日弁連新聞 第483号

「法律サービス展開本部」を設置

国や地方公共団体、企業等における弁護士の任用促進、支援および人材養成に関する諸活動、ならびに国際業務に携わる弁護士の支援および人材養成に関する諸活動を行い、各分野における弁護士の法律サービスを一層展開するための施策を立案、実行する組織として、「法律サービス展開本部」を設置することが2月理事会で承認された。

 

2013年9月24日、法曹養成制度の検討体制の一環として、法務大臣決定により「法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会」が設置され、この懇談会に付随して日弁連と共催で運営する「国・地方自治体・福祉等に関する分科会」、「企業に関する分科会」、「海外展開に関する分科会」が設置された。 日弁連としても、この有識者懇談会および分科会での協議結果を踏まえ、各分野における法律サービスの展開に向けた施策を検討する組織の必要性を強く認識し、同本部の設置に至ったものである。

法律サービス展開本部には、前述の3つの分科会に応じて、(1)自治体等連携センター、(2)ひまわりキャリアサポートセンター、(3)国際業務推進センターの3つのセンターを設置する予定である。

「自治体等連携センター」は、①国、地方公共団体等(公共機関等)のニーズに対応した法律サービスの展開・促進、②福祉分野における法律サービスの展開・促進、③公共機関等における弁護士の任用促進、養成、弁護士への支援活動を行う。「ひまわりキャリアサポートセンター」は、①企業のニーズに対応した法律サービスの展開・促進、②企業等における弁護士の採用促進、養成、弁護士への支援活動を行う。「国際業務推進センター」は、①国際活動の分野における法律サービスの展開・促進、②国際機関等における弁護士の任用促進、養成、弁護士への支援活動を行う。

日弁連は、これまでも自治体や企業等組織内で活躍する弁護士、国際的な法律業務を行う弁護士をサポートする施策を講じてきたが、政府の検討体制における議論状況に即応するための組織を設け法律サービス展開に正面から取り組むのは初めての試みである。3つのセンターがそれぞれの分野について充実した議論を行うと同時に、それぞれが有機的に影響し合い、法律サービス展開のための施策立案・実行を効果的に進めることができると期待される。

(事務次長 大貫裕仁)


 

法律サービス展開本部(イメージ案)

 

就任のご挨拶
日本弁護士連合会会長 村越 進

岩手弁護士会 会長 村井 三郎

2月7日に実施された会長選挙において、全国51弁護士会における最多得票と、初めて1万票を超える史上最多の1万1676票をいただくことができました。1回の選挙・投票で当選者が決まったのは実に6年ぶり、4月1日に新会長が就任できたのも4年ぶりのことです。会員の皆様の大きなご支持に心より感謝申し上げます。ご期待に応えるべく2年間全力を尽くす決意です。ご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

選挙戦で、私は、主に3つのことを訴えました。

第1は、司法の役割を大きくし、弁護士の活躍の場を拡げ、身近で使いやすい司法を実現するということです。裁判官の増員・裁判所支部機能の充実強化をはじめとする司法基盤の整備、法律扶助の拡充・権利保護保険の対象拡大・法律相談の充実など司法アクセスの改善、弁護士の活動領域の拡大を進めねばなりません。

第2は、法曹養成制度改革と若手支援です。法曹の魅力と法曹養成制度に対する信頼を回復するために、法科大学院の定員削減と統廃合を含む改革、司法試験合格者の可及的速やかな年間1500人以下への減員、司法修習生に対する給費制の復活を含む経済的支援の充実、若手会員に対するさまざまな支援は、まさに喫緊の課題です。

第3は、憲法と人権を守ることです。立憲主義、恒久平和主義の後退を許すことはできません。

日弁連内外の状況は大変厳しく、私達は大きな困難に直面しています。そうした中で、日弁連が掲げる政策を実現することは、容易なことではありません。

何よりも今、会員と弁護士会が日弁連に結集し、心と力を1つにして取り組むことが求められています。政策を実現するためには、社会の各層・各方面における多数のご理解とご賛同をいただくことが必要にして不可欠です。また、その多くが立法措置や予算を伴うものですから、政党や国会議員の先生方、そして関係省庁との協議・連携も大切です。法曹三者の信頼関係は大前提です。

私は、社会の信頼と理解、法曹三者の信頼関係に基づく緊密な協議、会員と弁護士会の結束を基礎として、「社会と会員の期待に応える実現力のある日弁連」を創り、諸課題を一歩でも二歩でも前に進めるために、全力を尽くします。

会員の皆様には、ご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。


 

袴田事件 再審開始決定

3月27日、静岡地方裁判所は袴田巖氏の第二次再審請求事件について、再審を開始し、死刑および拘置の執行を停止する決定をした。

本決定は、弁護団が提出した5点の衣類等のDNA鑑定関係の証拠および5点の衣類の色に関する証拠について新規性を認め、5点の衣類が捜査機関によってねつ造された疑いにも言及した。

また、袴田氏の長期にわたる拘禁状態について、捜査機関の違法、不当な捜査が疑われることから「国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは到底耐え難いこと」とまで述べ、死刑の執行停止に加えて拘置の停止も決定するという画期的判断をした。

日弁連は同日、会長声明を発表し、決定を極めて高く評価するとともに、検察官に対しては、即時抗告を行わないよう求めた。


 

ハーグ条約実施法が施行
対応弁護士の紹介始まる

4月1日、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)が発効し、同条約の実施に関する法律(実施法)も施行となった。

実施法上、ハーグ条約事件では、外務省(中央当局)による当事者への援助(子どもの住所が不明な場合の調査・特定、弁護士紹介等)が行われ、日本に住所を有しない外国人も民事法律扶助の利用が可能とされている(ただし、資力要件あり)。

この援助の一環として、日弁連では、4月1日から、外務省を通じた弁護士紹介を開始した。事件の当事者から外務省に弁護士紹介の申込みがなされると、日弁連に申込書が送付され、日弁連の管理する名簿(現在約150人掲載)から弁護士3人の紹介を行う。当事者は、紹介された3人の中から代理人を選任する。

また、子の返還申立事件という新しい裁判手続が設けられ、ハーグ条約事件のためのADRも東京、大阪、沖縄で開始された。

日弁連ホームページにも詳細情報を掲載しているのでぜひご活用いただきたい。

 

会員専用ページ(HOME≫書式・マニュアル≫ハーグ条約事件関係

一般ページ(HOME≫日弁連の活動≫法律相談・過疎・偏在対策≫ハーグ条約事件対応弁護士の紹介


 

ひまわり

司法通訳は英語では「court interpreter」と呼ばれ、外国語通訳のみならず、手話通訳等を含む資格制度が整備されている国もある。日本では司法通訳には資格制度がなく、語学のレベル等を測る客観的な水準がないのが現状である▼実は医療通訳についても、司法通訳同様、日本には資格制度がなく、レベルを問われないまま重要な任務についている。人権を守る司法制度、命を守る医療制度のいずれにおいても、日本にいる外国人には正確な通訳が保障されていない▼ハーグ条約が施行される以前から、刑事事件のみならず民事、家事事件において一方または双方の当事者が外国人という事件が珍しくなくなってきた。一方で裁判所の尋問等の場で、首をかしげたくなるような通訳も残念ながら散見される▼必要レベルを満たした司法通訳がつくことは、外国人にとって適正手続、公平な裁判の前提のようにも思われる。通訳の正確性の担保等のため他国に例のある通訳人としての倫理が日本では確立していないことも問題の一つだ▼黒船に怯える幕府ではないが、ハーグ条約の施行をきっかけに日本の司法が国際化社会に対応できるよう、司法通訳の資格化、制度化について、本腰を入れて検討する必要があるのではないだろうか。(R・S)

 

憲法問題対策本部が発足

憲法の基本原則を実現するとともに、立憲主義を堅持することを目的として、憲法問題対策本部を設置することを2月理事会で決定した。

 

2012年12月に安倍政権が発足して以降、急速に強まってきた集団的自衛権の行使容認の動きに対し、日弁連は、昨年の定期総会で反対決議を採択し、会長声明や意見書なども公表して再三反対を表明してきた。現在までに、20を超す弁護士会でも、同様の会長声明や意見書が出されている。しかし、安倍政権は、集団的自衛権行使容認の方針を崩さず、本年4月に安保法制懇から集団的自衛権の行使を認める憲法解釈案を中核とする報告書が提出された後、早期に、閣議決定によって従来の政府見解を変更し、集団的自衛権行使を認めることを表明している。

このような緊迫した情勢のもとで、日弁連の定期総会決議を実行に移し、全国の弁護士会をあげて憲法の立憲主義を堅持する諸活動への取組を強めるため、憲法問題対策本部を理事会内対策本部として設置するに至ったものである。

対策本部は、本部委員190人からなり、本部長を日弁連会長が務め、副会長と理事の全員が本部委員となるほか、各種委員会から推薦された委員、各弁連から推薦された委員、会長指名による委員で組織されることになっており、現在執行部が委員選任の手続を進めている。

すでに対策本部準備会は、集団的自衛権を市民にわかりやすく説明するリーフレットの作成、プレスセミナーの開催などに着手しており、4月10日には、元防衛大臣の北澤俊美氏や元内閣法制局長官の阪田雅裕氏などを招き、クレオでシンポジウムを開催する。

事態は緊迫しており、全国の弁護士会での取組を一層強化していただくよう、心よりお願いする次第である。

(憲法委員会事務局長 藤原真由美)


 

法制審刑事特別部会
答申案取りまとめへ

法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会は、3月7日に第25回の特別部会を開催した。第23回、第24回会議に引き続き答申案の最終取りまとめに向けた議論を行い、部会長が事務局試案の作成を指示した。

 

昨年1月に取りまとめられた、「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」(基本構想)において、制度の採否・制度概要について検討するとされた項目について、2つの作業分科会が「作業分科会における検討結果(制度設計に関するたたき台)」をまとめ、2月、3月に開催された3回の特別部会で検討された。

取調べの録音・録画制度に関しては、神津・周防・松木・村木・安岡各委員が連名で意見書を提出し、可視化の対象範囲を全事件とすべきであるが、実務的観点から、検察取調べ全件、警察については段階的に導入とする案を提案した。日弁連推薦委員は全件で全過程の録画制度の導入を求めて運動を続けているが、工程表を作って段階的に導入することは否定しない立場を表明している。

証拠開示に関しては、一覧表の開示、被疑者国選弁護制度の勾留全件への拡大については、部会でも大きな異論がないとみている。

一方、人質司法の改革、通信傍受の要件加重、引き込みの危険のある刑の減軽等の制度導入等については、次回以降の検討の重要性が増しており、各弁護士会、委員会の意見を踏まえ、答申案の取りまとめに向けて4月以降に開催される部会に臨むこととなる。

(事務次長 兼川真紀)


 

特別部会での検討課題
  1. 取調べの録音・録画制度
  2. 刑の減軽制度、捜査・公判協力型協議・合意制度、刑事免責制度
  3. 通信傍受の合理化・効率化、会話傍受
  4. 被疑者・被告人の身柄拘束の在り方
  5. 被疑者国選弁護制度の拡充
  6. 証拠開示制度
  7. 犯罪被害者等及び証人を支援・保護するための方策の拡充
  8. 公判廷に顕出される証拠が真正なものであることを担保するための方策等
  9. 自白事件を簡易迅速に処理するための手続の在り方

 

日弁連短信
総合法律支援法改正に向けて
―有識者検討会の設置―

 

日弁連では、従前から民事法律扶助等の改革・拡充に向けて検討し、法務省や法テラスと協議を行ってきた。本年になって、法務省から、総合法律支援の充実に向けて、有識者検討会を設置し、総合法律支援法の改正を視野に入れた検討を行いたいとの話が持ち込まれた。検討内容には日弁連委託援助事業の一部国費化も含まれており、改正案の内容について会内で議論をすることを前提に有識者検討会に臨むこととした。

そして、本年3月18日に、充実した総合法律支援を実施するための方策についての有識者検討会(検討会)の第1回会議が開催された。検討会は法務大臣の私的諮問機関であり、本年6月まで月2回程度開催される予定である。

当日は、伊藤眞座長(早稲田大学大学院法務研究科教授)の進行のもと、法テラス東京の常勤弁護士2人および新宿区高齢者福祉課からヒアリングを行い、活発な意見交換がなされた。

常勤弁護士からは、それぞれの活動を通して地域の自治体や福祉機関と連携した事例、また、新宿区からは法テラス東京との協働について、概要以下のとおり報告がなされた。

高齢者・障がい者は、福祉的な問題に限らず、法的問題を複数抱えている場合がある。本人が問題と認識できず、弁護士と福祉関係者で自宅を訪問して話を聞いたり、社会的支援者の「気づき」をきっかけにして、福祉機関や弁護士に繋がって支援を行うケースもある。さらに、本人の親族も福祉的・法的問題を抱えている場合は、親族へのケアも必要となってくる。

また、成年後見の担い手が不足している地域では、市民後見人の養成制度を構築する活動も行った。

報告を受け、検討会委員から、常勤弁護士が関係機関と連携する上でのメリット・デメリットや、一般弁護士との連携、活動の広がりについて質疑があった。

検討会では、①民事法律扶助のうち、高齢者・障がい者、大規模災害被災者およびADR利用者に対する適切な法的支援の問題点、②ストーカー等の犯罪被害者に対する法的支援の問題点、③法テラスの受託業務、④常勤弁護士の位置づけ等について検討される予定である。

議論の行方を注視し、日弁連や弁護士会の取組も紹介しながら、会内議論を踏まえて今後の検討会に臨みたい。

(事務次長 鈴木啓文)


 

第41回市民会議
法曹養成制度改革の現状と課題について議論
3月3日 弁護士会館

今回は、法曹養成制度の現状と直面する課題について議論した。なお、4月以降の新年度議長・副議長として、北川正恭議長と豊秀一副議長が再任された(任期1年)。

 

法曹養成制度半年の動き

日弁連から、政府が2013年8月に設置した「法曹養成制度改革推進会議」の下での検討状況と、この半年の動き、具体的には、司法試験制度について短答式試験科目の削減を含む改正司法試験法案の提出、司法修習制度については第68期から集合型導入修習の実施の決定、法科大学院制度については、公的支援制度の見直し強化などの動きが見られること等を説明した。その上で、法科大学院の質の確保、制度趣旨に照らした予備試験の在り方の見直しに関し、総合的な施策を提起することが喫緊の課題であると指摘した。

 

法科大学院制度について活発な意見交換

委員からは、法科大学院における教育の在り方、質の確保に関する意見が相次いだ。ダニエル・フット委員は、「アメリカのロースクールでは、面接技法、事実の解明手法など実務面を強く意識した授業が行われ成果を上げている。日本の法科大学院は、知識の習得に力点を置き過ぎ、実務と理論を架橋することを意識した授業が行われていない」と述べ、当初の理念に立ち返って法科大学院での教育を見直す必要性を訴えた。豊副議長は、「法科大学院で学ぶメリット、そこから生まれた法曹が魅力ある活躍をしているというメッセージが伝わってこない。この点が志願者が下げ止まらない現状の要因ではないか」と指摘した。清原委員は、「法科大学院の数を減らすことが質の向上に直結するわけではない。あくまで教育の質を高めることが重要。志のある者が法曹の道に進む基本ルートとなるよう制度構築する必要がある」と述べ、その他の委員からも今後の日弁連の取組に対するエールが送られた。

 

市民会議委員(2014年3月3日現在)

  • 長見萬里野(全国消費者協会連合会会長)
  • 北川正恭(議長・早稲田大学公共経営大学院教授)
  • 清原慶子(三鷹市長)
  • 古賀伸明(日本労働組合総連合会会長)
  • ダニエル・フット(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
  • 中川英彦(前京都大学大学院教授、駿河台大学法科大学院講師)
  • 松永真理(テルモ株式会社社外取締役)
  • 湯浅 誠(反貧困ネットワーク事務局長)
  • 豊 秀一(副議長・朝日新聞東京本社社会部次長)
  • (以上、50音順)

 

2014年度役員紹介

3月14日に開催された代議員会(本人出席289人、代理出席223人)において、2014年度役員が選出された。就任にあたり、13人の副会長の抱負と理事および監事の氏名を紹介する。

 

高中 正彦(東京・三一期)

髙中 正彦[出身]千葉県
[抱負]法曹養成問題、不祥事対策、業際・非弁問題などを担当することとなりました。いずれも弁護士の未来を方向付ける焦眉の重要課題ばかりですが、力の限りを尽くして、与えられた職責を全うする覚悟です。

 

 

神 洋明(第一東京・三一期)

神 洋明[出身]青森県
[抱負]私は、会長を補佐し、私が担当する大詰めを迎えた法制審議会の刑事司法改革に全力を挙げて対応するとともに、法曹養成制度改革や憲法問題などの重要課題についても会員の意見を反映した会務運営に努めて参ります。

 

 

山田 秀雄(第二東京・三六期)

山田 秀雄[出身]東京都
[抱負]広報全般、犯罪被害者支援、民事介入暴力対策、弁護士業務妨害対策、男女共同参画、両性の平等などの各委員会を担当します。素晴らしい活躍をしている多くの弁護士を積極的に広報し、弁護士会の存在感を示すことに尽力します。

 

 

水地 啓子(横浜・三五期)

水地 啓子[出身]埼玉県
[抱負]子どもの権利、全面的付添人実現本部、家事法制のほか、司法修習等法曹養成改革関連委員会にも関与いたします。また、憲法問題対策本部も担当することとなりました。重大な責務に身のすくむ思いですが、全力を尽くしたいと思います。

 

田邊 護(山梨県・三八期)

田邊 護[出身]山梨県
[抱負]副会長に就任し、新鮮な緊張感と大きな不安感でいっぱいです。IBAを含む主に国際系の会務を担当いたします。まったくこれまでの環境と異なる分野もありますが、これまでの弁護士としての経験を活かして頑張りたいと思います。

 

 

石田 法子(大阪・二八期)

石田 法子[出身]大阪府
[抱負]主な担当委員会は人権擁護、両性の平等、貧困問題等々ですが、日弁連が、一日も早く憂い無く人権活動に邁進できるよう、目の前に山積する諸課題にも執行部の一員として積極的に関わりたいと思います。

 

 

浅岡 美恵(京都・二四期)

浅岡 美恵[出身]徳島県
[抱負]主に、消費者問題、公害環境・福島原発事故関連を担当します。不条理を許さず、国民の権利を守り、時代の変化に即した公正な経済・社会の仕組みを築いていくことは、弁護士・弁護士会の使命の中心です。その途上にある課題に取り組みます。

 

 

花井 増實(愛知県・三一期)

花井 増實[出身]三重県県
[抱負]司法制度調査会、市民のための法教育などを主担当させていただき、法律サービス展開本部の副担当となります。さまざまな法的ニーズに対応する弁護士の活動領域拡大が迅速に進められ、法の支配がより充実されるよう、尽力します。

 

 

大迫 唯志(広島・三四期)

大迫 唯志[出身]広島県
[抱負]中国地方弁護士会連合会から推薦を受けました広島弁護士会の大迫唯志です。刑弁センター、国選弁護、秘密保護法等を担当します。「将来の弁護士、弁護士会のため」を常々肝に銘じ、会長を補佐して頑張ります。

 

 

古賀 和孝(福岡県・三八期)

古賀 和孝[出身]福岡県
[抱負]変容する社会状況に対応し、公益を担う弁護士活動の経済的基盤確保のため、研修の充実と民事司法および業務改革に取り組み、また、喫緊の課題である若手法曹への総合的な支援を行います。

 

 

内田 正之(仙台・四〇期)

内田 正之[出身]宮城県
[抱負]法テラス、東日本大震災・原発事故関連の委員会が主担当です。被災地の復旧・復興、法テラスとの連携に努めます。理事会や地方での協議会等では、配付資料では尽くせない部分の説明に意を用いたいと考えます。

 

 

山崎 博(札幌・三六期)

山崎 博[出身]北海道
[抱負]公設事務所・法律相談センター、裁判官制度改革・地域司法計画推進本部、人権擁護大会などを担当します。市民に身近で信頼される司法を支える日弁連の活動が、今後も活性化されるよう微力ですが全力を尽くします。

 

 

田中 浩三(徳島・三八期)

田中 浩三[出身]徳島県
[抱負]会長を補佐し、委員会と執行部・理事会との懸け橋になります。中小企業支援業務や権利保護保険の拡大、行政救済手続の見直し作業、国内人権機関の実現や国際人権擁護のため活動し、小規模単位会の立場を代弁します。


 

 

新総次長紹介

3月31日をもって、荒中事務総長(仙台)、鈴木啓文事務次長(第一東京)が退任し、後任には、春名一典会員(兵庫県)、吉岡毅会員(第一東京)がそれぞれ就任した。

 

春名 一典(兵庫県・三四期)

春名 一典平和で、安心安全に子育てが出来る、まちにも活力がある社会。そのような社会の実現を目指す弁護士・弁護士会の活動を支えていきます。どうぞよろしくお願いします。


 

吉岡 毅(第一東京・四四期)

吉岡 毅日弁連の活動については、日弁連中小企業法律支援センターを通じて垣間見てきただけで、ほとんど知らないことばかりです。そのため、皆様にはいろいろとご教示いただくこととなりますが、どうぞよろしくお願いいたします。


 

 

理事

  • 若旅 一夫(東京)
  • 篠原 煜夫(東京)
  • 渕上 玲子(東京)
  • 中城 重光(東京)
  • 柴垣 明彦(東京)
  • 福崎 聖子(東京)
  • 奥  国範(東京)
  • 井窪 保彦(第一東京)
  • 岡  正晶(第一東京)
  • 若江 健雄(第一東京)
  • 嶋田 貴文(第一東京)
  • 武田  仁(第二東京)
  • 市毛由美子(第二東京)
  • 横山  聡(第二東京)
  • 小野  毅(横浜)
  • 仁平 信哉(横浜)
  • 大倉  浩(埼玉)
  • 蒲田 孝代(千葉県)
  • 後藤 直樹(茨城県)
  • 田中  真(栃木県)
  • 足立  進(群馬)
  • 小長谷 保(静岡県)
  • 小野 正毅(山梨県)
  • 田下 佳代(長野県)
  • 小泉 一樹(新潟県)
  • 藪野 恒明(大阪)
  • 井上 英昭(大阪)
  • 岩田研二郎(大阪)
  • 印藤 弘二(大阪)
  • 松枝 尚哉(京都)
  • 鈴木 尉久(兵庫県)
  • 武本夕香子(兵庫県)
  • 中西 達也(奈良)
  • 近藤 公人(滋賀)
  • 小野原聡史(和歌山)
  • 安井 信久(愛知県)
  • 石原 真二(愛知県)
  • 板垣謙太郎(三重)
  • 仲松 正人(岐阜県)
  • 内上 和博(福井)
  • 飯森 和彦(金沢)
  • 島谷 武志(富山県)
  • 舩木 孝和(広島)
  • 松村 和明(山口県)
  • 佐々木浩史(岡山)
  • 佐野 泰弘(鳥取県)
  • 射場かよ子(島根県)
  • 三浦 邦俊(福岡県)
  • 中野 敬一(福岡県)
  • 牟田 清敬(佐賀県)
  • 髙尾  徹(長崎県)
  • 岡村 邦彦(大分県)
  • 内田 光也(熊本県)
  • 堂免  修(鹿児島県)
  • 柏田 芳徳(宮崎県)
  • 島袋 秀勝(沖縄)
  • 齋藤 拓生(仙台)
  • 笠間 善裕(福島県)
  • 峯田 典明(山形県)
  • 桝田 裕之(岩手)
  • 加藤  謙(秋田)
  • 源新  明(青森県)
  • 中村  隆(札幌)
  • 田村 智幸(札幌)
  • 室田 則之(函館)
  • 小林 史人(旭川)
  • 那知  哲(釧路)
  • 籠池 信宏(香川県)
  • 野々木靖人(徳島)
  • 稲田知江子(高知)
  • 田口 光伸(愛媛)

 

監事

  • 末次 弘明(東京)
  • 大原 義一(第二東京)
  • 田中 正志(山梨県)
  • 藤井 正大(京都)
  • 古田  修(岐阜県)

弁護士任官者の紹介

4月1日付けで次の会員が裁判官に任官した。

 

石上 興一氏

石上 興一氏五九期・元愛知県弁護士会所属(愛知県出身)
司法修習終了後、石上弁護士法人にて勤務。
〈初任地 福岡地方裁判所〉


 

津田 裕氏

津田 裕氏六一期・元兵庫県弁護士会所属(奈良県出身)
司法修習終了後、神戸シーサイド法律事務所にて勤務。
〈初任地 千葉地方裁判所〉


 

 

市民集会
秘密保護法の廃止を目指して
2月18日 弁護士会館

  • 日弁連主催 秘密保護法廃止を目指す市民集会
メディアの視点からの講演を行う鳥越氏

2013年12月6日、特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)案は、さまざまな問題点が解消されないまま、参議院において強行採決され、同月13日に公布された。この秘密保護法が内包する問題の重要性を広く市民に訴えるとともに、廃止に向けた取組を進めるため、市民集会を開催した。

 

冒頭、秘密保護法対策本部の出口かおり委員(東京)が、日弁連のこれまでの取組を説明した上、半永久的な秘密指定が可能であることや情報公開に対する萎縮が生じることなど、秘密保護法の危険性を指摘した。そして、今後も、国家安全保障分野において立法を行う者に対する実務的ガイドラインとして作成された「ツワネ原則」に則った法制を構築するよう訴えていく必要があるとの問題提起を行った。

次いで、鳥越俊太郎氏(ジャーナリスト)が「秘密保護法と報道」と題し講演を行った。鳥越氏は、まず、「秘密を探る機会に出会ったら、例え懲役5年や10年だろうと、懲役に服す覚悟だ」と述べ、ジャーナリストとしての自らの姿勢を強調した。また、秘密保護法の問題点は、「何が特定秘密なのかわからないこと」とし、そのため、「情報提供者もメディアもともに萎縮して、真実に近づけなくなり、結果国民には曖昧な情報しか伝えられなくなる」と、その影響について語った。さらに、秘密保護法の強行採決の先には、集団的自衛権の行使容認、さらには、憲法九条を骨抜きにすることがあると指摘。今の政権の本質を見なければならないと警鐘を鳴らした。

最後に、高沼英樹氏(日本雑誌協会)、柴田真佐子氏(日本婦人団体連合会)、日比野敏陽氏(日本新聞労働組合連合)から、それぞれの立場でのこれまでの取組の報告や問題提起が行われ、今後も、廃止を含めた抜本的見直しの実現を目指すことを相互に確認した。

(秘密保護法対策本部委員 島貫美穂子)


 

第9回
災害復興支援に関する全国協議会
2月24日静岡市

ワークショップの様子

第9回となる災害復興支援に関する全国協議会を開催し、現在の被災者支援と将来の防災・減災を繋ぐ先進的な取組が報告されるなど活発な議論が交わされた。

 

巨大地震・原子力災害に対する防災体制

協議会前日には、福島第一原発と浜岡原発の設計に携わった渡辺敦雄氏(山梨県地方自治研究所理事)の案内の下、浜岡原発を視察した。隣接する原子力館の模型を用いての説明は非常に具体的であり、参加者からは、敷地内に複数ある断層の危険性や、電力会社の事故想定とその対策への評価など、活発に質問が投げかけられた。

協議会前半の講演会では、岩田孝仁氏(静岡県危機管理監代理)から、南海トラフ巨大地震の被害想定で10万人ともいわれる死者数を10年で8割減らすための減災・防災対策や対策に積極的に取り組む市民や団体の活動が報告された。

続いて永野海会員(静岡県)から、静岡県弁護士会の先進的な取組が紹介された。同会では、2012年に会の災害対策マニュアルを策定するとともに、静岡県、沼津市、静岡市、浜松市と災害協定を締結し、同協定を実効性のあるものにするため、継続的に協議の場を持ってきた。その結果、住民向けの災害時Q&A集を県内の各避難所に備え置かせてもらえたという画期的な成果が報告された。

上記3市から出席した担当者からは、「当初は弁護士が何をしてくれるのかわからなかったが、東日本大震災時の避難所相談の実績などを聞いてイメージが変わった」、「意見交換を主体的に開催してくれるので助かっている」、などの好意的な意見が寄せられた。

 

弁護士会の危機管理態勢

後半は、会員同士によるワークショップが催され、活発な議論が交わされた。

原発事故発生直後の弁護士会の対応や国選事件への対応、被災した弁護士会と支援側の弁護士会の注意点、関係機関との連携など、課題は山積みであり、全国での継続的な議論が呼びかけられた。


民放連との懇談会
東日本大震災、特定秘密保護法等について意見交換
2月14日民放連

今回で24回目を迎える日本民間放送連盟(民放連)との懇談会では、「東日本大震災について」、「特定秘密保護法について」、「裁判員裁判と報道のあり方について」をテーマに意見交換を行った。

 

震災・原発事故報道について、民放連から、被災地における地域医療の現状を追ったテレビ番組のDVDと除染作業にあたる作業員の生の声を集めたラジオのドキュメンタリー番組の音源を用い、復興に向けた動きが停滞している現状を伝えることの難しさ、被災地と呼ばれなくなるまで報道を継続することの必要性等が報告された。日弁連からは、災害復興支援委員会の大峰仁幹事(福島県)から、原発事故被害の現場でどのようなことが真に求められているのか、具体的事案に即した報告がなされた。

特定秘密保護法については、まず日弁連秘密保護法対策本部の江藤洋一本部長代行(第一東京)が、法案制定経緯から制定後現在までの日弁連の取組等について報告した。民放連からは、法案成立と同時に公表された報道委員長コメントの内容を中心に、特定秘密保護法に対する民放連の考え方等についての説明があった。

裁判員裁判と報道のあり方について、日弁連からは、裁判員本部の幣原廣事務局長(第二東京)が、制度開始3年経過後の見直し等について現時点での法制審議会部会等での議論や日弁連の意見等について報告し、民放連からは、裁判員制度WGの活動状況、とりわけ裁判員経験者の記者会見の改善を含む裁判全体の可視化を訴えていく方針について説明がされた。

それぞれのテーマの報告の後、双方から意見が述べられ、貴重な意見交換の機会となった。

(人権擁護委員会人権と報道に関する特別部会部会長 坂井 眞)


 

ホームロイヤー養成講座
老後を支える弁護士に
2月24日弁護士会館

超高齢社会の中で高齢者の権利擁護の担い手として弁護士ができることは何か、ホームロイヤー業務への関心を高め、業務に精通した弁護士の増加を図るため、養成講座を開催した。

 

顧客のライフプランを知る

ホームロイヤーは、これまでの紛争解決を中心とした弁護士業務とは異なり、「かかりつけ医」のように依頼者を継続的かつ包括的に支援する業務である。ライフプランノートの作成のほか、定期的な見守りや法律相談を行うことなどを中心に、高齢者のトータルかつ継続的な支援を行う。依頼者の希望に応じて、判断能力低下後は任意後見契約を発動させたり、死後事務処理委任契約を締結することもできる。

講師を務めた高齢社会対策本部の八杖友一事務局員(第二東京)は、「老後に本人の意思を汲んだ支援を叶えるため、元気なうちにライフプランノートを書いてもらうとよい」と助言する。ライフプランノートは、顧客に関する基礎的な情報のほか、遺言、財産管理、事業承継等に関する本人の希望を記すもので、本人の意向に沿った委任事務処理を行う拠り所となるだけでなく、その作成を通じ弁護士と顧客との信頼関係を築くツールともなりうる。

 

福祉関係者との連携が必須

ホームロイヤーは財産管理や遺言作成のみならず、身上監護の側面から、福祉関係者と連携することも視野に入れる必要があるという。特に本人が利用する施設選びは重要であり、介護度や認知症の有無などによって適切な施設選びが求められる。

虐待防止や消費者問題など、取り扱う問題は多岐にわたるが、いつでも気軽にこうした問題を相談できるのが新しいホームロイヤー像だと八杖事務局員は言う。老後から死後の財産承継まで、弁護士は人生の長きにわたって、幅広く、市民に寄り添う存在であることが期待される。


シンポジウム
死刑を廃止したEUからのメッセージ
3月12日 弁護士会館

  • シンポジウム「死刑を廃止したEUからのメッセージ~駐日英国大使・EU公使をお招きして」
英国における死刑廃止への道のりを語るヒッチンズ大使

死刑廃止を加盟条件とするEUは、世界全体で死刑が廃止されることを目指し活動を行っている。このたび、駐日英国大使・駐日EU代表部公使を招き、死刑廃止について議論を深める機会として本シンポジウムを開催した。

 

初めに、ティム・ヒッチンズ駐日英国大使が講演を行い、1948年の死刑廃止法案提出、1965年の執行停止、1969年の通常犯罪に対する死刑廃止、そして1998年の全面廃止に至るまでの50年の道のりを紹介した。谷垣禎一法相も依拠する死刑存置の根拠については、死刑の犯罪抑止力は証明されておらず、また、世論は変容するものであり、政府には民意を導く義務もあると強調。「政府が国民と率直に対話し、十分な情報に基づく議論が行われるよう力になりたい」と締めくくった。続いて駐日EU代表部のメイヴ・コリンズ公使・副代表が、ベラルーシを除く欧州が死刑廃止地域となるに至った経過とEUの死刑廃止に対する政策について、欧州人権条約とその議定書の展開とともに講演した。

後半のパネルディスカッションでは、太田達也教授(慶應義塾大学)が日本の現行死刑制度とその運用上の問題点を解説し、井田香奈子氏(朝日新聞論説委員)からは、死刑容認の回答が導かれやすい内閣府世論調査の手法等について問題提起がなされた。元法務大臣の杉浦正健会員(第一東京)は、死刑執行が繰り返される現状に対し「根本的な解決としては死刑を廃止するしかない」と述べ、新井宏明会員(第一東京)は、真に凶悪な罪を犯した者に死刑が科されなくてよいのか、としつつ「この問題にタブーがあってはならない」と議論の必要性を強調した。

100人を超える会員・市民が出席する中、さまざまな立場からの意見が交わされ、日弁連の提唱する「全社会的議論」へとつながるシンポジウムであった。

(死刑廃止検討委員会委員 田鎖麻衣子)


 

「ひまわりお悩み110番」開設一周年
記念イベントを開催
3月1日時事通信ホール

  • 法律相談センター全国統一ナビダイヤル「ひまわりお悩み110番」開設1周年記念イベント
日弁連の全面広告を紹介する有賀さん

法律相談センター全国統一ナビダイヤル「ひまわりお悩み110番(0570―783―110)」の開設一周年を記念して、同ダイヤルをより多くの市民に知ってもらうため、イベントを開催した。当日は、元フジテレビアナウンサーで、フェリス女学院大学アナウンス講座の講師も務める有賀さつきさん(タレント・アナウンサー)を講師にお招きし、「人間関係を豊かにするコミュニケーション術」と題する講演会と、弁護士による無料法律相談会を行った。

 

講演では、まず、参加者に配付された2013年11月2日朝日新聞(朝刊)掲載の広告「わかるわかる運動―どんなときに弁護士に相談すればいいの?」(相談者の視点から弁護士の活動をわかりやすく説明したもの。日弁連ホームページHOME≫日弁連/弁護士について≫CMギャラリーからダウンロードが可能)を用い、弁護士は、高齢者が安心して暮らせるようアドバイス等ができること、中小企業の事業運営上の法律問題に対応すること、子どもからの相談にも応じていることなど、身近な問題にも対応する存在であることの紹介をしていただいた。

続いて、コミュニケーションを円滑にするための言葉の使い方として、「語尾は伸ばさないでスタッカートのように短くする」、「相手の呼吸を見て、自分も呼吸を合わせる。ゆっくり話す方には、ゆっくりした気持ちで会話をする」などのコツを披露いただいた。また、初めて会う人に心を開いてもらう工夫として、「身繕いをきちんとすること。心をすっきりと保つこと。清潔感を保つこと」との話もあり、参加者からも好評であった。

講演会終了後に行われた無料法律相談会(事前申込制)には、14人が相談に訪れた。


国際人権セミナー
国際水準からみた日本の人権
3月4日弁護士会館

  • 国際人権セミナー「国際水準からみた日本の人権-国連拷問等禁止条約政府報告書審査をどう活かすか-」
セミナーに先立ち、山岸憲司会長(当時)を表敬訪問したドマ委員

2013年5月に行われた国連拷問禁止等条約に基づく第2回日本政府報告書審査において、「日本の刑事司法は中世のよう」と発言したことでも知られる国連拷問禁止委員会のドマ委員が来日し、講演を行った。国際水準から見た日本の刑事司法について熱いメッセージを聞くことができた。

 

自白依存からの脱却を

ドマ委員は、モーリシャス共和国において最高裁判事を務める(本年3月末まで)。「日本はすばらしい国。アジアで初めて人権について議論し主張した国でもある」としつつも、「日本の唯一の欠点は刑事司法の問題だ。日本の刑事司法は自白に依存しすぎている。これだけ科学的捜査手法が発展を遂げ、他の国が拷問行為によらずに真実を発見しているにもかかわらず、日本だけができないという理由はない。刑事司法は日本にとってウィルスのようなもの。治せばいいし、治すのは簡単だ」と批判した。また、拷問行為の一つとして、長期間にわたる不必要な身体拘束による、いわゆる「人質司法」に強い懸念を示した。さらに、取調べの可視化については、逮捕直後の時点から、最後までの可視化が必要と述べた。

 

死刑に関する問題提起も

ドマ委員は日本の死刑制度についても触れ、「家族のみならず、死刑囚本人にも執行の日を知らせないこと、独居拘禁を行うことは拷問であり、容認できない」と指摘した。

また、拷問を受けた被害者に対しては、「心身に受けた被害の回復のみならず、完全な補償が必要だ 」と強調した。

最後に、「法の支配は専門家が構築するものだ。そのためにはあきらめずに何度も扉を叩かなければならない。日本では問題意識を持つ人が国内にいるということがよいところ」と述べ、弁護士が法の支配について責任を持つ者であるとして、今後の刑事司法改革についての活動を激励した。


地域司法シンポジウム
地方・家庭裁判所支部の新設・復活実現を!
3月6日 船橋市

  • 地域司法シンポジウム「地方・家庭裁判所支部の新設・復活実現を!」
日弁連主催、関弁連と千葉県弁護士会の共催により、盛大なシンポジウムとなった

人口約125万人を擁する千葉県京葉地域(市川市、浦安市、船橋市)には、簡裁と家裁の出張所があるのみで地家裁支部がないという事実をご存じだろうか。住民の裁判を受ける権利の実質的な保障のために、地域司法の拡充と同地域への地家裁支部の設置を求めてシンポジウムを開催した。

 

支部新設実現を目指して

冒頭、裁判官制度改革・地域司法計画推進本部の前田豊副本部長(福岡県)から、京葉地域に支部がないことによる弊害と、地域司法の充実に向けた日弁連・弁護士会のこれまでの取組が報告された。

続いて地元千葉県弁護士会京葉支部の大家浩明会員から、千葉家裁市川出張所の2012年の新受件数が6630件にも及び、水戸、宇都宮、前橋、静岡、甲府、長野、新潟の各家裁本庁より多い(2009年時点)にもかかわらず、裁判官は、本庁から1人が週4日間填補されているだけとの現状報告があった。

間部俊明会員(関弁連地域司法充実推進委員会委員)からは、「司法予算の増額のため、日弁連には地域司法充実基本法の立法活動を本格的に扱ってほしい」との要望が出された。

 

地域司法の拡充に向けて

後半のパネルディスカッションで、井田香奈子氏(朝日新聞論説委員)は、「一番の問題は、住民が問題の解決を裁判所に求めない、つまり裁判所をアテにしなくなること」と指摘した。阿多真人氏(市川調停協会会長)からは、「市川では次回期日が3カ月後になるときがあり、まとまりかけた話が元に戻ってしまうことがある」と現実化している弊害が報告された。また、新藤宗幸名誉教授(千葉大学)から、司法予算が増えない理由等について意見が述べられた。

最後に千葉県弁護士会の湯川芳朗会長から、「この問題の主役は地元住民の方々。弁護士会としては、今後も地元との繋がりを重視した中で、活動を広げていきたい」との意気込みが示された。


シンポジウム
雇用の現状と問題点
雇用規制緩和政策を考える
2月21日弁護士会館

  • シンポジウム 雇用の現状と問題点-雇用規制緩和政策を考える- 

現在、産業競争力会議等政府の各種会議において、解雇や労働時間など労働法制の全面的規制緩和政策が検討されている。そこで、労使双方の立場から、雇用規制緩和政策の是非について議論を深めるため、本シンポジウムを開催した。

 

冒頭、棗一郎会員(第二東京)が基調報告を行い、労働側の立場から、現在検討されている雇用規制緩和政策に関して、社会的な必要性が果たしてあるのかとの問題提起をした。

続くパネルディスカッションでは、新谷信幸氏(日本労働組合総連合会総合労働局長)、海老澤大造氏(東京経営者協会労働・研修部兼総務部次長)、水口洋介会員(第二東京)および木下潮音会員(第一東京)が登壇し、雇用規制緩和政策に関して議論を交わした。

現行の業務区分による期間制限を撤廃し、個人単位と派遣先単位の制度に再構築する等の労働者派遣法改正について、新谷氏は労働側の立場から、「企業は、派遣先の課と派遣労働者を変えれば、3年を超えても派遣のまま労働者を利用できる」と反対し、水口会員も、派遣労働者の賃金の低さ・雇用の不安定さを強調しこれに同調した。

いわゆるホワイトカラー・エグゼンプション等の労働時間の規制緩和については、木下会員が、使用者側の立場から、「日本の競争力強化のためには、多様な働き方を確保すべき」として好意的な立場を示した。また、事前型・事後型の金銭解決制度等の解雇規制の緩和について、海老澤氏は、使用者側の立場から、「解雇無効となっても職場に戻らない例がほとんどであり、実務上有用である」と指摘した。

最後に、労働法制の審議を主導的に進めている規制改革会議や産業競争力会議において、労使の代表者が構成員となっていない点については、ILO三者構成原則の点から問題であると労使間で意見が一致した。


いじめ問題第三者機関委員経験交流集会
2月26日弁護士会館

大津市で起きた中学生いじめ自殺事件を契機に、2013年6月、「いじめ防止対策推進法」(「推進法」)が成立し、同年9月に施行、同法に基づく国の「いじめの防止等のための基本的な方針」(「基本方針」)も同年10月に公表された。これにより、今後いじめ問題第三者機関に弁護士が参加する機会が増加すると予想される。本集会では、第三者機関委員経験者が、職務を遂行する際の留意点等について意見交換を行った。

 

冒頭、子どもの権利委員会の山田由紀子委員(千葉県)が、推進法および基本方針において、国、地方公共団体、教育委員会および学校に、いじめ対策のための組織が設置されること、これら組織には、職能団体の推薦等で選任された弁護士・医師・心理や福祉の専門家等の参加が期待されていること等の説明があった。

続くパネルディスカッションでは、大津市の事件で第三者委員会委員長を務めた横山厳会員(大阪)をはじめ、いずれもいじめ問題や学校事故についての第三者委員会委員の経験を有する会員が登壇し、第三者委員会の委員構成、委員会による調査、遺族への説明等の多岐にわたる事項について、自身の経験やそれに基づく教訓等を語り合った。

 

第三者委員会の委員構成、委員会による調査に関しては、「多数の関係者から聴き取りをする必要があるので、事実認定の専門家である弁護士が複数で関与する体制を構築すべき」、「生徒からの聴き取りにあたり、話しやすい雰囲気作りを臨床心理士が担うなど、各自の専門性に応じた役割分担が重要」などの意見が出された。また、遺族への説明に関して、「遺族は学校調査に不信感を抱いている場合が多いので、今後の調査方針や報告書の完成時期など、適切な情報提供をすることを心がけるべき」との意見があった。


 

JFBA PRESS -ジャフバプレス- Vol.87

災害復興まちづくり支援機構
士業間で連携し、被災者支援、復興まちづくり支援を

 

弁護士会その他各種士業団体から構成され、被災者支援活動を行う組織が全国にあることをご存じでしょうか。今回は、そのうちの1つ、東京の災害復興まちづくり支援機構について、同機構事務局長の安藤建治会員(東京)と同運営委員の小海範亮会員(第二東京)にお話を伺いました。
(広報室嘱託 倉本義之)

 

 

―設立の経緯を教えてください
安藤会員(左)と小海会員(右)

安藤 きっかけは、阪神・淡路大震災後九年にあたる2004年1月17日に、神戸市で開催された「全国まちづくり専門家フォーラム」です。このフォーラムでは、阪神・淡路大震災の教訓として、震災後の復旧、復興の過程において、各専門家の横断的連携がいかに市民にとって有益であり、そのような連携体制を平常時から整備しておくことが必要であるかが確認されました。
そこで、東京の三弁護士会が東京の他の専門家団体に参加を呼びかけ、多くの専門家団体の賛同を得て、2004年11月30日に設立されました。

 

―機構にはどのような団体が参加しているのですか

小海 現在は、東京の三弁護士会をはじめとして、東京司法書士会、東京税理士会、東京都行政書士会、東京土地家屋調査士会、東京都社会保険労務士会、一般社団法人東京都中小企業診断士協会等合計17の団体が正会員として参加しています。

 

―東京都との連携強化に努めているそうですね

安藤 十分な被災者支援をするためには、行政との連携が重要となります。2007年1月、当機構の正会員14団体(当時)と東京都との間で、「復興まちづくりの支援に関する協定」を締結しました。この協定では、災害時に東京都の要請により専門家相談を実施することや東京都と当機構とが平常時から情報交換・訓練の実施など連携強化に努めることが定められています。

 

―平常時における取組にはどのようなものがありますか

安藤 2007年から毎年、都庁で復興まちづくりシンポジウム「専門家と共に考える災害への備え」を当機構と東京都との共催で実施し、毎回多くの都民の方にご参加いただいています。第1回の「マンション編」から始まり、第8回目となる今年は、7月16日に、「地域協働編」をテーマに開催することを予定しています。

 

―昨年10月の台風26号により大島町に土砂災害が発生しました

小海 当機構では、東京都からの要請に応じて、11月21日から27日までの7日間、弁護士等の専門家を1日3人体制で大島町に派遣し、相談会を実施しました。相談実績は7日間で29人です。相談内容は、被災者生活再建支援制度等の支援金に関するものが最も多く、他に災害弔慰金、罹災証明書、相続や損害賠償等に関するものがありました。

今後、いわゆる「二重ローン問題」が顕在化すると予想されますので、継続的な支援をしていきたいと考えています。

 

―東日本大震災における活動を教えてください

安藤 東日本大震災での支援活動は多岐にわたり(※別表参照)、すべてを語ることはできませんが、震災からそう遠くない時期に、東京の避難所で相談会を始めることができたのは、平常時から東京都との連携に努めてきた成果であると考えています。今後も、復興まちづくり支援や原発被害者支援に取り組んでいきたいと思います。

 

―全国にある同種の専門家団体との連携について

小海 2009年10月、東京で、当機構、阪神・淡路まちづくり支援機構、神奈川県大規模災害対策士業連絡会、静岡県東海地震対策士業連絡会、宮城県災害復興支援士業連絡会および新潟県災害復興支援士業連絡会の六団体の共催で、災害復興支援に関する専門士業全国交流シンポジウムを実施し、それぞれの団体の活動の教訓や問題点を学び合いました。今後、ますます連携を強化していきたいですね。

 

―弁護士・弁護士会に期待することは

安藤 日本は災害列島です。全国どの場所でも大震災などの災害が起きる可能性があります。弁護士・弁護士会が積極的に働きかけ、全国各地に被災者支援のための専門家団体を設立し、円滑で効果的な被災者支援活動の準備ができたらと思います。

 

 

東日本大震災における災害復興支援
まちづくり支援機構の支援活動一覧(抜粋)

 

2011年 3月28日 東京ビッグサイト西展示場における被災者相談開始
4月28日 旧赤坂プリンスホテルにおける被災者相談会開始
5月2日 仙台弁護士会において、宮城県災害復興支援士業連絡会および阪神・淡路まちづくり支援機構との意見交換会
8月5日
~7日
東日本大震災被災地懇談会(阪神・淡路まちづくり支援機構主催)に参加
8月5日 岩手の専門家・研究者との交流会
8月6日 福島の専門家・研究者との交流会
8月7日 宮城県災害復興士業連絡会との交流会および宮城県議との交流会
8月21日 八重洲富士屋ホテルにて、公益財団法人さわやか福祉財団主催による「福島県被災者同行会」発足会・交流会に参加し、相談デスクを設置
9月 岩手県大船渡市末崎町西舘、泊里、碁石などいわゆる碁石半島地区の復興支援活動開始
  • 復興まちづくり協議会に、12月の第1回目から直近の第21回まで、すべて参加
  • 住民の地域復興に関する要望などをとりまとめた「第一次提言書」を作成し、2013年8月26日、大船渡市に提出
10月1日 公益財団法人さわやか福祉財団主催「避難者交流会&相談会」に支援機構から専門家が参加して、相談会を担当(以後、現在まで、20回を超える相談会に専門家を派遣)

日弁連委員会めぐり 63

裁判官制度改革・地域司法計画推進本部

全国には、地方裁判所、家庭裁判所の本庁50カ所と支部203カ所が置かれており、検察庁も同数がそれぞれ設置されています。うち裁判所支部は、そのほとんどが労働審判や裁判員裁判を取り扱わず、さらに裁判官・検察官が常駐しない支部では期日が相当先となる等多くの問題点があり、支部の機能強化は重要な課題となっています(関連イベント記事)。そこで、支部機能の強化や裁判官増員への取組を中心に、裁判官制度改革・地域司法計画推進本部の髙崎暢本部長代行(札幌)と赤羽宏事務局長(東京)にお話を伺いました。

(広報室嘱託 倉本義之)

支部問題もさまざま
赤羽事務局長(左)と高崎本部長代行(右)

(高崎) 支部問題と一口にいっても、地域によって抱える課題が異なることがあります。例えば、京葉地域(船橋、市川、浦安3市)の千葉家庭裁判所市川出張所のように、出張所にもかかわらず年間6000件を超える申立事件数を抱え、支部の新設が課題となっているところもあれば、東京の立川支部のように、本庁化が課題のところもあります。また、非常駐支部の裁判官常駐化が課題の地域もあります。

(赤羽) 支部で労働審判を扱わないために、100㎞離れた本庁まで行かなければならないとか、非常駐支部のため期日が数カ月先になるとか、そのような地域の住民が果たして裁判を受ける権利を十分に保障されているといえるのか。支部機能を強化し、地域住民の裁判を受ける権利を実質的かつ平等に保障することが必要と考えています。

 

推進本部での新たな取組

(高崎) 当本部では、従前から支部問題に取り組んできましたが、2012年度からは、全国各地で「地域司法キャラバン」を開催しています。これは、支部会員に加え、地域の住民、県議会や市議会の議員等にも参加していただき意見交換をするもので、支部問題を始めとする地域司法の問題について、地域の住民との間で認識を共有するのに大変有益です。今後も継続実施を予定しています。

(赤羽) 裁判官・検察官の非常駐による弊害の解消には、裁判官の増員が不可欠です。そこで、2013年度には、本部内に司法予算問題プロジェクトチームを立ち上げ、予算拡大の実現を目指した活動を始めています。

 

会員に向けてのメッセージをお願いします

(赤羽) 当本部では、著名な憲法学者との勉強会の開催などもしており、刺激を受けることも多いです。若手会員の方々が、本部の活動に積極的に参加されることを期待しています。


ブックセンターベストセラー
(2013年12月・六法、手帳は除く)協力:弁護士会館ブックセンター

順位 書名 著者名・編者名 出版社名
1 新版 注釈民法(27) 相続(2) §§896~959[補訂版] 谷口知平・久貴忠彦 編 有斐閣
2 弁護士・弁理士・司法書士の確定申告と税務[平成26年対応] 天賀谷茂・呉尚哲・熊澤直・名取勝也・吉川達夫 著者代表 レクシスネクシス・ジャパン
3 別冊ジュリストNo.218 憲法判例百選2[第6版] 長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿 編 有斐閣
4 破産・民事再生の実務[第3版]民事再生・個人再生編 東京地裁破産再生実務研究会 編著 きんざい
5 中小企業再生の実務 ―金融機関対応と法的手続き 濱田法男・権田修一・天野清一 著 日本評論社
6 新版 家庭裁判所における 遺産分割・遺留分の実務 片岡 武/菅野眞一 編著 日本加除出版
7 別冊判例タイムズ No.36 後見の実務 東京家裁後見問題研究会 編著 判例タイムズ社
8 弁護士の仕事術5 不動産事件 処理の基本 藤井 篤 著 日本加除出版
9 労働審判実践マニュアル Ver.2 日本労働弁護団 日本労働弁護団
10 ジュリスト増刊 実務に効く コーポレート・ガバナンス判例精選 野村修也・松井秀樹 編 有斐閣

編集後記

日弁連新聞の取材や会務で、防災施設に足を運ぶ機会が増えています。あらためて、日本は災害大国だなと実感しています。国や自治体の備えは、少しずつではあるものの、着実に進んでいるように見えます。
さて、日弁連や弁護士会の防災対策はどうでしょうか。会員や職員の安否確認の方法、会館が使用できないときの対処法、弁護士会職員が出勤できないときの対応、国選事件や当番弁護の引き受け手をどう確保するか、検討しておくべきことは山ほどあるように思いますが、ほとんど何もできていないのが実際ではないでしょうか。
4面に掲載した災害復興支援全国協議会では、前記のようなテーマで議論が交わされました。これをきっかけに、1つでも多くの会や委員会で議論や検討が始まり、防災対策が進むことを期待しています。さっそく今年度からいかがでしょうか。(Y・O)