当番弁護士制度全国実施に際して

平成2年9月、当番弁護士制度が大分県弁護士会ではじめて実施されてからわずか2年で全国52の弁護士会で完全実施されるに至ったことは大きな成果であり、関係者のご尽力に深甚の敬意を表するものである。


本制度は、現在日弁連が取り組んでいる司法改革の中心的課題の一つであり、この制度の実施により弁護人との接見や選任の機会もないまま、身柄拘束されている被疑者の権利が適正に守られ、刑事裁判の充実にも大きく貢献するものである。


今後、過疎地域を含めての弁護人の量的な拡大と弁護の質の両面にわたって改善を図っていく方針であるが、件数の増加に伴い、弁護士会あるいは法律扶助協会の財政的負担がきわめて大きくなっている。


将来、被疑者段階での国選弁護人制度の創設、法律扶助制度の飛躍的充実など司法制度の抜本的改革に向けて各界のご理解を得ていきたい。


1992年(平成4年)9月29日


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎