日弁連新聞 第446号

特別会費増額、債務整理事件処理規程など6議案を可決

2・9 日弁連臨時総

2・9 日弁連臨時総会 特別会費増額、債務整理事件処理規程など6議案を可決

 

いずれの議案も圧倒的多数の賛成で可決された

 

第一号議案

少年・刑事財政基金のための特別会費徴収の件中一部改正の件


第二号議案

法律援助基金のための特別会費徴収の件

 

第三号議案

法律援助事業に関する規程中一部改正の件

第一号議案は、刑事被疑者弁護援助、少年保護事件付添援助などを運営するための「少年・刑事財政基金のための特別会費」を現行の月額3100円から4200円に増額するもの。第二号議案および第三号議案は、法テラスへの委託援助事業の形で実施している人権関連7事業(法律援助事業)のため、新たに月額1300円の「法律援助基金のための特別会費」を徴収し、併せて関連規程を整備するもの。

討論においては、厳しい経済情勢の中で会費を値上げすることについての反対意見なども出たが、人権擁護のための事業継続の必要性などの観点から賛成が圧倒的多数を占め可決された。なお、精密採決が行われた第一号議案の結果は別表一のとおり。

 

第四号議案

債務整理事件処理の規律を定める規程制定の件

債務整理事件の勧誘、受任および法律事務処理に関して弁護士が遵守すべき事項を定めるとともに、主として過払金返還請求事件における弁護士報酬の額を適正化するもの。受任時の直接・個別面談を原則義務化するなどの行為規制、報酬金の上限を定めるなどの報酬規制(着手金の上限は定めない)、これらに関連する広告規制などからなる。なお、本規程は施行後5年以内に効力を失うことが定められた時限法規である。

討論においては、一部の弁護士による不適切な報酬請求の事例が報告されるなど、規制の必要性が強調され、別表二のとおり圧倒的多数で可決された。

なお、本規程は2011年4月1日に施行されるが、具体的な報酬金の上限は規則に委任されている。これを受けて、2月17日の理事会において、要旨左記の規則が制定された(いずれも税別)。

 

解決報酬金
 ・一社あたり原則2万円(商工ローンは5万円)以下
減額報酬金
 ・10%以下
過払金報酬金
 ・訴訟によらない場合20%以下、訴訟による場合25%以下

第五号議案

会則中一部改正(会則改正手続変更)の件

第六号議案

会則中一部改正(特別会費徴収手続変更)の件

会則改正および特別会費徴収の要件から代議員会における可決を削除するもの。各弁護士会や関連委員会への意見照会の期間、理事会での審議期間をより長期にすることが可能となり、会内合意形成の一層の実質化が期待できる。採決の結果、いずれの議案も圧倒的多数で可決された。


別表1 本人 代理 合計
賛成 490 8153 45 8688
反対 65 624 2 691
棄権 5 7 0 12

 

別表2 本人 代理 合計
賛成 453 8315 50 8818
反対 28 167 0 195
棄権 6 41 0 47

全面的国選付添人シンポジウム 「非行少年」に、もっと弁護士を!

1月29日 東京

現行の国選付添人制度は対象事件が重大事件に限定され、選任も裁判所の裁量に委ねられている。本シンポジウムは、少年鑑別所に収容されたすべての少年に弁護士付添人が選任される「全面的国選付添人制度」の実現に向けた理解と協力を訴える目的で開催された。

前半は、子どもと弁護士の劇団「もがれた翼」による演劇「扉をひらいて」が上演され、参加者に大きな感銘を与えた。傷害事件を起こした少年の付添人が、少年と母との関係調整など立ち直りを支援する姿を通じて、付添人の役割と必要性を描き出した。

後半は、少年法研究者や審判を受けたことのある元少年などによるリレートークが行われた。八田次郎氏(元少年院長・中京大学法学部非常勤講師)は、少年院を出る少年の親の引取率が下がっていることを指摘し、能重真作氏(NPO法人非行克服支援センター理事長)は、「『非行』と向き合う親たちの会」などを紹介した。元少年からは、自分を信じてくれる付添人の存在が必要であることが訴えられるとともに、少年事件の被害者からも、付添人を通じて加害者少年のことが理解できるなど被害者にとっても付添人の存在が重要であることなどが語られた。後藤弘子教授(千葉大学法科大学院)は、少年も親もすぐには付添人の役割を理解できないからこそ、国選で付添人が就く必要があると指摘した。

本シンポジウムには、国会議員一人を含め500人を超える参加者があった。このほか、20人の国会議員から、全面的国選付添人制度実現に向けたメッセージが寄せられた。

 

「ハーグ条約の締結に際し、とるべき措置に関する意見書」を採択

2・18理事会

2月の理事会では2日間にわたり、政府において検討が進められているハーグ条約に関する意見書が審議された。弁護士会および関連委員会からの答申を経て白熱した議論がなされた結果、条約について多様な議論がある旨を主文に明記することとして、以下のとおり意見が取りまとめられた。


本意見書は2月22日までに内閣官房、外務省および法務省あてに執行した。

日弁連としては、今後もハーグ条約についての調査および情報収集を続けていく。

なお、本意見書の全文は日弁連ホームページに掲載されているので、ご確認願いたい。

 

意見の概要

 

日本がハーグ条約を締結する場合には、以下の措置を十分に講ずべきである。

  1. 子どもの権利条約に定める「子どもの最善の利益」にかない適切に実施・運用されるよう、次の事項を含む国内担保法を制定すること。
    (1)児童虐待、DV、常居所地国にて刑事訴追を受けるような事案等については、返還を拒否しうること、
    (2)返還審理に際し子の意見が適切に聴取・尊重されること、
    (3)中央当局並びに司法機関による審理及び審理手続、証拠方法、命令執行、上訴に関する規定等を整備すること、
    (4)遡及効がない旨、国内での連れ去り等や面会交流事件には適用のないことを明確化し周知すること、
    (5)条約実施・担保法施行まで3年間程度の準備・周知期間を置くこと。
  2. 同時に国際人権条約の選択議定書を批准し個人通報制度を受け入れること。
  3. 在外邦人に対する必要な情報提供及び支援の検討。
  4. 中央当局職員、裁判官、弁護士等の関係者に対する国際人権法の研修の検討。
  5. 子の国外への無断連れ去りに刑事罰を処する締約国に対し、任意に子を返還した場合には刑事訴追を行わないよう、要請や対話・交渉を行うこと。

ひまわり

司法修習生の兼職禁止が昨年11月採用の新64期から一部緩和され、社会人が一定の要件の下で会社を休職して修習できるようになった▼法科大学院は社会人を積極的に多数受け入れたが、会社に在職のまま入学した人たちは、司法試験合格後、退職しないと修習生として採用されないと知って愕然とした。いったん退職するとキャリアや退職金などで大きな不利益を受けるからだ。法曹界への多様な人材の受け入れ、弁護士の職域拡大といった観点から見ても問題がある▼そこで日弁連は、休職などによる修習受け入れを求める意見書を2008年に最高裁に提出していた。今回、ようやくその一部が実現したといえるが、最高裁はこの措置を公表しておらず、原則として退職が必要との姿勢を変えていない▼給費制廃止問題では修習生の負担が大きく取り上げられたが、問題の本質は修習と給費との対価関係であろう。司法試験に合格した者が受ける司法修習は、企業や公務員の採用後の業務研修に近い。修習生は配属地を指示され、厳格な修習専念義務と兼職禁止を課されて修習に従事している。これを個人の資格取得のための研鑽と同視して受益者負担を論じるのは無理があろう。返済条件が軽いから貸与でよいという問題ではないはずだ。(N.K)


院内集会
司法修習生に対する経済的支援・法曹養成制度の在り方を考える

2月3日 衆議院第二議員会館


院内集会 司法修習生に対する経済的支援・法曹養成制度の在り方を考える 2月3日 衆議院第二議員会館

衆議院法務委員会決議に基づく検討機関の早期設置や弁護士会の運動への協力を要請するため、多数の参加者が詰めかけた

昨年11月、司法修習生に対する「給費制」を一年間延長する法律が成立し、衆議院法務委員会決議において「1.2011年10月31日までに、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること、2.法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」が求められている。本集会は、この決議を踏まえた今後の取組みを確認するために開催された。

冒頭の挨拶に立った宇都宮会長は「64期の修習生からは『お金のことを心配せず充実した修習ができている』など感謝の声が寄せられている。今後は、広く国民・市民の代表が参加する機関において決議の内容が検討されるよう求めていく」と語った。「司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会」の代表幹事である笹森清氏(労働者福祉中央協議会会長)は「給費制の一年延長は、マスコミからは必ずしも好意的に評価されたわけではない。司法改革の意義を再確認し、法曹が『正義の味方』でいられるような養成の在り方を考えなければならない」と今後の取組みへの期待を述べた。

参加した64期修習生や法科大学院生からは「給費制維持については感謝の気持ちでいっぱい。これから社会へのご恩返しがしたい」、「奨学金ですでに300万円の負債を抱えている。貸与制となれば修習をあきらめる人も出てくるだろう」などの発言とともに、給費制維持に向けて今後も協力していくとの意気込みが語られた。


IPBA会長に國谷史朗会員(大阪)が就任へ

4月に京都で年次大会

IPBA会長に國谷史朗会員(大阪)が就任へ

 

IPBA(環太平洋法曹協会)の副会長であった國谷史朗会員(大阪)が、本年4月24日からIPBAの会長に就任する。

IPBA(環太平洋法曹協会)は、1991年の設立以来、環太平洋地域で活躍するビジネスロイヤーの友好的なネットワークの形成と、専門的な研修プログラムの提供を目的とした活動を続けている。65か国、1400人以上の会員を擁し、日本からも約200人が会員となっている。

國谷会員は京都大学法学部を卒業後、1982年に弁護士登録。2008年から日弁連国際交流委員会委員長を務めている。

 

 

法曹人口と法曹教育に関するセッションなどを開催

年次大会(於・国立京都国際会館)は4月21日から4日間の日程で開催される。

大会は「イノベーション」をテーマにしており、22日にはiPS細胞で有名な山中伸弥教授(京都大学)、ルース駐日米国大使などが参加する全体セッションが行われる。

個別セッションでは、23日15時から法曹人口と法曹教育に関するセッションが予定されており、宇都宮会長のほか、中国の弁護士会会長、オーストラリアおよび韓国の弁護士会前会長が出席する。そのほかにも、中国法に関するセッション、APECとの協同に関するセッション、仲裁に関するセッション、アジア各国の訴訟制度の比較に関するセッション、日本航空の会社更生事件に関するセッション、国際投資に関するセッションなど30近くが予定されている。

 

民放連との懇談会 裁判員裁判と報道の在り方

2月3日 弁護士会館

 今回で21回目を迎える日本民間放送連盟(民放連)との懇談会は、「裁判員裁判と報道の在り方」と「検察とメディアについて」をテーマに意見交換した。

 

裁判官はなぜ記者会見に応じないのか?

民放連から、死刑判決を下した直後の裁判員の記者会見の貴重な映像の紹介も含め、現段階における裁判員裁判の取材・報道に関わる問題が報告された。特に、判決後の記者会見において、裁判所職員による発言制止と介入が相次いだことが問題視された。会場からは「裁判員は記者会見を行うのになぜ裁判官が出てこないのか」、「守秘義務の問題については裁判長が同席して判断してはどうか」など、運用の改善を求める声が上がった。

 

捜査段階における客観報道の在り方とは

続いて、取材現場の立場として、民放連から、厚労省村木元局長事件に関する取材・報道の問題についての報告があった。検察情報以外の情報源が限られる中、どこまで客観的な報道ができたかについては反省もあるとした上で、「村木氏の『検察情報以外に何を報道してくれたのか?』という問いを踏まえ、あらためて客観報道の在り方を考えていきたい」と語った。 日弁連からは、前田裕司会員(取調べの可視化実現本部副本部長)が、取調べの可視化(全過程の録画)の必要性について具体的な事案を挙げて報告し、民放連側に理解を求めた。 (人権擁護委員会人権と報道に関する特別部会部会長 坂井 眞)

 

日弁連短信

「検察の在り方検討会議」3月末に取りまとめへ 取調べの可視化にも影響

「検察の在り方検討会議」3月末に取りまとめへ

 

 昨年11月に「検察の在り方検討会議」(検討会議)が立ち上がった。大阪地検特捜部の元主任検事の証拠改ざん、元上司らの隠ぺいを契機に、検察の組織、検察官の在り方などを外部有識者とともに検討するためである。

これに先立ち、日弁連は、証拠改ざん事件の発覚、関係者の逮捕・起訴などの折に会長声明を発し、単に一個人の問題とすることなく、検察組織全体の問題として捉えるべきことを指摘してきた。特に、証拠改ざんは、あらかじめ検察が作り上げたストーリーに関係者の供述を沿わせるだけでなく、客観証拠までをもゆがめ、刑事司法の根幹を揺るがす深刻な事態であることを指摘した。10月5日には、法相に対し、独立した第三者機関を設置し、なぜこのようなことが許容されたのか徹底解明することを求める申入れを行った。このような取組みの結果、検討会議の設置に至ったものである。検討会議には、日弁連から宮崎誠前会長を推薦し、その他幹事および最高検報告書の検証アドバイザーを送り出した。

昨年12月24日には、最高検から調査報告書が提出されたが、内部調査の限界のため、事案解明、再発防止策ともに不十分なものであった。そこで、同日中に会長声明を発し、徹底した真相解明と十分な再発防止策を求めた。年明け後は、週一回のペースで検討会議が開催され、1.組織の在り方、2.教育・倫理、3.捜査・公判の適正化、4.人事などの論点に沿って審議日程が予定されている。

日弁連は、当初から、裁判所や対立当事者など外部からのチェックこそが重要であり、そのためには取調べの可視化(全過程の録画)と検察官手持ち証拠の全面開示が必要不可欠であることを主張してきた。検討会議においても、これらの点に注力して優先的に議論すべきである旨を訴えている。1月下旬には、厚労省元局長らからのヒヤリングが行われ、あらためて密室での取調べの問題点が明らかとなった。2月初旬には検察官の使命・役割、組織・人材育成について議論が行われ、その後に捜査・公判活動の在り方が議論される。3月には韓国視察も行われる。そのほかにも、検察官全員を対象とする意識調査が行われており、日弁連の行った弁護人アンケートと併せ、検討会議の資料に供される。

検討会議は、3月末に取りまとめを行う予定である。法務省内の可視化勉強会の6月の取りまとめに影響を与えることが期待される。日弁連としてもさらなる働きかけを続け、会員の皆さまに情報を提供していく予定である。さらなるご支援をお願いしたい。
(事務次長 森 徹)


新システムの問題点について講演する実方氏

 

新システムの問題点について講演する実方氏

 

政府が「子ども・子育て新システム」・「幼保一体化」と称した制度改革を急ぐ中、緊急シンポジウム「すべての子どもへの良質な成育環境を保障し子どもを大切にする社会のために~『子ども・子育て新システム』を考える」を開催した。

はじめに、新システムの問題点について実方伸子氏(全国保育団体連絡会事務局長)が講演し、1.市町村の保育実施責任がなくなる、2.補助金支給の仕組みが保護者に対する個人給付となる、3.国の最低基準が撤廃され地方条例化、保育の市場化が起こる、4.保育料が現行の応能負担(所得に応じた負担)から応益負担(利用に応じた負担)になるなどと指摘した。その上で「必要なのは新システム導入による保育制度の解体ではなく、現行制度の拡充のはず。もっと現場当事者の声を聞き、透明性のある議論をしながら公的責任拡大や最低基準改善などの条件整備、財源の大幅投入を行ってほしい」と訴えた。

続くパネルディスカッションでは、中島圭子氏(日本労働組合総連合会総合政策局総合局長)が、「まだ何も決まっていない。制度の中身はこれからの議論だが、保育園には福祉的機能があり、その機能を新制度にも組み込むのは当然」と述べた。寺町東子会員(東京)は、「幼保一体ばかりが議論されることには疑問がある。子どもの命を預かるシステムによい人材が入り、子どもたちが親の経済力にかかわらず、安定した生活が送れるシステムにすべき」と語った。

 

シンポジウム 地方消費者行政の望ましい姿と国の支援の在り方を考える

1月27日 弁護士会館

3月に内閣府消費者委員会から、地方消費者行政の望ましい姿と国の財政支援の在り方に関する提言が表明される予定となっている。本シンポジウムは、同提言を約2か月後に控え、よりよい地方消費者行政確立に向けた実効的な施策を議論するため開催した。

 

冒頭の基調報告では、石戸谷豊会員(消費者問題対策委員会副委員長)が、地方消費者行政の強化をめぐる議論の推移や、昨年12月に突如、閣議決定された国民生活センターの種々の業務の廃止につき報告した。

 

続いて、消費生活相談窓口の在り方につき、義本みどり氏(兵庫県但馬県民局但馬生活科学センター消費生活相談員)が報告した。兵庫県と但馬市が連携を図り、県の相談センターの中に市町が共同で窓口を設けた結果、相談件数が増加した例や連携のメリットなどが紹介された。

 

さらに、山口正行准教授(東北大学公共政策大学院)が、身近な相談窓口の必要性と広域連携の利点について語った。

 

後半は、義本氏、山口准教授に野本守利氏(群馬県生活文化部消費生活課長)、国府泰道氏(内閣府消費者委員会地方消費者行政専門調査会委員)が加わり、パネルディスカッションを行った。

 

野本氏は、地方分権との関係で、国が今後の地方消費者行政をどうしたいのか不透明であると指摘した。野本氏とともに、義本氏、国府氏が、2011年度まで3年間の期間限定で行われている国の基金終了後も、国が地方消費者行政に対する継続的な支援を行うべきであり、財源確保の必要性があると強く訴えた。

 

会場には、福嶋浩彦消費者庁長官や野々山宏会員(国民生活センター理事長)も訪れ、地方分権と地方消費者行政のあるべき姿、国民生活センターの存続の必要性などについて意見を述べた。

 

シンポジウム ~無縁死は誰にでもありうる!~

高齢者の孤立と貧困 「無縁社会」からの脱却をめざして 1月28日 弁護士会館

地域とのつながりを欠いた高齢者の存在

 

地域とのつながりを欠いた高齢者の存在

冒頭、NHKスペシャル「消えた高齢者 『無縁社会』の闇」(2010年)を担当したNHK報道局社会部記者の池田誠一氏が「郷里を離れて就職し、仕事に追われて地域とのつながりを欠いたまま、妻に先立たれ無縁死を迎えるというストーリーはもはや特別なことではない」と語った。

さらに、番組制作の過程で実施した各区市町村の「地域包括支援センター」へのアンケート結果によると、一人暮らしで介護が必要であるにもかかわらず、介護サービスを受けていない人は、全国に少なくとも3万8000人おり、その理由の一つに「貧困・認知症による親族からの拒否」があると報告した。

 

「無縁社会」から脱却するために

続いて、池田氏、井上英夫教授(金沢大学大学院人間社会環境研究科)、小川栄二教授(立命館大学産業社会学部現代社会学科)、澤登久雄氏(大田区地域包括支援センター入新井センター長)が、パネルディスカッションを行った。

高齢者の孤立の原因として、貧困から交際費を削り社会から孤立していくという高齢者側の問題とともに、介護保険制度任せで自らは何もしないという親族側の問題がパネリストから指摘された。

また、社会の高齢化、核家族化は諸外国にも多く見られる現象だが、無縁社会が問題になることはないという。討論では具体的な対応策の提言には至らなかったが、地域の特性を尊重した対応方法と、行政、民間の三者の連携が不可欠という点ではおおむね一致した。加えて、高齢者自らが孤立しないような自己防衛の必要性も指摘された。


2010年懲戒請求事案集計報告

 日本弁護士連合会は、2010年(暦年)中の各弁護士会における懲戒請求事案並びに当連合会における審査請求事案・異議申出事案および綱紀審査申出事案の概況を集計して取りまとめた。

 

≪ポイント≫

弁護士会が2010年に懲戒手続に付した事案の総数(表1の4番目の*を参照)は1849件であった。

懲戒処分の件数は80件であり徐々に増えつつあるが、会員数との比では0.26%でここ10年間の値との間に大きな差はない。

懲戒処分を受けた弁護士からの審査請求は34件であり、2010年中に日弁連がした裁決内容は、棄却が18件、処分取消が4件、軽い処分への変更が5件であった。

弁護士会懲戒委員会の審査に関する懲戒請求者からの異議申出は27件であり、2010年中に日弁連がした決定内容は、棄却が21件、決定取消が1件、処分変更が2件(いずれも戒告→業務停止1月)であった。

弁護士会綱紀委員会の調査に関する懲戒請求者からの異議申出は511件(前年比45件増)、綱紀審査申出は231件(前年比81件減)であった。日弁連綱紀委員会および綱紀審査会が懲戒審査相当と議決し、弁護士会に送付した事案はそれぞれ9件、0件であった。

表1:懲戒請求事案処理の内訳(弁護士会)

新受 既済
懲戒 不相応 除斤
満了
却下・終了
戒告 業務停止 退会命令 除名
1年未満 1~2年
2001 884 34 20 4 4 0 62 778 19 38
2002 840 28 22 10 3 3 66 674 22 49
2003 1127 27 23 2 3 4 59 822 ※1 却下 終了
- 69 23
2004 1268 23 19 2 3 2 49 1023 - 1 19
2005 1192 35 18 4 3 2 62 893 - 0 18
2006 1367 31 29 4 2 3 69 1232 - 0 24
2007 9585 40 23 5 1 1 70 1929 - 0 30
2008 1596 42 13 2 2 1 60 8928 - 0 37
2009 1402 40 27 3 5 1 76 1140 - 0 20
2010 1849 41 24 6 8 1 80 1164 - 0 31

 

※1 除斥満了については2003年から「却下」・「懲戒しない」に含めた。
*同一人について複数事案を併合した処理は1件とした。
*一事案について複数の議決・決定(例:請求理由中一部懲戒相当,一部不相当)がなされたものについてはそれぞれ該当の項目に計上した。
*日弁連による懲戒処分・決定の取消・変更は含まれていない。
*新受事案は各弁護士会宛てになされた懲戒請求事案に会立件事案を加えた数とし、懲戒しない及び終了事案数等は綱紀・懲戒両委員会における数とした。
*2007年の新受事案が前年の7倍となったのは、光市事件の弁護団に対する懲戒請求が8,095件あったため。

表2:審査請求事案の内訳(日弁連懲戒委員会)

新受(原処分の内訳別) 既済 未済
戒告 業務停止 退会命令 除名 棄却 原処分取消※2 原処分変更※3 却下・終了等※4
2008 15 7 1 1 24 13 1 2 1 17 15
2009 13 15 3 0 31 25 0 2 4 31 15
2010 14 19 1 0 34 18 4 5 4 31 18

 

※2 原処分取消の内訳
2008年:戒告→懲戒しない(1)
2010年:戒告→懲戒しない(4)

※3 原処分変更の内訳
2008年:業務停止1月→戒告(1)、業務停止2年→業務停止1年6月(1)
2009年:業務停止2月→業務停止1月(1)、退会命令→業務停止2年(1)
2010年:業務停止1月→戒告(1)、業務停止2年→業務停止1年6月(1)、業務停止6月→業務停止5月(1)、
業務停止3月→戒告(1)、業務停止2年→業務停止1年(1)

※4 終了等は取下げ・資格喪失・死亡による終了を指す

表3:異議申出事案処理の内訳(日弁連綱紀委員会)

新受 既済
未済
審査相当 審査不相当 速やかに終了せよ
棄却 却下 終了※5
2008 612 4 511 16 8 21 560※6-1 194
2009 466 3 531 17 5 17 572※6-2 88
2010 511 9 404 11 5 35 464※6-3 135

 

*2004年4月1日の改正弁護士法施行により、原弁護士会の懲戒委員会の審査に付されていない事案に関する異議申出事案は、日弁連綱紀委員会に付議されることになった。

※5 取下げ・資格喪失・死亡等による終了を指す。

※6-1 審査相当事案のうち、1件は一部審査相当・一部審査不相当(棄却)。審査不相当の事案のうち、1件は一部棄却・一部終了、1件は一部棄却・一部却下となっており、いずれも重複カウントしている。

※6-2、※6-3 審査不相当の事案のうち、1件は一部棄却・一部却下となっており、重複カウントしている。

表4:異議申出事案処理の内訳(日弁連懲戒委員会)

新受 既済 未済
棄却 取消 変更 却下 取下 終了せよ※9 資格喪失・死亡終了
2008 32 16 0 1※7 1 0 0 1 19 18
2009 27 29 0 1※8 1 0 0 0 31 14
2010 27 21 1 2 0 0 2 0 26 15

 

※7 「取消」の内訳 2010年:懲戒しない→戒告(1)

※8 「変更」の内訳 2008年:業務停止3月→業務停止1年(1)、2009年:戒告→業務停止1月(1)、2010年:戒告→業務停止1月(2)

表5:綱紀審査申出事案処理の内訳(日弁連綱紀審査会)

新受 既済 未済
審査相当 審査不相当 却下 取下 資格喪失・死亡終了
2008 251 3 337 17 1 1 359 70
2009 312 0 281 10 1 0 292 90
2010 231 0 251 4 0 0 255 66

JFBA PRESS -ジャフバプレス- Vol.53

 IBA(国際法曹協会) 川村明会長 インタビュー

 

これまでIBAの常務理事や事務総長、副会長を歴任されてきた川村会長にお会いし、IBAとはどのような組織なのか、また、若手会員へのメッセージなどをお聞きしました。 (広報室嘱託 西浄聖子)

 

IBAは「弁護士会の国連」

 

IBAは「弁護士会の国連」

IBAは、1947年、国連の創立に呼応し、国連全加盟国の弁護士会代表によりニューヨークで結成され「弁護士会の国連、国連の弁護士会」と称してきた。

現在、加盟国は137か国、加盟弁護士会は197会、その傘下の弁護士数は、約400万人にも及ぶ(日弁連も平和条約発効の1951年に加入した)。

会員資格は、弁護士会だけでなく、個人会員(現在約4万人)と、大手法律事務所などのグループ会員にも認められる。これらの会員は会費を支払うものの、弁護士会会員のような人事における投票権はない。

IBAには、公益部門と弁護士業務部門がある。その本部はロンドンに置かれ、支部は南米サンパウロと中東ドバイに置かれている。オランダのハーグには連絡事務所を常置し、国際平和裁判所や国際刑事裁判所へ検事や弁護士を派遣して国際法が形成される状況を監視し情報提供を行うなど、恒常的に国際活動への支援を行っている。


注目される近時の人権擁護・公益活動

IBAは、この数年間、駐在員を派遣して、アフガニスタン弁護士会の設立を支援してきた。つい先日も、イギリス政府が、IBAのこの事業を評価して20万ポンドを拠出しており、現在、同事業はIBAの指導と、これを評価するイギリス、スウェーデン、国連の資金援助の下で進められている。

また、IBAはこのほかにも、アフリカ、ミャンマー、中国などでの人権問題に対し適宜意見を表明し、調査団の派遣やシンポジウムの開催など、従来から目に見える形での人権擁護活動を行ってきており、欧米メディアでの注目度は非常に高いと言う。

「武力でもイデオロギーでも宗教でもなく、法律を通じた援助活動によってこそ、時間はかかっても平和と民生の安定が実現できる。それを示すことは、IBAの明確な使命でもあります。そして、これらの人権擁護活動がすべて、個人会員としてIBAに登録している約4万人の弁護士のボランティアで維持されていることを、私は誇りに思います」と川村会長は語る。

 

グローバリゼーションとIBA

1989年、ベルリンの壁が崩壊し、東西対立が終わり、武力やイデオロギーに代わって法の支配が国際社会のルールとなっていくと、弁護士の国際社会における役割は飛躍的に増大し、「弁護士の国際化(グローバルプロフェッション化)」が進んだ。それと同時にIBAに対する世界の関心も一気に高まった。

また、2008年のリーマンショックに端を発した世界金融危機の中でも、弁護士の国際化(グローバルプロフェッション化)現象が、さらに明確になったのだと川村会長は指摘する。

サブ・プライム住宅ローンの崩壊が世界に波及したことも、その結果生じた世界金融危機が約2年後には、ほぼ解決し、迅速に収束したことも、弁護士・会計士などの世界的ネットワーキングと法律制度の国際的共通化が進んでいたからであり、弁護士・会計士の働きによるところが大きいと言う。

また、IBAは、世界中の弁護士会が抱える問題についても対応を話し合うが、「世界中の弁護士会が抱える問題点は共通のものが多く、この点においても話し合い、一緒に対応を協議することが効率的」と川村会長は語る。


共通語は、「プア・イングリッシュ」

「弁護士の仕事は、人々の心に火をつけ、権利へと昇華させていく崇高な仕事。グローバルプロフェッションとして、その点も世界共通」と川村会長は言う。

現在、中東は政治的にも大きく動いているが、今年のIBAの年次総会は10月30日、中東ドバイで開催される予定である。

日本の若手会員へのメッセージを尋ねたところ、
「現地では、法曹養成をテーマとする朝食会を日弁連が開催します。これからの若い弁護士にも大きなチャンスになると確信しています。どうぞ、若手の皆さんも日本を飛び出し、勉強にいらしてください。私自身もそうですが、共通語は、『Poor English』、それで十分です」と笑った。

日弁連で働く弁護士 2 国際室

現在、日弁連の国際室では、嘱託弁護士が6人働いています。今回は、外山太士室長(東京)、森本周子嘱託(第二東京)、大川秀史嘱託(東京)、片山有里子嘱託(第二東京)にお話を伺いました。 (広報室嘱託 葭葉裕子))

 

日弁連で働く弁護士 2 国際室

 

 国際大会・会議への出席やセッティングも

国際室は、広報室に設けられた国際業務担当嘱託を前身とし、1999年7月に独立の「室」となった。弁護士会館内、日弁連企画部「国際課」のブースで同課職員と机を並べる。

国際室嘱託は、海外出張も多い。IBA(国際法曹協会)、LAWASIA(アジア・太平洋地域の法曹団体及び法律家の団体)、IPBA(環太平洋法曹協会)、ABA(米国法曹協会)などの国際機関・国際法曹団体・外国法曹団体の大会や会議に出席し、情報交換などを行う。諸外国の法律・学術団体などと日弁連が行う個別会議のセッティングなどもする。


ぜひ客員研究員推薦留学に応募を!

日弁連には、人権擁護活動などの公益活動に取り組む会員の海外留学を支援する「客員研究員推薦留学制度」があり、これまで30人の会員が留学した。国際室では、留学先大学との調整や新たな留学先との契約交渉などを行っている。「今回、新たな留学先としてイギリスのエセックス大学ロースクールも加わったので、ぜひ、応募をしてもらいたい」という(応募方法は日弁連ホームページ「あなたも行けるアメリカ留学」参照)

また、国際室では、会員の国際機関への就職支援をしており、セミナーなども開催している。

海外の司法制度調査・研究も国際室の重要な業務であり、その結果を毎月レポートにし、日弁連執行部や委員会などに情報提供する。会員向けには、「自由と正義」に「海外レポート」を連載し、委員会ニュースで定期的に「国際室たより」を発行する。さらに、海外向け広報として、日弁連外国語パンフレットや外国語ウェブサイトの作成なども行う。


会員の皆さんが国際分野で活躍できるよう支援したい

国際室の業務の魅力は、「諸外国の団体と友好関係を築くなど、通常の弁護士業務にはない経験ができる」、「海外交流・調査・研究などを通じて、日本の司法制度への貢献に携われる」ことなどにあるという。

最後に、外山室長が「国際室として、会員の皆さんが弁護業務やプロボノ活動など、あらゆる国際分野で活躍できるよう支援していきたい」と意気込みを語ってくれた。

ブックセンターベストセラー(2011年1月・六法、手帳は除く)
協力:弁護士会館ブックセンター

順位 書籍 著者・編者 出版社
決算書はここだけ読もう[2011年版] 矢島雅己 著 弘文堂
新訂第六版 法律家のための税法[民法編] 東京弁護士会 編著 第一法規出版
民事訴訟実務入門 瀬木比呂志 著 判例タイムズ社
弁護士営業・経営マニュアル 堀 鉄平 著 日本法令
消費者問題法律相談ガイドブック[四訂版]2010年 第二東京弁護士会消費者問題対策委員会 編 第二東京弁護士会
クレジット・サラ金処理の手引 四訂版増刷CD-ROM付き 東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会 編著 東京弁護士会・第一東京弁護士会・第二東京弁護士会
コンメンタール民事訴訟法4 第2編/第4章 秋山幹男・伊藤 眞・加藤新太郎 他 著 日本評論社
破産申立マニュアル 東京弁護士会倒産法部会 編 商事法務
離婚事件の実務 弁護士専門研修講座 東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会 編 ぎょうせい
10 クラウド時代の法律実務 寺本振透 編集代表/西村あさひ法律事務所 著 商事法務

編集後記

全面的国選付添人制度の実現を目指すシンポジウムの取材で、弁護士らによる劇団「もがれた翼」の公演を観ました。
 劇の中で、付添人の役割が分かりやすく描かれていて、付添人が少年と親との関係調整などに奮闘する姿に、「そうそう、大変だよね」と自分の体験と重ね合わせ、時に笑いとともに、少年が立ち直っていく姿に思わず涙しました。
 次回公演も予定されているとのことですので、ぜひ、お勧めします。
 ところで、「もがれた翼」による劇をきっかけに、子どもシェルター「カリヨン子どもの家」などが生まれています。これらを運営する「社会福祉法人カリヨン子どもセンター」の取組みを、過去に日弁連新聞(2008年5月号)で特集しており、日弁連ホームページでもご覧いただけます。こちらも、ぜひ、一読していただければと思います。(H・Y)