人権のための行動宣言1999

    1999年11月

    日本弁護士連合会

    本宣言について

    日本弁護士連合会は、恒久平和、基本的人権尊重、国民主権、国際協調を根本原理とする憲法の下に制定された弁護士法にもとづき、1949年に創立され、本年50周年を迎えました。


    今世紀は、戦争と民族虐殺などの暴力が繰り返され、人間の尊厳に対する危機が続きました。しかし、第2次世界大戦以降、人類の叡智は、過去の反省の上に立ち、平和と基本的人権を尊重する世界をめざして、わが国憲法や世界人権宣言、国際人権規約などの人権憲章を制定しました。これらにもとづき基本的人権を擁護し、平和を築く国際的な取り組みが国際連合を中心に始まりました。その後、公害の発生と地球環境の破壊が進んで、人類生存の基礎を脅かす状況が生じ、地球環境の保全についても国際的な取り組みが展開されるに至りました。現在、これらの課題について、国際連合等の国際的機関、国家間の合意、及び国際的な市民運動が一層推進されつつあります。


    しかし、21世紀においては、国際社会の政治・経済の動き、人口の激増、先端科学技術の発達等により、内外における平和と民主主義、基本的人権、地球環境の問題は、ますます深刻、重大になると予想されます。


    日本弁護士連合会は、基本的人権の擁護と社会正義の実現の使命の下に、創立以来今日まで、幅広い分野において、さまざまな人権被害の個別的な救済、制度・運用の改善と立法的提言を行うなどの活動を続けてきました。昨年11月には、「司法改革ビジョン」を公表し、司法制度を市民に身近で信頼され、個人の尊厳と人権を守るための制度に改革することを明らかにしました。


    そして、本年、創立50周年を迎えるにあたり、人権擁護活動を一層強化して、内外の期待に応えるために、これまでの活動の成果をふまえて、今後、重点的に取り組む課題を「人権のための行動宣言」として公表することにしました。


    「司法改革ビジョン」は、司法制度の改革をめざすものであり、「人権のための行動宣言」では、平和の実現と民主主義の確立、基本的人権の尊重、地球環境の保全という、人権に関する具体的内容と行動を提示しました。両者は一体となって、日本弁護士連合会の課題と行動目標とそれらに対する決意を明らかにするものです。


    「人権のための行動宣言」は、日本弁護士連合会の人権擁護に対する固い決意の下に、「具体的課題」と「課題実現のための制度改革」を明らかにしています。「具体的課題」においては、2010年までを一応のめどとして、日本弁護士連合会が重点的に取り組む課題を示しております。そして、「課題実現のための制度改革」では、人権保障の砦となる司法制度を改革するとともに、人権侵害の救済と人権教育の推進をはかる「政府から独立した国内人権救済機関」の設置を求めております。


    私たちは、「人権のための行動宣言」が提起している課題の達成に努力することは、国際社会と諸国家の責務であるとともに、私たち自身の使命であると考えています。21世紀を迎えるにあたり、日本弁護士連合会は、「人権のための行動宣言」を表明し、広く会内外の人々と協力して、その実現に全力を尽くすことを誓うものです。



    本宣言の内容

    私たちのめざすもの


     1 刑事手続
     2 思想・信条の自由
     3 個人情報の保護
     4 公害対策・環境保全
     5 社会保障と人権
     6 消費者の権利
     7 両性の平等
     8 労働者の権利
     9 子どもの権利
    10 健康と医療をめぐる人権
    11 障害をもつ人々の人権
    12 高齢者の権利
    13 在日外国人の人権
    14 少数民族の人権
    15 報道による人権侵害
    16 犯罪被害者の人権
    17 戦争被害者の権利
    18 沖縄基地の縮小、撤廃
    19 平和主義の普及と核兵器等の廃絶
    20 警察制度の民主化
    21 行政への市民の監視・参加の充実
    22 地方自治
    23 国際的人権保障システムの強化


    課題実現のための制度改革


     (※全文はPDFファイルをご覧ください)