31期司法修習生の任官拒否に関する談話

日本弁護士連合会は、去る3月22日、31期司法修習生の任官採用にあたり、国民の納得する公正な採用基準と手続を確立し、いやしくも成績、全人格に名を藉りた思想・信条・団体加入・性別等を実質的理由とする任官拒否をしないようにとの要望書を最高裁判所長官に提出した。


しかるに、最高裁判所は、31期司法修習生の裁判官任官志望者69名のうち、64名を採用し、青年法律家協会会員のうち、5名を不採用とした。


司法修習を終了した者は、いずれも裁判官・検察官・弁護士としての適格を有するものとされているにもかかわらず、右5名につき明確な理由を示さず不採用としたことは、実質的に思想・信条・団体加入をその1つの理由としての任官拒否の疑いが強く、まことに遺憾といわざるをえない。


当連合会は、最高裁判所に対し、再考を促すとともに、本人の希望に従い不採用の理由をすみやかに本人に説明し、あわせて国民の納得する公正な採用基準と手続の確立を求めるものである。


1979年(昭和54年)4月9日


日本弁護士連合会
会長 江尻平八郎


昭54・4・9記者発表