「大崎事件」再審開始決定に対する即時抗告についての会長声明


昨日、いわゆる大崎事件の再審開始決定に対して、検察官が福岡高等裁判所宮崎支部に即時抗告をしたことは、誠に遺憾である。

再審請求審である鹿児島地方裁判所は、新証拠として提出された法医学鑑定や第2次及び第3次再審請求における供述心理学鑑定の結果を綿密に分析するなどして、再審請求人である原口アヤ子氏の本件犯行への関与を認定した確定判決の事実認定には、合理的な疑いを生じさせるとして、二度目の再審開始決定をしたものである。

この再審開始決定につき、当連合会は、去る6月28日、検察官に対し、二度にわたる再審開始決定の重みを理解し、即時抗告をすることなく速やかに本開始決定を確定させるよう求めていたところである。

検察官に望まれるのは、公益の代表者として、この決定を謙虚に受け止め、再審開始後の審理において公正な裁判を実現することである。審理の開始自体に異を唱える即時抗告は、いたずらに審理を長引かせるだけである。原口アヤ子氏は、現在90歳の高齢となっており、再審無罪判決による権利救済には、もはや一刻の猶予も許されない。

当連合会は改めて、一日も早く再審開始決定を確定させ、再審公判において迅速に審理の上、無罪判決が言い渡されるよう求める。


 

  2017年(平成29年)7月4日

日本弁護士連合会      

 会長 中本 和洋