女性差別撤廃委員会による勧告を受けて、選択的夫婦別姓制度の速やかな導入を求める会長談話


国際連合の女性差別撤廃委員会(以下「委員会」という。)は、2024年10月29日、国連女性差別撤廃条約(以下「条約」という。)の実施状況に関する第9回日本政府報告書に対し、総括所見を発表した。


委員会は、日本政府に対し、2003年以降3回にわたり、総括所見において選択的夫婦別姓を実現するよう勧告し、特に前回2016年の総括所見では、選択的夫婦別姓をフォローアップ項目の一つとして2年以内に報告するよう求めていた。しかしながら、日本政府は、この間、選択的夫婦別姓を実現するための法改正等を行わず、2024年10月17日に行われた今回の日本審査でも、夫婦別姓を認めるかどうかは日本社会の家族のあり方に関わる重要な問題であって国民の理解が必要であり、婚姻によって姓を変えた人が不利益を被らないよう旧姓の使用拡大に努めてきたなどと述べていた。


これに対し、今回の総括所見は、夫婦同姓を義務付ける民法750条の改正に全く進展が見られない(11項(a))と厳しく指摘した上で、女性が婚姻後も旧姓を保持できるよう夫婦の姓の選択に関する法律を改正することを勧告する(12項(a))と4回目の勧告を行った。また、前回同様、勧告を実施するために採った措置に関する情報を2年以内に書面で報告するよう日本政府に求めた(58項)。


日本政府が、委員会の度重なる勧告にもかかわらず、長年にわたって選択的夫婦別姓の実現に向けた措置を採っていないことは条約の締約国として到底許されるものではない。当連合会は、2024年6月14日付けで「arrow_blue_1.gif誰もが改姓するかどうかを自ら決定して婚姻できるよう、選択的夫婦別姓制度の導入を求める決議」を採択したところであるが、改めて、日本政府に対し、委員会による4回目の勧告を真摯に受け止め、選択的夫婦別姓制度を速やかに導入することを求める。



2024年(令和6年)11月7日

日本弁護士連合会
会長 渕上 玲子