ロシア連邦によるウクライナに対する軍事侵攻に強く抗議する会長声明



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この度、ロシア連邦(以下「ロシア」という。)がウクライナへの軍事侵攻を行った。


国連憲章は、国際関係における武力による威嚇又は武力の行使を禁じているところ(第2条第4項)、今回のロシアによる軍事侵攻がこれに違反することは明らかであり、当連合会は、これを強く非難する。


また、ロシアのプーチン大統領は、核戦力を運用する部隊に特別態勢をとることを命ずるなど、あからさまに核戦力による威嚇を行っており、これは、核兵器の不拡散や廃絶に向けた国際社会の取組を踏みにじる行為として、断じて許すことはできない。戦争の放棄と平和的生存権の尊重を謳う日本国憲法の理念からも、今回のロシアの行為は看過することができない。


国連総会も緊急特別会合を開催し、本年3月2日(日本時間3日)、賛成141か国、反対5か国、棄権35か国の圧倒的多数の賛成により、ロシアに対する非難決議を採択したところである。


また、今回の軍事侵攻による子どもを含む多数の民間人の死傷が、国連人権高等弁務官事務所から報告されている。民間人や民間施設を攻撃することは、国際人道法の下での諸原則に明確に違反する。ウクライナの市民の生命・安全・自由について深く憂慮する。


一方、このような状況の中で、国内の一部からは、核廃絶の方向性に反するような動きが出始めている。しかし、日本は、日本国憲法における平和主義の下、唯一の被爆国として非核三原則を揺るぎなく堅持すべき立場にあり、日本政府は、非人道的な核兵器の廃絶に向けてたゆまぬ努力を続けるべきである。


よって、基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士の使命に基づき、当連合会は、ロシアに対し、ウクライナへの軍事侵攻について強く抗議するとともに、日本政府に対し、非核三原則を堅持する立場を前提に、核戦力による威嚇を含む軍事侵攻の早期停止及び紛争解決に向けて積極的な役割を果たしていくことを求める。



 2022年(令和4年)3月4日

日本弁護士連合会
会長 荒   中