サッカーくじに関する会長声明

文部科学省が指導・監督する日本体育・学校健康センターは、本年3月、スポーツ振興「くじ」(通称「サッカーくじ」)の販売を、全国で実施すると発表している。


当連合会は、「サッカーくじ」は刑法が禁じているとばく行為であり、しかも青少年に人気の高いJリーグを対象とする点で、子ども社会に重大な影響を与えると指摘してきたが、昨年10月及び11月に静岡県で実施された「テスト販売」の結果は、当連合会の危惧を裏付けるものである。


まず第1に、「くじ」の提案者は、「1等に当たる確率は160万分の1程度であるから、寄付に近く、ギャンブルとは言えない」と弁明していたが、勝敗の結果を予想して当たれば金を得るという制度はとばくそのものであるうえ、「テスト販売」の結果では、第1回目の1等当選確率は約25万分の1で、1口100円が約600万円の払い戻し金となり、第2回目に至っては1等の当選確率が約1万分の1で、100円が約24万円の払い戻し金になっている。「くじ」のギャンブル性は明白である。


第2に、法は19歳未満の子どもに「くじ」を売ることを禁じているが、「テスト販売」での販売店の年齢確認率は、第1回目が46.3%、年齢確認の徹底を図った第2回目でも75.7%に留まり、4分の1の販売店は年齢確認をせずに「くじ」を販売しているのが実態である。そして、くじ購入者の年齢層をみると、若い年代ほど購入者が多いことが明確になっている。 これによれば、子どもの社会に、Jリーグを対象とするギャンブルが持ち込まれるであろうことは明かと言わなければならない。


現在、子どもの健全な成長を支えるために、子どもを取り巻く社会環境を整備することが、国や自治体を含む大人全体の重大な課題となっている。そのなかで、「サッカーくじ」を全国で実施することは、重大な問題がある。


当連合会は、文部科学省および日本体育・学校健康センターなど関係機関に対し、子どもへの悪影響を懸念する広範な声に十分耳を傾け、「サッカーくじ」全国販売の停止または延期を含め慎重に再検討するよう、強く求めるものである。


2001年(平成13年)2月13日


日本弁護士連合会
会長 久保井 一匡