3月30日に署名、2009年3月26日に批准 52、Guatemalaは、2007年3月30日に署名、2009年4月7日に批准 53、Moroccoは、2007年3月30日に署名、2009年4月8日に批准 54、Sudanは、2007年3月30日に署名、2009年4月24日に批准 55、Cook Islandsは署名はせず、2009年5月8日に批准 56、Mongoliaは署名はせず、2009年5月13日に批准 57、Italyは、2007年3月30日に署名、2009年5月15日に批准 58、United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandは、2007年3月30日に署名、2009年6月8日に批准 59、Belgiumは、2007年3月30日に署名、2009年7月2日に批准 60、Syrian Arab Republicは、2007年3月30日に署名、2009年7月10日に批准 61、Burkina Fasoは、2007年5月23日に署名、2009年7月23日に批准 61、Haitiは署名はせず、2009年7月23日に批准 63、Denmarkは、2007年3月30日に署名、2009年7月24日に批准 64、Serbiaは、2007年12月17日に署名、2009年7月31日に批准 65、Dominican Republicは、2007年3月30日に署名、2009年8月18日に批准 66、Malawiは、2007年9月27日に署名、2009年8月27日に批准 67、Portugalは、2007年3月30日に署名、2009年9月23日に批准 68、Lao People's Democratic Republicは、2008年1月15日に署名、2009年9月25日に批准 69、Czech Republicは、2007年3月30日に署名、2009年9月28日に批准 69、Turkeyは、2007年3月30日に署名、2009年9月28日に批准 71、Seychellesは、2007年3月30日に署名、2009年10月2日に批准 72、Iran (Islamic Republic of)は署名はせず、2009年10月23日に批准 73、Montenegroは、2007年9月27日に署名、2009年11月2日に批准 74、United Republic of Tanzaniaは、2007年3月30日に署名、2009年11月10日に批准 75、Bolivia (Plurinational State of)は、2007年8月13日に署名、2009年11月16日に批准 76、Algeriaは、2007年3月30日に署名、2009年12月4日に批准 77、Mauritiusは、2007年9月25日に署名、2010年1月8日に批准 78、Zambiaは、2008年5月9日に署名、2010年2月1日に批准 79、Ukraineは、2008年9月24日に署名、2010年2月4日に批准 80、Franceは、2007年3月30日に署名、2010年2月18日に批准 81、Latviaは、2008年7月18日に署名、2010年3月1日に批准 82、Canadaは、2007年3月30日に署名、2010年3月11日に批准 83、Bosnia and Herzegovinaは、2009年7月29日に署名、2010年3月12日に批准 84、United Arab Emiratesは、2008年2月8日に署名、2010年3月19日に批准 85、Maldivesは、2007年10月2日に署名、2010年4月5日に批准 86、Nepalは、2008年1月3日に署名、2010年5月7日に批准 87、Slovakiaは、2007年9月26日に署名、2010年5月26日に批准 88、Ethiopiaは、2007年3月30日に署名、2010年7月7日に批准 89、Malaysiaは、2008年4月8日に署名、2010年7月19日に批准 90、Lithuaniaは、2007年3月30日に署名、2010年8月18日に批准 91、Senegalは、2007年4月25日に署名、2010年9月7日に批准 92、Republic of Moldovaは、2007年3月30日に署名、2010年9月21日に批准 93、Armeniaは、2007年3月30日に署名、2010年9月22日に批准 94、Nigeriaは、2007年3月30日に署名、2010年9月24日に批准 95、Sierra Leoneは、2007年3月30日に署名、2010年10月4日に批准 96、St. Vincent and the Grenadinesは署名はせず、2010年10月29日に批准 97、European Unionは、2007年3月30日に署名、2010年12月23日に批准 98、Romaniaは、2007年9月26日に署名、2011年1月31日に批准 99、Togoは、2008年9月23日に署名、2011年3月1日に批准 100、Colombiaは、2007年3月30日に署名、2011年5月10日に批准 101、Belizeは、2011年5月9日に署名、2011年6月2日に批准 102、Cyprusは、2007年3月30日に署名、2011年6月27日に批准 103、Pakistanは、2008年9月25日に署名、2011年7月5日に批准 104、Bahrainは、2007年6月25日に署名、2011年9月22日に批准 105、Luxembourgは、2007年3月30日に署名、2011年9月26日に批准 106、Cabo Verdeは、2007年3月30日に署名、2011年10月10日に批准 107、Indonesiaは、2007年3月30日に署名、2011年11月30日に批准 108、Myanmarは署名はせず、2011年12月7日に批准 109、The former Yugoslav Republic of Macedoniaは、2007年3月30日に署名、2011年12月29日に批准 110、Mozambiqueは、2007年3月30日に署名、2012年1月30日に批准 111、Bulgariaは、2007年9月27日に署名、2012年3月22日に批准 112、Mauritaniaは署名はせず、2012年4月3日に批准 113、Estoniaは、2007年9月25日に署名、2012年5月30日に批准 114、Greeceは、2007年3月30日に署名、2012年5月31日に批准 115、Djiboutiは署名はせず、2012年6月18日に批准 116、Nauruは署名はせず、2012年6月27日に批准 117、Beninは、2008年2月8日に署名、2012年7月5日に批准 118、Liberiaは、2007年3月30日に署名、2012年7月26日に批准 119、Ghanaは、2007年3月30日に署名、2012年7月31日に批准 120、Afghanistanは署名はせず、2012年9月18日に批准 121、Swazilandは、2007年9月25日に署名、2012年9月24日に批准 122、Polandは、2007年3月30日に署名、2012年9月25日に批准 122、Russian Federationは、2008年9月24日に署名、2012年9月25日に批准 124、Israelは、2007年3月30日に署名、2012年9月28日に批准 125、Dominicaは、2007年3月30日に署名、2012年10月1日に批准 126、Maltaは、2007年3月30日に署名、2012年10月10日に批准 127、Cambodiaは、2007年10月1日に署名、2012年12月20日に批准 128、Albaniaは、2009年12月22日に署名、2013年2月11日に批准 129、Barbadosは、2007年7月19日に署名、2013年2月27日に批准 130、Iraqは署名はせず、2013年3月20日に批准 131、Norwayは、2007年3月30日に署名、2013年6月3日に批准 132、Palauは、2011年9月20日に署名、2013年6月11日に批准 133、Singaporeは、2012年11月30日に署名、2013年7月18日に批准 134、Kuwaitは署名はせず、2013年8月22日に批准 135、Zimbabweは署名はせず、2013年9月23日に批准 136、Venezuela (Bolivarian Republic of)は署名はせず、2013年9月24日に批准 137、Papua New Guineaは、2011年6月2日に署名、2013年9月26日に批准 138、Kiribatiは署名はせず、2013年9月27日に批准 139、Tuvaluは署名はせず、2013年12月18日に批准 140、Cote d'Ivoireは、2007年6月7日に署名、2014年1月10日に批准 141、Japanは、2007年9月28日に署名、2014年1月20日に批准 142、Andorraは、2007年4月27日に署名、2014年3月11日に批准 143、Georgiaは、2009年7月10日に署名、2014年3月13日に批准 144、State of Palestineは署名はせず、2014年4月2日に批准 145、Switzerlandは署名はせず、2014年4月15日に批准 146、Angolaは署名はせず、2014年5月19日に批准 147、Burundiは、2007年4月26日に署名、2014年5月22日に批准 U 権利条約選択議定書批准国一覧表 別表2 障害者権利条約選択議定書批准国一覧(2014年6月30日現在) 1、Hungaryは、2007年3月30日に署名、2007年7月20日に批准 2、Panamaは、2007年3月30日に署名、2007年8月7日に批准 3、Croatiaは、2007年3月30日に署名、2007年8月15日に批准 4、South Africaは、2007年3月30日に署名、2007年11月30日に批准 5、Spainは、2007年3月30日に署名、2007年12月3日に批准 6、Namibiaは、2007年4月25日に署名、2007年12月4日に批准 7、El Salvadorは、2007年3月30日に署名、2007年12月14日に批准 8、Mexicoは、2007年3月30日に署名、2007年12月17日に批准 9、Peruは、2007年3月30日に署名、2008年1月30日に批准 10、Guineaは、2007年8月31日に署名、2008年2月8日に批准 11、San Marinoは、2007年3月30日に署名、2008年2月22日に批准 12、Tunisiaは、2007年3月30日に署名、2008年4月2日に批准 13、Ecuadorは、2007年3月30日に署名、2008年4月3日に批准 14、Maliは、2007年5月15日に署名、2008年4月7日に批准 15、Sloveniaは、2007年3月30日に署名、2008年4月24日に批准 16、Bangladeshは署名はせず、2008年5月12日に批准 17、Nigerは、2007年8月2日に署名、2008年6月24日に批准 17、Saudi Arabiaは署名はせず、2008年6月24日に批准 19、Chileは、2007年3月30日に署名、2008年7月29日に批准 20、Brazilは、2007年3月30日に署名、2008年8月1日に批准 21、Argentinaは、2007年3月30日に署名、2008年9月2日に批准 22、Paraguayは、2007年3月30日に署名、2008年9月3日に批准 23、Ugandaは、2007年3月30日に署名、2008年9月25日に批准 24、Austriaは、2007年3月30日に署名、2008年9月26日に批准 25、Costa Ricaは、2007年3月30日に署名、2008年10月1日に批准 26、Rwandaは署名はせず、2008年12月15日に批准 26、Swedenは、2007年3月30日に署名、2008年12月15日に批准 28、Azerbaijanは、2008年1月9日に署名、2009年1月28日に批准 29、Germanyは、2007年3月30日に署名、2009年2月24日に批准 30、Yemenは、2007年4月11日に署名、2009年3月26日に批准 31、Guatemalaは、2007年3月30日に署名、2009年4月7日に批准 32、Moroccoは署名はせず、2009年4月8日に批准 33、Sudanは署名はせず、2009年4月24日に批准 34、Cook Islandsは署名はせず、2009年5月8日に批准 35、Mongoliaは署名はせず、2009年5月13日に批准 36、Italyは、2007年3月30日に署名、2009年5月15日に批准 37、Belgiumは、2007年3月30日に署名、2009年7月2日に批准 38、Syrian Arab Republicは署名はせず、2009年7月10日に批准 39、Burkina Fasoは、2007年5月23日に署名、2009年7月23日に批准 40、Haitiは署名はせず、2009年7月23日に批准 41、Serbiaは、2007年12月17日に署名、2009年7月31日に批准 42、United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandは、2009年2月26日に署名、2009年8月7日に批准 43、Dominican Republicは、2007年3月30日に署名、2009年8月18日に批准 44、Australiaは署名はせず、2009年8月21日に批准 45、Portugalは、2007年3月30日に署名、2009年9月23日に批准 46、Montenegroは、2007年9月27日に署名、2009年11月2日に批准 47、United Republic of Tanzaniaは、2008年9月29日に署名、2009年11月10日に批准 48、Bolivia (Plurinational State of)は、2007年8月13日に署名、2009年11月16日に批准 49、Nicaraguaは、2008年10月21日に署名、2010年2月2日に批准 50、Ukraineは、2008年9月24日に署名、2010年2月4日に批准 51、Franceは、2008年9月23日に署名、2010年2月18日に批准 52、Bosnia and Herzegovinaは、2009年7月29日に署名、2010年3月12日に批准 53、Nepalは、2008年1月3日に署名、2010年5月7日に批准 54、Slovakiaは、2007年9月26日に署名、2010年5月26日に批准 55、Hondurasは、2007年8月23日に署名、2010年8月16日に批准 56、Lithuaniaは、2007年3月30日に署名、2010年8月18日に批准 57、Latviaは、2010年1月22日に署名、2010年8月31日に批准 58、Nigeriaは、2007年3月30日に署名、2010年9月24日に批准 59、St. Vincent and the Grenadinesは署名はせず、2010年10月29日に批准 60、Turkmenistanは署名はせず、2010年11月10日に批准 61、Togoは、2008年9月23日に署名、2011年3月1日に批准 62、Cyprusは、2007年3月30日に署名、2011年6月27日に批准 63、Luxembourgは、2007年3月30日に署名、2011年9月26日に批准 64、Uruguayは署名はせず、2011年10月28日に批准 65、The former Yugoslav Republic of Macedoniaは、2009年7月29日に署名、2011年12月29日に批准 66、Mozambiqueは署名はせず、2012年1月30日に批准 67、Mauritaniaは署名はせず、2012年4月3日に批准 68、Estoniaは署名はせず、2012年5月30日に批准 69、Greeceは、2010年9月27日に署名、2012年5月31日に批准 70、Djiboutiは署名はせず、2012年6月18日に批准 71、Beninは、2008年2月8日に署名、2012年7月5日に批准 72、Ghanaは、2007年3月30日に署名、2012年7月31日に批准 73、Afghanistanは署名はせず、2012年9月18日に批准 74、Swazilandは、2007年9月25日に署名、2012年9月24日に批准 75、Dominicaは署名はせず、2012年10月1日に批准 76、Maltaは、2007年3月30日に署名、2012年10月10日に批准 77、Palauは署名はせず、2013年6月11日に批准 78、Zimbabweは署名はせず、2013年9月23日に批准 79、Venezuela (Bolivarian Republic of)は署名はせず、2013年9月24日に批准 80、Andorraは、2007年4月27日に署名、2014年3月11日に批准 81、Angolaは署名はせず、2014年5月19日に批准 82、Burundiは、2007年4月26日に署名、2014年5月22日に批准 83、Gabonは、2007年9月25日に署名、2014年6月26日に批准 資料1−4 障害者権利委員会一般的意見 T 障害者権利委員会一般的意見第1号(要旨) 1 本一般的意見は,条約12条(法の前の平等)の解釈に関して障害者権利委員会から出された一般的意見である。 2 本一般的意見は,大きく分けて「T 序論」,「U 12条の規範的内容」,「V 締約国の義務」,「W 条約の他の規定との関係」「X 国内レベルでの実施」の5つの項目から成り立っている a まず,「T 序論」の内容は大要次のとおりである。 ア 最初に,法の前の平等は,人権保障の基本的一般的な原則であり,他の人権を行使するのに不可欠なものである。世界人権宣言と自由権規約は,特に法の前の平等権を保障している。障害者権利条約12条は,この市民的権利の内容について更なる説明を加え,障がいのある人々が伝統的に否定されてきたその権利に焦点を当てている。12条は,障がいのある人々に対して新たな権利を設定するものではない。この条項は,他の者との平等を基礎として障がいのある人々に法の前の平等権を保障するために加盟国が考慮すべき要素を簡潔に説明しているものである。 イ 障害者権利委員会は,各締約国からの第1回報告を審査した結果,条約12条について一般的な誤解があると考えた。障がいの人権モデルに基づくならば,代理意思決定(substitute decision-making)という枠組みは,支援された意思決定(supported decision-making)という枠組みに変わるということになる。この一般的意見は,条約12条の各項から導き出される一般的な義務を探求することを目的としている。   この一般的意見は,12条の解釈を示すものであり,この条項は,第3条において概説されている本条約の一般原則を前提としている。法の前で人として認知される権利を奪われ,あるいは制限されるようなことは,国際人権法の下ではいかなる状況であっても許されない。歴史的に,障がいのある人々は,後見人,財産管理者,種々の強制治療を認める精神保健法制のような代理意思決定の仕組みのもとで,差別的な方法で,多くの場面で法的能力を否定されてきた。他の者との平等を基礎として,障がいのある人々に対して完全な法的能力を回復させるためには,このような運用は廃止されるべきである。 b 次に,一般的意見は,「U 12条の規範的内容」の項目を設けているが,そのうち次のような内容が注目される。 ア 12条1項について   障がいのある人が法律の前に人として認められる権利を有することを再確認すると規定した。これは,全ての人が法的人格(legal personality)を有する者として尊重されることを保障するということであり,法的能力(legal capacity)を認めることの前提条件である。 イ 12条2項について @ 障がいのある人が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的能力を享有することを認めるとの規定である。 A 法的能力は,権利を有することと,法律にしたがって行為することの両方を含む。前者は,法律で認められた権利が完全に保護される資格を有するということである。後者は,法律関係の設定,変更,終了をさせる権限を有する主体(agent)であることを認めるということである。このような法的主体(legal agent)性の承認は,12条5項にも規定されている。 B 法的能力(legal capacity)と意思能力(mental capacity)とは異なった概念である。前者は,権利義務を有し(法的地位(legal standing),それを行使する(法的主体(legal agency)資格のことである。後者は,意思決定をする技能(decision-making skills)のことをいう。これは,人によって多様であり,環境や社会を含む様々な要因によっても変わってくる。この条約12条により,意思能力が現に不十分,あるいはその疑いがあることを理由として,法的能力を否定することを正当化することはできない。 C 法的能力には2つの面があり,一つ目は,権利を有し,法律の前で法的人格を有するという法的地位(legal standing)である。二つ目は,それらの権利に関わる行為をし,法律で認められた行為をする法的主体(legal agency)である。しばしば否定されるのは後者の方である。例えば,確かに法律上は障がいのある人々にも財産の所有は認められるが,財産の売買においてなす行為については尊重されているわけではない。障がいのある人々の法的能力を完全なものにするためには両方の地位を認めなければならない。両者は切り離せないのである。 D 意思能力という概念をめぐっては,また,その概念自体も,激しい議論の対象となっている。これは客観的,科学的,自然発生的な事象ではない。社会政治的な背景によって決まってくるのである。同様に,学問,職業,習慣にもよるのであり,それが意思能力を測るのに圧倒的に大きな役割を果たしているのである。 E 委員会が今までに審査してきた締約国報告の大部分は,意思能力と法的能力とを一つにしてしまっており,意思決定をする技能に欠陥があると判断されれば,個別の決定をする法的能力まで奪われてしまう結果となる。これは,欠陥があるとの診断(状態アプローチ),ある決定をなしたことより生じた否定的な結果(結果アプローチ),意思決定をする技能が不十分であるとの判断(機能アプローチ)のみで決められる。機能アプローチは,二つの点で欠陥がある。一つ目は,障がいのある人々に差別的になされていることである。二つ目は,人間の内面の動きを正確に検査できると思い込み,ある個人が検査に合格しない場合には重要な人権を否定してしまうということである。これら全てのアプローチが,障がいや意思決定の技能をもって,その法的能力を否定し又は制限することを正当化する根拠としている。12条は,このように法的能力を差別的に否定することを認めず,法的能力を行使するための支援が提供されることを求めている。 ウ 12条3項について @ 締約国に対して,法的能力の行使のための支援に対するアクセスを提供する義務があることを認めている。締約国は,障がいのある人に対して法的能力の否定することは禁止され,法的効果をもたらす決定を可能にするために必要な支援へのアクセスを提供しなければならない。 A 法的能力の行使の支援については,障がいのある人々の権利,意思,選好を尊重しなければならず,代理意思決定になってはならない。支援の形式は特定されていない。公的支援と私的支援の両方を含み,種類や量も多様である。信頼できる支援者,ピアサポート,アドボカシー(セルフアドボカシー支援を含む),コミュニケーション支援などがある。また,ユニバーサルデザインやアクセシビリティに関連する方法も含む。さらに,多様で特殊なコミュニケーション手段を開発し認知することも含む。事前の計画を行うことも重要な支援方法である。全ての障がいのある人々は,事前計画の策定を行う権利を有する。 エ 12条4項について @ 法的能力の行使を支援するシステムの中におかなければならない保護措置について規定している。締約国に対して,法的能力の行使をするために適切かつ効果的な保護措置を講じることを求めている。保護措置は,その人の権利,意思及び選好の尊重を確保することを第一の目的としなければならない。これを実現するためには,虐待からの保護ができるような保護措置を講じなければならない。 A 相当努力した上でも意思や選好を決めることができないときであっても,「最も適切な意思や選好の解釈」をしなければならず,それを「最善の利益」に代えてはならない。 B 決定の際に他人からの支援が必要な人々にとっては,「不当な干渉」を受けるリスクが一層大きい。保護措置は不当な干渉からの保護も含む。ただし,その保護は,リスクを取り間違いをする権利も含む権利,意思,選好を尊重するものでなければならない。 オ 12条5項について   締約国に対して,障がいのある人々に対して財務及び経済に関わる事柄に関する権利を保障するための方法をとることを要求している。財務に関わる事柄についての法的能力を否定するアプローチは,12条3項に従って,法的能力の行使の支援に置き換えられなければならない。 c これに続いて,一般的意見は,「V 締約国の義務」について述べているがこれをまとめると次のとおりである。 ア 締約国は,全ての障がいのある人の法の前での平等な認知を尊重し,保護し,十全なものにする義務を負う。締約国においては,法的能力の否定は,目的及び効果において障がいを理由とする差別となるので,それは止めなければならない。 イ 締約国は,「後見人制度や信託制度を認める法律を見直し,代理意思決定の仕組みから,自律,意思及び選好を尊重する支援された決定の仕組みに変えなければならない」と障害者権利委員会は最終見解にて繰り返し述べてきた。 ウ 代理意思決定の仕組みの特徴は,1)ただ一つの決定に関わることだけであっても,法的能力が奪われる,2)本人とは無関係の人が選ばれる可能性があり,また,その人が本人の意思に反することもありうる,3)本人の意思や選好に反していても本人の客観的な「最善の利益」と信じるところに基づいて代理意思決定者が決定するというところにある。代理意思決定の仕組みから,支援された意思決定に置き換えるという締約国の義務は,代理意思決定の廃止と支援された意思決定という代替手段の開発の双方を求めているものである。代理意思決定の仕組みを残して,支援された意思決定を開発するというのでは,12条を十分に遵守したことにはならない。 エ 支援された意思決定の仕組みには様々な選択肢の支援がある。@全ての人にとって使えるものでなければならない,A個人の意思及び選好に基づかなければならない,B本人の取るコミュニケーション方法如何によって,意思決定の支援を受けられないことがあってはならない,C本人が正式に選んだ支援者に対する法的認知が可能かつ容易でなければならず,第三者が支援者の身元を証明する仕組みや,支援者が本人の意思や選好に基づいて行動していないと第三者が信じた場合は,その行為に対して異議を申し立てる仕組みをつくらなければならない,といった条件を満たさなければならない。 オ 意思決定への支援を利用したことによって,障がいのある人々の他の基本的権利を制限することを正当化してはならない。 カ また,本人は,支援を拒否し,支援関係を終了,変更する権利を持たなければならない。 キ これに加えて,締約国は,保護措置を講じなければならない d さらに,一般的意見は,「W 条約と他の規定との関係」の項目において,12条と,他の条項である5条,6条,7条,9条,13条,14条,25条,15条,16条,17条,18条,19条,22条,29条などの関係について意見を述べている。特に,精神科その他の保健医療専門職による強制治療は,法の前の平等の認知を侵害するものであり,個人のインテグリティ(17条),拷問からの自由(15条),暴力,搾取及び虐待からの自由(16条)を侵害するものである,また,これは,治療を選択する法的能力を否定するものであり12条に違反する,と述べている。 e また,一般的意見は,「X 国内レベルでの実施」の項目において,国内実施にあたって,締約国は,12条の完全履行を確保するために次のような過程を踏むべきであるという意見を述べている。まず,@生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として法的人格と法的能力を享有することを認め,代理意思決定の仕組みと,法的能力を否定する仕組みを廃止すること,次に,A法的能力を行使するための広範な支援へのアクセスを確立し,認知し,提供すること,さらに,B12条履行のための法律,政策,その他の決定過程の構築,実施の際に,障がいのある人々からの緊密な助言を求め,積極的に参画させること,というものである。 <参考URL> 障害者権利委員会一般的意見第1号の英文全文のURL: http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CRPD/C/GC/1&Lang=en (公財)日本障害者リハビリテーション協会による仮訳のURL: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc1_2014_article12.html U 障害者権利委員会一般的意見第2号(要旨) 1 本一般的意見は,条約9条(アクセシビリティ)の解釈に関して障害者権利委員会から出された一般的意見である。 2 本一般的意見は,大きく分けて「T 序論」,「U 規範的内容」,「V 締約国の義務」,「W 他の条文との相互関係」の4つの項目から成り立っている a まず,「T 序論」の内容は大要次のとおりである。 ア 自由権規約25条(c)では,全ての市民が,一般的な平等条件の下で,自国の公務に携わる(access)権利が正式に記載されている。また,人種差別撤廃条約では,輸送機関,ホテル,飲食店,喫茶店,劇場,公園等一般公衆の使用を目的とするあらゆる場所又はサービスを利用する(access)権利を,全ての人に保障している(5条(f))。このように,国際人権法体系において,アクセスの権利は本質的な権利であるとみる前例が確立されてきた。障害者権利条約9条に規定するアクセシビリティは,障がいのある人々に関して特に再確認したもの,又はアクセス権の社会的側面であるとみるべきである。障害者権利条約には,アクセシビリティを重要な基本原則の一つとして取り入れている。また,社会投資の一部ともみることができるし,持続的発展問題の一部として欠かせないものとみることもできる。 イ 障害者権利委員会は,締約国との10回にわたる各対話において,アクセシビリティを重要な問題として考えてきた。共通の課題の一つは,アクセシビリティ基準と関係法律を実際に執行することを確保するための十分な監視体制がないことであった。もう一つは,関係者に提供される研修がないこと,物理的環境,輸送機関,情報通信へのアクセスを確保するための過程に障がいのある人々及びその代表団体を十分に関与させていないことであった。また,障害者権利委員会は,アクセシビリティ問題の法的判断にも取り組んできた。ハンガリーの事例では,委員会は,公衆に開放され又は提供される全てのサービスは,障害者権利条約9条の規定に従い,アクセシブルでなければならないとの見解を示し,視聴覚障がいのある人がATMにアクセスできるようにしなければならないとした。 ウ このような前例があることと,障がいのある人々が社会に完全かつ平等に参加し,全ての人権と基本的自由を効果的に享有するために,アクセシビリティが真に不可欠な前提条件であるという事実を前提として,委員会は,アクセシビリティに関する条約9条の規定について一般的意見を採択する必要があると考える。 b 次に,一般的意見は,「U 規範的内容」の項目において,9条の規範的内容について述べているが,そのうち次のような内容が注目される。 ア まず,物品,製品及びサービスは,それが公衆に開放され,又は提供される以上は,全ての人にとってアクセシブルなものでなければならず,それは,その所有者又は提供者が公的機関であると民間企業であるとを問わない。アクセスの否定は,差別行為に該当するとみなされ,それは違反者が公的主体であると民間主体であるとを問わない。 イ 次に,全ての新規の物品,製品,施設,技術及びサービスについてユニバーサルデザインを厳格に適用する際には,障がいのある人々を含むあらゆる潜在的な消費者による完全かつ平等な,制限されることのないアクセスを確保できるようなものでなければならない。ユニバーサルデザインを適用することによって当然に補助器具のニーズがなくなるわけではない。 ウ また,アクセシビリティは,障がいのある人々が自立生活し,社会に完全かつ平等に参加するための前提条件であるから,物理的環境,輸送機関,情報通信及び一般公衆に開放されているサービスへのアクセスの否定は,差別の関係から検討されなければならない。 エ それから,新規に設計,建設,生産される全ての客体,社会基盤,物品,製品及びサービスへのアクセスを確保する義務と,障壁を取り除き既存の物理的環境と既存の輸送機関,情報通信及び一般公衆に開放されているサービスへのアクセスを確保する義務とは明確に区別されるべきである。前者については,障がいのある人にとって完全にアクセシブルなものとなるようにユニバーサルデザインの原則に従って設計されなければならない。後者については,締約国はそれらにアクセスの確保をする義務はあるが,これは漸進的に実施されるものである。締約国は既存の障壁の除去に向けて,明確な期限を設定し,適切な資源を割り当てなければならない。 オ それから,アクセシビリティは集団に関するものであるが,合理的配慮は個人に関するものである。 前者のアクセシビリティを提供する義務は「事前の」義務である。締約国は,個人の要求を受けるに先立って,アクセシビリティを提供する義務がある。締約国はアクセシビリティ基準を設定し,これについて障がい者団体と協議しなければならない。アクセシビリティ基準を作る際に考慮しなかった希な機能障がいのある個人の場合や,アクセシビリティを達成するために提供される形態,方法あるいは手段を使用しない個人の場合は,アクセシビリティ基準を適用してもアクセスを十分に確保できない場合がある。そのような場合は,合理的配慮が適用される。これに対して,後者の合理的配慮を提供する義務は,「今から」果たすべき義務であり,機能障がいのある人が,特定の場面(職場,学校等)で,個々の状況において平等を基本として権利を享受するためにそれが必要となった瞬間から,履行義務が生ずることになる。 c これに続いて,一般的意見は,「V 締約国の義務」の項目にて締約国の義務について述べているがこれをまとめると次のとおりである。 ア まず,締約国は,必要に応じて漸進的な実施と国際協力の利用をとおしてアクセスの確保を実現することができる。障壁は,継続的かつ体系的な方法により,漸進的に,しかし着実に除去されなければならない。 イ 次に,締約国は,国内のアクセシビリティ基準を採択し,公表し,監視する義務がある。法律制定をする際には,ユニバーサルデザインの原則を盛り込み,これを基本としなければならない。その法律には,アクセシビリティ基準の義務的な適用とそれを満たさない場合の罰金を含む制裁を規定しなければならない。 ウ さらに,アクセスの否定は,禁じられている差別行為として明確に定義されなければならない。障がいのある人々がアクセスを否定された場合に,自由に使える効果的な法的救済が必要である。 エ また,さまざまな機能障がいのある人々のために,公的主体又は民間主体によって提供される多様なサービスに関するアクセシビリティの最低基準を設定する必要がある。障がいのある人々とその代表団体と緊密に協議して最低基準を設定しなければならない。 オ それから,締約国は,障がいを理由とする差別禁止法を制定し,あるいは改正することを考慮しなければならない。 カ これに加えて,締約国は,既存のアクセシビリティに対する障壁を特定し,具体的な期日を定めた期限を設定し,障壁の除去に必要な人材及び物的資源の両方を提供するための行動計画,戦略を採用しなければならない。 d さらに,一般的意見は,「W 他の条文との相互関係」の項目において,9条と他の条文,すなわち,5条,8条,11条,13条、16条,19条,21条,24条,27条,29条,30条,32条,49条などの関係についても意見を述べている。 <参考URL> 障害者権利委員会一般的意見第2号の英文全文のURL: http://tbinternet.ohchr.org/_layouts/treatybodyexternal/Download.aspx?symbolno=CRPD/C/GC/2&Lang=en (公財)日本障害者リハビリテーション協会による仮訳のURL: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc2_2014_article9.html 資料1−5 すでに出された権利委員会の総括所見(要約) T スペイン (1)積極的側面 a 2011年8月1日の26/2011法の採択や,保健,住宅,雇用等での積極的行動措置など,障がいのある人の権利に関する多くの分野での進展。 b 障がいのある人への機会の平等,無差別,「ユニバーサル・アクセシビリティ」に関する51/2003法,とりわけアクセシビリティの基本的基準を規定する同法の王室令。 c 33条2項を完全に遵守する,独立したモニタリング機関の設置。 d 障がいのジェンダー分析を行っている第3回障がい者計画と,2008年から2012年の障がい者雇用行動戦略の採択。 e 短期・中期的目標を含む障がい者長期計画(2012年−2013年)の採択。 f 障がいのある子どもが高い比率(78.35パーセント)で通常の教育システムに在籍している点と,経済危機の時代において障がい者プログラムへの予算を維持しようとしている点。スペインは権利条約の4条2段落の目的の充足の好例。社会扶助の減少を避けるという約束。 g 障がいのある人を含むインクルーシブな開発に資金を提供する形で国際協力の強化を図ろうという努力。 (2)主要な懸念事項・勧告の分野 a 一般的原則・義務(第1条と第4条) ア 障害者権利条約の定義に基づく,障がい者の概念を導入し,障がい者保護の対象を拡大する26/2011法の導入に留意するものの,すべての障がいのある人が法によってカバーされていない点があるため,全ての障がいのある人が差別撤廃を享受し,障がいの程度に関係なく平等な機会へのアクセスを確保。 イ 障がいのある人の平等な機会,非差別,ユニバーサル・アクセシビリティに関する調停の仕組みを法的に確立した点を歓迎するものの,県単位での実施の遅れがあるため,その県単位の実施,周知,法的扶助の水準の向上。 ウ 県レベルでの法律,政策,意思決定過程への障がいのある人や子どもの参加に関する情報が不十分であるため,公的な意思決定への参加の確保。 エ 性とリプロダクティブヘルスに関する2010年3月3日の2/2010法は14週までの自発的堕胎を合法化するものだが,「胎児に深刻な以上のリスク」がある場合は22週まで,「胎児に非常に深刻で不治の疾病が認められる」場合は22週を越えて堕胎可能期間を延長している。2/2010法における,障がいのみに基づいて妊娠を中絶できる期間の区別の廃止。 b 特定の権利(5条−30条) ア 平等と非差別(5条)   司法的機関において差別の主張をする際に障害者手帳を不要とした修正(26/2011法)を歓迎するものの,差別事例に関する情報の欠如があるため,障がいの程度にかかわらず合理的配慮の否定という差別から保護されることを確保するようさらなる説明と意識向上,研修。 イ 障がいのある女子(6条)   ジェンダーに基づく暴力防止及び雇用に関する計画と政策が,障がいのある女性の状況を十分に考慮しておらず,男性よりも障がいのある女性の失業率や研修参加率が悪い数字となっているため,ジェンダーに基づく暴力防止計画と政策に女性への総合的な配慮を含むこと,雇用政策にジェンダーの視点,特に,障がいのある女性のための具体的な措置を盛り込むこと。 ウ 障がいのある児童(7条)   障がいのない子どもと比べて,障がいのある子どもの虐待の比率が高く,障がいのある子どもの早期発見,障がいのある子どものいる家庭への介入,適切な情報提供に基づいた支援が欠けており,障がいのある子どもの完全な発達と能力が危険にさらされてしまっているため,障がいのある子どもに対する暴力に関する研究の実施。障がいのある子どもが自らの意見を表明する権利を確保する政策と計画を確立,障がいのある子どもの保健,精神的,教育的ニーズをカバーする適切な情報提供に基づく治療的・リハビリテーションサービスとケアを含む支援サービス。 エ 意識向上(8条)   社会,メディア,障がいのある人自身の障がいのある人の権利に関する意識向上のため,司法,法的専門家,政党,議会,政府職員,市民社会,メディア,障がいのある人,そして一般市民の意識を拡大。 オ アクセシビリティ(9条)   特に地域的レベルと民間分野,既存の施設について,遵守の水準が低く,搭乗拒否等の障がいのある乗客が直面する差別があるため,アクセシビリティ法則の遵守を実施,促進,監視。 カ 生命の権利(10条)   26/2011法が医学的処置へのインフォームドコンセントを与える際にアクセシビリティの権利を反映する規定を含むように,施行令を修正したことを歓迎するものの,「法的無能力」とみなされた障がいのある人を代表する後見人が,当該障がいのある人の医学的処置,栄養その他の生命援助の停止と取消しに有効に同意できることを遺憾とするため,医学的処置に関する全ての事項,とりわけ,医療,栄養,他の生命援助の取消しに関するインフォームドコンセントを全ての障がいのある人に対して確保。 キ 危険のある状況と人道上の緊急事態(11条)   緊急事態における障がいのある人のための具体的な規定が不足しているため,障がいのある人の安全と保護を保障するための規定を含むための法律と政策の見直し。 ク 法律の前の平等な承認(12条)   法的能力の行使に関して,代替的意思決定を支援付き意思決定に転換するための措置がなんら取られていないため,国が後見制度を許容している法律の見直し,代替的後見制度の体制をその人の自律・意思と選好を尊重する支援付き意思決定の体制に転換するための法律と政策を策定。 ケ 身体の自由及び安全(14条)   知的障がいのある人と精神障がいのある人を含む障がいのある人の施設収容を許容する法律枠組みにつき,事後的なセーフガードしかない緊急的な施設収容の措置,入所センターや精神病院に収容されている障がいのある人の虐待に懸念があるため,障がいに基づく自由の?奪を許容する法律の見直し,非自発的収容を許可する規定の撤廃,全ての精神ケアを含む医療がその人のインフォームドコンセントに基づくことを確保する方策。 コ 個人のインテグリティ(不可侵性)の保護(17条)   法的能力を認められていない障がいのある人が,完全な情報に基づくインフォームドコンセント抜きで,不妊手術を受けさせられるかもしれないことに懸念があるため,患者の完全な情報に基づく同意(インフォームドコンセント)抜きの医療的処置,とりわけ不妊手術の実施を撤廃。 サ 自立した生活(生活の自立)及び地域社会へのインクルージョン(19条)   自立して生活する権利と,地域社会へのインクルージョンの権利を保障するための資源とサービス,特に農村部での欠如,障がいのある人の住居の選択の制約,施設収容以外の選択肢がないこと,社会サービスの受給資格と障がいの特定の等級を結び付けることに懸念があるため,障がいのある人の地域社会への統合という目的に向けて,他の者との平等に,住む場所を選ぶ自由を享受するための在宅サービス,居住サービスその他の日常生活のための全ての範囲の地域社会支援サービス(パーソナル・アシスタンスを含む)のアクセス。合理的配慮を享受の適切な水準の資金の確保。 シ 教育(24条)   インクルージョンが原則とされており,教育における差別が禁止されていることは歓迎するが,現実の運用には合理的配慮の提供等に課題があるため,十分な財政的・人的資源の計上,専門的資格を持つ教員の確保。地方自治体の教育部局が条約の下での義務を理解し,従って行動すること。特別学校若しくは特別学級に就学させる決定が親との協議の下になされること。障がいのある子どもの親が学校での合理的配慮の方策のために支払いを義務付けられないこと。分離された環境への子どもへの就学決定に対して迅速かつ実効的に異議申立てが可能であること。 ス 労働の権利(27条)   障がいのある人を雇用に保持するための一定数の積極的な規定があるにもかかわらず,障がいのある人の実雇用率が全体として低いため,雇用機会を増やすための障がいのある女性と男性向けの参加自由な先進的な事業の策定。 セ 政治的及び公的活動への参加(29条)  法的能力を?奪されている場合,また施設に収容されている場合において,知的障がいのある人と精神障がいのある人の選挙権が制限されうることを懸念し,さらに,こうした権利の?奪が例外ではなく,規則であると見える点,投票権を?奪する際に裁判官が用いる証拠の基準・根拠,及び判定基準に関する情報の欠如を遺憾とするため,機能障がい,法的地位,居住地にかかわらず,全ての障がい者が選挙権を持ち,他者との平等を基礎として,公的生活に参加する権利を持つことを確保。全ての関連する法律の見直し。裁判官の個人に対する決定に基づいての選挙権の否定を許容している基本法(1985/2)の3条の修正。公職に選出されている全ての障がいのある人に,パーソナルアシスタントを含む,必要とされる全ての支援。 c 特定の義務(31条−33条) 統計及びデータ収集(31条) 法律,政策,事業の策定,条約の実施に異なる程度の脆弱性を持たされている特定の障がい者集団の状況の理解は不可欠であり,性別,年齢,障がいに分類してデータを体系的に収集,分析,普及させること及びジェンダーに配慮した指標の開発,子どもに対する虐待と暴力に関するデータの収集,分析,普及。 <参考資料> 長瀬修「障害者の権利委員会第6回会期 スペインへの総括所見(上)(中)(下)」DPIわれら自身の声/vol.27−4,35頁〜37頁,vol.28−1,34頁〜36頁,vol.28−2,32頁〜33頁 U チュニジア (1)積極的側面 a 障がい者組織を含む,広範は国内における協議の過程を経ての報告。 b 2005年の障がいのある人の地位向上と保護に関する法や,2002年の学齢期の子どもへの差別を禁じる法律(2008年の別報による強化を含め)など,条約に則った形での国内法制と政策の変更。 c 2010年の刑法319条改正によって子どもに対する全ての形態の暴力を禁止。 (2)条約実施を妨げる原因と困難   民主革命に伴う不確実な社会状況が挙げられたが,同時に,こうした広範な変革は新たな国造りに障がいのある人が参画する貴重な機会となることも指摘。 (3)主要な懸念事項・勧告 a 一般的原則・義務(1条,4条)   障害者手帳の取得について,精神障がいのある人と知的障がいのある人が排除されるおそれがあるため,条約に基づく,障がいの定義の見直し,新憲法の制定に当たっては,障がいのある人の協議への参加。 b 個別の権利(5条〜30条) ア 平等と非差別(5条)   障害のある人の権利に関する2006/83法については留意するが,合理的配慮の欠如が障がいに基づく差別であることについての規定が欠けているため,法的規定の見直し。反差別法に障がいに基づく差別についての規定を盛り込むほか,選挙,労働,教育,保健などに関する法律での障がい者差別禁止。 イ 障がいのある女性(6条)   家族,社会において,文化的,歴史的に障がいのある女性の存在が隠され,障害者手帳の取得,社会参加及び能力の発揮が阻まれている状況があるため,障がいのある女性の権利と尊厳に関する啓発事案の実施。データと統計における障がいのある女性の可視化。障がいのある女性の実態把握のための調査研究の実施。 ウ 障がいのある子ども(7条)   子どもへの虐待件数が,MICS2006の調査によれば,94%であるにもかかわらず,障がいのある子どもへの虐待の通報率が低い状況にあるため,障がいのある子どもへの暴力撤廃のためのデータ収集の実施。障がい児施設における障がいのある子どもによる苦情申し立ての確立や定期的なモニタリングと評価の実施。障がい児施設の職員の研修実施。施設ケアから地域ケアへの転換。 エ 意識向上(8条)   公務員に条約に関する知識,理解が不足していることから,地方自治体レベルを含む全ての公務員を対象とする条約に則った意識向上と研修計画の実施。 オ アクセシビリティ(9条)   2008年から2010年にかけての国家政策による環境整備には留意するが,依然として,施設,サービス,情報,コミュニケーション,交通へのアクセスにおいて格差が存在しているため,アクセシビリティに関する法律の包括的な見直しと,現存する問題点の把握と対応。 カ 法の前における平等な承認(12条)   法的能力において,代替的意思決定から,支援付き決定への転換することにつき,何らの方策が取られていないため,後見制度を許容する法律の見直しとともに,法制面と政策面の行動。 キ 身体の自由及び安全(14条)   知的障がいのある人,精神障がいのある人を含む障がいのある人について,障がいに基づく自由の?奪を許容する法的枠組に懸念があるため,法的規定の撤廃とともに,新法の確立までの病院や施設において自由を奪われている障がいのある人全員のケースの見直し。 ク 搾取,暴力及び虐待からの自由(16条)   障がいのある女性,障がいのある子どもへの暴力が懸念されるため,家庭及び社会での暴力予防策の策定及び実施。 ケ 個人のインテグリティの保護(17条)   精神病院における強制治療などにおける,完全な情報に基づくインフォームドコンセント抜きでの手術や治療等に対す患者の明快な法的抗議手段が欠けているため,法律の確立と,不妊手術に対する法律による女性の権利擁護。 コ 教育(24条)   インクルーシブ教育に関する国家プログラムが存在することについては留意するが,その運用には,十分に実施されていない学校の存在,施設,教員への研修の不備などがあるため,全ての学校における障がいのある子どもを対象にしたインクルーシブな教育の実施。教員と管理職をはじめとする教育職員への研修の強化。障がいのある子どものインクルーシブ教育計画のための財源と人的資源の分配。表現及び意見の自由を障がいのある人が行使できるようにするための施策の実施と,特にろう者,難聴者,盲ろう者に関して一般公衆向けの情報をアクセシブルな様式での提供。 サ 労働及び雇用(27条)   民間における障がいのある人の雇用率が低いため,積極的差別是正措置の実施,障がいのある人の職業訓練の多様化。 シ 政治的及び公的活動への参加(29条)   後見制度を利用している障がいのある人の投票権が確保されていないため,法的措置の緊急実施。 c 一般的義務(31条〜33条) ア 統計及びデータ(31条)   障がいのある女性,障がいのある子どもに関するデータが足りないため,性別,年齢,障がい種別により分類されたデータ収集と分析。性別に配慮した条約実施のモニタリング・報告のための指標の策定。性別,年齢,障がい種別により分類された障がいのある子どもに対する虐待と暴力に関するデータ収集。 イ 国際協力(32条)   障がいのある人に対してインクルーシブかつアクセシブルな国際協力の実施と,障がいのある人の国際協力プロジェクトへの参加の促進。 ウ 国内的な実施及び監視(モニタリング)(33条)   障がいのある人の権利擁護のための専門機関の存在は留意するが,障がいのある人の参加率が低いため,障がいのある人の参加促進と,パリ原則に則ったモニタリング機関の独立性の確保。 <参考資料> 長瀬修「障害者の権利条約の国際的モニタリング開始 チュニジアの審査」月刊ノーマライゼーション障害者の福祉31巻通巻361号49頁〜51頁(2011年8月) V 中国 1 積極的側面 (1) 障がいのある人の保護に関する法律のアクセシビリティ規定,第11回5か年計画(2006年−2010年)におけるバリアフリー建築実施計画,公共的施設の障がいのある人の利用を促進する基準など,アクセシビリティに関する実績。 (2) 障がいのある人の保護に関する法律,治安管理処罰法,労働契約法などの規定による障がいのある労働者の搾取,暴力,虐待からの法的保護。 (3) 「こども優先」という原理を,中国子ども発達計画(2001年−2010年)の中で保持し,未成年者の保護に関する法律において障がいのある児童への差別を禁止することで,権利条約を規定。 (4) 貧困削減努力,とりわけ障がいのある人の貧困に関するもの。 2 主要な懸念事項・勧告の分野 (1) 一般的原則と義務(1条−4条) a 障がいのある人の定義と,障がいのある人の地位に関する言説に関して長期に使われている言語と用語法両方に関する医学モデルの広まりにより,権利条約に記されている権利を全レベルにおいて実施するための首尾一貫した総合的な障がい戦略(人権モデル)が欠如している。 b 中国障害者連合会以外の障がい者組織が権利条約の実施に含まれておらず,中国の障がいのある人の全ての代表の完全参加を含む,包括的でインクルーシブな国家的行動計画が導入を勧告する。 (2) 個別の権利(5条−30条) a 平等と非差別(5条) ア 障がいに基づく差別の禁止はあるものの,障がいのある人に対する差別の包括的な定義が欠如し,その定義に間接差別の禁止が含まれていないので,その修正。 イ 権利条約の合理的配慮の定義が中国の法律に反映させる合理的配慮の定義に含まれていないため,国の法律と地方の法律が差別の禁止に関して矛盾しているので,その修正。 ウ 合理的配慮の提供の拒否は,障がいに基づく差別であることを法律が明確に認めていないので,その明確な規定。 b 障がいのある児童(7条) ア 男児と女児に対して広範に存在しているスティグマにより,障がいのある子どもが親によって放棄される危険性が高く,しばしば隔離された施設に収容されていることから,その方策の実施と家族計画の見直し。 イ 農村部の在宅の障がいのある子どもについて,地域に根差したサービスと支援の欠如。 c 意識向上(8条) 障がいの医学モデルが広範に用いられており,障がいのある人を自立した自律的な権利保持者であるという概念がなく,障がいのある人,特に農村部に住む全ての障がいのある人に対して権利,特に最低限の福祉手当を受け取る権利と,学校に行く権利があることが伝わっていない。 また,「全中国障がい者職業技能コンテスト」や「障がい者支援の若者ボランティア100万人」プログラムなどの意識向上イベントが障がいのある人を社会から隔離された無力で依存的な人間であると描写しているように,障がいのある人の肯定的な認識が社会にはない。権利条約の精神である人権モデルを想起させ,障がいのある人の肯定的な認識を向上させる。 d アクセシビリティ(9条) ア 農村部に住む障がいのある人の比率が高い(75%)のにかかわらず,農村部でのアクセシビリティに関する情報不足があり,農村部においてもアクセシビリティ保障を確保するよう特に促す。 イ アクセシビリティ方策の非遵守の効果に関する情報不足,さらにアクセシビリティのモニタリングと評価の効果に関する情報不足があり,バリアフリーなインフラストラクチャーを障がいのある人が頻繁に訪問する環境のみに限定しないよう促す。 e 生命の権利(10条)   知的障がいのある人(その多くは子ども)の拉致と,河北省,福建省,遼寧省,四川省において,炭鉱業者から補償金を得るために被害者を死に至らしめる「炭鉱事故」が仕掛けられており,捜査の継続,全責任者の訴追と制裁,再発防止と被害者救済を要請する。 f 法の前における平等な承認(12条) 障がいのある人が自らについての決定を行い,自律を保持し,意思と選好が尊重されるための支援付き意思決定のシステム(成年後見を確立するためのシステム)が全くない。代替的意思決定を,自律,意思,選好を尊重する支援付き意思決定に替えるための法的措置を講じるとともに,そのための青写真を準備,法制化,実施するよう勧告する。 g 司法へのアクセス(13条) ア 障がいのある人向けの法律扶助センターは設置されているが,必要な資源を欠き,独立した基盤のもとに機能していない。必要な人的,財政的資源が同センターに振り向けること,障がい者による司法の自立した現実の利用を同センターが守ることを要請する。 イ 司法手続(刑事,民事)が他者との平等を基礎として障がいのある人が利用できるように配慮されておらず,その代わりに当該人物があたかも法的能力を欠くかのように扱う公選弁護人の指名など,障がい者を見下す施策が講じられており,司法システムに関与する障がい者が保護の対象ではなく,権利の主体として関与できるようにするための手続面の配慮を確立することを提案する。 h 身体の自由及び安全(14条) 障がいを根拠とする自由の?奪が許容され,非自発的な民事上の拘禁が,公共の秩序を維持するための手段として見なされている。この文脈で,機能障がいが実際にあるかあると見なされている多くの人が,陳情をしたなど様々な理由で非自発的に精神病院に拘禁されていること,実際に知的機能障がいや精神機能障がいがあり,高レベルの支援が必要な多くの人が,医療ケアと社会ケアの適切な資源を欠き,永続的に家庭に閉じ込められていることを懸念する。このような非自発的な民事上の拘禁の実施の撤廃を勧告する。さらに,高レベルの支援を必要とする知的障がいのある人と精神障がいのある人に必要に応じて自宅以外での社会的支援と医学的治療を確保するために,より多くの資源を振り向けるよう要請する。 i 拷問からの自由(15条) ア 非自発的に拘禁されている,実際に知的,精神機能障がいがあるかあると見なされている人に対して,精神病院において強制される「矯正治療」が非人道的で品位を傷つけており,かかる政策を停止し,施設への非自発的な拘禁を控えるよう促す。 イ 自由なインフォームドコンセントを欠く障がいのある人の医学的実験が中国法によって禁止されておらず,かかる実験を許容する法律を撤廃するよう促す。 j 搾取,暴力及び虐待からの自由(16条) 山西省と河南省での奴隷労働事件など数千の知的障がいのある人,とりわけ知的障がいのある子どもの拉致や強制労働が報じられており,こうした事件の捜査を継続し,加害者を訴追すること,再発を防止し,犠牲者を救済するための総合的な対策(障がいのある人の搾取,虐待,暴力の実態に関するデータ収集など)を講じることを要請する。 k 自立した生活(生活の自立)及び地域社会へのインクルージョン(19条) ア 施設で暮らす障がいのある人の数が多いことと,2000人に及ぶ施設が維持されており,19条を遵守していない。施設ベースのケアを段階的に縮小し,撤廃するための早急な措置を講じること,障がいのある人が自らの選択に従って,自立して暮らせるための支援施策の開発のために,障がい者組織と協議するよう勧告する。 イ ハンセン病の人に必要な医学的治療を提供し,地域社会へ再統合するために必要な全ての措置を講じ,ハンセン病者が孤立して暮らすコロニーの撤廃を提案する。 l 家庭及び家族の尊重(23条) 法律と社会が自由なインフォームドコンセントを欠く,障がいのある女性への強制的不妊手術と強制的中絶の実施を認めていることを深く懸念し,その法律と政策を見直すよう要請する。 m 教育(24条) 特別学校数が多いこと及び特別学校を積極的に発展させており,現実には特定の機能障がい(肢体不自由及び軽度の視覚障がい)のある子どもしか普通学校に通学できず,他の全ての障がいのある子どもは特別学校に就学・脱落するかしかないことを憂慮する。インクルージョンが教育分野においては特に遵守されるべきであり,これに関連して,より多くの障がいのある子どもが普通学校へ通学できることを確保するために,資源を特別教育システムから普通学校でのインクルーシブ教育促進へと再配分するよう勧告する。 n 健康の権利(25条) ア 障がいのある人に対して提供されている,精神保健,全ての保健サービスが当事者の自由なインフォームドコンセントに基づくこと,家族や後見人など第三者の許可のもとに行われる非自発的な治療と拘禁とこれを許容する現行の法律が廃止されることを確保するための必要な方策を講じるよう助言する。 イ 障がいのある人が表明したニーズに対応する,地域に根差した多様なサービスと支援を準備すると共に,ピアサポートや精神保健の医学モデル以外の選択肢を含む,個人の自律及び選択,尊厳,プライバシーの尊重を勧告する。 o リハビリテーション及びハビリテーション(26条) 特に精神障がいのある人と知的障がいのある人に対して,インフォームドコンセントのないリハビリテーションとハビリテーションが押し付けられており,インフォームドコンセントを尊重することを確保するよう勧告する。 p 労働及び雇用(27条) 雇用率制度が障がいのある人の慢性的な失業問題若しくは,雇用における差別の根の深い原因に効果的に対処できておらず,名目的な価値しかない雇用の提供や,企業や政府機関が障がいのある人を雇用するよりも納付金を支払う選択を行っていること,障がいのある人の職業・キャリア選択において障がいのある人を差別する「優先就業」(視聴覚障がいのある人のマッサージなど)に懸念を示す。障がいのある人が自らの選好に従って職業を追求するための選択の自由を確保するために必要な全ての措置を取ること,企業と政府機関がより多くの障がいのある人を雇用するよう働く機会を創出し,法律を制定することを求める。 q 適切な生活水準及び社会保護(28条) 貧困削減及び手当と補助金の提供という政策はあるが,かかる手当の受給に関する農村部と都市部とで格差があり,その格差の是正措置を増やし,障がいのある人がどのようにして障がいのある人になったかにかかわらず,認定と手当へのアクセスが直ちに持てることを確保するための手段を講じること,農村部の障がいのある人に対して,手当をもらう権利があることを伝えると共に,地方公務員による手当の分配と支給に関する汚職を防止するための仕組みを策定することを要請する。 r 政治的及び公的活動への参加(29条) 知的障がいと精神障がいのある市民を投票過程から排除している選挙法の改正を勧告する。 (3) 特定の義務(31条−33条) a 統計及びデータ収集(31条) ア 権利条約実施のための政策を策定・実施するための統計・研究データを含む,分類された適切な情報が,2010年に改正された国家機密を保持するための法律と政令のために,しばしば利用可能でないことに留意する。 イ 不妊手術を受けさせられた障がいのある女性や,施設への非自発的拘禁の数など,権利条約の実施に関連する課題や問題が広く議論されるよう,国家機密に関する法律の見直しと適切な修正を勧告する。 b 国内的な実施及び監視(33条) ア 権利条約の実施過程に体系的に関与する独立した機関と障がい者組織が全体的に欠けており,中国障害者連合会が依然として障がいのある人の唯一の公式代表であることを考慮し,市民社会の参加に懸念を示し,同会以外の非政府組織が障がいのある人の利益を代表することを勧告する。 イ どの機関若しくは組織が独立した国内監視機関として指名されているのか疑問であり,パリ原則に則った独立した国内的な監視の仕組みを勧告する。 <参考資料> 公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター(長瀬修訳)「障害者の権利委員会(CRPD/C/CHN/CO/1)2012年10月15日中国の第1回報告に関する総括所見(2012年9月17日―21日に開催された第8会期にて採択)」 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/CRPD-C-CHN-CO-1_jp.html 資料2 法令関係 資料2ー1 障害者基本法(昭和45年5月21日法律第84号) T 平成23年8月5日法律第90号改正後の条文 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。 (定義) 第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一  障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二  社会的障壁 障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 (地域社会における共生等) 第三条 第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。 一  全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。 二  全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。 三  全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。 (差別の禁止) 第四条 何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 3 国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為の防止を図るために必要となる情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (国際的協調) 第五条 第一条に規定する社会の実現は、そのための施策が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に図られなければならない。 (国及び地方公共団体の責務) 第六条 国及び地方公共団体は、第一条に規定する社会の実現を図るため、前三条に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのつとり、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。 (国民の理解) 第七条 国及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講じなければならない。 (国民の責務) 第八条 国民は、基本原則にのつとり、第一条に規定する社会の実現に寄与するよう努めなければならない。 (障害者週間) 第九条 国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。 2 障害者週間は、十二月三日から十二月九日までの一週間とする。 3 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。 (施策の基本方針) 第十条 障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。 (障害者基本計画等) 第十一条 政府は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならない。 2 都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「都道府県障害者計画」という。)を策定しなければならない。 3 市町村は、障害者基本計画及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障害者計画」という。)を策定しなければならない。 4 内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、障害者政策委員会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 5 都道府県は、都道府県障害者計画を策定するに当たつては、第三十六条第一項の合議制の機関の意見を聴かなければならない。 6 市町村は、市町村障害者計画を策定するに当たつては、第三十六条第四項の合議制の機関を設置している場合にあつてはその意見を、その他の場合にあつては障害者その他の関係者の意見を聴かなければならない。 7 政府は、障害者基本計画を策定したときは、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。 8 第二項又は第三項の規定により都道府県障害者計画又は市町村障害者計画が策定されたときは、都道府県知事又は市町村長は、これを当該都道府県の議会又は当該市町村の議会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。 9 第四項及び第七項の規定は障害者基本計画の変更について、第五項及び前項の規定は都道府県障害者計画の変更について、第六項及び前項の規定は市町村障害者計画の変更について準用する。 (法制上の措置等) 第十二条 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。 (年次報告) 第十三条 政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。 第二章 障害者の自立及び社会参加の支援等のための基本的施策 (医療、介護等) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者が生活機能を回復し、取得し、又は維持するために必要な医療の給付及びリハビリテーションの提供を行うよう必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、前項に規定する医療及びリハビリテーションの研究、開発及び普及を促進しなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者が、その性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じ、医療、介護、保健、生活支援その他自立のための適切な支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。 4 国及び地方公共団体は、第一項及び前項に規定する施策を講ずるために必要な専門的技術職員その他の専門的知識又は技能を有する職員を育成するよう努めなければならない。 5 国及び地方公共団体は、医療若しくは介護の給付又はリハビリテーションの提供を行うに当たつては、障害者が、可能な限りその身近な場所においてこれらを受けられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、その人権を十分に尊重しなければならない。 6 国及び地方公共団体は、福祉用具及び身体障害者補助犬の給付又は貸与その他障害者が日常生活及び社会生活を営むのに必要な施策を講じなければならない。 7 国及び地方公共団体は、前項に規定する施策を講ずるために必要な福祉用具の研究及び開発、身体障害者補助犬の育成等を促進しなければならない。 (年金等) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害者の自立及び生活の安定に資するため、年金、手当等の制度に関し必要な施策を講じなければならない。 (教育) 第十六条 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、前項の目的を達成するため、障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者である児童及び生徒と障害者でない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによつて、その相互理解を促進しなければならない。 4 国及び地方公共団体は、障害者の教育に関し、調査及び研究並びに人材の確保及び資質の向上、適切な教材等の提供、学校施設の整備その他の環境の整備を促進しなければならない。 (療育) 第十七条 国及び地方公共団体は、障害者である子どもが可能な限りその身近な場所において療育その他これに関連する支援を受けられるよう必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、療育に関し、研究、開発及び普及の促進、専門的知識又は技能を有する職員の育成その他の環境の整備を促進しなければならない。 (職業相談等) 第十八条 国及び地方公共団体は、障害者の職業選択の自由を尊重しつつ、障害者がその能力に応じて適切な職業に従事することができるようにするため、障害者の多様な就業の機会を確保するよう努めるとともに、個々の障害者の特性に配慮した職業相談、職業指導、職業訓練及び職業紹介の実施その他必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害者の多様な就業の機会の確保を図るため、前項に規定する施策に関する調査及び研究を促進しなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者の地域社会における作業活動の場及び障害者の職業訓練のための施設の拡充を図るため、これに必要な費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。 (雇用の促進等) 第十九条 国及び地方公共団体は、国及び地方公共団体並びに事業者における障害者の雇用を促進するため、障害者の優先雇用その他の施策を講じなければならない。 2 事業主は、障害者の雇用に関し、その有する能力を正当に評価し、適切な雇用の機会を確保するとともに、個々の障害者の特性に応じた適正な雇用管理を行うことによりその雇用の安定を図るよう努めなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害者を雇用する事業主に対して、障害者の雇用のための経済的負担を軽減し、もつてその雇用の促進及び継続を図るため、障害者が雇用されるのに伴い必要となる施設又は設備の整備等に要する費用の助成その他必要な施策を講じなければならない。 (住宅の確保) 第二十条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安定した生活を営むことができるようにするため、障害者のための住宅を確保し、及び障害者の日常生活に適するような住宅の整備を促進するよう必要な施策を講じなければならない。 (公共的施設のバリアフリー化) 第二十一条 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによつて障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならない。 2 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図ることによつて障害者の自立及び社会参加を支援するため、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進に努めなければならない。 3 国及び地方公共団体は、前二項の規定により行われる公共的施設の構造及び設備の整備等が総合的かつ計画的に推進されるようにするため、必要な施策を講じなければならない。 4 国、地方公共団体及び公共的施設を設置する事業者は、自ら設置する公共的施設を利用する障害者の補助を行う身体障害者補助犬の同伴について障害者の利用の便宜を図らなければならない。 (情報の利用におけるバリアフリー化等) 第二十二条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を取得し及び利用し、その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備、障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。 2 国及び地方公共団体は、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たつては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならない。 3 電気通信及び放送その他の情報の提供に係る役務の提供並びに電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、当該役務の提供又は当該機器の製造等に当たつては、障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならない。 (相談等) 第二十三条 国及び地方公共団体は、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるようにしなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの各種の相談に総合的に応ずることができるようにするため、関係機関相互の有機的連携の下に必要な相談体制の整備を図るとともに、障害者の家族に対し、障害者の家族が互いに支え合うための活動の支援その他の支援を適切に行うものとする。 (経済的負担の軽減) 第二十四条 国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。 (文化的諸条件の整備等) 第二十五条 国及び地方公共団体は、障害者が円滑に文化芸術活動、スポーツ又はレクリエーションを行うことができるようにするため、施設、設備その他の諸条件の整備、文化芸術、スポーツ等に関する活動の助成その他必要な施策を講じなければならない。 (防災及び防犯) 第二十六条 国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため、障害者の性別、年齢、障害の状態及び生活の実態に応じて、防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。 (消費者としての障害者の保護) 第二十七条 国及び地方公共団体は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供その他必要な施策を講じなければならない。 2 事業者は、障害者の消費者としての利益の擁護及び増進が図られるようにするため、適切な方法による情報の提供等に努めなければならない。 (選挙等における配慮) 第二十八条 国及び地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより行われる選挙、国民審査又は投票において、障害者が円滑に投票できるようにするため、投票所の施設又は設備の整備その他必要な施策を講じなければならない。 (司法手続における配慮等) 第二十九条 国又は地方公共団体は、障害者が、刑事事件若しくは少年の保護事件に関する手続その他これに準ずる手続の対象となつた場合又は裁判所における民事事件、家事事件若しくは行政事件に関する手続の当事者その他の関係人となつた場合において、障害者がその権利を円滑に行使できるようにするため、個々の障害者の特性に応じた意思疎通の手段を確保するよう配慮するとともに、関係職員に対する研修その他必要な施策を講じなければならない。 (国際協力) 第三十条 国は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を国際的協調の下に推進するため、外国政府、国際機関又は関係団体等との情報の交換その他必要な施策を講ずるように努めるものとする。 第三章 障害の原因となる傷病の予防に関する基本的施策 第三十一条 国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病及びその予防に関する調査及び研究を促進しなければならない。 2 国及び地方公共団体は、障害の原因となる傷病の予防のため、必要な知識の普及、母子保健等の保健対策の強化、当該傷病の早期発見及び早期治療の推進その他必要な施策を講じなければならない。 3 国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であることに鑑み、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難病等に係る障害者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならない。 第四章 障害者政策委員会等 (障害者政策委員会の設置) 第三十二条 内閣府に、障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)を置く。 2 政策委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。 一 障害者基本計画に関し、第十一条第四項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。 二 前号に規定する事項に関し、調査審議し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は関係各大臣に対し、意見を述べること。 三 障害者基本計画の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告すること。 3 内閣総理大臣又は関係各大臣は、前項第三号の規定による勧告に基づき講じた施策について政策委員会に報告しなければならない。 (政策委員会の組織及び運営) 第三十三条 政策委員会は、委員三十人以内で組織する。 2 政策委員会の委員は、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する者並びに学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。この場合において、委員の構成については、政策委員会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。 3 政策委員会の委員は、非常勤とする。 第三十四条 政策委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。 2 政策委員会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。 第三十五条 前二条に定めるもののほか、政策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。 (都道府県等における合議制の機関) 第三十六条 都道府県(地方自治法 (昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項 の指定都市(以下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置く。 一 都道府県障害者計画に関し、第十一条第五項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。 二 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。 三 当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。 2 前項の合議制の機関の委員の構成については、当該機関が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた調査審議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならない。 3 前項に定めるもののほか、第一項の合議制の機関の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。 4 市町村(指定都市を除く。)は、条例で定めるところにより、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置くことができる。 一 市町村障害者計画に関し、第十一条第六項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。 二 当該市町村における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。 三 当該市町村における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。 5 第二項及び第三項の規定は、前項の規定により合議制の機関が置かれた場合に準用する。 附 則 (平成二十三年八月五日法律第九十号) 抄 (施行期日) 第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。 一 第二条並びに附則第四条、第五条(同条の表第三号及び第四号に係る部分に限る。)、第八条第二項及び第九条(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第三十七条第二項の表の改正規定に係る部分に限る。)の規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日 (検討) 第二条 国は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 2 国は、障害者が地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を営むことができるようにするため、障害に応じた施策の実施状況を踏まえ、地域における保健、医療及び福祉の相互の有機的連携の確保その他の障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。 U 附帯決議 1 衆議院内閣委員会による附帯決議(平成23年6月15日) 障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 国及び地方公共団体は、視覚障害者、聴覚障害者その他の意思疎通に困難がある障害者に対して、その者にとって最も適当な言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段の習得を図るために必要な施策を講ずること。 二 国及び地方公共団体は、子どもの発達に対して、障害の有無にかかわらず、将来の自立に向けて個の特性に応じた一貫した支援がなされるべきものであるとの観点から、障害に気付いてから就労に至るまでの一貫した支援を可能とする体制整備を行うこと。 三 国及び地方公共団体は、発達障害児について、将来の自立と社会参加のため、特性や能力に応じた中等・高等教育を受けられるよう、必要な環境の整備を図ること。 四 国及び地方公共団体は、障害原因の軽減や根本治癒についての再生医療に関する研究開発を推進するとともに、障害者が再生医療を受ける機会を確保するために必要な措置を講ずること。 五 国は、地方公共団体が実施する障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策並びに民間の団体が障害者の自立及び社会参加の支援等に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。 六 国は、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況等を勘案し、救済の仕組みを含む障害を理由とする差別の禁止に関する制度、障害者に係る情報コミュニケーションに関する制度及び難病対策に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、法制の整備その他の必要な措置を講ずること。 七 国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 <参考資料> http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000217720110615014.htm 2 参議院内閣委員会による附帯決議(平成23年7月28日) 障害者基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、国及び地方公共団体は、視覚障害者、聴覚障害者その他の意思疎通に困難がある障害者に対して、その者にとって最も適当な言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段の習得を図るために必要な施策を講ずること。 二、国及び地方公共団体は、子どもの発達に対して、障害の有無にかかわらず、将来の自立に向けて個の特性に応じた一貫した支援がなされるべきものであるとの観点から、障害に気付いてから就労に至るまでの一貫した支援を可能とする体制整備を行うこと。 三、国及び地方公共団体は、発達障害児について、将来の自立と社会参加のため、特性や能力に応じた中等・高等教育を受けられるよう、必要な環境の整備を図ること。 四、国及び地方公共団体は、障害原因の軽減や根本治癒についての再生医療に関する研究開発を推進するとともに、障害者が再生医療を受ける機会を確保するために必要な措置を講ずること。 五、国は、地方公共団体が実施する障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策並びに民間の団体が障害者の自立及び社会参加の支援等に関して行う活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとすること。 六、国は、この法律による改正後の障害者基本法の施行の状況等を勘案し、救済の仕組みを含む障害を理由とする差別の禁止に関する制度、障害者に係る情報コミュニケーションに関する制度及び難病対策に関する制度について検討を加え、その結果に基づいて、法制の整備その他の必要な措置を講ずること。 七、国は、東日本大震災による障害者に係る被害の実態等を踏まえ、災害その他非常の事態の場合において障害者の生命又は身体の安全の確保が図られるよう、障害者に対する支援体制の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。 八、障害者政策委員会の委員の人選に当たっては、障害者政策を幅広い国民の理解を得ながら進めていくという観点から、広く国民各層の声を障害者政策に反映できるよう、公平・中立を旨とすること。 右決議する。 <参考資料> http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/177/f063_072801.pdf 資料2−2 障害者の雇用の促進等に関する法律 T 平成25年法律第46号改正後の条文の抜粋 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする。 (用語の意義) 第二条(略) 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。第六号において同じ。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。 二〜七(略) (障害者雇用対策基本方針) 第七条(略) 2(略) 一、二(略) 三 前二号に掲げるもののほか、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項 3〜5(略) 第二章 職業リハビリテーションの推進 第二節 職業紹介等 (求人の条件等) 第十条 公共職業安定所は、障害者にその能力に適合する職業を紹介するため必要があるときは、求人者に対して、身体的又は精神的な条件その他の求人の条件について指導するものとする。 2 公共職業安定所は、障害者について職業紹介を行う場合において、求人者から求めがあるときは、その有する当該障害者の職業能力に関する資料を提供するものとする。 第二章の二 障害者に対する差別の禁止等 (障害者に対する差別の禁止) 第三十四条 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。 第三十五条 事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。 (障害者に対する差別の禁止に関する指針) 第三十六条 厚生労働大臣は、前二条の規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針(次項において「差別の禁止に関する指針」という。)を定めるものとする。 2 第七条第三項及び第四項の規定は、差別の禁止に関する指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第三項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。 (雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等を図るための措置) 第三十六条の二 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となつている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。 第三十六条の三 事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。 第三十六条の四 事業主は、前二条に規定する措置を講ずるに当たつては、障害者の意向を十分に尊重しなければならない。 2 事業主は、前条に規定する措置に関し、その雇用する障害者である労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。 (雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等に関する指針) 第三十六条の五 厚生労働大臣は、前三条の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「均等な機会の確保等に関する指針」という。)を定めるものとする。 2 第七条第三項及び第四項の規定は、均等な機会の確保等に関する指針の策定及び変更について準用する。この場合において、同条第三項中「聴くほか、都道府県知事の意見を求める」とあるのは、「聴く」と読み替えるものとする。 (助言、指導及び勧告) 第三十六条の六 厚生労働大臣は、第三十四条、第三十五条及び第三十六条の二から第三十六条の四までの規定の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。 第三章 対象障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等 第一節 対象障害者の雇用義務等 (対象障害者の雇用に関する事業主の責務) 第三十七条 全て事業主は、対象障害者の雇用に関し、社会連帯の理念に基づき、適当な雇用の場を与える共同の責務を有するものであつて、進んで対象障害者の雇入れに努めなければならない。 2 この章、第八十六条第二号及び附則第三条から第六条までにおいて「対象障害者」とは、身体障害者、知的障害者又は精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第四十五条第二項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る。第三節及び第七十九条を除き、以下同じ。)をいう。 (雇用に関する国及び地方公共団体の義務) 第三十八条 国及び地方公共団体の任命権者(委任を受けて任命権を行う者を除く。以下同じ。)は、職員(当該機関(当該任命権者の委任を受けて任命権を行う者に係る機関を含む。以下同じ。)に常時勤務する職員であつて、警察官、自衛官その他の政令で定める職員以外のものに限る。以下同じ。)の採用について、当該機関に勤務する対象障害者である職員の数が、当該機関の職員の総数に、第四十三条第二項に規定する障害者雇用率を下回らない率であつて政令で定めるものを乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)未満である場合には、対象障害者である職員の数がその率を乗じて得た数以上となるようにするため、政令で定めるところにより、対象障害者の採用に関する計画を作成しなければならない。 2 (略) 3 第一項の対象障害者である職員の数の算定に当たつては、対象障害者である短時間勤務職員は、その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の対象障害者である職員に相当するものとみなす。 4 第一項の対象障害者である職員の数の算定に当たつては、重度身体障害者又は重度知的障害者である職員(短時間勤務職員を除く。)は、その一人をもつて、政令で定める数の対象障害者である職員に相当するものとみなす。 5 第一項の対象障害者である職員の数の算定に当たつては、第三項の規定にかかわらず、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間勤務職員は、その一人をもつて、前項の政令で定める数に満たない範囲内において厚生労働省令で定める数の対象障害者である職員に相当するものとみなす。 (任免に関する状況の通報) 第四十条 国及び地方公共団体の任命権者は、毎年一回、政令で定めるところにより、当該機関における対象障害者である職員の任免に関する状況を厚生労働大臣に通報しなければならない。 (国に勤務する職員に関する特例) 第四十一条 省庁(内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項に規定する機関又は国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する省若しくは庁をいう。以下同じ。)で、当該省庁の任命権者及び当該省庁に置かれる外局等(内閣府設置法第四十九条第二項に規定する機関、国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会若しくは庁又は同法第八条の三に規定する特別の機関をいう。以下同じ。)の任命権者の申請に基づいて、一体として対象障害者である職員の採用の促進を図ることができるものとして厚生労働大臣の承認を受けたもの(以下「承認省庁」という。)に係る第三十八条第一項及び前条の規定の適用については、当該外局等に勤務する職員は当該承認省庁のみに勤務する職員と、当該外局等は当該承認省庁とみなす。 2 厚生労働大臣は、前項の規定による承認をした後において、承認省庁若しくは外局等が廃止されたとき、又は承認省庁若しくは外局等における対象障害者である職員の採用の促進を図ることができなくなつたと認めるときは、当該承認を取り消すことができる。 (地方公共団体に勤務する職員に関する特例) 第四十二条 (略) 一 (略) 二 当該認定地方機関及び当該その他機関において、対象障害者である職員の採用の促進が確実に達成されると認められること。 2 (略) (一般事業主の雇用義務等) 第四十三条 事業主(常時雇用する労働者(以下単に「労働者」という。)を雇用する事業主をいい、国及び地方公共団体を除く。次章を除き、以下同じ。)は、厚生労働省令で定める雇用関係の変動がある場合には、その雇用する対象障害者である労働者の数が、その雇用する労働者の数に障害者雇用率を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。第四十六条第一項において「法定雇用障害者数」という。)以上であるようにしなければならない。 2 前項の障害者雇用率は、労働者(労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、安定した職業に就くことができない状態にある者を含む。第54条第3項において同じ。)の総数に対する対象障害者である労働者(労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、安定した職業に就くことができない状態にある対象障害者を含む。第五十四条第三項において同じ。)の総数の割合を基準として設定するものとし、少なくとも5年ごとに、当該割合の推移を勘案して政令で定める。 3 第一項の対象障害者である労働者の数及び前項の対象障害者である労働者の総数の算定に当たつては、対象障害者である短時間労働者(一週間の所定労働時間が、当該事業主の事業所に雇用する通常の労働者の一週間の所定労働時間に比し短く、かつ、厚生労働大臣の定める時間数未満である常時雇用する労働者をいう。以下同じ。)は、その一人をもつて、厚生労働省令で定める数の対象障害者である労働者に相当するものとみなす。 4 第一項の対象障害者である労働者の数及び第二項の対象障害者である労働者の総数の算定に当たつては、重度身体障害者又は重度知的障害者である労働者(短時間労働者を除く。)は、その一人をもつて、政令で定める数の対象障害者である労働者に相当するものとみなす。 5 第一項の対象障害者である労働者の数及び第二項の対象障害者である労働者の総数の算定に当たつては、第三項の規定にかかわらず、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者は、その1人をもつて、前項の政令で定める数に満たない範囲内において厚生労働省令で定める数の対象障害者である労働者に相当するものとみなす。 6 (略) 7 事業主(その雇用する労働者の数が常時厚生労働省令で定める数以上である事業主に限る。)は、毎年一回、厚生労働省令で定めるところにより、対象障害者である労働者の雇用に関する状況を厚生労働大臣に報告しなければならない。 8 (略) 第三章の二 紛争の解決 第一節 紛争の解決の援助 (苦情の自主的解決) 第七十四条の四 事業主は、第三十五条及び第三十六条の三に定める事項に関し、障害者である労働者から苦情の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の労働者を代表する者を構成員とする当該事業所の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)に対し当該苦情の処理を委ねる等その自主的な解決を図るように努めなければならない。 (紛争の解決の促進に関する特例) 第七十四条の五 第三十四条、第三十五条、第三十六条の二及び第三十六条の三に定める事項についての障害者である労働者と事業主との間の紛争については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)第四条、第五条及び第十二条から第十九条までの規定は適用せず、次条から第七十四条の八までに定めるところによる。 (紛争の解決の援助) 第七十四条の六 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の当事者の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。 2 事業主は、障害者である労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。 第二節 調停 (調停の委任) 第七十四条の七 都道府県労働局長は、第七十四条の五に規定する紛争(労働者の募集及び採用についての紛争を除く。)について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があつた場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。 2 前条第二項の規定は、障害者である労働者が前項の申請をした場合について準用する。 (調停) 第七十四条の八 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第十九条、第二十条第一項及び第二十一条から第二十六条までの規定は、前条第一項の調停の手続について準用する。この場合において、同法第十九条第一項中「前条第一項」とあるのは「障害者の雇用の促進等に関する法律第七十四条の七第一項」と、同法第二十条第一項中「関係当事者」とあるのは「関係当事者又は障害者の医療に関する専門的知識を有する者その他の参考人」と、同法第二十五条第一項中「第十八条第一項」とあるのは「障害者の雇用の促進等に関する法律第七十四条の七第一項」と読み替えるものとする。 (適用除外) 第八十五条の三 第三十四条から第三十六条まで、第三十六条の六及び前章の規定は、国家公務員及び地方公務員に、第三十六条の二から第三十六条の五までの規定は、一般職の国家公務員(特定独立行政法人の労働関係に関する法律(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二号の職員を除く。)、裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の適用を受ける国会職員及び自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員に関しては、適用しない。 附  則 (雇用に関する国及び地方公共団体の義務等に関する経過措置) 第三条 第三十八条の規定の適用については、当分の間、同条第一項中「当該機関の職員の総数」とあるのは、「当該機関の職員の総数(対象障害者が就業することが困難であると認められる職種の職員が相当の割合を占める機関として政令で定める機関(以下「除外率設定機関」という。)にあつては、当該除外率設定機関の職員の総数から、当該除外率設定機関における職員の総数に当該除外率設定機関に係る除外率(九十五パーセント以内において政令で定める率をいう。)を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)を控除した数)」とする。 2 第四十三条の規定の適用については、当分の間、同条第一項中「その雇用する労働者の数」とあるのは「その雇用する労働者の数(除外率設定業種(対象障害者が就業することが困難であると認められる職種の労働者が相当の割合を占める業種として厚生労働省令で定める業種をいう。以下同じ。)に属する事業を行う事業所の事業主にあつては、その雇用する労働者の数から、当該事業所に係る除外率設定業種ごとの労働者の数に当該除外率設定業種に係る除外率(除外率設定業種に係る労働者のうちに当該職種の労働者が通常占める割合を考慮して除外率設定業種ごとに九十五パーセント以内において厚生労働省令で定める率をいう。以下同じ。)を乗じて得た数(その数に一人未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)を合計した数を控除した数。第七項及び第七十八条第一項において同じ。)」と、同条第二項中「総数に」とあるのは「総数から除外率設定業種ごとの労働者の総数に当該除外率設定業種に係る除外率を乗じて得た数の合計数を控除した数に」とする。 3 第一項の規定により読み替えて適用する第三十八条の政令及び前項の規定により読み替えて適用する第四十三条の厚生労働省令は、除外率設定機関及び除外率設定業種における対象障害者の雇用の状況、障害者が職業に就くことを容易にする技術革新の進展の状況その他の事項を考慮し、当該政令及び厚生労働省令で定める率が段階的に縮小されるように制定され、及び改正されるものとする。 5〜7 (略) 8 第四十三条第八項の規定は第一項から第三項までの雇用する労働者の数の算定について、第四十五条の二第四項から第六項までの規定は第三項の対象障害者である労働者の数の算定について、第四十八条第六項の規定は親事業主、関係親事業主又は特定組合等に係る第一項から第三項までの規定の適用について、第五十条第五項及び第六項の規定は報奨金等について、第七十四条の二第七項及び第七十四条の三第二十項の規定は第二項に規定する業務(第四項に係るものに限る。)について、第七十四条の二第九項の規定は第四項の在宅就業障害者特例報奨金について、同条第十項の規定は第四項の対象障害者である労働者の数の算定について準用する。 (除外率設定業種に係る納付金の額の算定等に関する暫定措置) 第五条(略) 2 前項の措置は、対象障害者である労働者とその他の労働者との交替、対象障害者の職業訓練の充実、対象障害者の就業上必要な作業設備及び作業補助具の改善整備の状況等に照らして、除外率設定業種に属する事業を行う事業主について、同項の規定を適用しなくてもその事業の運営に支障を生じないと認められる事業主が多数を占めるに至つたときは、速やかに廃止するものとする。 (対象障害者以外の障害者の雇用の促進等に関する検討) 第六条 政府は、対象障害者以外の障害者の雇用の促進及びその職業の安定について、その職能的諸条件についての調査及び研究に努めるものとし、その結果に基づいて、当該障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るための施策の推進について検討するものとする。 U 附帯決議(参議院厚生労働委員会附帯決議(平成25年5月30日)) 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。 一 本法の目的を十分に考慮し、障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供が、募集、採用、就労のいずれの段階においても早期に実現し、障害者雇用の一層の促進が図られるよう、当事者である障害者の意向を最大限に考慮しながら、具体的施策の取組を進めていくこと。 二 合理的配慮義務の適用が猶予される「過重な負担」の基準設定については、その水準が本法の趣旨を不当に歪めることのない合理的な範囲で設定されるべきであることを念頭に、障害者団体を含む四者による労働政策審議会の協議を通じて指針を定めること。その際、合理的配慮の提供に対する財政的支援措置の在り方についても併せて検討すること。 三 障害者に対する雇用上の差別禁止規定に違反する個々の案件に対する私法上の効果については、民法上の規定に則って個々の案件ごとに判断されることから、その適切な周知を図ること。 四 公務部門における差別禁止と合理的配慮義務の遵守については、本法で適用が除外されている規定についての法令上の措置を確保するとともに、本法の目的を率先して実現し、障害者雇用の促進に寄与していく観点から、必要な財政上の措置に関する検討を含め、積極的な対策を講ずること。 五 障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務に関する紛争については、まずその自主的解決が促進されるよう具体的な施策を講ずることとし、その上で、都道府県労働局長による助言、指導又は勧告、及び紛争調整委員会による調停が実効性あるものとなるよう、必要な対策を講ずること。 六 労働者派遣契約の下での障害者の差別の禁止及び合理的配慮の提供義務については、現行の労働者派遣法に基づき適正な対応が図られるよう周知徹底を図ることとし、必要に応じて、具体的な措置を講ずるよう検討すること。 右決議する。 <参考資料> http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KENSAKU/swk_dispdoc.cgi?SESSION=7444&SAVED_RID=1&PAGE=0&POS=0&TOTAL=0&SRV_ID=10&DOC_ID=1361&DPAGE=1&DTOTAL=7&DPOS=7&SORT_DIR=1&SORT_TYPE=0&MODE=1&DMY=7546 資料2−3 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号) T 条文 第一章 総則 (目的) 第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 三 行政機関等 国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三章の規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。第七号、第十条及び附則第四条第一項において同じ。)及び地方独立行政法人をいう。 四 国の行政機関 次に掲げる機関をいう。 イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関 ロ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうちニの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) ハ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(ホの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。) ニ 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの ホ 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの ヘ 会計検査院 五 独立行政法人等 次に掲げる法人をいう。 イ 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。ロにおいて同じ。) ロ 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの 六 地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人(同法第二十一条第三号に掲げる業務を行うものを除く。)をいう。 七 事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 (国及び地方公共団体の責務) 第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。 (国民の責務) 第四条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備) 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 第六条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。 4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。 5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。 6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。     第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 (国等職員対応要領) 第九条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該国の行政機関及び独立行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対応要領」という。)を定めるものとする。 2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 3 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 4 前二項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。 (地方公共団体等職員対応要領) 第十条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において「地方公共団体等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。 2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 3 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。 4 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。 5 前三項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。 (事業者のための対応指針) 第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対応指針」という。)を定めるものとする。 2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告) 第十二条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。 (事業主による措置に関する特例) 第十三条 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の定めるところによる。 第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備) 第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 (啓発活動) 第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。 (情報の収集、整理及び提供) 第十六条 国は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、国内外における障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (障害者差別解消支援地域協議会) 第十七条 国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するもの(以下この項及び次条第二項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができる。 2 前項の規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成員として加えることができる。 一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体 二 学識経験者 三 その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認める者 (協議会の事務等) 第十八条 協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関する協議を行うものとする。 2 関係機関及び前条第二項の構成員(次項において「構成機関等」という。)は、前項の協議の結果に基づき、当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を行うものとする。 3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等が行う相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関し他の構成機関等から要請があった場合において必要があると認めるときは、構成機関等に対し、相談を行った障害者及び差別に係る事案に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。 4 協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。 5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 (秘密保持義務) 第十九条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。 (協議会の定める事項) 第二十条 前三条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 第五章 雑則 (主務大臣) 第二十一条 この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。 (地方公共団体が処理する事務) 第二十二条 第十二条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機関が行うこととすることができる。 (権限の委任) 第二十三条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任することができる。 (政令への委任) 第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。 第六章 罰則 第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。 第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。 附 則 (施行期日) 第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次条から附則第六条までの規定は、公布の日から施行する。 (検討) 第七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、第八条第二項に規定する社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮の在り方その他この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。 U 附帯決議 1 衆議院内閣委員会による附帯決議(平成25年5月29日) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 本法が、これまで我が国が取り組んできた国連障害者権利条約の締結に向けた国内法整備の一環として制定されることを踏まえ、同条約の早期締結に向け、早急に必要な手続を進めること。 二 基本方針、対応要領及び対応指針は障害者基本法に定められた分野別の障害者施策の基本的事項を踏まえて作成すること。また、対応要領や対応指針が基本方針に即して作成されることに鑑み、基本方針をできる限り早期に作成するよう努めること。 三 対応要領や対応指針においては、不当な差別的取扱いの具体的事例、合理的配慮の好事例や合理的配慮を行う上での視点等を示すこととし、基本方針においてこれらの基となる基本的な考え方等を示すこと。また、法施行後の障害者差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する対応要領や対応指針の内容の充実を図ること。 四 合理的配慮に関する過重な負担の判断においては、事業者の事業規模、事業規模から見た負担の程度、事業者の財政状況、業務遂行に及ぼす影響等を総合的に考慮することとし、中小零細企業への影響に配慮すること。また、意思の表明について、障害者本人が自ら意思を表明することが困難な場合にはその家族等が本人を補佐して行うことも可能であることを周知すること。 五 国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。 六 障害を理由とする差別に関する相談について「制度の谷間」や「たらい回し」が生じない体制を構築するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等を公表するなど、その設置を促進するための方策を講じるとともに、相談・紛争解決制度の活用・充実及び本法に規定される報告徴収等の権限の活用等を図ることにより、実効性の確保に努めること。 七 附則第七条に規定する検討に資するため、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を図ること。また、同条の検討に際しては、民間事業者における合理的配慮の義務付けの在り方、実効性の確保の仕組み、救済の仕組み等について留意すること。本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後三年を待つことなく、本法の施行状況について検討を行い、できるだけ早期に見直しを検討すること。 八 本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること。 2 参議院内閣委員会による附帯決議(平成25年6月18日) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する附帯決議 政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 本法が、これまで我が国が取り組んできた国連障害者権利条約の締結に向けた国内法整備の一環として制定されることを踏まえ、同条約の早期締結に向け、早急に必要な手続を進めること。また、同条約の趣旨に沿うよう、障害女性や障害児に対する複合的な差別の現状を認識し、障害女性や障害児の人権の擁護を図ること。 二 基本方針、対応要領及び対応指針は、国連障害者権利条約で定めた差別の定義等に基づくとともに、障害者基本法に定められた分野別の障害者施策の基本的事項を踏まえて作成すること。また、対応要領や対応指針が基本方針に即して作成されることに鑑み基本方針をできる限り早期に作成するよう努めること。 三 対応要領や対応指針においては、不当な差別的取扱いの具体的事例、合理的配慮の好事例や合理的配慮を行う上での視点等を示すこととし、基本方針においてこれらの基となる基本的な考え方等を示すこと。また、法施行後の障害者差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する対応要領や対応指針の内容の充実を図ること。 四 合理的配慮に関する過重な負担の判断においては、その水準が本法の趣旨を不当にゆがめることのない合理的な範囲で設定されるべきであることを念頭に、事業者の事業規模、事業規模から見た負担の程度、事業者の財政状況、業務遂行に及ぼす影響等を総合的に考慮することとし、中小零細企業への影響に配慮すること。また、意思の表明について、障害者本人が自ら意思を表明することが困難な場合にはその家族等が本人を補佐して行うことも可能であることを周知すること。 五 本法の規定に基づき、主務大臣が事業者に対して行った助言、指導及び勧告については、取りまとめて毎年国会に報告すること。 六 国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底するとともに、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うこと。 七 本法の規定に基づいて行う啓発活動については、障害者への支援を行っている団体等とも連携を図り、効果的に行うこと。 八 障害を理由とする差別に関する相談について「制度の谷間」や「たらい回し」が生じない体制を構築するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等を公表するなど、財政措置も含め、その設置を促進するための方策を講じるとともに、相談・紛争解決制度の活用・充実を図ること。また、国の出先機関等が地域協議会に積極的に参加するとともに、本法に規定される報告徴収等の権限の活用等を図ることにより、実効性の確保に努めること。 九 附則第七条に規定する検討に資するため、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を図ること。また、同条の検討に際しては、民間事業者における合理的配慮の義務付けの在り方、実効性の確保の仕組み、救済の仕組み等について留意すること。本法の施行後、特に必要性が生じた場合には、施行後三年を待つことなく、本法の施行状況について検討を行い、できるだけ早期に見直しを検討すること。 十 本法が、地方公共団体による、いわゆる上乗せ・横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例の制定等を妨げ又は拘束するものではないことを周知すること。 十一 本法施行後、障害を理由とする差別に関する具体的な相談事例や裁判例の集積等を踏まえ、「不当な、差別的取扱い」や「合理的配慮の不提供」の定義を検討すること。 十二 本法第十六条に基づく国の「障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供」に関する措置のうち、特に内閣府においては、障害者差別解消支援地域協議会と連携するなどして、差別に関する個別事案を収集し、国民に公開し、有効に活用すること。 右決議する。 資料2−4 条例 T 障害者差別禁止条例 別表3のとおり U 手話言語条例 別表4のとおり T 障害者差別禁止条例 別表3 この別表3は、各地方自治体の差別禁止条例を一覧表で比較したものです。 2014年7月時点において、地方自治体で制定された障がい理由とする差別の禁止を内容とする条例について、その内容を項目別に比較したものです。 取り上げた自治体は、 1千葉県 2北海道 3岩手県 4さいたま市 5熊本県 6八王子市 7長崎県 8別府市 9沖縄県 10京都府 11茨城県 12鹿児島県 です。 まず、条例名について説明します。 1千葉県条例では 障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例 2北海道条例では 北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び障がい児が暮らしやすい地域づくりの推進に関する条例 3岩手県条例では 障がいのある人もない人も共に学び共に生きる岩手県づくり条例 4さいたま市条例では さいたま市誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例 5熊本県条例では 障害のある人もない人も共に生きる熊本づくり条例 6八王子市条例では 障害のある人もない人も共に安心して暮らせる八王子づくり条例 7長崎県条例では 障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例 8別府市条例では 別府市障害のある人もない人も安心して安全に暮らせる条例 9沖縄県条例では 沖縄県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例 10京都府条例では 京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例 11茨城県条例では 障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例 12鹿児島県条例では 障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例   次に、それらの制定と施行日について説明します。 1千葉県条例では 2006年10月11日成立 2007年7月1日施行。2012年3月23日改正 2北海道条例では 2009年3月27日成立 施行は、第1章、第2章及び第9章は2009年3月31日、その他は「規則で定める日」 3岩手県条例では 2010年12月14日成立 2011年7月1日施行 4さいたま市条例では 2011年3月4日成立 2011年4月1日施行、第10条から第14条までの規定は2012年4月1日施行 5熊本県条例では 2011年7月1日成立 2012年4月1日施行 6八王子市条例では 2011年12月15日 2012年4月1日施行 7長崎県条例では 2013年5月22日成立 2014年4月1日施行 8別府市条例では 2013年9月20日制定 2014年4月1日施行 9沖縄県条例では 2013年10月11日制定 2014年4月1日施行 10京都府条例では 2014年3月11日制定 2015年4月1日施行(第1章、第3章、第4章、附則第3項の規定は2014年4月1日施行) 11茨城県条例では 2014年3月20日制定 2015年4月1日施行 12鹿児島県条例では 2014年3月26日制定 2014年10月1日施行(第19条第3項の規定は2016年4月1日施行)   次に、差部の定義などの詳しい条文比較にはいる前に、主な条例の構成要素が各自治体の条例に触れたあるのかないのか、その有無を説明します。 取り上げた条例の構成要素は、 1前文 2目的 3基本理念 4障害、障害者の定義 5差別の範囲に関する定義 6作為による差別の類型 7合理的配慮の不提供の類型 8作為にかかる差別の総論としての定義 9作為にかかる差別の各論としての定義 10合理的配慮の定義 11差別禁止規定 12作為にかかる差別の禁止規定 13合理的配慮の行政の提供義務 14合理的配慮の民間の提供義務 15福祉分野の差別の定義 16医療分野の差別の定義 17商品と役務の提供分野の差別の定義 18労働分野の差別の定義 19教育分野の差別の定義 20建物交通分野の差別の定義 21不動産分野の差別の定義 22情報分野の差別の定義 23意思表示分野の差別の定義 24氏名等の乱用分野の差別の定義 25その他の分野の差別の定義 26相談体制 27紛争解決の体制(あっせんなどを行う機関) 28実効性の確保(勧告、公表) の28の要素です。この要素ごとに、下記の各自治体の条例においてそれぞれの構成要素の有無が分かるようになっております。 1前文について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   2目的について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   3基本理念について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   4障害、障害者の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   5差別の範囲に関する定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 差別という言葉は使われていないが、「不利益な取扱い」という言葉で実質的には差別を定義している。 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 無し 6八王子市条例では 差別の定義規定はあるが内容が特定されていない。 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 無し 10京都府条例では 無し 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   6作為による差別の類型について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 無し 5熊本県条例では 無し 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 無し 10京都府条例では 無し 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   7合理的配慮の不提供の類型について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 無し 5熊本県条例では 無し 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 無し 10京都府条例では 無し 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   8作為にかかる差別の総論としての定義について 1千葉県条例では 無し 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 無し 5熊本県条例では 無し 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 無し 9沖縄県条例では 無し 10京都府条例では 無し 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 無し   9作為にかかる差別の各論としての定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 無し 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   10合理的配慮の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 無し 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 無し 10京都府条例では 無し 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 無し   11差別禁止規定について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 差別という言葉は使っていないが、「不利益な取扱い」という言葉で実質的には差別を禁止している。 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 差別という言葉は使っていないが、「不利益な取扱い」という言葉で実質的には差別を禁止している。 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 差別という言葉は使っていないが、「不利益な取扱い」という言葉で実質的には差別を禁止している。 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   12作為にかかる差別の禁止規定について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   13合理的配慮の行政の提供義務について 1千葉県条例では 義務 2北海道条例では 努力義務 3岩手県条例では 義務 4さいたま市条例では 義務、ただし、教育分野と雇用分野に限定されている。 5熊本県条例では 義務 6八王子市条例では 努力義務 7長崎県条例では 義務 8別府市条例では 努力義務 9沖縄県条例では 義務 10京都府条例では 義務 11茨城県条例では 義務 12鹿児島県条例では 義務   14合理的配慮の民間の提供義務について 1千葉県条例では 義務 2北海道条例では 努力義務 3岩手県条例では 義務 4さいたま市条例では 義務、ただし、教育分野と雇用分野に限定されている。 5熊本県条例では 義務 6八王子市条例では 努力義務 7長崎県条例では 義務 8別府市条例では 努力義務 9沖縄県条例では 義務 10京都府条例では 努力義務 11茨城県条例では 義務 12鹿児島県条例では 義務   15福祉分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   16医療分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   17商品と役務の提供分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 無し 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   18労働分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。  9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   19教育分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   20建物交通分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   21不動産分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   22情報分野の差別の定義について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   23意思表示分野の差別の定義について 1千葉県条例では 無し 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 無し 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 無し   24氏名等の乱用分野の差別の定義について 1千葉県条例では 無し 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 無し 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 無し 8別府市条例では 無し 9沖縄県条例では 無し 10京都府条例では 無し 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 無し   25その他の分野の差別の定義について 1千葉県条例では 無し 2北海道条例では 無し 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 無し 6八王子市条例では 無し 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 合理的配慮に限定した記載であり、施策の方向性を示した努力義務を規定するものであり、個別事案における合理的配慮義務とは性格を異にすると思われる。 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 無し 12鹿児島県条例では 有り   26相談体制について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 有り 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   27紛争解決の体制(あっせんなどを行う機関)について 1千葉県条例では 有り 2北海道条例では 紛争解決に向けた委員会が設置されているが、助言あっせんの権限はない。 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 不利益取扱のみが対象となっている。 6八王子市条例では 有り 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 有り 9沖縄県条例では 有り 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り   28実効性の確保(勧告、公表)について 1千葉県条例では 有り、ただし公表権限はない 2北海道条例では 有り 3岩手県条例では 無し 4さいたま市条例では 有り 5熊本県条例では 有り 6八王子市条例では 公表権限はない。 7長崎県条例では 有り 8別府市条例では 公表権限はない。 9沖縄県条例では 公表権限はない。 10京都府条例では 有り 11茨城県条例では 有り 12鹿児島県条例では 有り 次に、各条例の条文がどうなっているのか、項目ごとに取り上げております。ただ、次の障害(者)の定義の定義からその他の分野までは、できるだけ、条例そのものの条項を抜き出して比較できるようにしておりますが、条項そのものではない形で、記載している部分もあります。相談体制の概要から共生社会に向けた施策などについては、その概要を纏めたものですので、条項それ自体の引用ではないことを断っておきます。  取り上げた項目は、 1障害(者)の定義 2差別の範囲に関する定義 3作為による差別の定義 4合理的配慮の定義 5差別の禁止 6福祉分野 7医療分野 8商品と役務の提供 9労働分野 10教育分野 11建物交通分野 12不動産分野 13情報分野 14意思表示 15氏名等の乱用 16その他の分野 17相談体制の概要 18事案解決のための組織体制の概要 19事実の調査についての概要 20実効性担保の手段の概要 21共生社会に向けた施策など の21項目です。この項目ごとに、下記の各自治体の条例の内容が分かるようになっております。 1障害(者)の定義について 1千葉県条例では この条例において「障害」とは、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二条第一号に規定する障害及び同条第二号に規定する社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活において相当な制限を受ける状態をいう。 2北海道条例では この条例において「障がい」とは、心身の状態が疾病、傷害その他の事情に伴い、その時々の社会的環境において求められる能力又は機能に達しないことにより、日常生活又は社会生活において継続的に相当な制限を受ける状態をいう。 この条例において「障がい者」とは、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に規定する身体障害、知的障害又は精神障害がある者(高次脳機能障害者及び発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第2項に規定する発達障害者を含む。)をいう。 3岩手県条例では 障がい 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に規定する身体障害、知的障害又は精神障害、発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第1項に規定する発達障害、高次脳機能障害その他これらに準ずる障害があることに伴い、その時々の社会的環境において求められる能力又は機能に達しないことにより、継続的に日常生活又は社会生活において相当な制限を受ける状態をいう。 4さいたま市条例では (3) 障害 次に掲げるものをいう。 ア 障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に規定する身体障害、知的障害若しくは精神障害又は発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第1項に規定する発達障害 イ アに掲げるもののほか、心身の機能、身体の器官、肢体又は肢体を構成するものに、欠損、喪失等があることにより、日常生活又は社会生活(以下「日常生活等」という。)を営む上で社会的な支援を必要とする状態 (4) 障害者 次に掲げる者をいう。 ア 前号アに掲げる障害がある市民 イ 前号イに掲げる障害があることにより、継続的に日常生活等において活動の制限又は参加の制約を受けている市民 5熊本県条例では この条例において「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 6八王子市条例では 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 7長崎県条例では 「障害のある人」とは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病を原因とする障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 8別府市条例では 障害 身体、知的、精神その他の心身の機能が傷病その他の事由によりその能力が発揮されないため、継続的に日常生活又は社会生活を営むに当たって、社会的な制度の整備及び支援を必要とする状態のことをいう。 9沖縄県条例では 障害のある人 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)、難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病をいう。)その他の心身の機能障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 10京都府条例では 「障害者」とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 11茨城県条例では 「障害のある人」とは,身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。),難病(治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病をいう。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 12鹿児島県条例では 障害のある人 身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。) その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。   2差別の範囲に関する定義について 1千葉県条例では この条例において「差別」とは、次の各号に掲げる行為(以下「不利益取扱い」という。)をすること及び障害のある人が障害のない人と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むために必要な合理的な配慮に基づく措置(以下「合理的な配慮に基づく措置」という。)を行わないことをいう。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 不利益な取扱い 障がいがあることを理由として不利な区別、排除及び権利の制限をすること並びに障がいのない人と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むことができるようにするための必要かつ合理的な配慮(社会通念上相当と認められる程度を超えた人的負担、物的負担、経済的負担その他の過重な負担を課するものと認められる場合を除く。)をしないこと。 4さいたま市条例では 差別 次に掲げる行為をいう。 5熊本県条例では 規定なし 6八王子市条例では 差別 障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をいう。 7長崎県条例では 「差別」とは、客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情なしに、不均等待遇を行うこと又は合理的配慮を怠ることをいう。 8別府市条例では 差別 障害を理由として不利益な取扱いをすること及び合理的配慮を怠ることをいう。 9沖縄県条例では 規定なし 10京都府条例では 規定なし 11茨城県条例では 「差別」とは,障害を理由として障害のない人と不当な差別的取扱いをすることにより,障害のある人の権利利益を侵害すること又は社会的障壁の除去の実施について合理的配慮をしないことをいう。 12鹿児島県条例では 障害を理由とする差別 障害のある人に対し,正当な理由なく障害を理由とする不利益な取扱いをすること又は社会的障壁の除去を必要としている障害のある人が現に存し,かつ,その実施に伴う負担が過重でないときに,障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう,社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮がなされないことをいう。   3作為による差別の定義について 1千葉県条例では 次の各号に掲げる行為(以下「不利益取扱い」という。) 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 障がいがあることを理由として不利な区別、排除及び権利の制限をすること 4さいたま市条例では 規定なし 5熊本県条例では 次に掲げる行為(以下「不利益取扱い」という。) 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 「不均等待遇」とは、障害又は障害に関連する事由を理由として、区別、排除若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他の異なる取扱いをすることをいう。 8別府市条例では 規定なし 9沖縄県条例では 規定なし 10京都府条例では 規定なし 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 規定なし   4合理的配慮の定義について 1千葉県条例では 障害のある人が障害のない人と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むために必要な合理的な配慮に基づく措置(以下「合理的な配慮に基づく措置」という。) 2北海道条例では 合理的配慮(障がい者が、障がいのない者と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むことができるようにするために必要な配慮をいう。) 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では 合理的配慮に基づく措置 障害者が障害を原因として日常生活等を営む上で不可欠な活動をすることができず、又は制限されるときに、当該活動をすることができるようにし、又は当該活動の制限を緩和するために行う、用具又は機器の提供、建築物又は設備の改修その他の当該障害者の環境を調整する措置(当該障害者の就業時間又は業務内容を変更する措置で事業活動の目的の達成が妨げられるもの、既存の建築物の本質的な構造を変更する措置その他の当該措置を行う者に社会通念上相当と認められる範囲を超えた過重な負担を課することとなる措置を除く。)をいう。 5熊本県条例では 規定なし 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 「合理的配慮」とは、障害のある人の求め又はその家族等の求め(障害のある人がその意思の表明を行うことが困難である場合に限る。)に応じて、障害のある人が障害のない人と同等の権利を行使するため又は障害のない人と同等の機会及び待遇を確保するために必要かつ適切な現状の変更又は調整を行うことをいう。ただし、社会通念上相当と認められる範囲を超えた人的負担、物的負担又は経済的負担その他の過度な負担になるものを除く。 8別府市条例では 合理的配慮 障害のある人が、他の人と平等に全ての人権及び基本的自由を享有し、日常生活又は社会生活を営むことができるよう社会的障壁を取り除くに当たって、その実施に伴う負担が過重でない場合に、障害のある人にとって必要とされる社会的な制度の整備及び支援を行うことをいう。 9沖縄県条例では 規定なし 10京都府条例では 規定なし 11茨城県条例では 「合理的配慮」とは,障害のある人が障害のない人と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むために,障害のある人の求め又はその家族等の求め(障害のある人がその意思の表明を行うことが困難である場合に限る。)に応じて,必要かつ適切な現状の変更又は調整を行うことをいう。ただし,社会通念上その実施に伴う負担が過重になるものを除く。 12鹿児島県条例では 規定なし   5差別の禁止について 1千葉県条例では 何人も、障害のある人に対し、差別をしてはならない。ただし、不利益取扱いをしないこと又は合理的な配慮に基づく措置を行うことが、社会通念上相当と認められる範囲を超えた人的負担、物的負担又は経済的負担その他の過重な負担になる場合においては、この限りでない。 2北海道条例では 道及び道民等は、学校、公共交通機関、職場その他障がい者が生活をするために必要な場において合理的配慮(障がい者が、障がいのない者と実質的に同等の日常生活又は社会生活を営むことができるようにするために必要な配慮をいう。)に努めるとともに、差別や不利益な扱いをしてはならない。 3岩手県条例では 何人も、障がいのある人に対し、不利益な取扱いをしてはならない。 4さいたま市条例では 何人も、障害者に対し、差別をしてはならない。 5熊本県条例では (不利益取扱いの禁止) 第8条 何人も、次に掲げる行為(以下「不利益取扱い」という。)をしてはならない。 (社会的障壁の除去のための合理的な配慮) 第9条 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって障害者の権利利益を侵害することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮(第11条第1項において「合理的配慮」という。)がされなければならない。 6八王子市条例では (差別の禁止等) 第6条 何人も、障害者に対し、差別をしてはならない。 2 社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによって障害者の権利利益を侵害することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。 (合理的な配慮) 第7条 市、市民及び事業者は、次に掲げる場合には、前条第2項の規定の趣旨を踏まえ、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするよう努めるものとする。 7長崎県条例では 何人も、次条から第19条までに定めるもののほか、あらゆる分野において、障害のある人に対して、差別をしてはならない。 8別府市条例では 何人も、障害のある人に対し、差別をしてはならない。 9沖縄県条例では 第7条 何人も、第3項及び次条から第17条までに規定する行為のほか、障害のある人に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。 2 何人も、障害のある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害のある人の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 10京都府条例では 第6条 府及び事業者は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第7条第1項又は第8条第1項の不当な差別的取扱いに該当する、次に掲げる取扱いをはじめとする障害を理由とした不利益な取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 第8条 府は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障害者の保護者、後見人その他の関係者が当該障害者の代理人として行ったもの及びこれらの者が当該障害者の補佐人として行った補佐に係るものを含む。次項において同じ。)があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、前項に規定する配慮をするように努めなければならない。 11茨城県条例では 何人も,障害のある人に対し,差別をしてはならない。 12鹿児島県条例では 第8条 次条から第16条までに定めるもののほか,何人も,障害のある人に対して,障害を理由とする不利益な取扱いをしてはならない。 2 社会的障壁の除去は,それを必要としている障害のある人が現に存し,かつ,その実施に伴う負担が過重でないときは,それを怠ることによって障害のある人の権利利益を侵害することとならないよう,その実施について必要かつ合理的な配慮がなされなければならない。   6福祉分野について 1千葉県条例では 一 福祉サービスを提供し、又は利用させる場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為 イ 障害を理由として、福祉サービスの利用に関する適切な相談及び支援が行われることなく、本人の意に反して、入所施設における生活を強いること。 ロ 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要がある場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、福祉サービスの提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では エ 福祉サービスの提供を、正当な理由なく、障害者の持つ障害を理由として、拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課すこと。 5熊本県条例では (1) 障害者に社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第1項に規定する社会福祉事業に係る福祉サービスを提供する場合において、障害者に対して、障害者の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要があると認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、福祉サービスの提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 (2) 障害者に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第1項に規定する障害福祉サービスを提供する場合において、障害者に対して、同条第17項に規定する相談支援が行われた場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、障害者の意に反して同条第1項に規定する厚生労働省令で定める施設若しくは同条第12項に規定する障害者支援施設への入所を強制し、又は同条第10項に規定する共同生活介護若しくは同条第16項に規定する共同生活援助を行う住居への入居を強制すること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第10条 障害福祉サービス、介護保険サービスその他の福祉サービス(以下「福祉サービス」という。)の提供を行う者は、障害のある人に対して、障害を理由として、福祉サービスの利用に関する適切な相談及び支援を行うことなく、障害のある人の意思又はその家族等の意思(障害のある人の意思を確認することが困難である場合に限る。)に反して、障害者支援施設その他福祉サービスを行う施設への入所(入居を含む。)又は通所を強制してはならない。 2 福祉サービスの提供を行う者は、障害のある人に対して、障害のある人の生命又は身体の安全の確保のためやむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、福祉サービスの提供に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では (生活支援に関する合理的配慮)第10条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第8条 福祉サービス(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第1項に規定する社会福祉事業に係る福祉サービス又はこれに類する福祉サービスをいう。以下同じ。)を提供する者は、障害のある人に福祉サービスを提供する場合において、障害のある人に対して、障害を理由として、次に掲げる行為をしてはならない。 (1) 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ないことその他の正当な理由がなく、福祉サービスの提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為 (2) 福祉サービスの利用に関する適切な相談及び支援が行われることなく、本人の意に反して、入所施設における生活を強制する行為 10京都府条例では  (1) 障害者に社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第2条第1項に規定する社会福祉事業に係る福祉サービス(以下「福祉サービス」という。)を提供する場合において、当該障害者に対して、その生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、福祉サービスの提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。  (2) 障害者に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第5条第1項に規定する障害福祉サービスを提供する場合において、当該障害者に対して、同条第 16 項に規定する相談支援が行われた場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、当該障害者の意に反して同条第1項に規定する厚生労働省令で定める施設若しくは同条第 11 項に規定する障害者支援施設に入所させ、又は同条第 15 項に規定する共同生活援助を行う住居に入居させること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第9条 福祉サービスに従事する者は,障害のある人に対して福祉サービスを提供する場合において,正当な理由なく,障害を理由として,福祉サービスの提供を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。 2 福祉サービスに従事する者は,障害のある人の心身の状況,その置かれている環境及び障害のある人の福祉サービスの利用に関する意向等を勘案することなく,障害を理由として,障害のある人の意思に反して,福祉サービスを行う施設への入所その他福祉サービスの利用を強制してはならない。 7医療分野について 1千葉県条例では 二 医療を提供し、又は受けさせる場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為 イ 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要がある場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、医療の提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 ロ 法令に特別の定めがある場合を除き、障害を理由として、本人が希望しない長期間の入院その他の医療を受けることを強い、又は隔離すること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では エ 保健医療サービスの提供を、正当な理由なく、障害者の持つ障害を理由として、拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課すこと。 5熊本県条例では (3) 障害者に医療を提供する場合において、障害者に対して行う次に掲げる行為 ア 障害者の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要があると認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、医療の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 イ 法令に特別の定めがある場合を除き、障害を理由として、障害者が希望しない長期間の入院による医療を受けることを強制し、又は隔離すること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第11条 医師その他の医療従事者は、障害のある人に対して、障害を理由として、法令に別段の定めがある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、障害のある人の意思又はその家族等の意思(障害のある人の意思を確認することが困難である場合に限る。)に反して、医療を受けるよう強制してはならない。 2 医師その他の医療従事者は、障害のある人に対して、障害のある人の生命又は身体の安全の確保のためやむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、医療の提供に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では (保健及び医療に関する合理的配慮等)第14条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第9条 医師その他の医療従事者は、障害のある人に医療を提供し、又は受けさせる場合において、障害のある人に対して、障害を理由として、次に掲げる行為をしてはならない。 (1) 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ないことその他の正当な理由がなく、医療の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為 (2) 法令に特別の定めがある場合を除き、本人が希望しない長期間の入院その他の医療を受けることを強制し、又は隔離する行為 10京都府条例では (3) 障害者に医療を提供する場合において、当該障害者に対して、次に掲げる取扱いをすること。 ア 当該障害者の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、医療の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 イ 法令に特別の定めがある場合を除き、その障害を理由として、当該障害者の意に反して長期間の入院による医療を受けることを強制し、又は隔離すること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第10条 医療従事者は,障害のある人に対して医療を提供する場合において,正当な理由なく,障害を理由として,医療の提供を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。 2 医療従事者は,法令に別段の定めがある場合を除き,障害を理由として,障害のある人が希望しない長期間の入院その他の医療を受けることを強制してはならない。   8商品と役務の提供について 1千葉県条例では 三 商品又はサービスを提供する場合において、障害のある人に対して、サービスの本質を著しく損なうこととなる場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、商品又はサービスの提供を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では エ 不特定かつ多数の者に対して行っている商品若しくはサービス(保健医療サービス及び福祉サービスを除く。)の提供を、正当な理由なく、障害者の持つ障害を理由として、拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課すこと。 5熊本県条例では (4) 障害者に商品を販売し、又はサービスを提供する場合において、障害者に対して、その障害の特性により他の者に対し提供するサービスの質が著しく損なわれるおそれがあると認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、商品の販売若しくはサービスの提供を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第12条 商品及びサービス(第10条の福祉サービスを除く。以下同じ。)の提供を行う者は、障害のある人に対して、サービスの本質を著しく損なうこととなる場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、商品及びサービスの提供に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では 規定なし 9沖縄県条例では 第10条 サービスの提供又は商品の販売を行う者は、障害のある人にサービスを提供し、又は商品を販売する場合(第8条、前条及び第12条から第15条までに規定する場合を除く。)において、障害のある人に対して、障害を理由として、サービスの本質を著しく損なうこととなることその他の正当な理由がなく、サービスの提供又は商品の販売を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為をしてはならない。 10京都府条例では (4) 障害者に商品を販売し、又はサービスを提供する場合において、当該障害者に対して、その障害の特性により他の者に対し提供するサービスの質が著しく損なわれるおそれがあると認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、商品の販売若しくはサービスの提供を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第11条 不特定かつ多数の者に対して商品の販売又は役務の提供を行う者は,障害のある人に対して商品の販売又は役務の提供を行う場合において,正当な理由なく,障害を理由として,商品の販売若しくは役務の提供を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。   9労働分野について 1千葉県条例では 四 労働者を雇用する場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為 イ 労働者の募集又は採用に当たって、本人が業務の本質的部分を遂行することが不可能である場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、応募若しくは採用を拒否し、又は条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 ロ 賃金、労働時間その他の労働条件又は配置、昇進若しくは教育訓練若しくは福利厚生について、本人が業務の本質的部分を遂行することが不可能である場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、不利益な取扱いをすること。 ハ 本人が業務の本質的部分を遂行することが不可能である場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、解雇し、又は退職を強いること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では ウ 障害者を雇用し、又は業務に従事させる場合に行う次に掲げる行為 (ア) 募集又は採用に当たって、正当な理由なく、障害を理由として、応募若しくは採用を拒否し、又はこれに条件を課すこと。 (イ) 正当な理由なく、障害を理由として、解雇し、又は退職を強制すること。 (ウ) 合理的配慮に基づく措置を行わなければ業務の遂行が妨げられること、研修を受けられないことその他の障害者の不利益となることを知りながら、合理的配慮に基づく措置を行わないことにより障害者に不利益を与えること。 5熊本県条例では (5) 労働者の募集又は採用を行う場合において、障害者に対して、従事させようとする業務を障害者が適切に遂行することができないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、募集若しくは採用を行わず、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 (6) 障害者を雇用する場合において、障害者に対して、業務を適切に遂行することができないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件、配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格、教育訓練若しくは福利厚生について不利益な取扱いをし、又は解雇すること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第13条  事業主は、障害のある人に対して、当該障害のある人が合理的配慮をなされてもなおその業務を適切に遂行することができない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、労働者の募集若しくは採用に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 2 事業主は、障害のある人に対して、当該障害のある人が合理的配慮をなされてもなおその業務を適切に遂行することができない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、次に掲げる事項について不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (1) 賃金 (2) 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 (3) 昇進、配置転換、休職及び復職 (4) 訓練及び研修 (5) 福利厚生 (6) その他の労働条件 3 事業主は、障害のある人が合理的配慮をなされてもなおその業務を適切に遂行することができない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、障害を理由として、当該障害のある人を解雇してはならない。 8別府市条例では (雇用及び就労に関する合理的配慮)第13条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第11条 事業主は、障害のある人を労働者として雇用する場合において、障害のある人に対して、障害を理由として、次に掲げる行為をしてはならない。 (1) 労働者の募集又は採用に当たって、本人が業務の本質的部分を適切に遂行することができないことその他の正当な理由がなく、応募若しくは採用を拒み、又は条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為 (2) 賃金、労働時間その他の労働条件について、本人が業務の本質的部分を適切に遂行することができないことその他の正当な理由がなく、不利益な取扱いをする行為 (3) 本人が業務の本質的部分を適切に遂行することができないことその他の正当な理由がなく、解雇し、又は退職を強制する行為 10京都府条例では 第7条 事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。 2 事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第12条 事業主は,労働者の募集又は採用を行う場合において,障害のある人に対し,正当な理由なく,障害を理由として,応募又は採用を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。 2 事業主は,障害のある人を雇用する場合において,次に掲げる事項について,正当な理由なく,障害を理由として,不利益な取扱いをしてはならない。  (1) 賃金 (2) 労働時間,休憩,休日及び休暇 (3) 昇進,降格,配置転換,休職及び復職 (4) 教育訓練及び研修 (5) 福利厚生 (6) 前各号に掲げるもののほか,労働条件に関すること。 3 事業主は,正当な理由なく,障害を理由として,障害のある人を解雇してはならない。   10教育分野について 1千葉県条例では 五 教育を行い、又は受けさせる場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為 イ 本人に必要と認められる適切な指導及び支援を受ける機会を与えないこと。 ロ 本人若しくはその保護者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十六条に規定する保護者をいう。以下同じ。)の意見を聴かないで、又は必要な説明を行わないで、入学する学校(同法第一条に規定する学校をいう。)を決定すること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では イ 障害者に教育を行い、又は受けさせる場合に行う次に掲げる行為 (ア) 正当な理由なく、障害者に必要と認められる適切な指導及び支援を受ける機会を与えないこと。 (イ) 障害者若しくはその保護者の意見を聴かないで、又は障害者若しくはその保護者に必要な説明を行わないで、入学する学校(学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校をいう。以下同じ。)を決定すること。 (ウ) 合理的配慮に基づく措置を行わなければ授業又は試験を受けられないことその他の障害者の不利益となることを知りながら、合理的配慮に基づく措置を行わないことにより障害者に不利益を与えること。 5熊本県条例では (7) 障害者に教育を行う場合において、障害者に対して行う次に掲げる行為 ア 障害者の年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするために必要な指導又は支援を講じないこと。 イ 障害者又はその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいう。第16条第2項において同じ。)への意見聴取及び必要な説明を行わないで、就学させるべき学校(同法第1条に規定する小学校、中学校又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を指定すること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第14条  教育委員会及び校長、教員その他の教育関係職員は、就学に関して、法令等の趣旨に反し、障害を理由として、次の各号に掲げる行為を行ってはならない。 (1) 障害のある人及びその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者又は就学に要する経費を負担する者をいう。以下同じ。)に対して必要な情報提供を行わないこと。 (2) 障害のある人及びその保護者の意見を尊重せず、障害のある人及びその保護者との間で学校教育の場において必要な支援等について合意形成を図ろうとしないこと。 2 教育委員会及び校長、教員その他の教育関係職員は、学校教育の場において、障害のある人が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるよう、障害のある人に対して、客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情なしに、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では (保育及び教育に関する合理的配慮等)第15条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第12条 校長、教員その他の教育関係職員は、障害のある人に教育を行う場合において、障害のある人に対して、その障害の状態、その者の教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制整備の状況等に応じ、本人に必要と認められる適切な指導及び支援を受ける機会を与えなければならない。 10京都府条例では (5) 障害者に教育を行う場合において、当該障害者に対して、次に掲げる取扱いをすること。 ア 当該障害者の年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするために必要な指導又は支援を講じないこと。 イ 当該障害者及びその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいう。以下同じ。)への意見聴取及び必要な説明を行わないで、又はこれらの者の意見を十分に尊重せずに、当該障害者が就学すべき学校(同法第1条に規定する小学校、中学校、中等教育学校(前期課程に限る。)又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を決定すること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第13条 教育委員会及び校長,教員その他の教育関係職員は,障害のある人が教育を受ける場合において,障害のある人の年齢及び能力に応じ,かつ,その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするための教育上必要な支援を講じなければならない。 2 教育委員会は,障害のある人若しくはその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者をいう。)に対し必要な説明を行わず,又はこれらの者から意見を聴取せずに,就学させるべき学校(同法第1条に規定する小学校,中学校又は特別支援学校(小学部及び中学部に限る。)をいう。)を決定してはならない。   11建物交通分野について 1千葉県条例では 六 障害のある人が建物その他の施設又は公共交通機関を利用する場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為 イ 建物の本質的な構造上やむを得ない場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、不特定かつ多数の者の利用に供されている建物その他の施設の利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 ロ 本人の生命又は身体の保護のためやむを得ない必要がある場合その他の合理的な理由なく、障害を理由として、公共交通機関の利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では オ 不特定かつ多数の者の利用に供されている建物その他の施設又は公共交通機関を利用する場合において、建物その他の施設の本質的な構造上やむを得ないとき、本人の生命又は身体の保護のため必要があるときその他の正当な理由があるときを除き、障害者の持つ障害を理由として、当該建物その他の施設又は当該公共交通機関の利用を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課すこと。 5熊本県条例では (8) 障害者が不特定かつ多数の者の利用に供されている建物その他の施設又は公共交通機関を利用する場合において、障害者に対して、建物その他の施設の構造上又は公共交通機関の車両、自動車、船舶及び航空機の構造上やむを得ないと認められる場合、障害者の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、建物その他の施設若しくは公共交通機関の利用を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第15条 多数の者の利用に供される建築物の所有者、管理者又は占有者は、障害のある人に対して、当該建築物の構造上やむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該建築物の利用に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 第16条 公共交通事業者等(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第4号に規定する公共交通事業者等をいう。)は、障害のある人に対して、その管理する旅客施設及び車両等の構造上やむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該旅客施設及び車両等の利用に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では (生活環境に関する合理的配慮)第11条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第13条 不特定かつ多数の者の利用に供される建築物その他の施設の所有者、管理者又は占有者は、障害のある人が建築物その他の施設を利用する場合において、障害のある人に対して、障害を理由として、当該施設の構造上やむを得ないことその他の正当な理由がなく、当該施設の利用を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為をしてはならない。 第14条 公共交通事業者等(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第4号に規定する公共交通事業者等をいう。)は、障害のある人が旅客施設(同条第5号に規定する旅客施設をいう。以下この条において同じ。)又は車両等(同条第7号に規定する車両等をいう。以下この条において同じ。)を利用する場合において、障害のある人に対して、障害を理由として、その管理する旅客施設及び車両等の構造上やむを得ないことその他の正当な理由がなく、旅客施設及び車両等の利用を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為をしてはならない。 10京都府条例では (6) 多数の者が利用する建物その他の施設又は公共交通機関を障害者の利用に供する場合において、当該障害者に対して、建物その他の施設の構造上又は公共交通機関の車両等の構造上やむを得ないと認められる場合、当該障害者の生命又は身体の保護のためやむを得ないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、建物その他の施設若しくは公共交通機関の利用を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第14条 不特定かつ多数の者の利用に供される建物,施設又は設備(以下「公共的施設」という。)の所有者,管理者又は占有者は,その公共的施設を障害のある人が利用する場合において,正当な理由なく,障害を理由として,利用を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。 2 公共交通事業者等(高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第4号に規定する公共交通事業者等をいう。)は,その管理する旅客施設(同条第5号に規定する旅客施設をいう。)又は車両等(同条第7号に規定する車両等をいう。)を障害のある人が利用する場合において,正当な理由なく,障害を理由として,利用を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。   12不動産分野について 1千葉県条例では 七 不動産の取引を行う場合において、障害のある人又は障害のある人と同居する者に対して、障害を理由として、不動産の売却、賃貸、転貸又は賃借権の譲渡を拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では エ 不特定かつ多数の者に対して行っている不動産の取引を、正当な理由なく、障害者の持つ障害を理由として、拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課すこと。 5熊本県条例では (9) 不動産取引を行う場合において、障害者又は障害者と同居する者に対して、建物の構造上やむを得ないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、不動産の売却若しくは賃貸、賃借権の譲渡若しくは賃借物の転貸を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第17条 不動産の売買、交換又は賃貸借その他の不動産取引(以下「不動産取引」という。)を行おうとする者は、障害のある人に対して、法令に別段の定めがある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、不動産取引契約の締結に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では (生活環境に関する合理的配慮)第11条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第15条 不動産の取引を行う事業者は、不動産の取引を行う場合において、障害のある人又は障害のある人と同居する者に対して、障害を理由として、不動産の構造上やむを得ないことその他の正当な理由がなく、不動産の売却、賃貸、転貸又は賃借権の譲渡を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為をしてはならない。 10京都府条例では (7) 不動産の取引を行う場合において、障害者又は障害者と同居する者に対して、建物の構造上やむを得ないと認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、不動産の売却若しくは賃貸、賃借権の譲渡若しくは賃借物の転貸を拒み、若しくは制限し、又はこれらに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第15条 不動産取引を行う者は,障害のある人と不動産取引を行う場合において,正当な理由なく,障害を理由として,取引を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。   13情報分野について 1千葉県条例では 八 情報を提供し、又は情報の提供を受ける場合において、障害のある人に対して行う次に掲げる行為 イ 障害を理由として、障害のある人に対して情報の提供をするときに、これを拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 ロ 障害を理由として、障害のある人が情報の提供をするときに、これを拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他不利益な取扱いをすること。 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では カ 日常生活等を営む上で必要な情報を提供する場合において、正当な理由なく、障害者の持つ障害を理由として、これを拒否し、若しくは制限し、又はこれに条件を課すこと。 5熊本県条例では (10) 障害者から情報の提供を求められた場合において、障害者に対して、当該情報を提供することにより他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、情報の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第18条 多数の者に対して情報の提供又は発信を行う者は、障害のある人に対して、障害のある人が受けることができる手段による情報の提供又は発信を行うことに著しい支障がある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該情報の提供又は発信に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では (生活支援に関する合理的配慮)第10条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第17条 障害のある人から情報の提供を求められた者は、当該障害のある人に対して、障害を理由として、次に掲げる行為をしてはならない。 (1) 情報を提供することにより他の者の権利利益を侵害するおそれがあることその他の正当な理由がなく、情報の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為 (2) 手話、点字その他障害の特性に応じた手法での情報の提供が可能である場合に、当該情報の提供を拒む行為 10京都府条例では (8) 障害者に情報を提供し、又は障害者から情報の提供を受ける場合において、当該障害者に対して、次に掲げる取扱いをすること。 ア 当該障害者から情報の提供を求められた場合において、当該障害者に対して、当該情報を提供することにより他の者の権利利益を侵害するおそれがあると認められる場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、情報の提供を拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第16条 不特定かつ多数の者に対して情報の提供を行う者又は不特定かつ多数の者から情報を受領する者は,障害のある人に対して情報の提供を行い,又は障害のある人から情報を受領する場合において,正当な理由なく,障害を理由として,情報の提供又は受領を拒否し,若しくは制限し,又はこれに条件を付し,その他不利益な取扱いをしてはならない。   14意思表示について 1千葉県条例では 規定なし 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では キ 障害者が日常生活等を営む上で必要な意思表示を行う場合において、正当な理由なく、障害を理由として、当該障害者が用いることができる手段による意思表示を受けることを拒否し、受けることができる意思表示の手段を制限し、又は意思表示を受けることに条件を課すこと。 5熊本県条例では (11) 障害者が意思を表示する場合において、障害者に対して、障害者が選択した意思表示の方法によっては障害者の表示しようとする意思を確認することに著しい支障がある場合その他の合理的な理由がある場合を除き、障害を理由として、意思の表示を受けることを拒み、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 第19条 障害のある人が用いることができる手段による意思表示ではその意思を確認することに著しい支障がある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該意思表示を受けることに関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 8別府市条例では 規定なし 9沖縄県条例では 第16条 障害のある人から意思の表明を受けようとする者は、当該障害のある人に対して、障害を理由として、当該障害のある人が選択した意思の表明の方法によっては表明しようとする意思を確認することに著しい支障のあることその他の正当な理由がなく、意思の表明を受けることを拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を課す行為その他不利益な取扱いをする行為をしてはならない 10京都府条例では (8) 障害者に情報を提供し、又は障害者から情報の提供を受ける場合において、当該障害者に対して、次に掲げる取扱いをすること。 イ 当該障害者が意思を表示する場合において、当該障害者に対して、当該障害者が選択した意思表示の方法によっては当該障害者の表示しようとする意思を確認することに著しい支障がある場合その他の合理的な理由がある場合を除き、その障害を理由として、意思の表示を受けることを拒み、若しくは制限し、又はこれに条件を付し、その他不利益な取扱いをすること。 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 規定なし   15氏名等の乱用について 1千葉県条例では 規定なし 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では ア 障害者の氏名その他の当該障害者の身上に関する事項をみだりに用いて、当該障害者の日常生活等を不当に妨げること。 5熊本県条例では 規定なし 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 規定なし 8別府市条例では 規定なし 9沖縄県条例では 規定なし 10京都府条例では 規定なし 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 規定なし   16その他の分野について 1千葉県条例では 規定なし 2北海道条例では 規定なし 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では アからキまでに掲げるもののほか、正当な理由なく、障害者の持つ障害を理由として、障害者でない者の取扱いと比べて不利益な取扱いをし、又は取扱いをしようとすること。(再掲) 5熊本県条例では 規定なし 6八王子市条例では 規定なし 7長崎県条例では 何人も、次条から第19条までに定めるもののほか、あらゆる分野において、障害のある人に対して、差別をしてはならない(再掲) 8別府市条例では (防災に関する合理的配慮)第12条、(芸術文化及びスポーツに関する合理的配慮)第16条(*施策の方向性を示すといった努力規定で、個別の合理的配慮とは異なる?) 9沖縄県条例では 第7条 何人も、第3項及び次条から第17条までに規定する行為のほか、障害のある人に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。(再掲) 10京都府条例では 第6条 府及び事業者は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)第7条第1項又は第8条第1項の不当な差別的取扱いに該当する、次に掲げる取扱いをはじめとする障害を理由とした不利益な取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。(再掲) 11茨城県条例では 規定なし 12鹿児島県条例では 第8条 次条から第16条までに定めるもののほか,何人も,障害のある人に対して,障害を理由とする不利益な取扱いをしてはならない。(再掲)   17相談体制の概要について 1千葉県条例では 相談業務に当たる「地域相談員」(第14、15条)や相談員への助言や事実の調査などを行う「広域専門指導員」(第16条)に相談業務を委託 2北海道条例では 知事が策定する基本指針(第22条)により、相談支援体制が確保されることになる(第23条)。 3岩手県条例では 岩手県として、障がいのある人に対する不利益な取扱い及び虐待に関する相談に応じ、これに対する助言及び調整等必要な措置を講ずることになる(第15条)。 4さいたま市条例では 差別禁止に関する独自の相談体制は記載されていないが、障害者への総合支援の中で市や相談支援事業者の役割が記されている(第22条) 5熊本県条例では 「地域相談員」(第12条)や地域相談員への指導・助言(第14条)なども行う「広域専門指導員」(第13条)を設置 6八王子市条例では 八王子市(委託も可)として相談を受ける(第15条) 7長崎県条例では 相談業務に当たる「地域相談員」(第30条)や相談員への助言や事実の調査などを行う「広域専門指導員」(第31条)に相談業務を委託 8別府市条例では 差別に該当すると思われる事案については、市が相談に乗ったうえで事実の確認や調査、関係当事者間の調整などを行うとされているが、相談支援を行う事業者に委託するもできるとされている(第17条)。 9沖縄県条例では 県は、市町村が行う相談業務や「差別事例相談員」に対して、技術的助言その他の必要な支援を行う(第19条)とともに、差別事例相談員への助言や 差別事例の調査を行う「広域相談専門員」(第20条)を置くなどの体制を整備 10京都府条例では 知事が相談を受けることになるが(第9条)、知事は「地域相談員」に業務を委託し(第10条)、「広域専門相談員」を委嘱することができる(第11条) 11茨城県条例では 茨城県(委託も可)において相談を受ける(第10条、第11条) 12鹿児島県条例では 鹿児島県は,障害を理由とする差別に関し,相談に応じる(第17条)とともに、相談員を配置できる(第18条)。   18事案解決のための組織体制の概要について 1千葉県条例では 事案の解決を図るために「千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会」を設置。障害者の申立を受けた知事の求めに応じて、同調整委員会が助言・あっせんの適否を判断(第23条)。 2北海道条例では 地域で暮らす障がい者に対する暮らしづらさの解消を図るために、市町村が設置する協議組織である調整委員会(第23条)に対して、北海道道が支援の措置を取ること(第24条)や。障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会(第7章)が 差別や虐待及び権利擁護に関することを扱う(第42条) 3岩手県条例では 岩手県として、障がいのある人に対する不利益な取扱い及び虐待に関する相談に応じ、これに対する助言及び調整等必要な措置を講ずることになる(第15条、再掲)。 4さいたま市条例では 市長の求めに応じて、助言やあっせん、その他の諮問に応じ、差別に係る事項を調査審議する「さいたま市障害者の権利の擁護に関する委員会」を設置(第15条)。市長は、必要があると認めるときは、委員会に対し、助言又はあっせんを行うことについて審議を求める(第12条) 5熊本県条例では 助言又はあっせんなどを行うために「熊本県障害者の相談に関する調整委員会」を設置(第4章)。助言・あっせんの対象事案は不利益取扱いに限られるが、障害者の申立を受けた知事の求めに応じて、同調整委員会が助言・あっせんの適否を判断(第16、17条)。 6八王子市条例では 市長が対象事案を解決するために必要な助言又はあっせんの申し立てを受け(第17条)、市長の諮問を受けた「八王子市障害者の権利擁護に関する調整委員会(第21条)」の判断を踏まえて、市長が助言又はあっせんを行う(第19条)。 7長崎県条例では 障害のある人に対する差別をなくすための施策を推進し、助言又はあっせんなどにより障害のある人に対する差別に該当する事案を解決するために「障害のある人の相談に関する調整委員会」を設置(第20条)。申立を受けた知事の求めに応じて、同調整委員会が助言・あっせんの適否を判断(第34条)。 8別府市条例では 市長の諮問に応じて差別事案等についての調査、審議を行う「別府市障害者差別等事案解決委員会」を設置(第22条)。障害者の申立を受けた市長の諮問に応じて、助言又はあっせんの適否を審議(第20、22条)。市長が適切と判断した場合には、助言又はあっせんを行う(第20条)。 9沖縄県条例では 障害を理由とする差別等の解消に関し、助言又はあっせんを行わせ、及び必要な事項を調査審議させるために「沖縄県障害を理由とする差別等の解消に関する調整委員会」を設置(第24条)。同調整委員会は、助言又はあっせんの申立を受けた知事の求めに応じて、その適否を審議し、その判断に基づいて助言・あっせんを行う(第22条)。 10京都府条例では 助言又はあっせんを行う「京都府障害者相談等調整委員会」を設置(第19条) 11茨城県条例では 知事に対して助言又はあっせんの申し立てができる(第12条) 12鹿児島県条例では 知事に対して申立てられた(第20条)あっせん事案について「鹿児島県障害者差別解消支援協議会」があっせんを行う(第19条)。   19事実の調査についての概要について 1千葉県条例では 知事は、前条第一項又は第二項の申立てがあったときは、当該申立てに係る事実について調査を行うことができる(第22条) 2北海道条例では 知事又は地域づくり推進員は、障がい者の権利に重大な支障を及ぼす事案の協議に必要な事実に関し、調査を行うことができるとされている(第47条)。 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では 市長は、差別を受けた障害者から申立があったときには、相談支援事業者と連携して事実調査を行う(第11条) 5熊本県条例では 調整委員会が、助言又はあっせんを行うために必要な限度において、必要な資料の提出又は説明を求めることができる(第17条)。 6八王子市条例では 八王子市(委託もできる)として関係者への事実の確認及び調査を行うことができる(第15条) 助言及びあっせんの申立てを受けた市長は事実の調査を行うことができる(第18条) 7長崎県条例では 知事は、助言又はあっせんの申立てがあったときは、当該申立てに係る事実の調査を行う(第33条) 8別府市条例では 市長は、助言又はあっせんの申立てがあったときは、当該申立てに係る事実について調査を行うことができる(第19条)。 9沖縄県条例では 事実の調査については「広域専門相談員」による相談事例の調査(第20条)や「沖縄県障害を理由とする差別等の解消に関する調整委員会」が助言又はあっせんを行うために必要な限度においておこなう資料の提出又は説明の聴取(第22条)によってなされる。 10京都府条例では 京都府障害者相談等調整委員会は、助言又はあっせんを行うに当たり、必要な資料の提出又は説明を求めることその他の必要な調査を行うことができる(第15条2項) 。 11茨城県条例では 助言又はあっせんの申し立てがあった場合、知事は、事実の調査ができる(第13条) 12鹿児島県条例では あっせんを行うために必要がある場合、「鹿児島県障害者差別解消支援協議会」は,出席を求めて説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる(第21条)。   20実効性担保の手段の概要について 1千葉県条例では 正当な理由なく、助言又はあっせんに従わない場合、知事は同調整委員会の求めに応じて勧告を行うことができる(第24条)。知事は、調整委員会が適当と認めるときは、費用の貸付を含む訴訟の援助ができる(第26条)。 2北海道条例では 暮らしづらさの原因となる者に対してなされた地域づくり推進員の改善のための指導がなされても、改善が図られない場合、重大事案については、知事による勧告・公表ができる(第48条)。 3岩手県条例では 規定なし 4さいたま市条例では 正当な理由なく助言又はあっせんに従わない場合、同委員会の求めに応じて、市長がこれに従うよう勧告する(第13条)。市長は、正当な理由なく勧告に従わないときには、当該勧告の内容を公表することができる(第14条)。 5熊本県条例では 正当な理由なくあっせんに従わない場合、知事は調整委員会の求めに応じて、勧告を行うことができる(第18条)。知事は、相手方が勧告に従わないときには、公表することができる(第19条)。 6八王子市条例では 市長は、正当な理由なく助言又はあっせんに従わないときは、当該助言又はあっせんに従うよう勧告することができる(第20条)。 7長崎県条例では 助言案又はあっせん案を受諾しない場合、知事は調整委員会の求めに応じて必要があるときには勧告を行うことができる(第35条)。知事は、前条の勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる(第36条)。 8別府市条例では 市長は、正当な理由なく助言又はあっせんに従わないときは、助言又はあっせんに従うよう勧告することができる(第21条)。 9沖縄県条例では 正当な理由がなく当該あっせん案を受諾しないとき、知事は「沖縄県障害を理由とする差別等の解消に関する調整委員会」の求めに応じて勧告を行うことができる(第23条) 10京都府条例では 正当な理由なく、当該あっせん案を受諾しないなどの場合、京都府障害者相談等調整委員会が勧告するよう知事に求めることができる。必要があると認めるときは、知事は勧告ができる。知事は、正当な理由なく勧告にも従わない場合は公表することができる(第17条、第18条)。 11茨城県条例では 知事は,助言又はあっせんに従わない場合、必要があると認めるときは助言又はあっせんに従うよう勧告し(第15条)、正当な理由がなく勧告に従わないときは、公表(第16条)することもできる。 12鹿児島県条例では 「鹿児島県障害者差別解消支援協議会」は、正当な理由なくあっせん案を受諾せず,又はこれを受諾したにもかかわらず,あっせんに従わない場合、知事に対して勧告するよう求めることができる(第22条)。知事は、正当な理由なく勧告に従わない場合、その旨を公表できる(第22条)   21共生社会に向けた施策などについて 1千葉県条例では 推進会議(第三章 )障害のある人に対する理解を広げ、差別をなくすために設置 2北海道条例では 第5章 障がい者に対する就労の支援 第6章 北海道障がい者就労支援推進委員会 第7章 障がい者が暮らしやすい地域づくり委員会 第8章 北海道障がい者が暮らしやすい地域づくり推進本部 3岩手県条例では 啓発活動(第11条)など 4さいたま市条例では 市は、障害者の自立及び社会参加のための支援(第3章)を行うとともに、自立支援協議会(第31条)を開催する 5熊本県条例では 県は、障害者に対する県民の理解を深めるため、啓発活動の推進、障害者と障害者でない者との交流の機会の提供、当該交流のための拠点の整備その他必要な措置を講ずるものとする(第3章) 6八王子市条例では 啓発を始めとして市としてなすべき施策を列挙 7長崎県条例では 県は、障害及び障害のある人に対する理解を深めるための施策(第4章)や「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり推進会議」(第5章)を開催し、障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための取組を推進する。 8別府市条例では 第3節 合理的配慮という表題ではあるが、内容的には、主に市の各分野毎の施策の責務を規定(第10条〜第16条) 9沖縄県条例では 障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくりに関する基本的施策(第4章)  10京都府条例では 共生社会の実現に向けた施策の推進等(第3章) 11茨城県条例では 差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため,協議会の設置(第18条)など。 12鹿児島県条例では 普及啓発(第25条)など 以上   U 手話言語条例 別表4 手話言語条例の比較表 この比較表は、手話言語条例に関し、鳥取県、北海道石狩市、北海道新得町、三重県松阪市、佐賀県嬉野市において、策定された条例を、1名称、2前文、3目的、4手話の意義、5基本理念、6自治体の責務、7住民の役割、8事業者の役割 9施策の策定及び推進、10手話の普及、11公共的施設、12手話通訳者等制度、13教育機関、14労働、15手話に関する調査研究、16会議体制、17財政措置、18その他、19附則、20可決年月日の20項目の視点から、比較したものである。 1名称について 鳥取県条例では 鳥取県手話言語条例 石狩市条例では 石狩市手話に関する基本条例 新得町条例では 新得町手話に関する基本条例 松阪市条例では 松阪市手と手でハートをつなぐ手話条例 嬉野市条例では 嬉野市心の架け橋手話言語条例 2前文について 鳥取県条例では ろう者は、物の名前、抽象的な概念等を手指の動きや表情を使って視覚的に表現する手話を音声の代わりに用いて、思考と意思疎通を行っている。わが国の手話は、明治時代に始まり、ろう者の間で大切に受け継がれ、発展してきた。ところが、明治13年にイタリアのミラノで開催された国際会議において、ろう教育では読唇と発声訓練を中心とする口話法を教えることが決議された。それを受けて、わが国でもろう教育では口話法が用いられるようになり、昭和8年にはろう学校での手話の使用が事実上禁止されるに至った。これにより、ろう者は口話法を押し付けられることになり、ろう者の尊厳は著しく傷付けられてしまった。その後、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約では、言語には手話その他の非音声言語を含むことが明記され、憲法や法律に手話を規定する国が増えている。また、明治13年の決議も、平成22年にカナダのバンクーバーで開催された国際会議で撤廃されており、ろう者が手話を大切にしているとの認識は広まりつつある。しかし、わが国は、障害者の権利に関する条約を未だ批准しておらず、手話に対する理解も不十分である。そして、手話を理解する人が少なく、ろう者が情報を入手したり、ろう者以外の者と意思疎通を図ることが容易ではないことが、日常生活、社会生活を送る上での苦労やろう者に対する偏見の原因となっている。 鳥取県は、障がい者への理解と共生を県民運動として推進するあいサポート運動の発祥の地である。あいサポート運動のスローガンは「障がいを知り、共に生きる」であり、ろう者とろう者以外の者とが意思疎通を活発にすることがその出発点である。手話がろう者とろう者以外の者とのかけ橋となり、ろう者の人権が尊重され、ろう者とろう者以外の者が互いを理解し共生する社会を築くため、この条例を制定する。 石狩市条例では 言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。 手話は、音声言語である日本語と異なる言語であり、耳が聞こえない、聞こえづらいろう者が、物事を考え会話をする時に使うものとして育まれてきた。 障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、言語として位置付けられた手話を、市民が使いやすい環境にしていくことは、市の責務であり、今こそ、その取組を進めていくことが必要である。 ここに、手話を言語として認知し、市民が手話の理解の広がりを実感できる石狩市を目指し、この条例を制定する。 新得町条例では 「ろう者と共に生きる」町づくりを進めるため、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解と広がりをもって地域で支え合う住みよい町を目指し、ここにこの条例を制定するものです。町とろう者との関係は、まだ戦後の混乱期であった昭和28年にろう学校の生徒たちが卒業後も自立して安定した生活を送れるよう、聴覚障がい者の自立と職業訓練のために身体障害者授産所わかふじ寮が創設されたのが始まりです。以来、聴覚障がい者を中心とした福祉事業を町民と一体となって作り上げ、新得町が「福祉の町」「手話の町」といわれるようになりました。「手話」は、ろう者の日常生活にとって大切なコミュニケーション手段です。手話を使い安心して暮らすことができる町づくりに向け、全力を挙げて取り組みます。 松阪市条例では 言語は、お互いの感情を理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で欠かすことのできないものです。 手話は、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。 ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできました。 しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者は、必要な情報を得ることもコミュニケーシヨンをとることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきました。 こうした中で、障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話は言語として位置付けられましたが、手話に対する理解の広がりを未だ感じる状況にありません。 ここに、手話が言語であるとの認識を広め、市民みんなが手話の理解に努め、使用することができる環境を整えることにより、手と手でお互いのハートをつなぎ、市民みんなが当たり前の幸せを実感できる松阪市を目指し、この条例を制定するものです。 嬉野市条例では 規定なし 3目的について 鳥取県条例では (目的)第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及に関し基本理念を定め、県、市町村、県民及び事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、手話の普及のための施策の総合的かつ計画的な推進に必要な基本的事項を定め、もってろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。 石狩市条例では (目的)第1条 この条例は、市民の手話への理解の促進を図ることにより、地域における手話の使いやすい環境を構築することで、手話を使用する市民が、手話により、自立した日常生活を営み、社会参加をし、及び心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。 新得町条例では (目的)第1条 この条例は、手話を言語であるとの認識に基づき、手話の理解と普及に関して基本理念を定め、町、町民及びろう者を支援している事業者の責務及び役割を明らかにするとともに、町が実施する施策の基本的事項を定めることにより、全ての町民がろう者と共に生きる地域社会を実現することを目的とする。 松阪市条例では (目的)第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及及び地域において手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、市及び市民の責務及び役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もって全ての人が安心して暮らすことができる地域社会を実現することを目的とします。 嬉野市条例では (目的)第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話を普及させ,地域において手話を使用しやすい環境を構築するために、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進することで、手話を使用する市民が、手話により自立した日常生活を営み、社会参加をし、及び心豊かに暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。 4手話の意義について 鳥取県条例では (手話の意義)第2条 手話は、独自の言語体系を有する文化的所産であって、ろう者が知的で心豊かな社会生活を営むために大切に受け継いできたものであることを理解しなければならない。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では (手話の意義)第2条 手話は、ろう者がコミュニケーションを取るときや物事を考えたりするときに使うことばで、手指の動きや表情などを使って概念や意見を視覚的に表現する視覚言語であることを理解しなければならない。 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 5基本理念について 鳥取県条例では (基本理念)第3条 手話の普及は、ろう者とろう者以外の者が相互の違いを理解し、その個性と人格を互いに尊重することを基本として行われなければならない。 石狩市条例では (手話により意思を伝え合う権利の尊重)第2条 市民は、手話により相互に意思を伝え合う権利を有し、その権利は尊重されなければならない。 新得町条例では (基本理念)第3条 町民の手話への理解の促進を図ることにより、手話でコミュニケーションを図りやすい環境を構築するものとする。 2 手話を使用する町民が、自立した日常生活を営み、地域における社会参加に務め、安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指すものとする。 3 手話を使用する町民は、手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。 松阪市条例では (基本理念)第2条 手話の理解及び普及は、手話が言語であること、手話を必要とする人が手話により意思疎通を円滑に図る権利を有していること、その権利を最大限尊重することを基本として、行われなければならないものとします。 嬉野市条例では (基本理念)第2条 手話を必要とする人は、手話により意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重することを基本として、手話に対する理解及びその普及を図っていかなければならない。 6自治体の責務について 鳥取県条例では (県の責務)第4条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、市町村その他の関係機関と連携して、ろう者が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去について必要かつ合理的な配慮を行い、手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備を推進するものとする。 2 県は、ろう者及び手話通訳者の協力を得て、手話の意義及び基本理念に対する県民の理解を深めるものとする。 (市町村の責務) 第5条 市町村は、基本理念にのっとり、手話の意義及び基本理念に対する住民の理解の促進並びに手話の普及その他の手話を使用しやすい環境の整備に努めるものとする。 石狩市条例では (市の責務)第3条 市は、市民の手話に対する理解を広げ、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するものとする。 新得町条例では (町の責務)第4条 町は、手話を使い安心して暮らすことができる地域社会の実現を図るための施策を推進するものとする。 松阪市条例では (市の責務)第3条 市は、基本理念にのっとり、手話の普及と、手話を必要とする市民があらゆる場面で手話による意思疎通ができ、自立した日常生活や地域における社会参加を保障するため、必要な施策を講ずるものとします。 嬉野市条例では (市の責務)第3条 市は、基本理念にのっとり、手話を普及し、手話を必要とする人があらゆる場面で手話による意思疎通を行うことができるようにし、自立した日常生活及び地域における社会参加を保障するため、必要な施策を講ずるものとする。 7住民の役割について 鳥取県条例では (県民の役割)第6条 県民は、手話の意義及び基本理念を理解するよう努めるものとする。 2 ろう者は、県の施策に協力するとともに、手話の意義及び基本理念に対する県民の理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。 3 手話通訳者は、県の施策に協力するとともに、手話に関する技術の向上、手話の意義及び基本理念に対する県民の理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。 石狩市条例では (市民の役割)第4条 市民は、手話の理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。 新得町条例では (町民の役割)第5条 町民は、地域社会で共に暮らす一員として、手話を使い安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与するよう努めるものとする。 2 手話を使用する町民は、町の施策に協力するとともに、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。 3 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。 松阪市条例では (市民の役割)第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市の施策に協力するとともに、地域において手話を使用しやすい環境の構築に努めるものとします。 嬉野市条例では (市民の役割)第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市の施策に協力するとともに、地域において手話を使用しやすい環境の構築に努めるものとする。 8事業者の役割について 鳥取県条例では (事業者の役割)第7条 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では (ろう者を支援している福祉事業者の役割)第6条 ろう者を支援している福祉事業者は、町の施策に協力するとともに、手話に対する町民の理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 9施策の策定及び推進について 鳥取県条例では (計画の策定及び推進)第8条 県は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第2項に規定する鳥取県障害者計画において、手話が使いやすい環境を整備するために必要な施策について定め、これを総合的かつ計画的に推進するものとする。 2 知事は、前項に規定する施策について定めようとするときは、あらかじめ、鳥取県手話施策推進協議会の意見を聴かなければならない。 3 知事は、第1項に規定する施策について、実施状況を公表するとともに、不断の見直しをしなければならない。 石狩市条例では (施策の推進方針の策定)第5条 市は、施策を推進するための方針(以下「施策の推進方針」という。)を策定するものとする。 2 施策の推進方針は、市が別に定める障害者に関する計画との調和が保たれたものでなければならない。 3 施策の推進方針においては、次の事項を定めるものとする。  (1) 手話の普及啓発に関する事項  (2) 手話による情報取得及び手話の使いやすい環境づくりに関する事項  (3) 手話による意思疎通支援の拡充に関する事項  (4) 前3号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項 4 市は、施策の推進方針を定め、又はこれを変更する時は、あらかじめ、手話を使用する市民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。 5 施策の推進方針は、これを公表するものとする。 新得町条例では (施策の策定及び推進の評価)第7条 町は、町民が手話を使い安心して暮らすことができる地域社会の実現を図るために必要な施策を策定するものとする。 2 施策には、次の事項を定めるものとする。  (1) 手話の普及及び理解の促進に関する事項  (2) 手話による情報取得に関する事項  (3) 手話による意思疎通支援に関する事項 3 町は、施策の策定又は変更、及び推進の評価を必要とするときは、手話を使用する町民や関係する町民の意見を反映するために必要な措置を講ずるものとする。 松阪市条例では (施策の策定及び推進)第5条 市は、次の各号に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施するものとします。  (1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策  (2) 市民が手話による意思疎通や情報を得る機会の拡大のための施策  (3) 市民が意思疎通の手段として手話を選択することが容易にでき、かつ、手話を使用しやすい環境の構築のための施策  (4) 手話通訳者の配置の拡充及び処遇改善など、手話による意思疎通支援者のための施策 2 市は、前項に規定する施策を推進するための方針(以下「施策の推進方針」といいます。)を策定するものとします。 5 市は、施策の推進方針と市が策定する他の計画との整合性を図るものとします。 嬉野市条例では (施策の策定及び推進)第5条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。  (1) 手話に対する理解及び手話の普及を図るための施策  (2) 市民が手話による意思疎通や情報を得る機会の拡大のための施策  (3) 市民が意思疎通の手段として容易に手話を選択することができ、かつ、手話を使用しやすい環境を構築するための施策  (4) 手話通訳者の拡充及び処遇改善等、手話による意思疎通支援者のための施策 10手話の普及について 鳥取県条例では (手話を学ぶ機会の確保等)第9条 県は、市町村その他の関係機関、ろう者、手話通訳者等と協力して、あいサポート運動の推進、手話サークルその他の県民が手話を学ぶ機会の確保等を行うものとする。 2 県は、手話に関する学習会を開催する等により、その職員が手話の意義及び基本理念を理解し、手話を学習する取組を推進するものとする。 (ろう者等による普及啓発)第14条 ろう者及びろう者の団体は、基本理念及び手話に対する理解を深めるため自主的に普及啓発活動を行うよう努めるものとする。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では 規定なし 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 11公共的施設について 鳥取県条例では (手話を用いた情報発信等)第10条 県は、ろう者が県政に関する情報を速やかに得ることができるよう、手話を用いた情報発信に努めるものとする。 2 県は、ろう者が手話をいつでも使え、手話による情報を入手できる環境を整備するため、手話通訳者の派遣、ろう者等の相談を行う拠点の支援等を行うものとする。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では 規定なし 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 12手話通訳者等制度について 鳥取県条例では (手話通訳者等の確保、養成等)第11条 県は、市町村と協力して、手話通訳者その他のろう者が地域において生活しやすい環境に資するために手話を使うことができる者及びその指導者の確保、養成及び手話技術の向上を図るものとする。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では 規定なし 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 13教育機関について 鳥取県条例では (学校における手話の普及)第12条 ろう児が通学する学校の設置者は、手話を学び、かつ、手話で学ぶことができるよう、教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 ろう児が通学する学校の設置者は、基本理念及び手話に対する理解を深めるため、ろう児及びその保護者に対する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 3 県は、基本理念及び手話に対する理解を深めるため、学校教育で利用できる手引書の作成その他の措置を講ずるよう努めるものとする。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では 規定なし 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 14労働について 鳥取県条例では (事業者への支援)第13条 県は、ろう者が利用しやすいサービスの提供及びろう者が働きやすい環境の整備のために事業者が行う取組に対して、必要な支援を行うものとする。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では 規定なし 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 15手話に関する調査研究について 鳥取県条例では (手話に関する調査研究)第15条 県は、ろう者、手話通訳者等が手話の発展に資するために行う手話に関する調査研究の推進及びその成果の普及に協力するものとする。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では 規定なし 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 16会議体制について 鳥取県条例では (設置)第17条 次に掲げる事務を行わせるため、鳥取県手話施策推進協議会(以下「協議会」という。)を設置する。  (1) 第8条第2項の規定により、知事に意見を述べること。  (2) この条例の施行に関する重要事項について、知事に意見を述べること。 (組織)第18条 協議会は、委員10人以内で組織する。 (委員)第19条 委員は、ろう者、手話通訳者、行政機関の職員及び優れた識見を有する者のうちから知事が任命する。 2 委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 3 委員は、再任されることができる。 (会長)第20条 協議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。 2 会長は、会務を総理し、協議会を代表する。 3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長が指名する委員がその職務を代理する。 (会議)第21条 協議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。 2 協議会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。 (庶務)第22条 協議会の庶務は、福祉保健部において処理する。 (雑則)第23条 この条例に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 石狩市条例では 規定なし 新得町条例では 規定なし 松阪市条例では (施策の策定及び推進)第5条 3 市は、施策の推進方針を定めるため、聴覚障がい者及び意志疎通支援者等が参画する松阪市手話施策推進会議(以下「推進会議」といいます。)を設置します。 4 前項の推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定めるものとします。 嬉野市条例では 規定なし 17財政措置について 鳥取県条例では (財政上の措置)第16条 県は、手話の普及に関する取組を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。 石狩市条例では (財政上の措置)第6条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 新得町条例では (財政上の措置)第8条 町は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。 松阪市条例では (財政措置)第6条 市は、手話に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとします。 嬉野市条例では (財政措置)第6条 市は、手話に関する施策を積極的に推進するために必要な財政上の措置を講ずるものとする。 18その他について 鳥取県条例では 規定なし 石狩市条例では (委任)第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。 新得町条例では (委任)第9条 この条例の施行について必要な事項は、町長が別に定める。 松阪市条例では 規定なし 嬉野市条例では 規定なし 19附則について 鳥取県条例では この条例は、公布の日から施行する。(平成25年10月11日) 石狩市条例では 附 則(施行期日) 1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。 (検討) 2 市は、この条例の施行後3年を目途として、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて、必要な見直しを行うものとする。 新得町条例では 附 則 この条例は、平成26年4月1日から施行する。 松阪市条例では (施行期曰) 1 この条例は、平成26年4月1日から施行します。 (検討) 2 市は、この条例の施行後3年を目途とし、施策の推進状況について検討を加え、その結果に基づき必要な見直しを行うものとします。 嬉野市条例では 附 則(施行期日) この条例は、平成26年7月1日から施行する。 20可決年月日について 鳥取県条例では 平成25年10月11日 石狩市条例では 平成25年12月16日 新得町条例では 平成26年3月5日 松阪市条例では 平成26年3月24日 嬉野市条例では 平成26年6月20日 以上 資料3 日本弁護士連合会関係 資料3-1 2001年以降の障がいのある人の人権に関わる人権擁護大会宣言,意見書,会長声明・談話等一覧 T 人権擁護大会宣言・決議 (1) 2001年11月9日 障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定を求める宣言(全文は資料3−2) http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2001/2001_3.html (2) 2005年11月11日 高齢者・障がいのある人の地域で暮らす権利の確定された地域社会の実現を求める決議 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2005/2005_2.html U 第59回定期総会決議 2008年5月30日 国際人権基準の国内における完全実施の確保を求める決議−個人通報制度及び差別禁止法制定を始めとする人権保障体制の早期構築を求めて− http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/assembly_resolution/year/2008/2008_1.html V 意見書等 (1) 2014年3月26日 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律施行令案に関する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2014/140326.html (2) 2014年2月28日 国内人権機関の創設を求める意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2014/140220_5.html (3) 2014年2月7日 良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案に関する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2014/140207.html (4) 2013年7月25日 「障害支援区分への見直し(案)」に対する意見 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130725.html (5) 2013年3月6日 「道路交通法改正試案」に対する意見 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130306.html (6) 2013年2月15日 民事訴訟手続における障がいのある当事者に対する合理的配慮についての意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130215.html (7) 2013年1月7日 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第4条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める程度(案)」に関する意見 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2013/130107.html (8) 2012年12月20日 精神保健福祉法の抜本的改正に向けた意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/121220_2.html (9) 2012年9月14日 知的障がいのある被疑者等に対する取調べの立会いの制度化に向けた意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120914.html (10) 2012年3月14日 原子力損害賠償請求における障がいを有する被害者に関する要望書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120314.html (11) 2012年1月18日 韓国における障害者差別禁止法に関する視察報告 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2012/120118_2.html (12) 2011年10月7日 障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の意見を最大限尊重し、その権利を保障する総合的な福祉法の制定を求める決議 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/civil_liberties/year/2011/2011_3.html (13) 2011年6月17日 知的障がいのある被疑者等に対する取調べの可視化についての意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2011/110617.html (14) 2010年12月17日 障がいのある人の権利と施策に関する基本法改正要綱案の提言 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2010/101217_5.html (15) 2010年3月18日 精神医療の改善と医療観察法の見直しに関する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2010/100318_6.html (16) 2009年2月19日 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令(案)及び心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令附則第二条第三項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部を改正する告示(案)」(パブリックコメント)に対する意見 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2009/090219_3.html (17) 2008年8月20日 障がいのある人に対する虐待防止立法に向けた意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2008/080820.html (18) 2007年7月25日 「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療および観察等に関する法律に基づく指定医療機関等に関する省令の一部を改正する省令(案)等」に関する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2008/080725.html (19) 2007年3月15日 「障がいを理由とする差別を禁止する法律」日弁連法案概要の提案 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2007/070300.html (20) 2006年10月17日 障がいを理由とする差別を禁止する法律要綱案 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2006/061017_2.html (21) 2005年年6月23日 「障害者自立支援法案」の修正を求める要望 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2005/2005_40.html (22) 2005年6月17日 心神喪失者等医療観察法の施行延期に関する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2005/2005_35.html (23) 2005年2月25日 「心神喪失者等医療観察法鑑定ガイドライン」策定に対する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2005/2005_15.html (24) 2005年2月18日 手話教育の充実を求める意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2005/2005_26.html (25) 2003年7月8日 性同一性障害者の法的性別に関する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2003/2003_30.html (26) 2002年2月15日 精神医療の改善方策と刑事司法の課題 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2002/2002_2.html (27) 2002年1月1日 道路交通法施行令の一部を改正する政令試案等に対する意見書 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2002/2002_1.html 4 会長声明・談話 (1) 2014年6月6日 精神科病院の病床を居住系施設に転換することに反対する会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140606.html (2) 2013年12月19日 難病患者の生きる権利を支える医療費助成制度を求める会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131219.html (3) 2013年12月4日(全文は資料3−5) 「障害者の権利に関する条約」の批准に際しての会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/131204_3.html (4) 2013年7月17日 東京高等裁判所における成年被後見人に選挙権を認める和解成立を受けての会長談話 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130717.html (5) 2013年6月19日(全文は資料3−4) 障害者差別解消法の成立にあたっての会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130619.html (6) 2013年5月27日 成年被後見人に選挙権を認める公職選挙法の改正を受けての会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130527_2.html (7) 2013年4月26日 精神保健福祉法改正に関する会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130426_2.html (8) 2013年4月12日 精神障がいのある人の速やかな雇用義務化を求める会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130412.html (9) 2013年3月1日 発達障害のある男性による実姉刺殺事件の控訴審判決に関する会長談話 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130301.html (10) 2012年2月15日 障害者自立支援法の確実な廃止を求める会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120215_2.html (11) 2012年8月10日 発達障害のある被告人による実姉刺殺事件の大阪地裁判決に関する会長談話 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120810_3.html (12) 2012年6月20日(全文は資料3−3) 「障害者総合支援法」成立に際して、改めて障がいのある当事者の権利を保障する総合的な福祉法の実現を求める会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120620.html (13) 2012年5月14日 ALS患者の介護支給量義務付け訴訟判決に関する会長談話 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120514.html (14) 2012年4月3日 障がい等を有する福島原子力発電所事故被害者に対する損害賠償について特別の配慮を求める会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120403.html (15) 2010年12月3日 障害者自立支援法改正についての会長談話 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2010/101203_4.html (16) 2009年3月13日 障がいのある人の権利条約の批准と国内法整備に関する会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2009/090313.html (17) 2005年3月11日 会長声明−ハンセン病問題に関する検証会議の最終報告書を受けて− http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2005/2005_03.html (18) 2003年11月20日 ハンセン病元患者に対する宿泊拒否に関する会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2003/2003_33.html (19) 2003年9月25日 声明(障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定について) http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2003/2003_31.html (20) 2003年7月10日 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」に関する会長談話 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2003/2003_24.html (21) 2003年6月6日 心神喪失者等『医療』観察法案(修正案)の強行採決に対する会長声明 http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2003/2003_18.html (22) 2002年3月15日 精神障害と犯罪の問題に対する政府案に反対する(会長声明) http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2002/2002_3.html 資料3−2 2001年人権擁護大会宣言(全文) 障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定を求める宣言  日本国憲法は個人の尊厳と法の下の平等を保障し、国際人権法はすべての人がいかなる差別もなく人権を享有することを謳っている。障害者の権利宣言(1975年国連採択)は、障害のある人が他の人々と等しくすべての基本的権利を有することを明確に宣言し、既に20を超える国々で、障害のある人の権利を明記し、差別を禁止する法律が制定されている。  しかるに、わが国においては、障害のある人は、今なお根深い偏見と無理解のために、日々様々な場面において深刻な差別と人権侵害を受け続けている。ところが、わが国には、障害のある人の具体的権利を保障し、差別を禁止するとともに、差別や人権侵害からの実効力ある救済手続を定めた法律が存在しない。折から、本年8月31日、国際人権(社会権)規約委員会は、わが国に対して、障害のある人に対する差別を禁止する法律(以下「差別禁止法」という。)の制定を勧告した。  わが国は、日本国憲法と国際人権法に定める諸権利を実質的かつ平等に実現するため、障害のある人や関係団体の意見を最大限尊重し、下記の内容を含む差別禁止法をすみやかに制定すべきである。  また、差別を受けた障害のある人の権利救済のため、簡易・迅速な、専門性のある裁判外救済機関の機能を、政府から独立した人権機関などに担わせるべきである。 1. 障害のある人は、差別なくして採用され働く権利を有すること。 事業者は、障害のある人の労働の権利を実現するために、施設の改造・特別な訓練の実施・手話通訳者の配置など労働環境を整備する義務を負うこと。 2. 障害のある人は、統合された環境の中で、特別のニーズに基づいた教育を受け、教育の場を選択する権利を有すること。 国及び地方公共団体は、障害のある人の教育を受ける権利を実現するために必要な設備の設置、教員の増員などの条件整備を行う義務を負うこと。 3. 障害のある人は、地域で自立した生活を営む権利を有し、交通機関・情報・公共的施設などをバリア(障壁)なく利用する権利を有すること。 国や地方公共団体、事業者は、これらの権利を実現するために、交通機関や施設の改造・インターネットへのアクセス対策などの環境整備を行う義務を負うこと。 4. 障害のある人は、参政権の行使を実質的に保障され、手話通訳など司法手続における適正手続のために必要な援助を受ける権利を有すること。 国及び地方公共団体は、そのために必要な措置を講ずる義務を負うこと。 当連合会は、障害のある人の完全な社会参加と差別のない社会を実現するために、差別禁止法の制定に向け全力を尽くす決意である。 以上のとおり宣言する。 2001年(平成13年)11月9日 日本弁護士連合会 資料3−3 障害者総合支援法成立関係会長声明全文  「障害者総合支援法」成立に際して、改めて障がいのある当事者の権利を保障する総合的な福祉法の実現を求める会長声明  本日、国会で、「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」(以下「本法律」という。)が成立した。  本法律は、障害者自立支援法の名称を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」(以下「総合支援法」という。)と改めるなど、同法を一部改正するものである。  国は、2010年1月7日、障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と基本合意文書を締結し、障害者の権利に関する条約の批准も視野に入れ、「障害者自立支援法を2013年8月までに廃止し、新たな総合的な福祉法制を実施する」と確約した。  これを踏まえ、当連合会は2011年10月7日、第54回人権擁護大会において「障害者自立支援法を確実に廃止し、障がいのある当事者の意思を最大限尊重し、その権利を保障する総合的な福祉法の制定を求める決議」を採択し、さらに2012年2月15日には「障害者自立支援法の確実な廃止を求める会長声明」を公表した。  しかし、総合支援法の内容は、障害者自立支援法の一部改正に留まり、障がいのある人の基本的人権を具体的に保障する規定が設けられていない。障がいの範囲についても、障害者の権利に関する条約が求めている「障がいが個人の属性のみではなく社会的障壁によって生じる」とする社会モデルの考え方が採用されず、そのために新たな制度の谷間を生む内容となっている。また、自己決定権に基づき個々のニーズに即して福祉サービスを利用できる制度にもなっていない。かかる総合支援法は、当連合会が従来提言してきた内容とは相容れないものである。  また、本法律は、附則に、施行後3年を目途として、常時介護を要する者に対する支援等の障害福祉サービスの在り方や支給決定の在り方等について検討を加え、所要の措置を講ずる旨の見直し規定を設けているが、本見直しに際しては、当事者参画のもとで、附則に例示された項目に限定されることなく、障がい者制度改革推進会議が取りまとめた骨格提言の内容が実現されるべきであり、障がいのある人の基本的人権を真に保障する福祉法制の実現に向けた検討が行なわれるべきである。  当連合会は、3年後見直しの際には、人権擁護大会決議に基づく内容が実現され、何人も障がいの有無により分け隔てられることなく地域で暮らせる権利が保障される福祉法制が実現されることを強く求める。 2012年(平成24年)6月20日 日本弁護士連合会 会長 山岸憲司 資料3−4 障害者差別解消法成立関係会長声明全文 障害者差別解消法の成立にあたっての会長声明  本日、国会で、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「本法律」という。)が成立した。  本法律は、2006年に国連で採択され130ヵ国が批准している障害のある人の権利に関する条約(以下「障害者権利条約」という。)の批准のための国内法整備として、行政機関等及び事業者に対し、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止を義務付け、また、行政機関等に対し、過重な負担でない限り、社会的障壁の除去につき合理的配慮義務を課すものである。  当連合会は、2001年11月に開催した人権擁護大会で「障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定を求める宣言」を採択して以来、一貫して同法の制定を求めてきたものであり、我が国で障害を理由とする差別を禁止する個別法がようやく成立したことを、評価するものである。  しかし、本法律の内容は、障害者権利条約及び当連合会が従前から求めてきた内容と比べると不十分な点があり、特に、以下の課題が残されている。  第1に、差別の一類型である合理的配慮義務違反につき、行政機関等は法的義務となっているのに対し、民間事業者は努力義務にとどまっている点である。社会に広く存在する差別から障害のある人を救済するためには、また、障害者権利条約の要請からしても、民間事業者についても法的義務へと移行するべきである。  第2に、本法律では、権利侵害の救済機関として新たな組織を設けず、既存の機関を活用していくことが想定されているが、実効性ある権利救済のためには、第三者性のある救済機関が必要であることは自明である。障害者権利条約33条2項が条約上の権利の実施を促進、保護、監視する機関を設けることを締約国の義務としていることからも、当連合会がかねてから提言しているとおり、パリ原則に則った政府から独立した人権機関の創設が急務である。  第3に、本法律は、差別的取扱いや合理的配慮の具体的内容など、重要事項の定めをガイドラインに委ねている。このガイドラインは、障害者権利条約の各則の趣旨に適合する内容となるよう具体化するとともに、障害のある人の実状にあった内容となるよう、国会の関与などの制度的担保が必要である。  本法律は附則で、平成28年4月の施行から3年経過時に、民間事業者の合理的配慮のあり方を含めて、本法律についての所要の見直しを行うこととしているが、当連合会は、施行後3年を待たず、可及的速やかに本法律を見直し、これらの課題を解決していくことを強く求めるものである。 2013年(平成25年)6月19日 日本弁護士連合会会長 山岸憲司 資料3−5 権利条約批准関係会長声明全文 「障害者の権利に関する条約」の批准に際しての会長声明  本日、「障害者の権利に関する条約」(以下「権利条約」という。)の批准が、国会で承認された。  権利条約は、2006年12月13日、第61回国連総会で採択されたが、政府が権利条約を担保する国内法整備が不十分なまま、批准の承認手続を進めようとしたのに対し、当連合会は2009年3月13日、会長声明を公表し、障がいのある人の基本的人権を保障するシステムの基本的枠組みを構築することを強く求めた。  その結果、政府は、同会長声明や当事者団体の意見等を踏まえ、条約締結に先立って国内法令の整備を推進することとし、改正「障害者基本法」、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「差別解消法」という。)などを成立させており、このように国内法整備を経た上で権利条約批准の承認に至ったことについては、当連合会としても評価するものである。  しかし、現時点においても、社会的障壁の除去の実施について民間事業者の合理的配慮義務が努力義務にとどまり、国内人権機関も設立されていないなど、国内法整備は、必ずしも十分とは言い難い。権利条約の趣旨を国内において実現させるために、国は、引き続き、次に述べるような国内法整備を行うことが必要である。 1 民間事業者の合理的配慮義務を努力義務にとどめている差別解消法8条2項を早急に改正し、法的義務へと移行するべきである。 2 パリ原則に則った政府から独立した国内人権機関の創設が急務である。 3 学校教育法及び同法施行令は未だ、障がいのない子もある子も分け隔てなく共に学ぶことを原則としておらず、あらゆる段階において共生社会を形成するための教育(インクルーシブ教育)を保障するための法整備が必要である。 4 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律などに定める精神障がいのある人に対する強制入院のあり方は見直しが必要であり、また、効果的な権利擁護制度の確立、入院者を減少させるための地域生活の支援の充実が求められる。 5 障害者基本法29条は、司法手続における国の配慮義務を定めているものの、障がいのある人の個別事情に応じた配慮が提供されることを確保するためには、訴訟法において配慮義務を明定する必要がある。 6 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律が適用対象外としている学校、保育所等、医療機関、官公署等(同法附則2条参照)を適用対象とすべきである。 7 障害支援区分と利用施策・支給量が連動する、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の仕組みを廃し、障がいのある人の個別事情に即した支援を受ける権利が保障されるようにすべきである。 8 成年後見制度は、精神上の障がいによる判断能力の低下に対し画一的かつ包括的な行為能力制限を定めているが、個々人に応じた必要最小限の制限にとどめ、当事者が可能な限り自己決定しうる環境に配慮した制度に改められるべきである。  当連合会は、国に対して、権利条約の趣旨を国内において実現させるためにも、速やかに上記法改正を行うことを強く求める。また、今後予定されている差別解消法における基本方針、対応要領、対応指針の作成や、障害者の雇用の促進等に関する法律における差別禁止・合理的配慮の提供指針の作成については、権利条約の趣旨を活かしていくよう積極的に働きかけていく所存である。 2013年(平成25年)12月4日 日本弁護士連合会会長 山岸 憲司 資料3−6 2014年6月6日障がい者団体ヒアリング  当連合会は,人権擁護大会シンポジウム第2分科会で報告を行う参考とするため,各障がい者団体との間で情報及び意見の交換を行う場として,下記の日程でヒアリングを実施した。 1 日時 2014年6月6日(金)午後2時〜午後5時 2 会場 東京都新宿区戸山1−22−1全国障害者総合福祉センター戸山サンライズ 3 出席又はアンケート回答をお願いした団体(順不同) ・ 認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク ・ NPO法人線維筋痛症友の会 ・ 一般社団法人日本自閉症協会 ・ 公益財団法人日本ダウン症協会 ・ 公益社団法人日本てんかん協会(波の会) ・ 公益社団法人日本オストミー協会 ・ 一般社団法人全国児童発達支援協議会 ・ 一般社団法人日本発達障害ネットワーク ・ NPO法人日本相談支援専門員協会 ・ NPO法人障害児・者人権ネットワーク ・ 社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会 ・ 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会 ・ 公益財団法人日本知的障害者福祉協会 ・ 障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会 ・ 社会福祉法人東京都知的障害者育成会 ・ ピープルファーストジャパン ・ NPO法人全国地域生活支援ネットワーク ・ NPO法人全国言友会連絡協議会 ・ 弱視者問題研究会 ・ 自治労障害労働者全国連絡会(障労連) ・ 日本障害フォーラム(JDF) 4 事前アンケート質問項目と回答内容 (1) 質問項目 a 質問1 貴団体において,障がいをもつ人々の生活状況・権利保障に関わる調査をとりまとめた資料はございますか。 b 質問2 貴団体において,日本国内では障害者権利条約が完全に実施されているとお考えでしょうか。もし,完全に実施されていないとお考えであれば,どのような課題があるとお考えでしょうか。御意見をお聞かせください。 (2) 回答内容 別表5のとおり 事前アンケート回答 団体一覧 別表5 認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク 質問1に対する回答(調査資料の有無)について いいえ 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 教育 子ども 質問2に対する回答(意見)について 無回答 NPO法人線維筋痛症友の会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について はい 質問1に対する回答(資料内容)について 患者の実態調査 質問2に対する回答(意見の項目)について 医療 質問2に対する回答(意見)について 難病指定には、「患者数が多い」という理由で外され,障がい者手帳は「症状が固定しない」,「客観的証拠がない」,「そんな病名は聞いたことがない」等の理由で外される。どちらにも入れない「制度の谷間」にある疾患です。 公益社団法人日本てんかん協会 (波の会) 質問1に対する回答(調査資料の有無)について はい 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 雇用 欠格条項 教育 医療 移動など 質問2に対する回答(意見)について 無回答 一般社団法人全国児童発達支援協議会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について いいえ 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 無回答 質問2に対する回答(意見)について 無回答 NPO法人日本相談支援専門員協会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について いいえ 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 雇用 教育 地域生活 質問2に対する回答(意見)について とくに地域生活サービスのサービス単価が安く、入所施設系の単価が高く、社会福祉法人の内部留保増大につながり、障がい者の権利が非常に限定的になっている印象が強い。 NPO法人障害児・者人権ネットワーク 質問1に対する回答(調査資料の有無)について はい 質問1に対する回答(資料内容)について ・就労についてのアンケート ・差別事例について現状を書いていただいたもの 質問2に対する回答(意見の項目)について 雇用 暮らし 質問2に対する回答(意見)について ・健常者と同じ仕事をしているのに賃金が安い。契約社員。 ・障がいのあることを理由にした差別は相変わらず根強い。 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について いいえ 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 無回答 質問2に対する回答(意見)について 無回答 公益財団法人日本知的障害者福祉協会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について いいえ ※但し、福祉サービス利用者の実態調査を毎年実施している。また、昨年は障害者虐待防止法の施行後1年を踏まえ、福祉サービスを提供する事業所に対し同法への取組み等に関する調査を実施している。 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 雇用 アクセシビリティ 参政権 暮らし 質問2に対する回答(意見)について 障害者権利条約への締結に向けて国内法の整備がなされたが、これから施行される法律もあり、現在進行形であるとの認識でいる。また、整備された法律をより実効性のあるものとするためには、学校教育を含めて、広く国民の知的障害のある人たちに対する理解の推進に向けた啓発活動(心のバリアフリー)をいかに進めていくかが重要である。 ・雇用 障害者雇用促進法が改正され、障害者が職場で働く際の支障を改善するための措置(合理的配慮の提供義務)を定めているが、改正法を実効性のあるものとするために、平成28年4月の施行に向けた関係者の意見聴取が必要である。 ・アクセシビリティ 各種情報やサービスなど、知的障害者等の利用(わかりやすい文章、イラスト、音声)を想定したであろうと思われるものがほとんど存在しない。 ・参政権 公職選挙法の改正により、成年後見制度の被後見人に選挙権が認められることとなったが、知的障害者等の選挙権の行使への支援が不充分である。 ・暮らし グループホームの開設等が、住民の反対運動により断念せざるを得ない事態が起きている。 障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について はい 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 地域生活 住居 質問2に対する回答(意見)について グループホームは障害のある人が地域の中でふつうにくらしを営むためのひとつの手段と考えているが、グループホーム設置にあたって地域の人たちから反対運動がおこることもあり、また建築基準法など、障害のある人たちが自由に住まいを選べる状況にはない。 社会福祉法人東京都知的障害者育成会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について はい 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 無回答 質問2に対する回答(意見)について 無回答 自治労障害労働者全国連絡会 (障労連) 質問1に対する回答(調査資料の有無)について はい 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 無回答 質問2に対する回答(意見)について 無回答 NPO法人全国言友会連絡協議会 質問1に対する回答(調査資料の有無)について いいえ 質問1に対する回答(資料内容)について 無回答 質問2に対する回答(意見の項目)について 消防・救急・自衛隊 警察・司法 就職 ハローワーク 職場 専門学校 相談機関 社会科学的研究 質問2に対する回答(意見)について 【消防・救急・自衛隊】 1.「娘が急病に掛かり、救急病院を探すために電話を掛けたが、吃音がでた為、取り合って貰えなかった。」いたずら電話と間違えられてしまいました。 2.自然災害や武力紛争などの緊急事態において、言葉を発話できないためにどこにいるか?助けてほしいことを伝えられない可能性がある。東日本大震災でも「逃げ遅れる障害者問題」があった。 (説明)警察・消防・自衛隊など公職にある人たちさへも吃音について知られていない状況にあります。啓発活動が必要です。権利条約第11条(緊急時や災害時における安全)第14条(身体の自由及び安全)第25条(健康) 【警察・司法】 3.「司法・警察の場において、十分に自己の主張が出来ず困った。また吃音者に対する配慮も見られなかった。」「裁判において十分に自己主張が出来ず、また関係者の吃音に対する理解・配慮も見られなかった。」 4.『街の中で警察官に職務質問されて「おまえ喋り方がオカシイな!!クスリでもやってんのか?ああ?コラ??警察署まで来てもらおう」と言われた。』 (説明)吃音について理解していないために職務質問で不当に扱われます。また警察や検察や裁判所でもうまく言葉を発話できないために「こいつは嘘をついている」「嘘をついているからうまく喋れないんだ」と誤認される可能性もあります。権利条約第12条(法律の前にひとしく認められる権利)第13条(司法の手続きの利用の機会) 【就職にあたって】 5.『試用期間中に「吃音を治さないと、正社員としての採用は難しい。試用期間が終わるまでの間に病院で吃音を治してくるように」と言われた』 (説明)吃音という障害に対する配慮がなく、吃音の無い人と同等の、不当な競争にさらされます。就職がなかなかできない人が多いのも事実です。権利条約第27条(労働および雇用)や第8条(意識の向上) 【就職−あきらかな差別】 6.「某県庁から採用前提で、奨学金を頂いていたが、採用されず(別の方が採用された)奨学金も即時返済を要求された。また別の県庁の採用試験では受験者数が募集人員を下回っていたが、合格・採用に至らなかった。」 (説明)吃音との因果関係を断定する事は出来ないが、強く疑われると考えられる。事前に説明もなく、明文化もされていない条件で、隠れた欠格条項のような位置づけであり、不当な差別といえます。合理的配慮で就業することは可能と思われます。27条(労働及び雇用) 【ハローワークで】 7.「ハローワークに求職相談したが、吃音は障害者認定されていないので、特別な配慮は出来ない。またこれだけ吃っていたら、採用する方の評価も低くするのは、残念だが致し方ないと思うと言われた。」 (説明)就職活動で頼りにすべきハローワークでこのような言葉を受けた人のショックは想像するに余りあります。吃音への理解がなく、また合理的配慮の適用のことも考慮されていません。公職にある人への吃音啓発活動が必要です。権利条約27条(労働及び雇用)と9条(施設及びサービス等の利用の容易さ) 【職場で】 8.「バイトで電話を掛ける際にどもってしまって、お客様から『本当に職員の方ですか!?』と疑われた」 「電話での応対する仕事をさせられています、上手く喋れず伝えられず、苦情がきている、やる気がないと判断されて周りから厳しい目で見られています。」 9.『職場にて吃音があること、吃音で悩んでいることをカミングアウトしたときに上司・同僚が吃音を知らないことにより、「吃音で悩んでいること」を批判されたこと、「君は、どもるだけでそんなに悩むなんて精神がおかしいんじゃないの?」「それ以上言うなら、会社を辞めろ。辞表を出せ。」と、打ち明けて相談したかったが全く寄り添ってもらえず。』   (説明)吃音の障がいとしての認知度が低いため、実生活の場で無理な対応を求められたり、吃音のある人が一方的な努力を強いられたりします。権利条約第27条(労働および雇用)権利条約第8条(意識の向上) 【専門学校で】 10.「看護学生の病院実習の時に担当教官より、吃音は患者とのコミュニケーションが不十分となるので、単位を与える事は難しいと言われた。」 (説明)合理的配慮で就業することは可能性もあります。権利条約24条(教育)と27条(労働及び雇用) 【相談機関】 11.「吃音を診療出来る医療従事者がほとんどいない。また他の医療機関への紹介をお願いしても心当たりがないと言われるケースが多い」 (説明)思春期以降の吃音のある人にとって、相談できる場が非常に少なく、対応する専門家も少ない状況にあります。吃音を臨床できる専門家養成のための教育プログラムの見直しや研修機会を増やすなどの対策を実行していただきたいと望みます。権利条約第25条(健康)第26条(ハビリテーション及びリハビリテーション) 【社会科学的研究】 12.「質問1の吃音者の生活状況・権利保障に関する調査はないのが現状である」 (説明)吃音の理解が十分でなく、認知度も低いことで、吃音のある人の生活状況・権利保障そしてコミュニケーションや行動特性などの全国的な調査が行われていません。全体として把握されていないことは吃音に対する行政の側の取り組みの遅れに結びつきます。 権利条約第31条(統計および資料の収集)第28条(相当な生活水準および社会的な保障)   以上、事例に即して述べました。 最後に、吃音のある人たちが置かれている現況、特に障害者手帳取得の可能性について述べさせていただきます。 日本国内ではそもそも「吃音」が障害なのか明確なガイドラインが日本政府・厚生労働省によって定義されていません。内閣府の障害者差別解消法では吃音が障害者として扱われますが、厚生労働省の障害者手帳取得のルールは曖昧です。2014年5月25日現在では、電話回答ですが、厚生労働省は吃音者を障害者として認めている旨の返事をもらっています。しかしながら、どうやって吃音であると診断するのか?どこの医療機関に行けば診断してもらえるのか?等のガイドラインはありません。そして各都道府県に吃音についての通達はありません。吃音が障害者手帳の範囲であると認識していない医師や自治体が多いのが現状です。  また、既存の身体障害者手帳3級(発話部位の喪失)4級(家族でないと何を発話しているか理解できない)という等級では、一応会話をすることができる吃音者は法律の谷間に落ち込んでいます。5級の新設になるのか、吃音者に限っては4級に入れるように解釈変更を望みます。または、発達障害者支援法のように吃音者支援法の立法を求めます。(以下の※注を参照)こういう現況は、障害者権利条約第4条(一般的義務)に記載のいろいろな措置が講じられていないと考えます。このように障害者制度から漏れて公的な支援をうけることが叶わなかったという状況の中、吃音のある人たちはセルフヘルプグループを作って、自らの悩み苦しみをお互い分かち合い、問題の解決を図ろうとしてきました。いま障害者権利条約の発効以来、権利条約の精神を生かすべく、障害者制度改革が着手され重要な法律が改正または新たに作られました。今まで、ひとりでそして当事者同士で取り組んできたことに加え、新たな公的支援を受ける可能性も見えてきました。権利条約の完全な実施に大いに期待する所です。 ※注)なぜ吃音者が障害者手帳発行の範囲にあるかを、日本政府・厚生労働省に確認することが重要なのか?それは日本国内の法制度の問題でもあるからです。障害者手帳や療育手帳がなければ、例えば義務教育期間のあとに、あるいは高校卒業や大学卒業後、または成人した後などに就労移行支援事業や就労継続支援A型・B型事業を受けることが難しい(例外はある)。その他、仮に障害者差別解消法に基づいて「吃音者に配慮した就職面接」が行われたとしても、形だけで不採用するのではないか?という心配が残ります。障害者手帳を持っていないと、障害者雇用促進法に規定されているような動機づけが(例えば法定雇用率に計算できるのか?)、雇用する企業側にないからです。 以上。 5 当日ヒアリングの内容(団体名は略称にて表示させて頂きました。) (1) 障がい者の範囲 ・ 1.7%の発病率ということで線維筋痛症は難病法から除外されているが,発病率と辛さは関係がない。元々は難病は「5万人未満」という要件があり,抗議活動をしたところ「0.1%未満」と言われた。署名活動もしているが何も変わっていない。(線維筋痛症友の会) ・ 難病法は,客観的に評価しにくい疾患については救われない残念な内容であり評価できない。また,客観的指標がないとの理由ではじかれてしまっているのでどうしたら良いのかわからない。(線維筋痛症友の会) ・ 線維筋痛症は,見た目では分からないが,骨折が500〜600とすると1800くらいの痛みがあるので,病名で排除しないで欲しい。(線維筋痛症友の会) ・ 吃音は重傷の場合は何秒間も声が出ないが原因が不明。「障がい」かどうか,障害者手帳については曖昧で,法律の谷間に陥ってしまっている。(言友会) ・ 手帳の認定について,現在は両眼の視力の和が基準となっているが不合理である。左右がともに0.05であったとして,0.1の視力で見えるべきものが見えるというわけではない。よく見えるほうの眼の視力で判断してほしい。(弱視者問題研究会) (2) 差別概念 a 定義,理解啓発など ・ 肢体不自由も含め,障がいに関する各種政策の一般に対する周知がない(あったとしても程度が低い)。(肢体不自由父母の会) ・ 「差別」についての定義をおくべきである。(JDF) ・ ガイドラインについては,条約に基づいて作成すべきである。(JDF) ・ 障がいの理解について,まだ市民の理解がない。政府広報などでの啓発が必要。JDF自体もイベントを企画している(JDF) ・ 現に多くの吃音者が無理解によるいじめ,からかいに苦しんでいる。社会にも吃音のことを理解してもらって変わって欲しい。(言友会) ・ 今後は吃音に関連する事項について,全国規模での調査を実施していきたい。(言友会) ・ 知的障がいのある人に対する意識が極めて不十分なので,啓発して欲しい。(知的障害者育成会) b 合理的配慮 ・ 合理的配慮については,好事例と悪事例で分けて検討をしていくべき。(てんかん協会) ・ 現在は,障がいのある者とない者とは,そもそも別のトラックを走っているようなもの。その中で合理的配慮と言ったところで本質的ではない。(人権ネットワーク) ・ 吃音に対する合理的配慮としては,例えば緊張すると吃音になりやすいのでできる限り緊張しないような配慮をしてもらいたいし,意見を言うのが苦手な人が多いことを分かって欲しい。ゆっくりと時間を待って欲しいし,会話でも沈黙の時間が必要になる。少し待ってもらうという理解が欲しい。(言友会) ・ 視覚障がいというと全盲が有名だが7〜8割は弱視。今はタブレットPCで確認もできるので,データを配布するなどの合理的配慮も考えて欲しい。(弱視者問題研究会) (3)雇用 a 法定雇用率,分離雇用の問題 ・ 法定雇用率を守らなくても月5万円程度で免れるというルール自体がダメなのではないか。これでは,誰も守らない。1人雇用しないと何十万円という制裁がなければいけないのではないか。(人権ネットワーク) ・ 障がいのある者は,ほとんどが非正規雇用となっている。障がい者枠での採用は全員非正規雇用。(人権ネットワーク) b 採用前 ・ 採用試験における差別・区別が存在している。全ての障がいのある人が受験できる仕組みがない。例えば,視覚障がいにおいて,試験で点字の読み書きが許されていない,拡大文字で試験が受けられない,という多くの自治体がある。ハード面において,試験会場のバリアフリー,配慮がなされない。手話通訳要約筆記がおこなわれていない。(障労連) ・ そもそも各種試験における平等が保障されていない。地方公務員であっても活字文書での対応や自力通勤可能などの条件を付しており,排除に繋がっている。(JDF) ・ 就職活動で,障がいがあるというだけで相手にしてもらえない。(人権ネットワーク) c 採用後 ・ 採用後の問題として,中途障がいの場合も大きな困難がある。例えば,PCの読み上げソフトの導入などの課題がある(セキュリティの問題と緊張関係にある)。(障労連) ・ 透析のための時間制約がある場合に,業務時間の短縮やフレックスタイムの対応,休んだ場合の休業・欠勤の取扱いなどの課題が多い。(障労連) ・ 合理的配慮については,何が企業にとっての過度な負担になるのかが不明確でこれからの課題。(障労連) ・ 同じ内容の仕事をしているのに待遇に差があるという声はよく聞く。またいくら働いても正規にしてもらえないという話もある。(人権ネットワーク) ・ 雇い止めなどの事例について,やはり会社の都合でクビになる,辞めろと言われるなどの話はよく聞く。実情として,4回職場を変わった。有期契約で3か月契約→今は6か月契約で,6年間契約更新を続けている。契約更新前は,非常に不安定になる。(人権ネットワーク) ・ 吃音に関して,職場での無理解による苦しみ(いじめ,パワハラなど)があり,セルフヘルプグループを作った。(言友会) ・ 北海道の事例であるが,看護師が職場の無理解を原因としたパワハラで自殺した。合理的配慮についてもまったくなかったと思う。(言友会) ・ セキュリティの問題から,画面拡大ソフトや音声読み上げソフトの利用がしにくくなっている現状がある。(弱視者問題研究会) ・ 助成金制度についても修正すべき。例えば,音声PC・文字拡大器は民間にはあるが公務員にはない。(JDF) ・ ヒューマンアシスタントについても,民間はOKのところもあるが,公務員では認められていない。(JDF) ・ 中途障がい者,とりわけどんどん視力が下がっていくなどの障害があり,その中途では障がい者手帳を取得できない人に対しては何の救済もない現状である。手帳の前段階の人たちをすくいあげていってほしい。(JDF) d その他 ・ 採用前,採用後で分けて雇用の分野に関するガイドラインは検討している。(障労連) ・ 民間との連絡,連携については,民間の労働組合と実際に連携はある。ただ,具体的な当事者がどれくらいかまでは分からない。障がいがある者が企業の都合で一方的に辞めさせられるという対応・事例はあった。(障労連) ・ 時短勤務,在宅勤務の併用を希望する者も中にはいるが,所得保障の点から問題がある。(障労連) ・ 合理的配慮の中身については,厚労省が指針を検討中であるとはいえ,極めて重要な問題なので今後も注視していきたい。(発達障害ネットワーク) ・ ハード面の合理的配慮も大切だが,ソフト面もより重要ではないか。いずれにしても,合理的配慮のための財源確保の必要性,紛争解決についての第三者機関は必須だと思う。また分野を超えたつながりも必要。(発達障害ネットワーク) ・ 合理的配慮については,事例集のような集積はないが,雇用分野については具体的な意見は出している。(発達障害ネットワーク) ・ まずは公務員の分野で率先して対応しなければ,民間には普及しない。(人権ネットワーク) ・ 団結をしなければ,より良い対応の実現は難しい。障がいのある人は「人が良い」人が多いので,積極的に保障をしていかないと日本は良い国にならない。(人権ネットワーク) ・ 色々な活動,保障があるけれども,一般の方からはその活動が見えないという現状がある。障がいの種類も多い。(人権ネットワーク) ・ 障がいを理由とする多くの差別があるので,その禁止を徹底しなければならない。(JDF) (4) 教育 a 特別支援学校,未就学児,院内学級の問題 ・ 院内学級の問題として,「学籍」がある。学籍を移動することが必要となるため,私立だと退学しなければならないケースもある。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ 短期間の入退院を繰り返すような場合に,院内学級による学ぶ機会の保障ができない。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ 院内学級からの復学支援が困難。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ そもそも,学びの場の「拠点」を確保することが難しい。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ 未就学児のことがほとんど意識されていない。「療育」の制度を新設していくなどの対応が必要ではないか。(児童発達支援協会) ・ 改正障害者基本法は17条に「療育」が初めて入ったが差別解消法には盛り込まれていない。子育て支援法,発達障害者支援法なども同様。子どもは虐待をうける確率が高い。そのための法律整備を。児童権利条約23条,7条。(人権ネットワーク) ・ アメリカ合衆国のIDEA法は3歳からの支援。日本でも就学前の子どもの育ちを保障する記述が必要。各則に療育を新設する。子どもの権利条約基準で,すべての子どもが差別なく育つ権利を保障してほしい。(児童発達支援協会) ・ 兄弟姉妹も差別など課題を抱えている。(児童発達支援協会) ・ 特別支援学校の全県設置,その後の作業場所の問題がある。(肢体不自由父母の会) ・ 特別支援学校の病弱部門の偏在是正。(難病のこども支援全国ネットワーク) b 通学支援 ・ 通学の保障が必要。例えば,ヘルパー運転による通学など。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ 通学がやはり難しい。ルートを覚えないと大変。結局,親が支援のために辞職しないといけなくなってしまう。適切な援助をして欲しい。(JDF) c 教科書・費用の問題 ・ 特別支援学校についての支援金は高1対象で上限50000円に拡大されたが,ディスプレイを買うだけで何十万円とかかる。極めて不十分。(JDF) ・ 教材についての十分な保障をして欲しい。(JDF) ・ 教科書問題については,高校からは自費になってしまう。ほとんどが高校に進学する現代においては差別ではないか。(弱視者問題研究会) d 普通学級における差別 ・ 学校ごとの格差が大きい。例えば,親の付き添い強制であったり,修学旅行の参加拒否という話は未だにある。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ 特に公教育において合理的配慮は高い水準であるべき。過度の負担であるとして費用の問題を言い訳にすることは決して認められない。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ てんかんであるというだけの理由で,学校での十分な教育が保障されない。絶対的欠格事由が明確にされてしまい,「てんかん」=「危険」ということがまかり通っている現実がある。(てんかん協会) ・ 就学にあたっては,子どもはもちろん,その家族・家庭の支援が不可欠。こういった視点を含めた差別解消法にして欲しい。(児童発達支援協会) ・ 障がいの種別ごとに体系化されていたサービスが一元化されてしまった。(児童発達支援協会) ・ そもそも子どもに対する対応は手薄になりがちである上,さらに障がいがある子どもとなるともっと手薄になってしまう。通常学級にも障がいの持つ子どもは6.5%,特別支援学級では2.9%,合計約10%の子どもが社会的にネグレクトされている。(児童発達支援協会) ・ 発達障がいのある子どもは,虐待,いじめを受けやすいので第三者を含めた仕組みを作ることが必要ではないか。また,家族支援も必要であり,親と連携して,例えば親の意見を反映したり教材を充実させたりといったことを考えるべき。(発達障害ネットワーク) ・ 地域の普通学校に通いつつ,支援を保護者に求める(強いる)という事例はまだまだある。地域格差の問題。(肢体不自由父母の会) ・ 地域に障がいがある子どもも当たり前にいるという社会が必要だと思う。通常学級にいるというだけではダメで,無理解に伴ういじめや不登校も多い。結局,このような実態では就労も躓いてしまい差別を助長する結果になる。インクルーシブ教育の実施を今後も検討しなければならない。(知的障害者育成会) ・ インクルーシブ教育については,ただ一緒に通うというだけではダメだと思うが,例えば「複籍」という制度で,特別支援学校に在籍しながら普通学校の行事等に参加するという仕組みを,普通学校が本籍で特別支援学校が複籍と言うべきではないか。(知的障害者育成会) ・ 吃音について,学校で無理解による苦しみ(いじめ等)。セルフヘルプグループを作った。(言友会) ・ 試験について差別がある。例えば,センター試験については,全盲であれば試験時間が1.5倍だが,弱視は1.3倍となっていて,納得できる理由はない。(弱視者問題研究会) e 調査等の要望 ・ 合理的配慮の事例について,文科省がデータベース化を進めているという話を聞いているので注目したい。(発達障害ネットワーク) ・ インクルーシブ教育の実施については,継続検討の上,必ず実現されるべき。(JDF) ・ 合理的配慮について,教育分野についても研究は進めている。(発達障害ネットワーク) (5) 公共的施設・交通機関 ・ 歩行の安全,特に交差点が危険なので,より良い設備の充実をお願いしたい。(弱視者問題研究会) ・ 全国のバリアフリーの徹底。(JDF) (6) 情報・コミュニケーション ・ 多くの知的障がいのある人は,各種サービス等の説明を受けていない。また,参加したとしても十分な説明がないため,議論に入ることができない。地域格差も大きい。(知的障害者育成会) ・ 読書について,著作権法37条の認定団体の要件が厳しすぎるため改善を求めたいと考えている。(弱視者問題研究会) ・ 情報バリアフリー法が必要である。(JDF) ・ 手話を言語として利用することの取組を行うべきである。(JDF) ・ 読書に関する障壁がある。ページがめくれないという障がいもあるし,ディスレクシアの場合もある。その意味でも情報バリアフリー法を早急に整備する必要がある。(JDF) ・ 読書障がいに関するマラケシュ条約では,文字が読み書きできない人だけでなく,ページをめくることができない人も対象になっていることに注目したい。(JDF) (7) 商品・役務・不動産・地域生活 ・ 誰でも同等なサービスを得られるような合理的配慮が大切ではないか。(肢体不自由父母の会) ・ グループホームの大規模化が起こっていて,最初は一軒家を借りて4〜5人で普通に暮らすというイメージだったところが,2〜10人の規模になり,それが2つ併設されて最大20人となり,建物が並んで40人,60人と増えていった。そのため,普通に町の中で少数で暮らすという当初の理念が変化してきており,危機感を強めている。グループホームという入所施設ができつつあるのではないか。(グループホーム学会) ・ 「地域生活支援拠点」という20人までのグループホームもあるが,やはり入所施設化してきているのではないか。(グループホーム学会) ・ 病院の施設内にグループホームが設置されることもある。(グループホーム学会) ・ 入所施設化の懸念があることと関連して,全国でグループホームを作るときに地域住民からの反対が起きている。(グループホーム学会) ・ 障がいのある者についての地域生活にあり方についても検討していかなければならない。(JDF) (8) 医療 ・ 子どもの難病は,そもそもの人数が少ないという問題がある。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ 具体的な活動制限としては,人工呼吸器の使用,症状が一定しないことによる困難,進行する前に軽減することが望ましいがこれも困難,その他病気による様々な生きづらさ。(難病のこども支援全国ネットワーク) ・ 働くことが困難であるにもかかわらず,線維筋痛症は医療費だけで月平均23000円もかかり負担が大きすぎる。どうしたら良いのかわからない。(線維筋痛症友の会) ・ 看護師がいたとしても,障がいの特性に応じた医療ケアは不十分。(肢体不自由父母の会) ・ 吃音については,そもそも研究者も医者も少ない。(言友会) ・ 精神障がいに関する強制入院については,直ちに見直すべきである。(JDF) (9) 欠格条項 ・ 道交法で指定されている病気。病気が事故を起こすという誤った認識(浅い認識)のため,個別の症状を見ようとしない。(てんかん協会) ・ 薬についての副作用についても認識が足りず,「薬を飲んでいる」=「危険」という考えがまかり通っている。(てんかん協会) ・ 厚労省が薬の添付文書について,自動車運転の禁止を記載するよう,改訂を指導している。しかし,何を根拠にしているのか。薬を飲んでいる人への差別ではないか。(てんかん協会) ・ てんかんについて,自動車関係の欠格条項は早急に見直すべきである。(JDF) (10) 成年後見 ・ 成年後見制度について,現行制度では権利の制約が著しいので,一刻も早い見直しが必要。また,運用面においても柔軟に対応して欲しい。そこから類型見直しにつなげて欲しい。とにかく,見直しの検討を開始することが必要。本人にとっての「最善の利益」とは何か,本人の周囲から本人をどう守るかという問題もある。(自閉症協会) ・ 支援付き意思決定に向けて,成年後見の見直しをすべき。(発達障害ネットワーク) ・ 家庭裁判所において成年後見の冊子を渡され,いきなり渡されても読めないため家に持ち帰って確認したいと言ったところ,認められないと言われた。(弱視者問題研究会) ・ 成年後見制度については,見直しが必須である。(JDF) (11) 家族形成 ・ 出生前診断(胎児)の問題についても,何らかの対応を検討中であるので,よろしくお願いしたい。(児童発達支援協会) (12) 虐待・人間の尊厳 ・ 発達障がいのある子どもは虐待の可能性が高いということを改めて認識して欲しい。(児童発達支援協会) ・ 知的障がいのある人の虐待については死亡事件もある。事業者・学校・施設等で虐待がおきても,隠蔽する体質がまだまだある。(知的障害者育成会) ・ 私たちを一人の人間として見てもらいたい。アメリカでは70年代に人権侵害,暴力虐待があった。去年11月袖ケ浦養育園で殺人事件があった。私たちは養育園に抗議文をもって抗議にいった。千葉県障害福祉課にも行った。10年も虐待があった。見学に行くと,部屋のなかからとんとんという音がした。腕を縛った仲間いた。だからこそ人権擁護が必要である。施設での虐待はまだ存在する。(ピープルファースト) ・ 障がいのある者に対する虐待を防止することは徹底しなければならない。(JDF) (13) 司法手続 ・ 発達障がいに関連して,法的手続においても不備が指摘されていることがある。平等な司法手続が望まれる。(発達障害ネットワーク) ・ 法律や制度を理解しないと,どんなに良い内容であっても普及は難しい。(知的障害者育成会) ・ 障がい特性を警察官に理解してもらうための冊子も作成しているが,佐賀県の安永健太さんの事件にも現れているとおり,まだまだ不十分。(知的障害者育成会) ・ 知的障がいのある人は,誘導に乗りやすい。取調べの可視化・支援者の同席を要望している。育成会や親の会と繋がっていることで,未然に巻き込まれることを防止できる場合もある。(知的障害者育成会) (14) その他・意見等 a 立法・法律制度問題 ・ てんかんに関しては,急激な法改正の方向になってしまったが,実態調査からの改正に向けての要請もしているところなので応援して欲しい。(てんかん協会) b 条例の制定 ・ 権利条約を活かすための条例作り・ネットワーク作りをしている段階にある。弁護士の皆さんにもネットワークに入ってもらえたらとても心強い。条例作りの段階としては,新潟市,明石市,徳島県,立川市など。(知的障害者育成会) ・ 権利条約はスタートで終わりではない。自治体の権利条例を進めたい。2020年にはオリンピック・パラリンピックが開催されるのだから。バリアフリーを徹底的に行ってほしい。(JDF) c  その他 ・ 赤ちゃんポストについて,熊本県の統計だが,81名中8名が障がいを持っている子どもだったという結果もある。(児童発達支援協会) ・ 障害児支援において,親の立場としてどのように子どもの権利を訴えるのかが問題。(肢体不自由父母の会) ・ 特に精神障がいについて,別のトラックに行くのではなく,障がいのない者と同じトラックで扱うべき。医療もそうだが,刑事司法の分野にも切り込んで欲しい。獄中処遇,強制入院,精神医療には問題も多い。(JDF) ・ 法律の世界では,障がいのある子どもに関する話はほとんど出てこない。(児童発達支援協会) 資料4 海外関係 資料4−1 国際社会における先進的な制度改革の紹介 1 はじめに 権利条約の実施に関する国際研究(2013年ゼロ・プロジェクト報告書、オーストリア)の中で、世界各国の優れた実践例及び政策例が報告されている。 この研究においては、毎年12月に、プロジェクトの研究内容と結果が、「ゼロ・プロジェクト報告書」として発表されている。障がいのある人々、障がい者団体、NGO、学識経験者、行政職員、各種協会などがそれぞれ専門的立場から、アンケートへの回答、実践例と政策例の収集などを行い、研究参加者は世界中から合計374名に及んだとのことである。 また2013年報告書では、特にテーマを雇用に定めているため、雇用に関する実践と政策が紹介されている。 以下ではまず40件の革新的な実践例を、次に11件の革新的な政策例を紹介する。 2 革新的な実践 革新的な実践は、主として「ボトムアップ型」のアプローチにより開発され、新技術、雇用モデルなどを通じて障がいのある人々の状況を改善するものである。別表6として一覧表で示した実践例は、様々な関係者と専門家によりノミネートされた120件から選出された40件の内、抜粋した12件である。 概観するとまず指摘できるのは、革新的な実践が世界的な広がりを持っており、特定地域に限定されていないことである。 また、実施地域が広範であることのみならず、事例と対象とされる問題の驚くべき多様性が指摘できる。特定の実践でそれぞれ対象とされる障がいには、自閉症スペクトラム障がい、知的障がい及び発達障がい、精神障がい、弱視及び全盲、難聴及びろうなどがある。そのほか、障がいのある人々を区別することなく、全て対象としている実践もある。 さらに、これらの革新的な実践の一部はすでに国際化されており、国境を超えて行われている。例えば、チェンジ(CHANGE)、ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialogue in the Dark)、雇用ツールキット、ジェナスティン(Genashtim)、インクルーシブな介護福祉士養成、インクルーシブな高等教育、生計支援センター、技術を通じた米州雇用機会パートナーシップ(POETA)、ロータリー雇用パートナーシップ、サーチ(SEARCH)、スペシャリステルネ(Specialisterne)、テレノール(Telenor)である。 3 革新的な政策 革新的な政策とは、障がいのある人々の雇用の権利の完全な行使を妨げる障壁となる状況を克服するための法律、規制又は計画である。 2013年度の報告書では、特に障がいのある人々の雇用の権利にかかわる11件の革新的な政策が発表されている。世界各地の26カ国から31件の革新的な政策の候補が寄せられた中から、選出されたものである。 これら政策を見ると、障がいの社会モデルが促進されており、ほとんどの革新的な政策は、障がいのある人々が一般労働市場で直面する環境面及び社会面の障壁に取り組んでいることがわかる。 また、権利の確立がなされている例もある。例えば、オーストリアの職業訓練法など一部の政策で、障がいのある人々の法的権利が確立されている。 選択された法律の一部(特にスウェーデン雇用保護法)は、主流化を基本としているため、とりわけ興味深い。 障がい者団体によるロビー活動や、障がい者団体との協議の直接的な結果として生まれた政策が8件あった。 ほとんどの政策は、最終的に専門家によって評価され、一部については、実施機関や障がい者団体による費用便益研究が行われた。例えば、イギリスの「仕事へのアクセス(Access to Work)」プログラムでは、1ポンドの支出につき、国庫に1.48ポンドの純収益がある。このような数値化は大変興味深く、日本においても試行されることが望まれる。 以下が11件の革新的な政策である。 (1)デンマークの特別なニーズのある青少年中等教育法(2007年6月第564号)では、普通教育を修了できない特別なニーズのある青少年が、初等・中等教育の後、3年間の青少年教育を通じて、個人的能力、社会的能力及び職業能力を獲得できるようにする。2012年には、5000人を超える人々がすでに青少年教育に登録していた。これまで青少年教育を修了した1300人の障がいのある若いデンマーク人のうち、20%が仕事を見つけ、あるいは、さらに教育を受けている。 (2)職業訓練制度を多くの若者にとってより利用しやすいものにするために、オーストリア職業訓練法(1969年)(特に§8b-c)が2003年に改正され、長期にわたる資格認定や部分的な資格認定が可能となった。2011年には、7014人がおもに長期にわたるインクルーシブな職業訓練を受けており、そのうち約20%に障がいがあった。およそ61%は企業内で研修を受けており、インクルーシブな企業内職業訓練の修了生のうち、約70%が4年後も雇用されていた。 (3)オーストラリアにおけるジョブアクセス(Job Access)プログラム(2006年)は、反差別法を補完し、助言と助成金を通じて職場における障壁の撤廃を促進する一方、障がいのある人々には、仕事を見つけたり続けたりするための手段と支援を提供している。2006年以来、驚くほど多くの問い合わせ(12万件)と資金援助の申請(1万7000件)があり、利用者の満足度は90%で、プログラムは真のニーズに対応していた。極めて模倣しやすいジョブアクセスは、国連公共サービス賞を獲得した。 (4)イギリスの「仕事へのアクセス」プログラム(1994年)は、障がいのある人々と雇用主に、障がいが原因で生じる仕事関連の支障を克服するための助言と支援を提供しており、平等法(2010年)を補完している。2009年から2010年までに「仕事へのアクセス」は3万7300人の障がいのある人々を支援したが、そのうち45%は、支援が無ければ失業していた。国庫の純収益は、1ポンドの支出につき1.48ポンドである。2012年には、イギリス政府が1500万ポンドの資金を投資するという意向を表明した。 (5)援助付き雇用は、高い支援ニーズを持つ人々が有意義な雇用を獲得できる効果的な手段であるとの認識から、スペインでは2007年7月2日、援助付き雇用プログラムのための規則に関する王令第870号が発令された。現在、約500人のジョブコーチが約5000人の障がいのある人々を一般労働市場で支援している。援助付き雇用のおかげで、1995年から2008年までで1万4159人の障がいのある人々が就職した。 (6)作業分析、ジョブコーチング及び同僚によるフルタイムのサポートからなる、カナダのニューファンドランド・ラブラドル州におけるジョブ・トレーナー・サポート・プログラム(1986年)は、知的障がいのある人々のために、少なくとも最低賃金が支払われる、統合された場での有意義な雇用を促進する。2011年には、1075人の知的障がいのある人々が、統合された雇用の場でジョブ・トレーナーの支援を受け、水準以上の賃金を得た。多くの人々が、自分で事業を始めることに成功している。 (7)イギリスでは、精神保健サービスの利用者の大多数は、有給の仕事を見つける支援を受けていない。全ての人は一般労働市場で働く能力があるという論拠に基づき、個別就労支援プログラム(IPS)(1998年)では、従来の継時的リハビリテーションアプローチとは異なり、雇用の専門家を臨床治療チームに組み込み、臨床治療と雇用支援を並行して実施している。精神障がいのある人々の約61%が、IPSを通じて就職することができた。 (8)ニュージーランドでは、障がい者雇用促進法を廃止する法律(2007年第11号)が制定され、シェルタードワークショップの運営者に対する、最低賃金と休暇及び病欠に関する法律の包括的適用除外という差別的条項が無効となった。この結果、隔離された職場環境において雇用されているニュージーランド人の数は、2001年の5400人から2007年には1202人へと減少した。同時に、雇用サービスを利用している人々の数は、300%以上増加した(詳しくは後記第7節を参照)。 (9)スウェーデン雇用保護法(1982年第80号)によれば、病気や障がいの獲得による能力の低下は、解雇の客観的な理由にはならず、雇用主は被雇用者を引き続き雇用するために、あらゆる相応の努力をしなければならない。この結果、スウェーデンにおける健康に問題のある人々又は障がいのある人々の雇用率は62%(2010年)となり、労働能力の低下を伴う人々の約50%が雇用されている。2009年には、労働条件の改善が必要な従業員の圧倒的多数が、必要な支援を受けた。 (10)総合的な身体・職業リハビリテーションを提供する、マレーシアの復職プログラム(2007年)では、従業員の回復と復職の支援に個別のケースマネジメントを採用している。プログラム開始以来、4842名の被雇用者が復職した。復職者のうち84%(2010年は65%)が、同じ雇用主の下で働き続けていた。その利益は費用をはるかに上回っている(比率にして1.43:1)。 (11)2008年には、オーストリアのオーバーエスターライヒ州で、ソーシャル・プロフェッション法(2008年)(特に§45-47)に基づき、ピアカウンセリング制度が設立された。このような措置は国際的にも珍しい。ピアカウンセラーは、障がいにかかわる直接的な体験を持ち、同様な障がいの影響を受けている人々に対し、自らの人生をコントロールできるように助言を提供する。総合的な資格認定では、基本的な資質として、さまざまなタイプの障がいの体験が重視される。現在、54名のカウンセラーが、週に750時間から1000時間のカウンセリングを行っている。 4 小括 以上のような各国の先進的な取組は、日本において権利条約の水準に見合う実践と政策を展開していく上で、非常に参考になるものである。 <参考資料> ゼロ・プロジェクト(公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター訳)「国連障がい者の権利条約の実施に関する国際研究ゼロ・プロジェクト報告書 2013 エグゼクティブサマリー(要旨)」(2013年) http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/zeroproject2013.html www.zeroproject.org 革新的な実践40例の内抜粋11例(一覧表)別表6 この一覧表は、革新的な実践40例の内抜粋11例(一覧表)である。 以下、11の実践例の名称、実施機関、概要、最初の実施国、実施国の項目に分けて、説明する。 実践例1として 名称は 中小企業および起業家精神の促進 実施機関は ナショナル・トラスト・イニシアティブ・オブ・マーケティング・リハビリテーション協会(ARUNIM) 概要は ARUNIMは、起業家精神を通じて生計を創造する先駆的かつ草分け的な革新活動を展開しており、特に発達障がいのある人々に焦点を絞っている。 最初の実施国は インド 実施国は インド 実践例2として 名称は マイクロファイナンスをインクルーシブにする 実施機関は D-MIRO銀行 概要は D-MIRO銀行は、障がいのある人々を対象とするCreer(「信頼する」という意味)と呼ばれる小口融資商品を新設した。この商品により同行は、障がいのある人々への金融サービスの提供において、大いに成功を収めた。 最初の実施国は エクアドル 実施国は エクアドル 実践例3として 名称は 共働雇用モデル 実施機関は チェンジ(CHANGE Ltd.) 概要は チェンジ(CHANGE)は、障がいのある人々が中心となって運営し、知的障がいのある人々を雇用している国際人権機関である。チェンジは、すべての知的障がいのある人々の選択、自立および自己管理を促進する。その革新的な支援と、新たなツールと労働形態の試験的な実施により、イギリスおよびヨーロッパ全土における政策と実践に影響を与えている。 最初の実施国は イギリス 実施国は イギリス、チェコ共和国、モルドバ、ブルガリア 実践例4として 名称は 乳がん発見の専門家としての盲人女性 実施機関は ディスカバリング・ハンズ?(Discovering Hands?) 概要は ディスカバリング・ハンズ?は、全盲および弱視の人々の優れた触覚認知を利用し、乳がん早期発見のための触診の向上を図る。 最初の実施国は ドイツ 実施国は ドイツ 実践例5として 名称は 視覚障がいのある人々の雇用支援 実施機関は ヨーロッパ盲人連合(EBU) 概要は EBUのジョブ・ウェブサイトは、ヨーロッパ全土の視覚障がいのある人々、雇用主および政策立案者に、視覚障がいのある人々が就いている広範な仕事に関する情報を提供する。これは全盲および弱視の人々の雇用について調査し、これを促進し、円滑に進めるためにEBUが実施しているさまざまな活動の一部である。 最初の実施国は ヨーロッパ 実施国は ヨーロッパ 実践例6として 名称は オンライン機関におけるインクルージョン 実施機関は ジェナスティン・イノベーティブ・ラーニング(Genashtim Innovative Learning Pte. Ltd.) 概要は 障がいのある人々は、障がいのない職員と協力して働き、賃金に差はなく、完全に平等である。さらに、障がいのない職員が障がいのある管理職に報告をする。 最初の実施国は シンガポール(*シンガポールは、実施を始めた機関の本拠地があるとのこと) 実施国は マレーシア、中国、フィリピン 実践例7として 名称は インクルーシブな介護福祉士養成 実施機関は Lebenshilfe Graz und Umgebung-Voitsberg 概要は このプロジェクトは、学習障がいのある人々を介護福祉士として養成し、社会福祉部門における就職への足掛かりを得られるようにする。 最初の実施国は オーストリア 実施国は オーストリア、スペイン、ポーランド 実践例8として 名称は 精神障がいのある人々のための仕事 実施機関は 新生精神リハビリテーション協会(NLPRA) 概要は 精神病から回復しつつある人々に、ソーシャル・エンタープライズを通じて、新生活を提供する。 最初の実施国は 中国(香港) 実施国は 中国(香港) 実践例9として 名称は 障がいのある従業員による自らの権利の理解を支援 実施機関は ピープル・ファースト・ニュージーランド(People First New Zealand Inc.)Nga Tangata Tuatahi 概要は 読みやすい個別雇用契約は、すべての雇用される可能性のある労働者と現在雇用されている雇用者による、職場における自分の権利と責任の理解を助ける。 最初の実施国は ニュージーランド 実施国は ニュージーランド 実践例10として 名称は 援助付きインターンシップ 実施機関は サーチ(SEARCH) 概要は プロジェクト・サーチは、知的障がいおよび発達障がいのある若者を対象とした、1年間にわたる学校から職場への独自の移行プログラムである。 最初の実施国は アメリカ合衆国 実施国は アメリカ合衆国、イギリス、カナダ、オーストラリア 実践例11として 名称は 平等な雇用の機会 実施機関は スペシャリスト・ピープル財団(Specialist People Foundation) 概要は スペシャリステルネ(Specialisterne)は、高機能自閉症の人々が、どのようにすれば社会に効果的に統合され、雇用主に価値のある質の高いサービスを提供できるようになるかを示す、第一の、かつ最も重要な例として、国際的に認められている。 最初の実施国は デンマーク 実施国は デンマーク、イギリス、アイスランド、オーストリア、アメリカ合衆国、ポーランド、ドイツ、アイルランド、カナダ、シンガポール 以上 資料4−2 ニュージーランドに関する勉強会報告 1 はじめに 2014年4月15日、日弁連の第57回人権擁護大会シンポジウム第2分科会実行委員会において、小野浩氏をお招きして、ニュージーランドの障がい者政策に関する勉強会を開催した。 小野氏は、日本福祉大学を卒業し、きょうされん常任理事のほか、社会福祉法人ウィズ町田理事長を務める。2011年度青年社会活動コアリーダー育成プログラム・ニュージーランド派遣団長であり、『障害がある人が社会で生きる国ニュージーランド 障害者権利条約からインクルージョンを考える』(ミネルヴァ書房)の監修者である。 勉強会では、障がい者政策の最先端を歩むニュージーランドについて、きわめて示唆に富む内容であったので、これも踏まえて、海外視察報告に準じた報告をすることとしたい。 2 世界に先駆けた政策を実現 (1)ニュージーランドは、世界に先駆けた法律や制度に取り組んできた国である。1877年に世界で初めて義務教育の無償化を実現し、1893年に世界で初めて女性参政権を実現した。また、1873年には世界で初めて女子の8時間労働制を制度化した。さらに、1894年には世界で初めて最低賃金制度を制度化し、それに伴い、労働争議の労使調停仲裁法が制定された。また、1898年には無拠出制の老齢年金法が制定された。 (2)障がい分野においても、1907年に障がいのある子どもたちの義務教育化が制度化され、1930年には無拠出制の障害給付制度が制度化された。 その後、1935年世界で初めて普遍的な社会保障法を制定した。同法は、個別に制定されていたさまざまな年金・給付制度を1つの法律に包括化したものである。 同法は、その後、失業手当制度、病気療養に伴う疾病手当制度を最低限の保障として確立、また育児支援としての家族手当を低所得の国民へ適用し、さらにこれまでの老齢年金制度と老齢給付を統合し、新たな無拠出制の国民年金制度を創設した。 (3)1989年に制定された教育法により、通常学校内において全ての子どもの学習権を保障しつつ、必要な学習支援を行うことなどを含むというインクルージョン教育の考えが先行的に導入された。具体的には、子どもとその保護者が入学すべき学校を選択できる権利が保障され、その結果、特別な学習ニーズを有する就学段階の子どもたちの多くが地域の通常学校に通うことが可能となった。 1993年には、公的保健及び障害サービス法が制定され、今日のニュージーランド社会で機能している、国とサービス提供者の契約に基づいたサービス提供の基礎となる枠組みが作られた。 (4)さらに、同年、人権法が制定された。同法により、差別が禁止される範囲が機能的側面における制約状態まで新たに拡大された。機能的側面における制約状態を有する人々というのは、障がいのある人々であり、これらの人々に対する差別が明確に禁止されるようになった。このことを例えば学校教育の関連で述べれば、障がいを理由に、障がい当事者学生を受け入れることを拒否したり、入学許可に際して、不利な条件を提示したりすることは差別行為として禁止される。 これと並行するように、大規模入所施設と大規模精神科病院が全面的に解体され、障がいのある人たちを地域社会に移行していくという脱施設化政策が取られるようになった。 3 ニュージーランド障がい戦略 (1)このような社会の動きのもと、2000年4月にはニュージーランド公的保健・障がい法が制定され、同法に基づき、障がい問題担当大臣が新設され、同大臣は、障がいのある当事者や専門家15人により構成された諮問委員会を組織し、同委員会により、障がい戦略策定が勧告された。ニュージーランド障がい戦略の冒頭には、「障害は私にあるのではなく、社会にある」という社会モデルと、「私には尊厳があり、自分の能力を伸ばし、自分の特質と技術を活かす権利がある」という障がいのある人の権利性が掲げられている。 この勧告の下で、政府は、「機会への道筋−社会福祉から社会開発へ」を策定し、2001年4月に障がい戦略を発表した。障がい戦略は、障がいのある人を「障がい者にしてしまっている社会」から「自由で分けへだてのない社会」に変えて行くための長期的なビジョンを盛り込んだものである。その具体的な特徴は、1つ目に、障がいのない他の者との平等を原則とするとともに、「障がいは社会にある」という社会モデルが徹底されていること、2つ目に、障がいのある人の雇用と経済的発展の機会の保障に力点が置かれていること、3つ目に、政府の全ての政策・法律に対する影響力と拘束力を担保することである。 1つ目の社会モデルについて、ニュージーランドは、法律の障がいの定義を、本人の持つ機能の障がいと社会との関係において生じる障壁や困難であるとしている。かかる社会モデルは、福祉の支援の量を決める仕組みにも貫徹されており、NGOのニーズ評価(アセスメント)とサービス調整(コーディネーション)を行う相談支援機関が政府の策定したガイドラインに基づき、障がいのある人のニーズ(支援の必要性)を評価し、支援調整と交渉を行う。 (2)障がい戦略策定後、10の省庁がワークプランを策定し、社会政策省を社会開発省に変更し、2002年、同省に障がい問題担当局を設置した。元々、社会福祉政策は保健省が担当し、雇用政策及び所得補償は社会政策省が担当していたところ、これにより、社会開発省が雇用や所得補償だけではなく、地域での生活や暮らしの支援も社会開発省が担当することになった。 2003年には、37の省庁と3つのクラウン・エンティティ(公的機関から省庁、国有企業、中央銀行を除いた政府部門)がワークプランを策定し、65歳以上の高齢障がい福祉の財政供給を保険省管轄の地区保健委員会が行う体制に整備した。これにより、65歳未満の障がいのある人たちの生活支援は社会開発省が所管し同省の財源が充てられることになった。 2004年には、精神障がいのある人への差別を禁じるための政府プランが策定された。 また、ニュージーランド手話が公用語として認められていなかったため、これまでニュージーランド手話を第一言語として使用するニュージーランドのろう者は政府のサービスへのアクセスが制限されていた。そこで、ろうあ連盟等の運動を受けて、政府は2003年より手話法制定に関する作業を開始した。法案の開発に携わる障がい問題担当局は、ろうコミュニティが法案開発に関われるよう、全国的なろうコミュニティとの協議ミーティング、読みやすいようにしたり、絵を入れたりすることによる情報の翻訳、障がい問題担当局のウェブサイトでの手話のビデオ・クリップによる情報を提供するなどの工夫をした。法案は全ての主要政党から支持され、2006年4月に成立した。手話言語法は、手話がニュージーランドの公用語であることを宣言し、法的手続において手話を使用する権利を規定し、法的手続におけるニュージーランド手話の通訳の能力基準を定めた規則を制定する権限を付与し、政府部門における手話の促進及び使用についての指針を提供した。法務省は法廷にニュージーランド手話通訳者がいることを標準とした。ニュージーランド手話は学校のカリキュラムにも含まれている。 4 権利条約の署名 (1)2007年には、発効直後の権利条約に署名し、障がいのある人の雇用において、最低賃金制度と休日給与法を除外できると規定していた障がい者雇用促進法が差別であるとして、同法が廃止された。 そもそも、ニュージーランドには、ヨーロッパの保護雇用や日本でいうところの旧授産施設や総合支援法(旧障害者自立支援法)の就労継続支援B型などのような福祉法制度の下での就労支援施設は存在してこなかった。そのため、最低賃金制度と休日給与法を除外できると規定した障がい者雇用促進法を根拠に、民間企業やNGOが最低賃金を下回る賃金で障がいのある人を雇用できる就労事業所、いわゆるシェルタード・ワークショップ(sheltered workshop)を設立し、そこが障害者雇用の中心的な場となってきた。 このように、ニュージーランドは世界で初めて最低賃金制度を創設した国であるのに、障がい者雇用促進法に基づき、障がいのある人を最低賃金から除外してきたのである。しかし、「障がいは社会が生み出すものである」という認識が広まったことにより、大きく方針が転換された。また、障がいのある人も障がいのない人と同じように、人として働く権利と機会を保障することが重視され、結果として、障がいのある人にも雇用の機会と経済的発展の保障を与えることが障がい戦略で謳われるようになった。 そこで、シェルタード・ワークショップの運営者に対する、最低賃金と休暇及び病欠に関する法律の包括的適用除外という差別的条項が無効となり、かかるシェルタード・ワークショップに5年間の移行期間を与え、2007年11月、障がい者雇用促進法が廃止された。 この結果、隔離された職場環境であるシェルタード・ワークショップは法的な根拠を失い、そこで雇用されているニュージーランド人の数は、2001年の5400人から2007年には1202人へと減少した。同時に、雇用サービスを利用している人々の数は、300%以上増加した。 (2)そして、2008年には権利条約を批准するための障がい法案が上程され、満場一致で採択され、権利条約と矛盾する規定が残されていた24の国内法が改正された。これにより、ニュージーランドの国内法の全てが障がい戦略及び権利条約に一致するものになった。 同法には、「人権委員会(Human Rights Commission)」、「政府等による差別」、「違法な差別」、「法適用をめぐる紛争の解決」、「人権審議裁判所(Human Rights Review Tribunal)」「調査」などの規定が置かれている。 同法では、間接差別(indirect discrimination)も差別に含めている。また、合理的配慮については明確な規定はないが、各分野において便宜の提供を期待することが合理的でない場合には差別に該当しないと規定している。 ニュージーランドにおける人権保障にかかわる機関には、人権委員会、人権訴訟手続局(Office of Human Rights Proceedings)、人権審議裁判所がある。それぞれ行政から独立した組織である。 もし、ある人が他の人と比べて、人権法に定める事由に関して、自分が不利に扱われたと考えるなら、人権委員会に苦情の申立てを行う。最初に対応するのは情報相談役である。情報相談役は相談に乗ったり助言を行ったりする立場にある。そして、申立人に対して、紛争解決のための選択肢を提示する。選択肢は「自助解決」、「教育的情報提供」、「非公式な介入」、「調停」である。解決の結果は「謝罪」、「今後差別がなされないことについての同意」「教育又は訓練プログラム」「賠償」等の形をとる。 もし紛争が解決しなかったら、申立人は人権訴訟手続事務局に解決を求めることができる。人権訴訟手続事務局は人権委員会から独立した存在である。もし申立人が希望するのであれば、事務局は更に紛争について調査を行い、解決を試み、人権審議裁判所における申立人の代理を務めるかどうかを決定する。 もし人権委員会が紛争の調停を受け入れないと決めたり、人権訴訟手続事務局が裁判所にこの案件を持ち込まないことを決定しても、申立人は自身の費用で裁判所に事件を持ち込むことができる。 人権審議裁判所は、行政からも人権委員会からも独立した採択・監視機関であり、差別に関する採択を行う。人権審議裁判所は紛争について改めて聞き取りを行い、決定を下す。もしその決定が申立人に有利なものであるなら、裁判所は損害を補償するか他の救済を命令できる。 さらに、ニュージーランドは権利条約に批准後、政府による障がい調査を定期的に実施し、結果を公表している。また政府の政策実施状況の定期報告が行われ、人権委員会も毎年度報告書を公表している。 5 これからの課題 (1)上記のとおり、ニュージーランドでは数多くの世界に先駆ける動きや社会保障制度が次々に整備されてきた。 一方で、日本はいまだ、障害等級認定や障害支援区分を判断するにあたって、麻痺や関節可動制限の部位、座位・立位などの身体機能の障がいと、記憶・理解・感情のコントロールなどの機能・能力障がいの「程度の把握」に終始しており、徹頭徹尾、医学モデルに基づいている。 しかし、ニュージーランドは、日常・社会生活での必要な支援をはじめ、レクリエーションや友人関係、社会活動への参加の支援の「必要度の把握」が目的であり、完全な社会モデルを採用している。福祉・医療・教育だけでなく、移動・就労・所得・政治参加、人生設計などを考慮要素にしており、社会モデルに基づいているのに対し、日本では人生設計という観点が全く欠落している。 加えて、ニュージーランドには、全ての国民に対して、セーフティーネットとしての生活保障制度が前提にある。その支給額が十分ではないにしても、失業給付と疾病給付が国民のナショナル・ミニマム(最低生活保障水準)として位置付けられている。それとは別に、障がいのある人とその家族に対しては、障がい給付と住宅・障がい手当が整備されている。このように、障がい給付の支給額も決して十分な水準でないが、障がい給付がニュージーランドのナショナル・ミニマム(失業給付など)を下回ることはなく、また社会モデルにもとづく障がい認定によって障がい給付は、未就労や就労困難な全ての障がいのある人に支給されている。 (2)このように、かつて「理想郷」とまでいわれたニュージーランドであるが、決してユートピアではなく、北欧諸国のような高度な福祉国家ではない。 今後は、障がいのある人とない人との所得格差の解消、生まれながらの障がいのある人の所得保障制度である障がい給付と事故やケガ、癌、DVで障がいを負い、長期の治療やリハビリが必要な人に対して、治療費・リハビリテーションの費用を支給する事故補償制度(ACC)による所得格差の解消、支援事業者に対する公費水準の引き上げが課題となっている。例えば、ACCによる所得保障は、障がいを負う前の就労所得の80%が支給されるため、高収入であった人は、それに応じた高い保障水準が支給されているが、障がい給付の金額は、政府が毎年度予算案の提案時期に更新されているものの、豊かな暮らしには不十分な水準であり、所得格差が生じている。 6 日本がニュージーランドから学ぶべきこと (1)国際条約に対する誠実な対応 権利条約に限ったことではなく、ニュージーランドは国際条約を極めて重く受けとめ、実質的な批准をするのに対して、日本は形式的若しくは受容的な批准にとどまることが多い。 日本国憲法98条には、「締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と定めており、批准した国際条約は憲法に準ずる法的地位に位置付けられるが、批准した国際条約を判決理由とした判例はきわめて少ない。 また、1989年に国連が採択した「子どもの権利条約」を日本は1994年に批准したが、批准に伴って条約に準じた国内法を整備しなかった。さらに批准した締約国は、批准後1年、それ以降は5年に一度、国連・人権委員会に政府報告書を提出しなければならないにもかかわらず、2006年の3回目の日本政府の報告は2年後の2008年までずれ込んだ。しかも報告書に対する国連・人権委員会の総括所見が幾度も指摘していることを、日本政府は改善せずに報告書を提出している。国連からの指摘事項は、監視機関の欠如、貧困・障がい・外国籍の子どもの就学率や、学校における暴力や虐待等のデータ報告等が欠如しており、国連は日本政府に対して懸念を表明している。 それに対して、ニュージーランド政府は、国際条約に対してきわめて誠実である。既に述べたように、権利条約の批准に伴う国内法制度の整備や国連への報告を積極的に行っている。 (2)誰も見捨てないセーフティーネットの整備 既に述べたように、ニュージーランドは、全ての国民に対して、セーフティーネットとしての生活保障制度が前提にあり、最低生活保障水準が維持されている。 翻って、日本は、障がいの範囲を制限することや、医学モデルによる等級判定の仕組み、そして障害基礎年金の支給開始年齢の制約などによって無年金・無給付の谷間が生じている。2級の障害基礎年金はもちろんのこと、1級基礎年金であっても、日本のナショナル・ミニマムである生活保護費を下回ってしまい、障がいのある人の所得保障は、国民の最低生活保障水準を下回る支給額になるという矛盾をきたしている。 このように、矛盾をきたしている選別的な社会保障・所得保障制度を根幹から見直すために、ニュージーランドの普遍的な社会保障制度から学ぶべきである。 (3)社会モデルの徹底 ニュージーランドは、社会モデルに基づくニーズ評価によって、継続的に日常・社会生活上の支障や障壁が生じる人は、全て障がいを認定し、ニーズに応じた必要な給付と支援を行なう仕組みになっている。もちろん「十分な支援を得られない」という声や、「働きたい」と願う人が全て就労に結びついているわけでないという当事者の訴えも、地域格差や資源不足などを背景に存在しているが、制度によって選別することはしていない。 ニュージーランドは、社会モデルによる障がい認定で、障がいのある人は5〜6人に一人であり、障がいの谷間は存在しない。日本は医学モデルによる障がい認定であるため、障がいのある人は20人に一人にとどまり、難病など認定対象外の人が制度の谷間に置かれてしまうことと顕著な差がある。 さらに、ニュージーランドは、障がいのある人はニーズ評価によって、本人同意のもとで支援の必要性を判定し、それに対する支援が提供される。日本は要介護認定を原型とした医学モデルの障がい程度区分(旧自立支援法。障害者総合支援法により「障害支援区分」。以下同じ)で、肢体不自由であっても自閉症であっても、本人の意思やニーズ、そして障がい特性に関係なく障がい区分が一方的に決められ、利用できる支援の種別と量が決められてしまう。 (4)分け隔てなく、自らの選択でチャレンジできる ニュージーランドは、援助付き雇用とデイセンター、またモデル事業として開始した障がい給付と賃金をあわせて所得保障を行う就労支援など複数の支援を選ぶことができ、利用期限もなければ利用者負担もない。そのため、分け隔てなく誰もがチャレンジすることを支援する制度となっている これに対し、日本の総合支援法(旧自立支援法)による介護給付と訓練等給付には、制度上に様々な制約や制限が設けられている。例えば、生活介護事業は障がい支援区分3以上であり、訓練等給付に支援区分の制限はないものの、就労移行支援は2年の利用期限であり、就労継続B型は就労体験を利用条件とし学校新卒者は利用できない(2012年度末までは経過措置)。就労継続A型は最低賃金保障の雇用型であるが、最低賃金減額も可能となっており、多くの就労継続A型はそれを適用している。しかも就労継続A・B型は、公的な給付額が極めて低額である。複数の制度を日変わりで利用することはできるものの、いずれの制度も、政省令で定められた所得に応じた基準額の範囲内で1割の利用料負担を支払わなければならない(現在の政省令では、非課税世帯の基準額は当面0円になっている)。そのため、障がい支援区分によるハードルと、期限付き利用の選別性が制度の根幹にある。 (5)障がいのある人たちや市民の政策決定・運営・監視への参画 ニュージーランドは、「障がい戦略」のディスカッションペーパーを作成した15人諮問委員会にも多くの障がいのある人たちが参画していたが、2001年に設置されたニュージーランド政府の社会開発省・障がい問題担当局では、視覚障がいのジュディ・スモールが障がい問題担当官に就任している。またオークランドの社会開発省・雇用・所得保障局でも、多くの障がいのある人たちが専門職を担っている。さらに、政府の人権委員会における障がい問題担当局の責任者には、ニュージーランド最大の障がい当事者団体であるDPAの会長であるポール・ギブソンが就任していた。この人権委員会は、年に1度、政府の政策・計画の執行状況ならびに国民への反映とその実態を報告書としてまとめ、政府に提出している。人権委員会の障がい問題担当局も同じように報告書を作成しており、「障がい戦略」の行動計画の進捗状況の監視内容を報告している。 インクルーシブ教育の改革における学校運営理事会の設置と、その運営を教員、保護者、地域関係者で担うという点も、当事者の実質的な参画の一つの試みといえる。 市民の政策決定への参画という点で、まず挙げられることは、選挙の投票率が常に約80%という高い水準にあることである。また国民投票制があり、国民に直接審判を仰ぐ重要な政策については、この投票に決定を委ねる仕組みが実効性をもって実施されている点である。 こうした成熟した民主主義によって下支えされているニュージーランドの市民社会の成熟さに、わが国は学ぶべき点が多い。 <参考資料> 1 小野浩監修,障害福祉青年フォーラム編『障害のある人が社会で生きる国ニュージーランド 障害者権利条約からインクルージョンを考える』ミネルヴァ書房(2013年8月) 2 八巻正治『アオテアロア ニュージーランドの福祉【インクルージョンのまなざし】』学苑社(2001年3月) 3 内閣府「平成20年度内閣府『障害者の社会参加推進に関する国際比較調査研究』委託報告書」(2009年3月) 日本弁護士連合会第57回人権擁護大会 シンポジウム第2分科会実行委員会 ◇委員長   野村 茂樹(東京) ◇事務局長 黒岩 海映(新潟県) ◇事務局次長 田門 浩(東京),黒嵜 隆(東京),関哉 直人(第二東京) ◇委員(バックアップ委員含む) 清水 建夫(東京) 大谷 恭子(東京) 吉峯 康博(東京) 藤岡 毅 (東京) 佐々木 信夫(東京) 古山 弘子(東京) 大瀧 靖峰(東京) 押見 和彦(東京) 柳原 由以(東京) 得重 貴史(東京) 若林 亮(東京) 市川 正司(第一東京) 大胡田 誠(第一東京) 池原 毅和(第二東京) 平澤 千鶴子(第二東京) 菊地 哲也(横浜) 姜 文江(横浜) 向川 純平(横浜) 藤木 和子(埼玉) 池田 直樹(大阪) 青木 佳史(大阪) 辻川 圭乃(大阪) 井上 計雄(大阪) 東  奈央(大阪) 竹下 義樹(京都) 藤原 精吾(兵庫県) 青木 志帆(兵庫県) 長岡 健太郎(和歌山) 熊田 均(愛知県) 田中 伸明(愛知県) 小川 政治(広島) 水田 敦士(鳥取県) 東 俊裕(熊本県) 西村 武彦(札幌) 平井 喜一(函館) 吉田 昌洋(函館) 佐藤 由紀子(仙台) 野 亜紀(高知) 日本弁護士連合会第57回人権擁護大会 シンポジウム第2分科会基調報告書 障害者権利条約の完全実施を求めて −自分らしく、ともに生きる− 2014年10月2日 編 集 日本弁護士連合会 第57回人権擁護大会シンポジウム第2分科会実行委員会 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 TEL 03-3580-9841(代) FAX 03-3580-2896 印 刷 株式会社プリコ TEL 03−3252−1641