いわゆる「後払い現金化」等の新手のヤミ金融の徹底的な取締りを求める会長声明


近時、「後払い現金化」、「ツケ払いサービス」、「買取りサービス」、「広告報酬サービス」等の名目で、後払いによる商品売買の形式を採りながら、実質的には極めて高金利で資金の融通を行う業者が急増しており、金融庁も注意喚起の文書を公表するに至っている。


その態様は、消費者に経済的に価値のない商品を購入させ、その代金を後払いとし、当該商品は提携した買取業者が買い取ったこととして、代金名目で消費者に現金を支払うというものである。商品の買取りではなく、キャッシュバックや商品レビューの報酬名目等で消費者へ現金を支払う例も見られる。いずれにしても、消費者は、商品の購入代金を後で支払わなければならない。


これらの業態は、資金を必要とする消費者に即時に融通するものであるから、経済的に貸付けと同様の機能を有すると考えられる。そして、貸金業の登録を受けずに、業として、このような資金融通を行うことは、貸金業法に違反する(同法第47条第2号、第11条第1項)。また、消費者が受領した金額と後で支払った金額の差額は利息とみなされるから(出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)第5条の4第4項)、これを年利に換算した場合に年20パーセントを超えているときは、出資法にも違反する(同法第5条第2項。更に年109.5パーセントを超えているときの重罰規定として同条第3項)。


この点、「後払い現金化」等を行っている業者の多くは、年利に換算すると数百パーセント以上にも相当するような高額な利息(消費者が受領した金額と後で支払った金額の差額)を徴収しているのであって、かかる業者は貸金業法及び出資法に違反する違法なヤミ金融業者と断ずるほかない。


コロナ禍で経済的に厳しい状況に置かれている者が増えている現状において、当連合会は、2020年5月22日付けで「いわゆる『給与ファクタリング』と称するヤミ金融の徹底的な取締りを求める会長声明」を発出したが、「後払い現金化」等は、いわゆる「給与ファクタリング」に代わる業態として報道されることもあるのであって、「後払い現金化」等を行う悪質な業者についても、同様に徹底的に取り締まる必要がある。


そこで、当連合会は、金融庁及び警察庁その他関係行政機関に対し、「後払い現金化」等の新手のヤミ金融の取締りを徹底するよう求めるとともに、ヤミ金融の撲滅と被害救済のため、関係各所との連携や相談体制を強化するなど、改めて努力を重ねていく所存である。



 2021年(令和3年)6月25日

日本弁護士連合会
会長 荒   中