日弁連新聞 第375号

司法支援センター・フォーラムに多数の市民が参加

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3月17日、有楽町よみうりホールで標記シンポジウムが開催され、延べ約1500名が参加した。オープニングメッセージとして南野法務大臣が挨拶し、「日弁連と相談しながらセンター設立に向けて努力している。設立後の組織は国から独立して業務を行うので、国民の声を聞いて自ら考え育っていかなければならない。一層のご支援をお願いしたい」と述べた。


続いて、法務省が作成したアニメーションや、3月10日に開催された横浜コールセンターの模様(二面「TAKE OFF!」に関連記事)を上映し、制度概要や市民のニーズを分かり易く説明した。


引き続き、パネリストに古田敦也氏(プロ野球選手会会長)、鳥越俊太郎氏(ジャーナリスト)、北川正恭氏(前三重県知事)、日和佐信子氏(雪印乳業株式会社社外取締役)、保岡興治議員(自民党)、江田五月議員(民主党)、漆原良夫議員(公明党)、宮崎誠日弁連副会長を迎え、大澤孝征会員(第一東京)の司会で討論を行った。


司法に対するアクセス障害については、「そもそもどこに相談すればよいか分からない人がほとんど」(日和佐)、「代理人交渉制度ができる以前は、弁護士に依頼すること自体考えもしなかった」(古田)、「桶川ストーカー事件など、早い段階で弁護士がついていれば結果が違ったと思われるケースがよくある」(鳥越)などの実情が語られた。


センターに対する期待や注文としては、「たらい回しは絶対にいけない。相談担当者の養成も重要になる」(日和佐)、「過疎地に道路をつくるだけでなく、司法も公共インフラとして整備するという意識が重要」(北川)などの意見が出された。漆原議員は、若者が気軽に相談に行ける窓口としての「ロー・カフェ」構想を披露した。


制度充実のための予算措置については、「厳しい財政状況ではあるが、必要な予算付けのため各党と相談しながら要望していきたい」(保岡)、「06年度の司法予算は現状の倍でも足りない」(江田)などの意向が語られた。


また、センターの主要事業の一つである犯罪被害者支援に関し、大澤会員が国費による代理人制度導入の是非を質問したところ、保岡議員は「将来の課題として、センターの運営を通じニーズを把握していきたい」と回答した。


そのほか、「流行語大賞になるような親しみやすい愛称をつける」という提案があり、会場の参加者も拍手で賛同した。参加人数の多さなど、司法支援センターについての関心が高まってきたことがうかがわれるフォーラムであった。


(副会長 大塚 明)


犯罪被害者の刑事訴訟手続参加に関する協議会報告
刑事訴訟手続への参加などについて理事会で報告

3月18日の第25回理事会で、「犯罪被害者の刑事訴訟手続参加に関する協議会」から取りまとめ結果の報告があった。


協議会は、第46回人権擁護大会の決議を受けて、被害者等が刑事訴訟手続に参加する諸制度の是非及び在り方について検討するため2004年1月に設置され、以後11回にわたる協議を重ねてきた。


協議会では、刑事司法の目的等についての理解の相違などから激しい意見の対立がみられたが、精力的な協議により今回の取りまとめに至った。


報告によると、取りまとめができた事項として、(1)被害者等の検察官への説明・意見表明の申出を制度化すること、(2)その実効性を確保する等のため、被害者等やその委託を受けた弁護士が公判での証拠調べ前に、検察官が保有する訴訟記録の閲覧謄写を申し出ることができるよう制度化することが挙げられている。


他方、被害者等の在廷を認めるか否かについては意見が分かれ、また、被害者等の刑事訴訟手続への適正な関与の拡充については、改正刑事訴訟法の実施・運用状況を見据え、裁判員制度との関係も考慮し、協議会の議論を踏まえ、引き続き検討する必要があるとしている。


受刑者処遇法案についての日弁連意見を公表

3月11日閣議決定され、同14日国会に提出された「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案」(受刑者処遇法案)について、日弁連は3月16日の刑事拘禁制度改革実現本部全体会議の議論を経て、3月18日理事会において意見書を採択し、同日、法務省など関係機関に公表した(7、8面「刑事拘禁制度改革実現本部ニュース」に詳細記事)。


会長声明-ハンセン病問題に関する検証会議の最終報告書を受けて-

本年3月1日、ハンセン病問題に関する検証会議は、2年半の検討を経て、最終報告書を厚生労働大臣に提出しました。


最終報告書は、ハンセン病患者・元患者、家族の方々に対する長きにわたり深刻な人権侵害を引き起こしたことに関し、国の責任のみならず、医療界、法曹界、マスメデイアなど多方面の責任を指摘しています。当連合会は、この指摘を重大なものとして真摯に受けとめます。


私たちは、1953(昭和28年)らい予防法の制定以来、長年にわたって何ら具体的提言をすることなく放置し、1996(平成8)年1月「らい予防法制の改廃に関する会長声明」及び同年2月「同意見書」を公表するまでハンセン病元患者などの深刻な人権侵害の実態に迫ることができず、2001(平成13)年5月「らい予防法」違憲訴訟判決に対する会長声明や同年6月人権救済申立に対する勧告書及び勧告に伴う会長談話の公表にいたるまで実効的な人権救済勧告ができませんでした。それらのことが違憲のらい法制を温存させ、深刻な人権侵害が放置される一要因となったことは痛恨の極みです。


私たちは、上記会長声明等の公表後、これまで意見書公表、機関誌「自由と正義」特集、人権擁護大会特別決議、ブックレット発行、シンポジウムの開催などに取り組んできました。2003(平成15)年11月熊本県黒川温泉で元患者の宿泊拒否事件が発生し、これを契機に元患者に対する誹謗中傷が集中したときは、国に対し、会長声明をもって、十全な調査とハンセン病元患者に対する偏見・差別の除去のための施策を徹底することを求めました。


当連合会は、今後、検証会議の最終報告書が指摘した弁護士会が本来果たすべき役割を銘記し、基本的人権擁護と社会正義の実現のために全力を尽くす所存であり、ハンセン病元患者などの人権が迅速かつ確実に回復されるよう関係機関に働きかけるなど一層の取り組みを進め、検証会議の提言をうけて設置される「ロードマップ委員会」(仮称)の活動を支援し、ハンセン病問題の早期かつ全面的な解決に向けて全力を尽くす考えであることを改めて表明します。


平成17(2005)年3月11日
日本弁護士連合会 会長 梶谷 剛


ひまわり

現在議論されている人権擁護法案に関しては、人権委員会を法務省外局に設置するのでは、刑務所や入国管理局における人権侵害事例の適切な救済ができず、政府から独立した人権擁護機関の設置を求める国際基準(国連パリ原則)にも反すると批判されている▼今年に入り、入国管理局はUNHCRがマンデート難民として認定したクルド人を相次いで収容している。難民認定手続においては条約に基づく国際基準が尊重されて然るべきだが、入国管理局にそのような意識は見られない。毎年の難民認定数も十数名と、極めて低いレベルにとどまっている▼人権の最後の砦であるはずの裁判所も、難民認定、在留資格、人種差別などが争われる訴訟で、国際人権法を裁判規範として適用すること自体に消極的だ。国連の自由権規約委員会は、裁判官に対し自由権規約に関する研修等を開催するよう勧告しているが、それも十分に実施されていないようだ▼司法制度改革審議会意見書は「多様な価値観を持つ人々が有意的に共生することのできる国際社会の形成」への積極的寄与を提言しているが、法務省、裁判所の姿勢は提言とは逆の方向を向いているとしか思えない。これら司法に関わる機関の意識が変わらなければ、真の国際化は望めない。(K・I)


2005年度役員紹介

3月10日の代議員会(本人出席321名、代理出席255名、合計576名)で選任された、2005年度の副会長と理事及び監事を紹介する。


副会長

  • 柳瀬 康治(東京・21期)
    司法改革の実行・実践の時、市民のため、そして会員のためにも、活気ある充実した司法の構築を目指して、全力を尽くす決意です。
  • 星 徳行(第一東京・25期)
    司法制度改革は実行へ向けてスタートです。司法の容量を拡大する「法の支配」の確立と「市民の司法」実現のため全力を尽くします。
  • 高木 佳子(第二東京・24期)
    もの静かで温厚な性格ですが、一年間それを通せるかどうかは皆さん次第です。優しい心、柔らかな頭、勇気(3Y)を心掛けて仕事に当たります。
  • 中村 順英(静岡県・28期)
    司法改革実行の年、新しい皮袋に入る新しい酒を真に「市民の司法」にするための正念場です。地方の現場感覚を活かして尽力します。
  • 中村 周而(新潟県・24期)
    司法改革は実行段階に入りました。これまでの日弁連の取組をさらに前進させるため、全力を尽くして会長を補佐したいと思います。
  • 益田 哲生(大阪・22期)
    司法改革の成否は、これからにかかっています。誰のための、何のための改革かという原点に立って、改革の実現に全力を尽くします。
  • 出口 治男(京都・22期)
    正副会長会では「正念場」という言葉が度々でます。私は念仏を称え生死を超越した覚悟のときと捉え、一年間力を尽くします。
  • 青山 學(愛知県・25期)
    中部国際空港、万博、トヨタと愛知、名古屋の元気を日弁連へ。真に市民のためになる司法の実現に全力投球をいたします。
  • 二國 則昭(広島・28期)
    司法改革は実行の時代に入りました。私は、基本的人権の擁護を見据えながら、市民の司法を実現するために努力したいと考えています。
  • 松崎 隆(福岡県・26期)
    全国的視野で司法改革に取り組みつつ、地方ブロック推薦の副会長として、地方の単位会と会員の心を日弁連に注ぎ込む決意です。
  • 鹿野 哲義(仙台・30期)
    「バランス」と「決断」が私のキーワードです。
    高い理想を持ちつつ実務的処理に細心の注意を払いたいと思います。
  • 渡辺 英一(札幌・31期)
    司法改革の制度運用・実践に向けて、極めて重要な年であり、市民にさらに信頼される司法の実現のために努力をしたいと思います。
  • 山原 和生(高知・27期)
    司法制度改革が、真に市民のためのものとして根づき、大輪の花を咲かせるよう力を尽くします。実り多き一年にしたいと思います。

理事

  • 二瓶 和敏(東京)
  • 勝見 洋人(新潟県)
  • 近藤 正隆(福岡県)
  • 吉岡 桂輔(東京)
  • 山田 庸男(大阪)
  • 山口 茂樹(佐賀県)
  • 田中 俊充(東京)
  • 高階 叙男(大阪)
  • 水上 正博(長崎県)
  • 伊藤 茂昭(東京)
  • 畑 守人(大阪)
  • 立花 旦子(大分県)
  • 清水 良二(東京)
  • 井上 英昭(大阪)
  • 坂本 邦彦(熊本県)
  • 堀井 準(東京)
  • 田中 彰寿(京都)
  • 木山 義朗(鹿児島県)
  • 彦坂 浩一(東京)
  • 藤井 伊久雄(兵庫県)
  • 萩元 重喜(宮崎県)
  • 村越 進(第一東京)
  • 松岡 康毅(奈良)
  • 竹下 勇夫(沖縄)
  • 田中 等(第一東京)
  • 福井 英之(奈良)
  • 松坂 英明(仙台)
  • 横溝 高至(第一東京)
  • 生駒 英司(滋賀)
  • 宮本 多可夫(福島県)
  • 澤井 英久(第二東京)
  • 田中 繁夫(和歌山)
  • 細谷 伸夫(山形県)
  • 栃木 敏明(第二東京)
  • 小川 宏嗣(愛知県)
  • 加藤 文郎(岩手)
  • 友部 富司(第二東京)
  • 入谷 正章(愛知県)
  • 面山 恭子(秋田)
  • 早稲田 祐美子(第二東京)
  • 降籏 道男(三重)
  • 小田切 達(青森県)
  • 高橋 理一郎(横浜)
  • 毛利 哲朗(岐阜県)
  • 藤田 美津夫(札幌)
  • 庄司 道弘(横浜)
  • 坪田 康男(福井)
  • 小寺 正史(札幌)
  • 田中 重仁(埼玉)
  • 久保 雅史(金沢)
  • 小笠原 義正(函館)
  • 廣瀬 理夫(千葉県)
  • 藤井 邦夫(富山県)
  • 中村 元弥(旭川)
  • 茂木 博男(茨城県)
  • 山田 延廣(広島)
  • 永井 哲男(釧路)
  • 白井 裕己(栃木県)
  • 若松 敏幸(山口県)
  • 宮崎 浩二(香川県)
  • 高橋 勉(群馬)
  • 平松 敏男(岡山)
  • 高田 憲一(徳島)
  • 三井 義廣(静岡県)
  • 松本 光寿(鳥取県)
  • 和田 高明(高知)
  • 田中 正志(山梨県)
  • 吾郷 計宜(島根県)
  • 宇都宮 眞由美(愛媛)
  • 竹内 永浩(長野県)
  • 川副 正敏(福岡県)

監事

  • 遠藤 晃(東京)
  • 中野 正人(第一東京)
  • 内田 清(山梨県)
  • 彦惣 弘(京都)
  • 杉本 雅俊(三重)

TAKE OFF! 司法支援センター《4》
アクセスポイント 司法を市民に身近なものに

法律問題を抱えながら、適切な相談窓口が身近になかったり、あるいは身近にあるのを知らなかったりして問題を放置し、泣き寝入りをする市民が少なくありません。また、相談窓口相互の連携がないために、ある窓口へ行っても畑違いの困りごとで、無駄骨となることもあります。現状では、裁判等の法的解決の手続きについて、時間や費用がどれだけかかるのか等の情報が不足しており、まだまだ司法は市民にとって身近で利用し易いものとは言えません。


総合法律支援法では、このような司法へのアクセス障害や情報不足を解消するための相談窓口を設置し、裁判の利用や弁護士の活用に関する情報及び資料を収集・整理・提供(支援法第30条第1項1号)することとしています。また、そのために司法支援センターは、国、地方公共団体、弁護士会、日弁連、その他相談機関の連携の確保及び強化を図るものともしています(同項六号)。


このように「アクセスポイント」とは、センターが集約する様々な機関の相談窓口情報をもって、市民に対し適切に情報提供(振り分け)を行う窓口を意味します。また、単に「窓口に来た相談者が、適切な相談を受けられるよう振り分ける」という機能そのものを意味する場合もあります。


アクセスポイント構築のためには、相談機関等のデータベースを収集・整備する必要があり、現在、各地方準備会において、相談機関の洗い出し作業が行われています。


また、現在、アクセスポイントの一形態として「コールセンター」を設け、市民への情報提供サービスを行うことの検討が進められています。


3月10日には、日弁連、横浜弁護士会及び法律扶助協会主催で、コールセンターの先行的試みとして、弁護士20名、司法書士6名、税理士3名が相談を担当する無料電話相談を実施しました。当日は、開始時間前から電話が鳴り始め、用意した16回線はすぐに満杯になるなど、大変な反響でした。潜在的ニーズの大きさが窺われ、センターのアクセスポイントが果たす役割が期待されます。


(日本司法支援センター推進本部委員 打越 さく良)


2005年4月1日
知的財産高等裁判所 誕生!

知的財産高等裁判所は、昨年成立した「知的財産高等裁判所設置法」に基づき、東京高等裁判所の特別の支部として創設され、知的財産高等裁判所長が総括する。管轄は改正民事訴訟法の東京高等裁判所の管轄と同じであり、独立の知的財産高等裁判所事務局が設けられる。その他、知的財産高等裁判所の詳細は、同裁判所ホームページを参照されたい。


今後は、知的財産高等裁判所での審理が適正かつ迅速に行われ、同裁判所の判断が国内外の知的財産の活用及び保護に資するように、裁判官をはじめ、我々弁護士や利用者等関係者がさらに一層努力しなければならない。


(日本司法支援センター推進本部委員 亀井 時子)


中川最高裁判事に聞く

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3月14日、最高裁判所の裁判官室に中川了滋最高裁判事を訪ねた。第一東京弁護士会会長などの要職を務め、会内調整の手腕でも知られる判事は、気さくな笑顔で取材に応じてくださり、就任後約2か月を経過した現在の感想などを語ってくれた。


(聞き手 広報室長 生田 康介)


─弁護士になるきっかけは何だったのでしょうか

研修所に入所したときは任官も考えていたのですが、実務修習を経る中で、依頼者と直に接して事件を解決していく姿に魅力を感じ、弁護士になる決意をしました。出身は金沢なのですが、東京志向もあって一弁に登録したところ、同期の友人に会務活動に積極的な人が多く、私も自然に会務に関与するようになりました。


─民事調停委員の経験も長いようですね

弁護士登録して20年ほど経ってから調停委員を務めるようになりました。当事者の納得を得るという観点からも、調停は優れた制度だと考えています。最近は非常勤裁判官制度も導入されていますが、弁護士経験をもつ調停官が、主宰者として能力を発揮することは重要だと思います。


─最高裁判事として弁護士経験をどのように活かしたいとお考えですか

やはり当事者の立場に立って活動してきたという経験を踏まえ、「虚心に事件を見る」という意識で意見を述べていきたいと思っています。


また、現場の裁判官には「裁判官である前に一般市民であれ」と伝えていきたいですね。私が日弁連の副会長を務めたころ、日弁連が作成した「日独裁判官物語」というビデオの中で、ドイツの裁判官が地域の人々に交わっていく姿に感銘を受けました。裁判員制度をうまく機能させるためにも、現場の裁判官の意識を変えて、市民が裁判所に気軽に入って行ける雰囲気を作らなければならないと思います。最高裁判事の任務として地方視察などもありますので、ことある毎に発言していくつもりです。


─就任後一か月半を経過した現在の感想は

噂には聞いていましたがやはり忙しいですね。大量の事件記録を一瞬の暇もなく検討する毎日です。


私の属する第二小法廷では、行政官、外交官など様々な経歴の裁判官がいます。法律家としての着眼点は共通なのですが、それぞれの経験を踏まえた多様な意見を聞くことができるので、その分よく練られた判断を示せると思います。


─弁護士会・弁護士に望むものは

今次の司法改革においては、法曹界の感覚と国民の感覚に違いがあるということを認識させられました。今後の弁護士会活動においては常に市民の視点を意識してほしいと思います。


また、私自身弁護士任官を促進する立場にいたので、是非弁護士任官者を増やして欲しいと思います。裁判所の側も即戦力として経験のある弁護士の任官を望んでいます。任官する際の引き継ぎ等を考えると、個人経営の事務所では限界があるので、弁護士事務所の経営基盤の確立が重要になると思います。そうすれば、裁判官と弁護士の人的交流がより活発になるのではないでしょうか。


また、若い弁護士の皆さんには、法曹人口増大などの改革を業務拡大の機会と捉え、プラス思考で頑張ってほしいと思います。仕事オンリーではなく、自らが所属する弁護士会の活動にも積極的に関わって頂きたいですね。


─気分転換の秘訣を教えて下さい

運動不足が心配なので、休日を利用して、長年の趣味である社交ダンスの練習場に通うようにしています。最高裁判事になったからといって付き合いを減らすのではなく、弁護士時代に交流のあった方々との関係も大切にしていきたいですね。


弁護士職務基本規程の解説書を作成

弁護士職務基本規程は、2004年11月10日の臨時総会で制定され、本年4月1日から施行された。その解説書として「解説弁護士職務基本規程」が刊行される運びとなった。


調査室嘱託など10人からなる解説起草検討会が起草した解説書案は、3月17日開催の理事会に報告された。五月中には機関誌「自由と正義」の別冊として全会員に配布される。法科大学院関係者など会員以外でも購入できる予定。


職務基本規程の制定にあたっては、なるべく解釈上の疑義をなくすため、早期に解説書を刊行してほしいとの意見があり、梶谷会長は、職務基本規程の施行にあたり解説書を刊行することを表明していた。


解説書は、前文、82ヶ条の条文と附則の解説からなり、160頁程度。


開校一年を経た法科大学院
第一回法科大学院実務家教員意見交換会
3月11日 弁護士会館

法科大学院がスタートして早一年。授業の進め方、成績評価の方法、実務家教員の待遇など、この一年間の実務家教員の取り組みや明らかになった問題点について、全国四九大学から138名の教員が集まり、パネルディスカッション形式で意見交換が行われた。


授業の進め方

「『太田さんの家族』に次々と事件が起こるというストーリー性を持たせた事例を作成した」、「地域の環境問題やフィールドワークを取り入れた」など、具体性を重視した授業の進め方がパネラーから報告された。


また会場からは、自分が扱った事件を変容して事例として使う場合の守秘義務との関係や、学生による授業評価をどのように生かすかなどについて問題提起がなされた。


成績評価、学生に対する精神的ケア

厳格な成績評価が求められる法科大学院において、どのように学生を評価するかについても議論された。


また、成績評価や司法試験に対する不安から精神的に不安定になっている学生がいることも報告され、ケアの必要性が指摘された。


この点に関して、講演会を催して学生が実務家と接する機会を設けたり、放課後の時間を利用するなど学生と交流する時間を作るなど、いくつかの試みが会場から紹介された。


実務家教員の待遇など

その他、実務家教員の待遇、教授会への関与の仕方、弁護士業務との両立など、実務家教員に特有の問題についても意見が出された。


今後もこのような会を定期的に開催し、教員間の情報や意見を交換する場を設けていくことが望まれる。


(法曹養成対策室嘱託 石本 伸晃)


「人身売買受入大国ニッポンの責任」被害者保護支援の施策と被害者保護
3月19日 明治大学

シンポジウムでは、川口和子会員(第一東京)をコーディネーターにパネルディスカッションが行われた。


まず、大津恵子氏(女性の家HELPディレクター)とオマイラ・リーベラ氏(在日コロンビア共和国大使館ソーシャルワーカー)から、それぞれタイ人女性とコロンビア人女性の日本へのトラフィッキング(人身取引・人身売買)被害の実態が紹介された。いずれも、若年の女性が人身売買組織の手によって、人身売買されたとは知らずに入国し、その後、パスポートや所持金を取り上げられ、架空の債務を負わされ、「逃げたら家族に危害を加える」と脅されて、売春等を強要させられるというものであった。


続いて、山田亮氏(厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長)は、昨年12月7日制定の「人身取引対策行動計画」は、人身取引を防止するための対策、撲滅するための方策、被害者の保護の三つを柱としていると説明した。


これに対し、小宮山洋子議員(民主党)からは、民主党内で取り組んでいる「人身取引の防止及び人身取引被害者の保護に関する法律(仮称)骨子案」が、吉田容子会員(京都)からは、日弁連が昨年11月19日に行った「人身取引の被害者保護・支援等に関する法整備に対する提言」が、それぞれ紹介された。どちらも、被害者の保護を最重要課題と位置づけるものであった。特に、吉田会員は、「行動計画」が婦人相談所を人身取引被害者の一時保護施設とすることに対して、「十分な人身取引被害者保護・支援を図るためには、専門機関として人身取引被害者支援センターを設置し、そこに十分な人的・物的・財政的資源を投入する必要がある。」と強調した。


3連休の初日であったにもかかわらず、会場には約120名が集まり、パネリストに対する質問や意見表明が最後まで活発に行われた。


4月から「愛知県弁護士会」

名古屋弁護士会は、1893年の設立以来用いていた「名古屋弁護士会」の名称を、4月1日から「愛知県弁護士会」に変更しました。


日弁連新聞 モニターの声

日弁連新聞では、全国71名の会員にモニターをお願いし、そのご意見を紙面作りに生かしています。 毎月実施するモニターアンケートでは、印象に残った記事や今後読みたいテーマのほか、日弁連の広報媒体がどの程度利用されているかなどもお聞きしています。


楽しみにしているとの回答が多いのは「新・弁護士会北から南から」(現在休載中)。各地の弁護士会の様子が読み物風に書かれているところが好評であるようです。


「北から南から」に代わり「ユニークな領域で活躍する弁護士たち」という連載を始めましたが、これは任期付き公務員、弁護士任官者、企業内弁護士など一般の弁護士とは異なる仕事をしている弁護士に興味があるというモニターの声が多かったことがきっかけとなっています。


司法改革に関しては、裁判員制度や司法支援センターへの関心が高いようです。司法支援センター関連では、1月号から、連載「TAKE OFF!司法支援センター」を開始し、具体的な制度設計について解説しています。


判事補・検事の弁護士職務経験制度など新しい制度に関する記事も役に立つとの意見が多いので、新制度についてはタイムリーな情報提供を心がけています。


日弁連新聞にはさみこまれている色刷りの紙面は各委員会が編集する「委員会ニュース」であり、新聞本体とは編集責任者が異なりますが、この点はあまり知られていないようです。委員会活動に関する情報提供はホームページを活用していくことも含め大きな課題です。


日弁連に関する情報を得る広報媒体について質問したところ、日弁連新聞、自由と正義、ファックスニュースの順に多く、ホームページを積極的に活用している会員はモニターの中でも数名に過ぎませんでした。今後の広報体制については、新聞、雑誌、ホームページ、メールマガジンなど、複数ある広報媒体の位置づけの見直しや役割改変が必要であるとも指摘されています。また、「会員の声」欄の設置を望む意見もあります。


自由と正義との同梱配送も始まりました。これからも、一読すれば日弁連の動きがわかる新聞をお届けしたいと思います。皆さんのご意見もお寄せください。(→メールフォームよりご送信ください)


(広報室嘱託 兼川 真紀)


法の支配を社会の隅々に~ユニークな領域で活躍する弁護士たち
その4 企業内弁護士(2)

全国の企業内弁護士の数は、弁護士会への営利業務届出から推計すると200名近くにのぼる。今回は、企業内弁護士として活躍している若手弁護士5名にお集まりいただいた。三菱商事株式会社から永田あやの会員(第一東京・52期)、村上玄純会員(第二東京・48期)、熊谷祐紀会員(第一東京・48期)の三名、スターバックスコーヒージャパン株式会社から茂木小径会員(第二東京・53期)、ウォルト・ディズニー・テレビジョン・インターナショナルジャパンから田中久也会員(48期・第一東京)である。いずれも、弁護士事務所での執務経験を経て、入社した方々である。


(広報室嘱託 五三 智仁)


―入社された経緯・動機と現在の仕事の内容について教えて下さい。

永田 登録後約2年間、主に一般民事を扱う事務所に勤務した後、2002年3月に入社しました。企業法務を扱ってみたいという気持ちがあり、それならば、企業の中に入って仕事をしてみようと、入社を決意しました。現在は、金属、新機能、コーポレート(管理部門)等の担当で、契約書の作成・チェックやリーガルリサーチをします。代理人として法廷に立つことはないですが、訴訟案件の打ち合わせ等の業務を行っています。


村上 名古屋で六年半イソ弁をした後、2002年10月に入社しました。何か新しいことにチャレンジしたいと思ったのが、入社のきっかけです。機械グループ担当で、自動車・プラント・宇宙航空機・不動産に関して、永田さんと同じような仕事をしています。


熊谷 大手渉外事務所勤務を経て、昨年12月に入社しました。担当は村上さんと同じです。入社の動機はM&A等の仕事を続けるには商社が最適ではないかと考えたからですが、実は以前は、深夜・休日の仕事が当たり前で、正直労働時間を短かくしたかったということもあります(笑)。


茂木 私も、大手渉外事務所に勤務した後、2002年4月に入社しました。企業自体に関心があり、第三者的にではなく、当事者としてより深い関わりをしたいと考えたのがきっかけです。当社は法務部が細分化されていないので、株主総会や取締役会のサポートから知的財産権の分野に至るまで、法務全般について扱っています。


田中 大手渉外事務所に勤務した後、2002年11月に入社しました。もともとエンターテインメント業界に関連する仕事がしたいと思い、留学後に入社を決意しました。会社ではディビジョンが明確に別れており、それぞれのディビジョン毎に弁護士がいますが、日本人の弁護士は私だけです。私は、テレビジョンの仕事をしており、法務案件に限らず、例えば、ディズニーの衛星放送チャンネルを、他のチャンネルとパッケージングして売り出すための戦略立案や交渉など、経営企画及び営業的な仕事もしています。


―入社して感じたこと、気づいたことはありますか。

永田 企業内弁護士には、会社にある案件を、法的観点から見直して、法的な問題を掘り起こす、問題提起をしていく、ということが求められています。


村上 その意味では、我々が社外の弁護士の業務拡大にお役に立っているのかもしれませんね(笑)。


田中 弁護士を依頼する側になると、各弁護士のリーガルサービスに対する意識の違いというものが、よくわかりました。やはり、顧客の立場に立って、会社がとるべき明確な方向性を出してくれる弁護士はありがたいですね。


熊谷 企業内では、法的な意見や代替案を出すだけでなく、リスクを取るだけのメリットがあるか、意見を通すにはどの部署と相談すればよいか、といった実務的な利益考量やある種の根回しなども必要です。中に入って初めて分かることも多いですね。


―最近、各弁護士会では、程度の差はあれ、公的活動や研修の義務化が定められているようですが、それについては、どのようにお感じでしょうか。

村上 研修の義務化について言えば、企業法務に関しての研修のメニューが少ないように思います。公的活動に関しては、私自身は弁護士としてある程度やるべきと思っていますが、企業におりますと、突然の出張等がありますので、刑事事件の弁護等を受任できないというジレンマはありますね。


茂木 研修については、弁護士会に商事法務のセミナー等を外部研修として認定してもらうなどの工夫をしています。公的活動については、会社の勤務時間や設備を使って個人的業務を行うという点で、容易ではないというのが実際のところです。


村上 任期付公務員の方は、公的活動の義務が免除される場合があるようですが、任期付公務員と企業内弁護士の扱いを分ける合理的な理由があるとは思えず、一貫性がないように感じられます。組織内弁護士にも義務を果たしやすい制度にして頂きたいと思います。


―最後に、日弁連に対する要望等があればお聞かせ下さい。

田中 私は、日弁連新聞については隅から隅まで読んでいます。それによって日弁連の活動状況について知ることができるので、私にとっては非常に有益な媒体です。


熊谷 日弁連からの配布物については、できるものについてはなるべくペーパーレス化を進めていただきたいと思います。


―本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。