裁判所支部の充実を求める要望書

2005年(平成17年)11月15日
日本弁護士連合会


本意見書について

日弁連は、これまで、当番弁護士制度の全国的な確立や公設事務所の設置に努力してきたほか、地域司法計画の策定作業の中で各地の地方裁判所支部及び家庭裁判所支部(以下「裁判所支部」という)の人的・物的設備の不足やその弊害を指摘してきました。

2004年9月には、裁判所支部の実情を把握するため、各弁護士会に対し、裁判所支部の人的・物的設備は十分か否か、裁判所支部の管轄や配置は適正か否か等の問題についてアンケートを実施いたしました。


その結果、裁判官が常駐していないことや兼務による負担過重の弊害、調停室の不足や待合室の狭隘さ等が指摘されたほか、裁判所支部の管轄や配置についても、合議事件を扱えない、交通事情が悪い等、さまざまな問題が指摘されました。身近な裁判所で迅速かつ充実した裁判が受けられないことは、国民の裁判を受ける権利の保障の観点からも重大な問題です。


そこで、日弁連は、以下の5点を趣旨とする要望書を作成いたしました。


  1. 全ての地方裁判所及び家庭裁判所の支部に1名以上の裁判官を常駐させ、非常駐の裁判所支部をなくすこと
  2. 非常駐の裁判所支部をなくすまでに時間がかかる場合は、過渡的な措置として、当該支部の開廷日、執務日を増やすこと
  3. 現在1人以上の裁判官が常駐しており、極めて多忙である裁判所支部には、現数を上回る複数の裁判官を常駐させること
  4. 裁判所支部における書記官・事務官の増員、調停室・待合室の拡充、エレベーターの設置など、裁判所支部の人的・物的基盤を充実させること
  5. 地域住民の利便性及び当該地域の司法機能の強化等のため、裁判所支部の新設を含めた配置の見直し、管轄区域の見直しを検討するとともに、規模に応じて行政事件や上訴事件を取り扱うことができるように検討すること

この要望書は、2005年11月15日の理事会において取りまとめ、同年12月1日に最高裁判所に提出しました。


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