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弁護士 :大宅 達郎
■プロフィール 大宅 達郎 日弁連中小企業法律支援センター 委員(東京弁護士会 所属) |
資金調達に際して契約条件の検討は非常に重要です。主な契約条件としては、①金額、②返済期間、③金利、④繰上弁済時の手数料、⑤個人保証の有無などがあります。金融機関ごとに契約条件は異なりますので、比較検討することが有効です。
また、契約条件の検討に際しては、金利だけではなく、返済期間によっても月々の返済額は大きく異なりますので、返済期間についても慎重に検討しましょう。起業時には事業計画・収支計画を立てますが、当初は予定したとおりに収益が上がらないことも想定し、そのような場合でも滞りなく返済ができるように、無理のない返済期間を設定することが大切です。
これまでは会社が融資を受ける際には、経営者個人が連帯保証することが当然のように行われてきました。しかし、現在、「経営者保証に関するガイドライン」を利用した個人保証に依存しない融資が増えています。
「経営者保証に関するガイドライン」では、次の基準を満たせば個人保証をせずに借入れができる可能性があります。
①法人と経営者との関係の明確な区分・分離
②財務基盤の強化
③財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示
また、万一、会社の業績が思うように伸びず、廃業や清算をせざるを得ない状況になったとしても、経営者の保証債務については、「経営者保証に関するガイドライン」を利用することにより、個人破産などの法的手続によらずに保証債務を整理できる可能性があります。
このように、資金調達に際しては、しっかりと事業計画・収益計画を作成した上で、契約条件を慎重に検討しましょう。また、「経営者保証に関するガイドライン」を利用して、個人保証の負担を回避したり、負担を軽減できる可能性があるので、必要に応じて弁護士等の専門家に相談しましょう。