佐川急便事件の真相究明を求める

日本弁護士連合会は、これまで、民事介入暴力をはじめとする暴力団による被害救済とその根絶のために、市民、警察との協力のもとに、全国各地における各種の暴力排除運動に積極的に取り組んできた。


その過程においては、市民、警察官そして弁護士自身の生命が、危機にさらされる事態すら発生している。


ところが、いわゆる東京佐川急便事件において、こともあろうに内閣総理大臣の誕生に際し、有力政治家により、日本最大の暴力団の一つが利用されたことが明らかになった。


このような政治家と暴力団との癒着は、暴力団の活動を助長し、組織暴力の根絶をめざす国民的な努力に逆行し、これを阻害するものである。このような暴力団の利用は、国民の政治に対する信頼を根本から損ない、国際的にもわが国の政治的な信用の低下を招いている。


当連合会は、さきに行った政治資金規正法の抜本的改正を求める会長声明(本年10月9日)に続き、ここに、このような事態を再発させないために、あらゆる努力を尽くすことを表明するとともに、国会及び関係諸機関が真相の徹底究明によって、その責任の所在を明らかにし、国民の信頼を回復することを求めるものである。


1992年(平成4年)10月17日


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎