会長からのご挨拶(2021年10月1日)

会長からのご挨拶

2021年度の執行部も早いもので半年が経過しました。


私は2020年4月に会長に就任しましたが、これまでの1年半の間に4度にわたって緊急事態宣言が発令されるという過去の執行部が全く経験したことのない極めて厳しい環境の中で活動してまいりました。


しかしながら、このような環境だからこそ、私たちがやらなければならないことがあると考えて、この間、様々な活動を行い、取り組みを行ってきました。


例えば、コロナ禍の中で苦しい生活を強いられている人々を対象とした無料法律相談を実施して支援すること、また、この相談内容を分析した上で、必要と思われる措置等を検討し、これを提言書や意見書、会長声明等として取りまとめて、関係諸機関にその実現に向けて働きかけをすることを行ってきました。


本年1月に国会に提出された刑事罰を盛り込んだ感染症法・特措法の改正問題でも、会長声明を公表し、最終的に、改正感染症法からは刑事罰の規定が削除されました。


また、コロナ禍の中でのワクチン接種に端を発する「偏見・差別」の実態をより正確に把握するために本年5月に実施した「新型コロナウイルス・ワクチン予防接種に係る人権・差別問題ホットライン」(無料電話相談)には、2日間という限られた時間の中で200件以上もの相談が寄せられ、医療従事者だけでなく様々な職種において深刻な事態に直面している人が多数いることが明らかになりました。このホットライン実施の内容を分析し、取りまとめた報告書は、マスコミに大きく取り上げられました。


また、コロナ禍のような災害が全国に拡大する中でも日弁連の活動を停滞させることなく十全に役割を果たすため、総会や理事会、委員会の開催に関する会則、議事規程、規則等の改正を行いました。


その結果、今年6月には、開催地は広島から東京に変更することになりましたが、予定された日時に定期総会を開催することができました。


現在は様々な場面でオンラインによる会議が利用されていますが、これをよりスムーズに、より安定した形で使うことができるよう、今後もハード面とソフト面の両方でバージョンアップしていかなければならないと考えています。


当然のことではありますが、コロナ禍への対応以外の課題についても日弁連と各地の弁護士会は活発に活動してきました。


民事訴訟手続等のIT化に向けた取り組み、中小企業の事業承継などをサポートするための活動、死刑廃止に向けた議論を進める取り組みなど、これまで同様、多くの会員が関わりながら活動を行っています。


私たち役員、総次長及び職員は、これまでと同様に、日弁連の活動を積極的に行い、役割を果たすために最善を尽くしてまいります。引き続き、ご支援、ご協力をお願いいたします。



2021年(令和3年)10月1日
  日本弁護士連合会会長     

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