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創業者が知っておきたい8つの法的ポイント(第8回)

従業員を採用するときの注意点や請負・業務委託の注意点は?(2019年6月26日号)

弁護士 渡邉 敦子

■プロフィール
渡邉 敦子
日弁連中小企業法律支援センター 事務局次長(東京弁護士会 所属)

ポイント
・労力の提供を受ける場合の多様な形態とそのリスクを知る。
・ニーズに合った形態を選択する。

雇用契約、派遣社員の受入、請負・業務委託

起業後、他人の力を借りる手段としては、従業員の採用、派遣社員の受入や請負契約・業務委託契約の締結があります。

雇用契約(労働契約)の締結(労働契約法・労働基準法等)

従業員の採用とは、雇用契約(労働契約ともいいます。)の締結です。契約の内容は労使間の合意により定められますが、労働者保護の観点から、労働契約法や労働基準法に反する契約条項は無効となります。また、労働基準法に違反した場合は罰則もあります。

(1)労働条件の明示義務(労働基準法第15 条)
創業期にはまだ就業規則がないこともありますが(「常時10人以上の従業員を使用する場合」でなければ就業規則の作成・届出義務はありません)、就業規則がなくとも、従業員を採用する場合は、就業場所、業務内容、賃金、就業時間等の労働条件を、書面を交付して明示しなければなりません。

(2)試用期間
従業員の採用にあたっては試用期間を設けることがあります。法的な上限はないものの、あまりに長期の試用期間を設けることは従業員の立場を不安定にするため不適当です(一般には3か月程度が多いよう
です)。また、試用期間中も雇用契約が締結されていますので、客観的に合理的な理由なく従業員を解雇することはできません。

パートタイムと有期雇用(労働者契約法・パートタイム労働法)

創業期は、人件費の負担を小さくするため、パートタイム契約を利用することも考えられます。このときに
注意すべきは、パート従業員が他社でも働いている場合です。法定労働時間(1日8時間・週40時間以内)の規制は他社での就労も通算するというのが一般的な考え方ですので、他社との通算により法定労働時間を超えてしまい、罰則の適用を受けることになったり、想定外の割増賃金の支払義務が生じたりするリスクがあります。
また、雇用期間を3か月、6カ月、1年などと期間を定める有期雇用契約とすることも考えられます。ただし、この契約期間中は「やむを得ない事由」がなければ雇用契約を終了させることはできませんし、必要以上に短い期間を設定して契約更新を繰り返すことも避けなければなりません。

派遣(労働者派遣法)

自社で従業員を雇うのではなく、派遣社員の受入という方法もあります。直接求人する人的時間的余裕がない場合や特定の業務の経験者がほしいという場合に有効です。ただし、派遣してもらうのはあくまで「派遣事業者の従業員」ですので、派遣社員の受入に際し、履歴書の提出や事前面接を行うような行為は避けるべきとされています。また、労働者派遣を受ける期間は原則3年という制限があります。

請負・業務委託(下請代金支払遅延等防止法)

自社製品の部品の製造・加工の委託やソフトウエアや各種デザインの作成の委託、自社の各種サービスの外部委託などをする場合、請負契約や業務委託契約を利用します(請負契約の注意点については17ページをご参照ください)。
請負契約や業務委託契約については、労働契約法等のように一方を保護するための法規制はありませんが、資本金が一定額を超える場合、下請代金支払遅延等防止法が適用され、発注書面の交付の義務付けや、支払は納品日から60日以内とするなど種々の規制を受けることになります。

 

参考ページ> 創業(企業) 交渉契約 労働問題

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