裁判とは、裁判所が、法律を用いて、トラブルを最終的に解決する手続きのことです。
裁判が行われる裁判所には5つの種類があり、最高裁判所のほか、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所があります。
国民には裁判を受ける権利があり、裁判所が下した判決に納得できないときは、上級の裁判所に訴えることによって、1つの事件について、原則として3回まで裁判を受けることができます。
「弁護士はどんな仕事をしているの?」の中で説明したとおり、トラブルは、大きく民事事件と刑事事件の二つに分けることができます。
そして、民事事件に対応する裁判が民事裁判、刑事事件に対応する裁判が刑事裁判です。
では、それぞれの裁判の流れはどのようなものか、見てみましょう。
民事裁判とは、人と人とのトラブルを解決するための裁判手続きです。ここでは、当事者が主張する事実が本当に存在するのかどうかについて、提出された証拠(しょうこ)に基づいて認定がなされ、トラブルを解決するための判断が下されます。
民事裁判では、訴えを起こした人のことを原告(げんこく)、訴えられた人のことを被告(ひこく)といいます。弁護士は、原告・被告どちらかから依頼を受けて代理人になり、依頼者と打ち合わせを行い、依頼者の代わりに書類を作成して裁判所に提出し、主張を行ったり、その主張を裏づける証拠を提出したりします。
なお、裁判の途中、裁判官から、和解(=話し合いによる解決)を提案されることがよくあります。和解によって解決されるケースはとても多くて、和解で終わるケースの方が、判決が出るケースより多いのです。
刑事裁判とは、罪を犯したと疑われている人について、本当に罪を犯したのかどうか、また、罪を犯したと認められる場合に、どのような刑罰(けいばつ)を科すべきかを審理(しんり)し、決定する手続きです。裁判で有罪と決まるまでは、逮捕されている人も、裁判にかけられている人も、だれもが「罪を犯していない人」としてあつかわれなければならないとされています。これを「無罪の推定」といいます。
事件が発生すると、警察などの捜査機関(そうさきかん)は、証拠を集めて、犯人がだれか、また、どんな犯罪が起こったのかを特定していきます。ここで、疑いをかけられた人のことを「被疑者(ひぎしゃ)」といいます。検察官は、集められた証拠をチェックして、被疑者が犯罪を起こした可能性が高い、と判断した場合に、刑事裁判を求めます。このことを起訴(きそ)といいます。
起訴がなされると、今まで被疑者と呼ばれていた人は「被告人(ひこくにん)」という名前で呼ばれるようになり、被告人についての刑事裁判が始まります。刑事裁判では、被告人が本当に罪を犯したのか、また、被告人が罪を犯したとして、どのような刑罰を科すのが相当かについて、法律に基づいて審理が行われ、判決が下されます。
弁護士は、被疑者・被告人の弁護人として、被疑者・被告人と面会をしたり、事実を調べたりし、ときには、疑いを晴らすため、またときには、あまりに重すぎる刑罰が科せられることのないように、弁護活動を行います。
なお、重大な犯罪についての刑事裁判では、一般の人が、裁判員として、裁判官とともに審理に参加します。みなさんも、大人になったら、裁判員になることがあるかもしれません。
また、被疑者は、捜査機関から、逮捕(たいほ)や勾留(こうりゅう)という身体拘束(しんたいこうそく)を受けることがあります。起訴後の被告人も、起訴後勾留という身体拘束を受けることが少なくありません。被疑者・被告人が身体拘束から解放されるように活動することも、弁護人の大切な役割です。