司法制度改革推進法の成立にあたって(会長談話)

本日、司法制度改革推進法案が参議院本会議で可決され、成立した。当連合会はこのたびの司法改革の推進を目的とするこの法案が円滑かつ充実した審議を経て速やかに成立したことを高く評価する。本法の成立によりいよいよ内閣に司法制度改革推進本部が設置され、21世紀の日本社会において個人の尊厳と人権を擁護する法の支配の確立を目指す司法改革が具体的立法作業の段階に入り、正念場を迎えるものである。当連合会は、この大改革が、弁護士自らの改革を求めるものであることを十分に認識するとともに、我が国の市民にとって自らが司法に主体的に参加する民主主義の発展の契機となり、市民のための司法が真に確立されることを切望する。そして当連合会は本法に基づく司法制度改革推進本部のもとで行われる、裁判官制度、弁護士制度、法科大学院を含む法曹養成制度、司法への国民参加(裁判員制度)等の各分野において新たな国民的司法を創造するための制度設計に国民とともに、より一層積極的に取り組む決意である。また審議会意見書に基づく正しい制度設計が行われるためには、「顧問会議」や「検討会」などそれを担う組織への国民の参加と会議のリアルタイムでの公開がきわめて重要である。今後の立法作業が、両院の法務委員会の付帯決議を尊重して誠実に実行されることを、内閣その他の関係機関に望むものである。


2001年(平成13年)11月9日


日本弁護士連合会
会長 久保井 一匡