いわゆる「弁護人抜き裁判」特例法案が衆議院本会議において趣旨説明されたことに対する談話

本日、衆議院本会議において、いわゆる「弁護人抜き裁判」特例法案の趣旨説明がなされた。


右法案が、憲法の保障する被告人の弁護人依頼権の剥奪を許すものであり、立法の必要性・緊急性のないものであることが、国会の場においても明らかとなった。


日本弁護士連合会は、本法案が発表された当初より、この「弁護人抜き裁判」の危険性を指摘するとともに法務省に対し、本法案を国会の審議に付する前に、国会の付帯決議に基づいて設けられた「三者協議会」で法曹三者(最高裁・法務省・当連合会)による十分な話し合いを行って、意見調整を図るべきであると訴えてきた。さらに、当連合会は、公正かつ円滑な刑事訴訟の進行を図るための具体的方策をも提案した。


われわれは、かかる司法制度の根幹にかかわる事項は、法曹三者の円満な協議によってのみ解決しうるものと確信する。


当連合会は、今後も、本法案の危険性を広く国民に訴えてその理解の下に、断固本法案の成立を阻止する。


1978年(昭和53年)4月18日


日本弁護士連合会
会長 北尻得五郎


昭53・4・18記者発表