長期低排出発展戦略の策定に関する意見書

2019年1月18日
日本弁護士連合会

 

本意見書について

日本弁護士連合会は、2019年1月18日付けで本件について意見を取りまとめ、1月21日付けで内閣総理大臣、経済産業大臣及び環境大臣宛てに提出しました。


本意見書の趣旨

国は、長期低排出発展戦略の策定に当たっては、1のとおり温室効果ガスの排出削減目標を改め、その目標の達成のために2~5を踏まえた政策措置を盛り込んだ上で、同戦略を速やかに気候変動枠組条約の事務局に提出すべきである。


1 IPCC特別報告書「1.5℃の地球温暖化」(2018年10月8日公表)を踏まえ、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑えることを明記し、「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指す」とするこれまでの国の長期目標を引き上げ、温室効果ガスの排出を実質ゼロに近づけたものとすべきである。また、同目標に至る経路として、2030年の削減目標を2013年度比26%削減(1990年度比では18%削減)とする現行の目標を、1990年度比40%以上削減に引き上げ、2040年には1990年度比60%以上の削減とすることを明記すべきである。


2 建物の断熱性能規制を強化するなど、エネルギー消費の削減及びエネルギー需給における高効率化を誘導する仕組みを導入すべきである。


3 石炭火力発電所の新設は計画中及び工事中のものを含めて認めず、既設の石炭火力発電所についても早期に廃止させる方針を明確にし、その実現のための措置を導入すべきである。


4 再生可能エネルギーの主力電源化を明確に示し、2050年における再生可能エネルギーの導入目標を設定するとともに、現行では22~24%とされている2030年の電源構成における再生可能エネルギーの割合を少なくとも30%まで引き上げ、 その実現に向けた送電網の整備などの政策措置を盛り込むべきである。 また、再生可能エネルギーの導入によって環境に悪影響を及ぼす事態とならないよう適切な法制度の整備を行うなど、再生可能エネルギーの拡大が地域の環境に悪影響をもたらさないための措置を導入すべきである。


5 低コストで排出量の削減を可能にするために、効果的なカーボンプライシング(炭素の価格付け)を導入・強化すべきである。



(※本文はPDFファイルをご覧ください)