「湖東事件」第2次再審請求即時抗告審決定に関する会長談話


本年12月20日、大阪高等裁判所第2刑事部(後藤眞理子裁判長)は、いわゆる「湖東事件」に関する第2次再審請求事件の即時抗告審において、2015年(平成27年)9月30日の大津地方裁判所における請求棄却決定を取り消し、再審を開始するとの決定をした。


本件は、2003年(平成15年)5月22日、滋賀県愛知郡湖東町(当時)所在の湖東記念病院に当時看護助手として勤務していた請求人が、同病院に慢性呼吸不全等による重篤な症状で入院中であった被害者(当時72歳)に対し、そののど元に装着された人工呼吸器の呼吸回路中にあるL字管からこれに接続するチューブを引き抜いて酸素供給を遮断し、急性低酸素状態により死亡させて殺害したとして、懲役12年に処された事案である。


当連合会は、かねてより、裁判所が再審を開始すべき理由があるとして再審開始決定をした場合は、無辜の迅速な救済という再審制度の目的に照らし、検察官の再審開始決定に対する不服申立は禁止されるべきとの立場を明らかにしてきた(1991年3月28日付け「刑事再審に関する刑事訴訟法等改正意見書」)。


よって、当連合会は、本件においても、検察官に対して、特別抗告をすることなく、速やかに再審公判に移行させるよう求めるものである。
  

  2017年(平成29年)12月21日

日本弁護士連合会      

 会長 中本 和洋