会長からのご挨拶(2022年1月1日)

会長からのご挨拶

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日弁連会長として、2年目の初春を迎えました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。


この1年9か月、新型コロナウイルスの感染拡大による激動の中で、様々な活動、取組を行ってきましたが、ここ数か月は行動への制限が緩和され、少しずつ「日常」を取り戻しつつあります。


しかしながら、感染症による影響は今も続いています。苦しい生活を余儀なくされている人々、これまでにない大きな打撃を受けた事業者も少なくありません。特に旅行業、飲食業、ホテルや旅館などは、事業を継続することができず、閉鎖したところも多数あります。


私たちの生活も大きく変わりました。外での飲食、遠方への観光旅行などは控え、家で過ごす時間が多くなりました。他方で、飲食店の宅配サービスが普及し、内容が充実したこともあり、適時に食べたいもの、飲みたいものを届けてもらえるようになりました。


このような変化は、飲食だけにとどまるものではありません。情報通信技術の進歩により、人との面談もオンライン形式で行われる頻度が高くなり、出張の回数も大幅に減少しています。これまで多くの人々が一堂に会して行われてきた行事やイベントも、オンライン形式もしくはハイブリッド形式で行われることが多くなりました。


さらには、テレワークも社会に広く浸透しました。子どもたちが受けている授業も必要に応じてオンライン形式が取り入れられています。


今回のパンデミックは、局地的に発生する災害とは異なり、全国規模で発生し、長期間にわたって続いてきたこともあり、私たちの行動様式の変化は全国で同時に起きています。この激流のような様変わりは、コロナ禍が収束しても続くものと予想されます。


このような中で、少なからぬ企業が時代の著しい変化に対応するため、最大限の力を注いでいます。


この点は、法曹界も例外ではなく、裁判所、検察庁、そして私たち弁護士会は様々な取組を幅広く行っています。


現在、検討が行われている民事訴訟や刑事手続のIT化、家事調停や民事執行等のIT化もこの流れの中にあります。


さらには、弁護士が行う事件処理の中においても最先端の情報通信技術が取り入れられ、利用されるようになっています。物理的な移動を伴わなくとも、お互いに都合の良い日時を調整し、打合せを行うことができるという便利さもあって、オンライン形式による面談はかなりの頻度で使われるようになりました。これは、日弁連の委員会活動も同じです。


しかしながら、どのように社会が変わろうとも大事にしなければならないことがあります。


その1つが人と人との信頼関係は直接会って会話をする中で醸成されるものも少なくないということ。そしてこれを念頭に置いてどのような手段を使って意見交換を行い、情報を伝えるかを選択しなければならないということです。


特に、弁護士の行う法律相談については、言うまでもないことですが、相談者の言葉だけではなく、様々な要素を全体的に把握して行う必要があり、直接の面談が原則とされてきました。直接面談の重要性は今後も変わらないと思っています。


私たちは、今後も時代の流れに従い、変えていくべきものと変えてはならないものを意識しながら活動していく必要があります。


私たち2021年度の執行部に残されている任期は3か月ほどとなりましたが、会長、副会長、総次長、職員等が一丸となって活動していきたいと思います。引き続き、ご支援、ご協力をお願いいたします。



2022年(令和4年)1月1日
  日本弁護士連合会会長     

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