若手会員への支援の充実・法曹志望者増に向けての会長談話~「法曹人口政策に関する当面の対処方針」取りまとめを踏まえて~

1 当連合会は、2022年(令和4年)3月17日、「法曹人口政策に関する当面の対処方針~司法試験合格者数の更なる減員に関する検証結果~」(以下「対処方針」という。)を取りまとめた。

対処方針は、2012年(平成24年)3月15日付け「法曹人口政策に関する提言」を踏まえたものであり、その策定に当たっては、約1年半にわたって多くのデータを分析し、各弁護士会や委員会から様々な意見を徴し、法曹養成制度改革実現本部内法曹人口検証本部及び理事会で真摯な議論が行われた。また、取りまとめに当たっては、特に法の支配を社会の隅々にまで及ぼすという司法に与えられた課題を達成するために法曹人口を含む司法の在り方はどうあるべきか、という視点を持って検討を行ってきた。

その結果取りまとめられた対処方針は、方針の趣旨第1項において、現時点における司法試験合格者数に関する検証結果を示し、第2項において、今後の法曹人口政策の検討の方法を示している。さらに第3項において、当連合会は、現状を静的に捉えるだけではなく、法の支配を社会の隅々にまで及ぼすために、制度的・人的な側面からの司法基盤の整備に取り組む中で法曹人口の問題に対処していく決意を示している。



2 当連合会が今後取り組むべき司法基盤の制度的側面の課題として、弁護士費用保険や民事法律扶助等の拡充や弁護士の活動領域の拡大等とともに、若手会員の活動の広がりを踏まえた支援を充実させることが重要である。 今年度、若手会員への支援策として、「若手会員の公益的活動等に対する支援制度」(いわゆる「若手チャレンジ基金制度」)を創設し、若手会員の公益的活動及び研修・学習への支援、先進的取組等に対する表彰及び助成を行った。約2か月の申請期間に合計526件もの申請があり、多くの若手会員が、社会的弱者の救済活動、教育活動、各種団体への参画・法的支援活動等の公益的活動や、先駆的な判例の獲得、障がい者や子ども等に対する支援活動、コロナ禍での救済活動、他機関との連携協働等の先進的取組を行い、さらに、積極的な研修・学習等により研鑽に励んでいることが明らかとなった。

当連合会は、このように新たな業務領域にチャレンジし、先進的取組や自己研鑽に励む若手会員への支援を引き続き充実させていく。



3 司法を担う人的基盤の問題として、法科大学院を中核としたプロセスとしての法曹養成制度の改革状況を踏まえつつ、法曹の質の維持・向上に努めるとともに、法曹志望者を増加させることが喫緊の課題である。

多様な分野で活躍する若手会員の実像と弁護士という仕事の魅力を社会に広く発信し、法曹志望者を増やすための取組を強める必要がある。

当連合会は、この取組の一環として、2022年(令和4年)3月28日、高校生及び大学生を対象とし、弁護士業務の魅力を発信するイベント「弁護士になるキミへ」を開催した。法学部生や法科大学院生が学生生活や将来の目標を語り、若手会員、海外、離島や過疎地等で活躍する会員、様々な専門分野で社会に向けて活躍する会員が弁護士業務の魅力を語る等、多くの参加者に弁護士業務の多様性や魅力を発信した。今後も、法務省、最高裁判所、文部科学省、法科大学院協会など関係機関・団体とも連携し、法曹志望者の増加に向けた取組に注力していく。



4 以上の次第で、当連合会は、対処方針の取りまとめを踏まえ、これらの諸課題に、全国の弁護士とともに全力で取り組む決意を改めて表明するものである。



 2022年(令和4年)3月28日

日本弁護士連合会
会長 荒   中