法科大学院公的支援見直し加算プログラムに関し地方・夜間法科大学院に対する配慮を求める会長声明

文部科学省は、昨年11月の「法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しの更なる強化について」において、一定の指標に基づき法科大学院を分類して公的支援の減額を図った上で、優れた先導的取組(加算プログラム)を提案した法科大学院に対しては公的支援の加算を行うとする政策を公表しているが、今般、各法科大学院に対し、本年9月30日までに加算プログラムの申請を行うよう通知した。


当連合会は、法科大学院を中核とする法曹養成制度の充実を図る見地から、今後実施される同プログラムの審査に際し地方法科大学院及び夜間法科大学院に対して適切な配慮が必要と思料する。


すなわち、地方法科大学院の存在は、地方における法曹志望者の経済的負担を大きく軽減させるだけでなく、司法過疎の解消、地域司法の充実、発展に貢献し、さらには、地方自治、地方分権を支える人材を育成するためにも重要な役割を担っている。そのため、各弁護士会及び当連合会は、地域に存する法科大学院の支援に全力で取り組んできた。また、働きながら学ぶことができる夜間法科大学院は、学生の多様性確保のためにも重要な存在意義を有している。法科大学院制度をめぐる状況が厳しさを増す現状においても、地域適正配置の理念や夜間法科大学院の重要性は軽視されることがあってはならない。


以上の観点から、加算プログラムの実施を通じて教育の質を確保し、公的支援に相応しい実績を目指そうとする地方法科大学院及び夜間法科大学院に対し、適切な公的支援の加算が行われるべきである。


また、地方・夜間法科大学院が教育の質を確保する方策としては、実績を上げている法科大学院がこれらの法科大学院を教員派遣等の方法によって支援することが現実的な方策の一つとして考えられるところである。このような実績を上げている法科大学院の取組が「優れた先導的取組」と評価される場合、これを現実的に可能にするために必要な公的支援の加算が行われるべきである。


当連合会は、文部科学省による公的支援の加算に際し、以上の点について十分な配慮がなされることを求めるとともに、これら地方法科大学院及び夜間法科大学院の教育の質を確保する取組に対して、これを現実的かつ継続的に可能とするために別途所要の予算措置がとられることを求めるものである。


 


  2014年(平成26年)6月5日

  日本弁護士連合会
  会長 村 越   進