警察法改正案について(談話)

神奈川県警本部長の犯人隠避事件に端を発する一連の警察幹部の不祥事件を契機として、政府は、警察法改正案を国会に提出した。


今回の改正案は、国家公安委員会、都道府県公安委員会などが必要があると認めるときはそれぞれ対応する警察最高責任者に対して監察を行うことを具体的又は個別的に指示することができること等をその内容とするものである。


しかしながら、今回の一連の警察の不祥事は、警察がその職務につき第三者の監視を受けることを避け全てを内部で処理しようとしたこと、公安委員会も監視機能を果たし得るものになっていないこと等に起因していると言える。


当連合会は、今日まで警察活動に伴う人権侵害の救済にあたると共に、警察制度の民主化に関する提言を行ってきたが、今回の一連の不祥事を機に、かかる事件の再発を避けるために改めて、当面、次のような抜本的な改革が必要であると考える。


1.公安委員会制度の抜本的改革をすること。


(1) 公安委員会は警察から完全に独立した組織とし、同委員会に警察職員に対する懲戒権を含む人事権・監察権を与えること。


(2) 同委員会を上記権限を行使するに足りる組織とすること。


2.警察情報の公開制度を実現すること。


警察情報は、捜査上の機密に属するものを除き、市民に公開されるべきであって、情報公開を通じて市民による批判を保障することにより、警察が真に市民のためのものになることが期待できる。


3. 警察官に対する人権教育を徹底すること。


警察は、警察官に対する人権教育を徹底し、市民の批判に謙虚に耳を傾けるべきである。


警察法改正案の国会審議にあたっては、今回の一連の警察不祥事の構造的原因を究明し、警察のあり方をめぐる全体的な検討の上に立って抜本的な論議が行われることを期待する。


2000年(平成12年)3月6日


日本弁護士連合会
会長 小堀 樹