銀行法改正に関する意見書


2005年(平成17年)12月15日
日本弁護士連合会


 

本意見書について

2005年10月26日、銀行法等の一部を改正する法律が成立し、来年4月から施行されることになりました。


今回の法改正により、(1)預金の受入れ、(2)資金の貸付け、(3)為替取引等を内容とする契約の締結の3類型の業務の代理又は媒介を営業として行う銀行代理業制度等が創設されました。


従来は、銀行が100パーセント出資をした子会社等以外は、銀行代理店となることができないという厳しい参入制限を前提に届出制が採用され、兼業は禁止されていましたが、これらの参入規制を緩和し、一般の事業者であっても内閣総理大臣の許可を得て銀行代理業者となり、同様に内閣総理大臣の承認を受け、上記3類型の業務を兼業することができるものとされました。


この法改正をふまえ、今後、利息制限法の制限を超える利息等の約定に基づいて貸金業を営むいわゆる高利貸金業者が、銀行代理業への参入を試みることが考えられます。


しかし、これらの高利貸金業者は、法令違反の営業が常態化しており、十分な社会的信用を有する者とは認められませんので、前記内閣総理大臣の許可の要件を充たさないと言うべきであって、代理業を認めるべきではありません。


実際、高利貸金業者が銀行代理業に参入すると、たとえば、銀行代理業者である貸金業者の窓口に、銀行からの借入ができると思って融資の申し込みに行った顧客が、銀行と貸金業者を誤認混同し、著しく不利な条件で融資を受けてしまうなど様々な弊害が生じかねないものと考えられます。


このように、高利貸金業者に銀行代理業者の許可を与えれば、銀行代理業務を適正かつ確実に営むことにつき支障を及ぼすおそれがあると考えられますで、許可をするべきではありません。


そこで、日弁連は、利息制限法の制限額を超える利息・賠償額の支払の約定をもって貸付けを行うことを業とする貸金業を営む者には、銀行法第52条の36に基づく許可を与えてはならない旨の意見書を2005年12月15日の理事会で取り纏め、同年同月21日内閣総理大臣、金融庁長官などに提出しました。

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