ニシキファイナンス破産事件に関する声明

  1. 金融業を営む株式会社ニシキファイナンスが平成7年8月16日に大阪地方裁判所で破産宣告を受けた。ニシキファイナンスは融資の際に債務者から融資額の5倍ないし10倍の額面額の手形を預かり、これを債務者に無断で引、譲渡担保等の方法で流通に回していたため、現在、手形の所持人から債務者に手形の取立てがされている。このようなニシキファイナンスの詐欺的方法による被害者は全国で2200業者、無断換金された手形金額は総額257億円にのぼるといわれている。
  2. これら債務者は中小零細の事業者がほとんどであり、次々と回されてくる手形の決済が出来ず、既に倒産した事業者が100を越え、連鎖倒産も含めれば今後どのくらい倒産が発生するか予想も出来ない状態である。また、既に自殺した債務者も出てきており、経済的社会的影響のみならず、債務者の家族・従業員の生活破綻も人道上放置出来ない事態にある。
  3. 当連合会は、金融機関に対し、債務者の実情に即した弾力的な対応をされるよう要請する。また、大蔵省や地方行政機関は、金融業者の監督機関として、ニシキファイナンスから不法に回された手形を所持している金融機関に対し、被害者である債務者に被害を転嫁しないように強力な指導をされること及び中小企業の保護・育成を図る行政機関は、かかる債務者に無利子・無担保・長期分割返済などの緊急経済支援策をとられるよう要請する。

1995年(平成7年)8月28日


日本弁護士連合会
会長 土屋公献