知的財産高等裁判所令和5年(ネ)第10040号損害賠償請求控訴事件における第三者意見募集に対する意見書
本意見書について
2024年6月24日、知的財産高等裁判所は、令和5年(ネ)第10040号損害賠償請求控訴事件に関する第三者意見募集を行いました。
日弁連は、2024年8月22日付けで、知的財産高等裁判所令和5年(ネ)第10040号損害賠償請求控訴事件における第三者意見募集に対する意見書を取りまとめ、2024年8月23日付けで知的財産高等裁判所に提出しました。
本意見書の趣旨
1 意見募集事項(1)については、複数の薬剤を含有してなる豊胸用組成物という美容整形分野において用いられる「物の発明」への特許付与の適否が問われている。特許付与を通じてより優れた医療技術を発明するインセンティブの保護を図ることは重要である一方で、特許権侵害のおそれがあるとして医療現場で医師の医療行為を委縮させないことへの配慮も必要である。これらが美容整形分野にどの程度当てはまるのかが争点となっているが、どのような結論を採るにせよ、患者(被施術者)がより優れた医療を安心して享受できることが最も重要であり、明確な基準をもって判示されることが望まれる。
2 意見募集事項(2)及び(3)のいずれも、特許法上の規定を直ちには明確に当てはめることができない問題について、美容整形分野における医療行為又はこれと密接に関連する行為に対して特許権の効力を及ぼすことの是非が問われている。医師の医療関連行為に対する川下規制としての免責をどこまで広げることが妥当かという、医療と特許の効力の範囲の関係性を問う議論であると位置付けることもできる。この問題についても、どのような結論を採るにせよ、患者(被施術者)がより優れた医療を安心して享受できることが最も重要であり、明確な基準をもって判示されることが望まれる。
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